DIYブームを後押しするため、代官山にオープン

東急東横線代官山駅から歩いて5分。華やかな代官山の街並みの中にあって、ひときわ目を惹く外観の店が2016年5月にオープンしたDIYショップ 「Decor Tokyo」だ。運営するのは賃貸住宅のリノベーションやシェアハウスの設計を手掛ける坂田夏水氏。小さな店の多い代官山では間口が広く、窓の多い店舗は希少で、さらにその窓から見えるカラフルで楽しげな商品が人目を惹くのだろう。道行く人の多くが店内を覗きこみながら通っていく。

以前、西荻窪でDIYショップGONGRIを経営していた坂田氏が代官山に新店舗を構えるに至ったのは2つの理由から。ひとつはGONGRIの入っていたビルの取り壊しで、もうひとつはDIYが市民権を得つつある今、もっと多くの人にDIYを知ってもらいたいと考えたためだという。

「西荻窪の小さな店舗にすらわざわざ遠くから来てくださるお客様がいる。だったら、もっとアクセスしやすい場所で、多くの人に知ってもらいたいと思いました。また、以前の店は人が集まるスペースがなかったので、次に作るとしたらセミナーなどの会場にもなる空間のある店をとも考えました」。

そのため、新店では一画に多目的に使える空間が作られたほか、これまで以上の数の商品が展示されており、見ごたえ十分。加えて店内では協力会社による住宅建設、中古マンション購入の情報提供も行われており、賃貸暮らしやリノベーションをしたい人だけでなく、家を買いたい人、建てたい人にも役に立つ。また、いろいろ相談に乗ってもらえるコーディネーターが常駐しているのもうれしいところだ。

以下では店内の様子や人気の商品などをご紹介していこう。

ストライプの日除けが目印。道行く人が覗きながら通っていくストライプの日除けが目印。道行く人が覗きながら通っていく

なぜか、男性は金物がお好き

店内は正面から右回りにだんだんDIYの難易度が高くなっていくように陳列されており、入ってまず見えるのは難易度ゼロ、置くだけで簡単に室内の雰囲気を変えてくれる雑貨や造花、フェイクグリーンその他の小物類。500円~とお手頃な商品が中心だ。

次に来るのはフックや取っ手などの金物コーナー。動物の頭や人の顔があしらわれていたり、通常より大型だったりと、一味変わった商品が多く、なぜか男性に人気という。「ご夫婦で来店されても、金物を手にして欲しがるのは男性。かなり大きい取っ手類を選ばれる方も多いですね」。ビス2本で止めつけられるものが中心なので、DIY初心者でも全く問題なし。トイレ、バスルームなどを表示するプレートも良く出るそうで、こちらは両面テープでも取り付けられる。その手軽さの割にはプラスチック製より重厚な雰囲気が出るのがお得な感じだ。

金物コーナーには棚受け(ブラケット)も各種揃っているが、こちらはフックより取り付けの難易度は高い。そのためか、ここにはリノベーションを手掛けているプロなどの来客も目立つそうだ。

その横は新店オープンを記念して創刊されたフリーペーパー「MATERIAL」と連動、紙面に登場した人のデザインを再現したコーナー。発行に合わせて2ヶ月に1度変わるそうで、初回は協力会社でもある、住まい、インテリアのまとめアプリiemoの村田マリさんによる西海岸風のしつらえだ。このインテリアセッティングの紙面にある商品にはファッション誌同様に商品名、価格が表示されており、すべて買えるようになっている。ファッション誌では当たり前だが、この仕組み、実はこれまでのインテリア誌にはなく、坂田氏によれば新しいチャレンジだという。インテリア誌に値段がなかったとは知らなかった……。

店内に入ったところ。中央に造花、雑貨類があり、右手に金物。突き当りの壁には塗料などが見えている店内に入ったところ。中央に造花、雑貨類があり、右手に金物。突き当りの壁には塗料などが見えている

自分で仕上げるドア、貼って剥がせる窓用シートと新しい商品も多数

上/右が子ども部屋、左が書斎。それぞれに凝った壁紙が貼られているが、間にあるドアにも注目 下/マスキングテープのコーナー。ここにしか置かれていない商品もあるそうだ上/右が子ども部屋、左が書斎。それぞれに凝った壁紙が貼られているが、間にあるドアにも注目 下/マスキングテープのコーナー。ここにしか置かれていない商品もあるそうだ

右奥には子ども部屋、書斎と毛色の変わった2つのコーナーが並んでおり、子ども連れの多い代官山ではカラフルな花柄の壁紙の子ども部屋が人気。
「小学生くらいの子どもが『ママ、ここ可愛い』とソファに座り、『ウチにもこれを貼ってみたい~』とおねだりしているのを何度か聞きました。ママは『え~、貼れるかしら』とたじたじな感じ。子どもは先入観がないせいか、こんな部屋にしたいという気持ちに素直ですね」。

ところで、この2つのコーナーの間にはドアがある。一見普通のドアだが、実は、これから発売される新商品で、自分の好きな色に塗れる、好きな壁紙を貼れるドアなのである。
「下地の状態で納品され、仕上げは自分でやるというドアです。室内では大きなスペースを占めるにも関わらず、これまでドアはメーカーが完成させた品が基本。ほとんど自由がありませんでしたが、これなら好きにできますし、塗り直し、種類によっては貼り直しも可能です」。サイズ、窓の有無、枠の色その他のバリエーションも豊富で、発売が楽しみだ。

