池袋駅周辺の再開発マップ
前回の記事(東京メトロ有楽町線・東池袋駅南側で進む総戸数約1,500戸に及ぶ大規模再開発の進捗をリサーチ)で紹介した「南池袋二丁目C地区第一種市街地再開発事業」をはじめとする東池袋駅南側エリアと同様に、池袋駅の東口から北側(明治通り沿い)にかけてのエリアにおいても、都市機能の更新に向けた大規模なプロジェクトが連鎖的に進行している。
この活発な動きの背景には、2015年に国から指定を受けた「特定都市再生緊急整備地域」の存在がある。池袋駅周辺は、国際競争力の強化に資する拠点として、都内でも数少ない「特定地域」の一つに位置づけられている。これにより、容積率制限の緩和や都市計画決定手続きの円滑化といった支援措置が適用され、老朽化した商業ビルやオフィスビル、木造老朽建物による密集エリアなどを、高機能な複合施設へと更新する動きが進んでいる。
上図において注目すべきは、池袋駅東口の繁華街と、豊島区役所・公会堂跡地に整備された「Hareza池袋(ハレザ池袋)」をつなぐ結節点に位置する「東池袋一丁目地区第一種市街地再開発事業」である。このエリアは、豊島区が目指す都市像「国際アート・カルチャー都市」の実現に向けて、歩行者ネットワークの強化と文化機能等の集積を担う重要な拠点として市街地の更新が望まれていた。
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東池袋一丁目地区の再開発概要
「東池袋一丁目地区第一種市街地再開発事業」は、池袋駅東口の明治通り北東側に位置する約1.5ヘクタールの区域を対象とする大規模なプロジェクトである。本再開発エリアは、都市再生特別措置法に基づく「特定都市再生緊急整備地域」に位置しており、老朽化した建物の更新や、細分化された敷地の統合、および不足していた広場空間の創出を目的としているほか、前項で述べた「国際アート・カルチャー都市」の実現に向けて市街地更新の重要な位置にある。
こうした背景のもと、2020年10月に「都市再生特別地区」としての都市計画決定を受け、当該計画により、土地の高度利用を図る観点から容積率の最高限度が1,200%へ緩和(基準容積率は700%)されている。
事業主体は「東池袋一丁目地区市街地再開発組合」であり、参加組合員として住友不動産株式会社が参画している。2022年7月に再開発組合の設立が東京都より認可され、2025年5月に着工した。
【計画建築物の概要】
建築概要は次のとおり。
・施設名称:未定
・敷地面積:約9,900m2
・建築面積:約7,618m2
・延べ面積:約155,561m2(容積率計算対象延べ面積:約118,800m2)
・容積率 :約1,200%
・構造規模:鉄骨造、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造、地下4階・地上31階建て
・高さ :約175m
・建物用途:文化体験施設、事務所、イベントホール等
・駐車台数:360台
・駐輪台数:470台
・完了予定:2028年7月下旬
・設計者 :株式会社アール・アイ・エー東京本社
・施工者 :大成建設株式会社東京支店
※出典:豊島区公式サイト、事業計画書(2024年6月)、東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例第5条第1項の規定により現地に設置された標識板
【環境性能とBCP対応】
環境面では、建築物の熱負荷を低減するための措置や、省エネルギーシステムを導入する。また、地域冷暖房施設を整備することで地域への貢献を図る。 防災面では、災害時の帰宅困難者を受け入れるためのスペース(待機スペース)の確保や、防災備蓄倉庫、非常用発電設備を併設することで防災支援機能を備える計画である。 建物内には、豊島区が運行する「イケバス」の運行拠点(待機・充電スペース等)も整備される
東池袋一丁目地区再開発エリアの特徴
本再開発エリアの整備方針における最大の特徴は、豊島区の将来都市像として掲げている「国際アート・カルチャー都市」としての拠点の形成と、池袋駅周辺の回遊性を高めるための広場と歩行者空間の創出を担う役割にあるといえる。
【文化・交流拠点の形成】