その奥の壁際にずらりと並ぶのはマスキングテープ。元々は塗料を塗る際の養生用の実用品として生まれたマスキングテープだが、今では室内の雰囲気を変えたい人に手軽、手頃で大きな効果をもたらす人気アイテム。アラベスク調の柄ありタイプから無地、透明で柄が透けて見れるタイプなど様々なタイプがあり、迷うほどの品揃え。中には窓に貼るウィンドウシートも。何度でも簡単に貼り替えることができるシートで、お隣や外からの視線が気になる人にお勧め。単に視線を遮るだけではなく、インテリアとしても機能し、UVカット機能もある。

DIY上級者ならチャレンジしたい、タイル、塗料に壁紙

微妙な色合いの30色が揃う夏水組オリジナルの塗料。色味を見ているだけでイメージが湧いてくる微妙な色合いの30色が揃う夏水組オリジナルの塗料。色味を見ているだけでイメージが湧いてくる

マスキングテープコーナーの先はタイル、塗料、そして壁紙、カッティングシートといった商品のコーナーが続く。ここまでのコーナーに比べると難易度は上がる感じだが、自分でできそうにない人は、壁紙、塗料の施工を依頼するという手もある(6月から一部開始予定)。

塗料で目を惹くのは壁紙の上に塗れる水性塗料で、夏水組セレクションと銘打った特注の30色。嫌な臭いがせず、垂れくいので塗りやすい上、スモーキーで独特の色目が揃う。100mlと少量から買えるので、とりあえず、古くなった家具でペンキ塗りにチャレンジしてみるのもいいかもしれない。最近話題の、チョークがつかえるようになる黒板塗料も各種用意されている。

壁紙コーナーで注目したいのは粘着フィルムとクッションフロア。前者は裏紙を剥がせばどこにでも貼れるフィルムで、キッチンパネル、家具などに貼ればあっという間に部屋のイメージチェンジが可能。しかも、貼って剥がせる。坂田氏オリジナルデザインもある。

もうひとつのクッションフロアは賃貸住宅でもよくキッチンや洗面所の床に使われている素材で、単なる木目や無難なベージュなど面白くないものが大半というイメージだ。ところが実際には様々な柄の商品が作られているのだそうで、Decor Tokyoでも一部の床に使われており、これがとてもかわいい。でも、どうしてこういう柄が一般の住宅に導入されていないのかを坂田氏に聞くと「メーカーでは様々な柄を出すものの、不動産会社や大家さんが無難な、前回と同じような柄を選びたがるので普及しません。せっかくの柄モノも売れないからと廃盤になってしまうことも多いんですよ」。不動産会社、大家さんにはもっと冒険してもらいたいものだ。

今、お勧め、売れ筋商品はこれ!

せっかく坂田氏に案内してもらったので、お勧め商品、売れ筋商品を教えてもらった。まずはお手頃なところでフックステッカー(850円+税)。これは壁に貼ると、そこにフックが作れるというもので、アクセサリーや鍵などの小物類を掛け、見せる収納として使いたい。もちろん、貼って剥がせる。

坂田氏によると「日本の粘着テープ、シールの技術は世界最高レベル。それは賃貸住宅で原状回復をしなくてはいけないという壁があったためです。床、壁、窓、水回りと貼って剥がせる商品が続々と登場しており、原状回復の壁はほとんど乗り越えられています。ただ、まだ、それを知らない人がいるのは残念。こうした商品を使えば賃貸でも室内は好きにできることを知って欲しいですね」。

続いてのお勧めは今ある床の上にこれまた、貼って剥がせる床パネル。特徴は1.5mmという薄さで、一般のシートは3mm。そのため、現在ある床材の上に貼るとドアに引っかかるなどの不都合があったが、ここまで薄いとその心配はなし。カッターで簡単に切れるのも便利。13,000円/m2(+税)程度の予定で2016年6月から販売予定。全5柄。

もうひとつはワルツという受注生産される壁紙。日本のイラストレーターが手書きしたものを壁紙にしたもので、夜の風景や街の様子などが繊細に描かれており、これはもうアート。室内を絵画に変えてくれるはずだ。一部屋全部に貼るためには7パネル必要で、1パネルは5,850円(+税)だが、トイレなどであれば2パネルくらいでも可だ。

最後は個人的にものすごく気に入った品をひとつ。水星、金星、火星その他太陽系の惑星8つを繋げたモビール(18,000円+税)である。天文好きにはたまらないのだが、問題はサイズ。店舗で見ているとそれほど大きく見えないが、自宅に持ち帰ると想像以上に大きいというのは家具などではよくある話。冷静に考える必要がありそうだ。

以上、駆け足で紹介したが、実際に行ってみるとあれこれ面白そうな品が詰め込まれており、まるでおもちゃ箱。インテリアに興味のある人なら訪れてみて損はない。

Decor Tokyo
http://decor-tokyo.com/

左上から時計回りに貼るだけのフック、同じく貼るだけの床材、モビールにアートな壁紙ワルツ左上から時計回りに貼るだけのフック、同じく貼るだけの床材、モビールにアートな壁紙ワルツ

2016年 06月03日 11時06分