本再開発の建物内には、オフィスフロアに加え、産業支援や文化発信に資する機能が導入される。具体的には、低層部および中層部にイベントホールや文化体験施設(アニメなど)が整備される計画であり、南側に近接する「Hareza池袋(東京建物Brillia HALL等)」などの周辺文化施設と連携することで、エリア全体での集客力向上を図ることが想定されている。また、低層部(1〜2階付近)には店舗を配置し、明治通り沿いの賑わいを連続させる計画となっている。
【大規模な広場と歩行者ネットワークの整備】
本事業では、敷地内に合計約4,900m2におよぶ広場空間(有効空地率約49%を確保)が整備され、シンプルな公開空地としての機能にとどまらず、地域防災機能も兼ね備えている。これらに加え、隣接する「池袋駅前公園」の再整備等によりサンシャインシティ方面へと続く緑豊かな歩行者動線「(仮称)みどりのプロムナード」が形成される計画となっている。さらに、建物内には豊島区が運行する電気バス「IKEBUS(イケバス)」の運行拠点(待機・充電スペース等)が整備され、地域交通のハブ機能も担うこととなる。
池袋マルイ跡地では「IT tower TOKYO」が2026年3月開業
池袋駅東口で再開発が進められている一方、西口においても市街地更新の動きがある。
その一つに、かつて「池袋マルイ」が営業していた跡地がある。現在、その跡地において新たなランドマークの建設が完了している。本施設は「IT tower TOKYO」と称され、2026年3月の開業を予定している。
池袋マルイは1977年の開業以来、池袋西口の商業的な象徴であったが、建物の老朽化などに伴い2021年に閉館した。跡地開発においては、従来の商業特化型施設から、オフィス機能を主軸とした複合ビルへの転換が図られている点が特徴だ。池袋駅エリアは、日本有数のターミナル駅を擁しながらも、同じ山手線沿線の主要駅である渋谷駅や新宿駅と比較し、まとまった床面積を持つ高機能オフィスの供給が慢性的に不足していたとする見方もある。
本プロジェクトや前述の東池袋一丁目地区は、こうしたエリアの課題を解消し、ビジネス拠点としての機能を大幅に強化する役割を担う。これにより、昼間人口(オフィスワーカー)の増加が見込まれ、従来の「商業・娯楽の街」という側面に加え、「ビジネスの街」としての側面が厚みを増すことになる。
【計画建築物の概要】
建築概要は次のとおり。
・施設名称:IT tower TOKYO
・敷地面積:約3,348m2
・建築面積:約1,945m2
・延べ面積:約41,639m2
・構造規模:鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造、地下4階・地上27階建て
・高さ :約140m
・建物用途:事務所、店舗、駐車場
・駐車台数:96台
・完了年月:2025年12月末
・開業予定:2026年3月14日(土)
・設計施工:清水建設株式会社
※出典:IT tower TOKYO合同会社(2025年12月17日)『池袋駅直結!池袋西口エリアを進化させる先進のIT拠点が誕生!「IT tower TOKYO」2026年3月14日 開業』
今後も再開発が進む池袋駅周辺
池袋駅周辺では、今回取り上げた東側・北側エリアに加え、西口エリアにおいても「池袋駅西口地区」として、東武百貨店池袋店を含む広大な区域での建替え構想(国家戦略特区の活用を視野に入れた計画)が検討されている。
豊島区が掲げる「池袋駅周辺地域まちづくりガイドライン」では、駅を中心とした各エリアを、「ウォーカブル(居心地が良く歩きたくなる)」な空間としてつなぐことが重視されている。東池袋一丁目地区市街地再開発事業における「(仮称)みどりのプロムナード」の整備や、駅周辺の公園(池袋駅前公園、中池袋公園、南池袋公園など)をつなぐグリーンネットワークの形成は、老朽建物の建替えにとどまらず、市街地の骨格そのものを「車中心」から「人中心」へと転換させる取り組みの一つともいえる。
また、防災面においても重要な意義を持つ。南池袋エリアでの市街地再開発事業と同様、東池袋エリアにおいても、木造密集地域の解消が進められている。今回紹介した東池袋一丁目地区においても、特定緊急輸送道路沿いの建築物の耐震化・不燃化は、広域防災拠点の機能維持に直結する。
2026年春から2028年にかけて段階的に竣工を迎えるこれらのプロジェクトにより、池袋の都市景観と歩行者環境は、物理的に大きな変貌を遂げることになる。官民連携によるこれらの取り組みは、池袋が目指す「国際アート・カルチャー都市」の基盤を、ハード・ソフトの両面から支えるものとなることが期待される。

















