数値ではわかりづらい家の「安全性」と「快適性」
家を建てる時に大切にしたい「安全性」と「快適性」。
日本は地震・台風・火災など多くの自然災害がある国だ。しっかりとした耐震性や構造がある家は、災害時に家族を守る“シェルター”の役割を果たすことができる。安全性が低い家では、災害により命が危険にさらされたり、大きな損害が起きる可能性がある。家の「安全性」は、住まいの重要な機能となる。
同じく家の「快適性」は、安全性と並んで欠かせないポイントである。
家の快適性は暮らしの満足度に影響する。「居心地が良い」と感じる家は、実は家の中の温度差が小さく、空気環境がきれいな家であることが多い。断熱性や気密性や換気性が十分でない住まいでは、冬の寒さや夏の強い暑さが室内に入り込みやすく、結露によってカビやダニが発生しやすくなる。カビやダニはアレルギーや体調不良の原因となり、健康リスクが高まることになる。高気密・高断熱の機能は室温を一定に保つ力が大きいため、暖房や冷房にかかる光熱費を抑えることができるため省エネ性能も高い家といえる。
家の「安全性」と「快適性」はどちらもかかせない重要な要素なのだ。
ところが家の安全性や快適性は、数値だけでは伝わりにくい。
耐震性や断熱性、気密性を表す住宅の性能の数値はあるが、なかなかそれだけではわからない。耐震等級の数値が示されていても、実際に地震が起きた時にどのくらい揺れがあるのかは、体験しないとわからない。また、断熱や換気の性能も同じく数値を示されたとしても一般にはわかりにくいだろう。
家の安全性や快適性の価値は、できるなら体感や実感で確かめたいものである。
そこで今回、見えない住宅性能を体験できるという「ICHIJO-Lab 幕張」に行ってきた。
住宅性能体験ができる「ICHIJO-Lab 幕張」
2025年10月にオープンした「ICHIJO-Lab 幕張」は家の間取りやインテリアのイメージを膨らますだけではなく、「見て、触れて、感じる」住宅性能を体験できる場として設計された施設。新習志野駅前の建物の2階にある約1,200坪(約4,112.5m2)の広々とした館内は複数のゾーンに分かれ、「耐震」「省エネ」「健康」といった住まいの基本性能を4Dシアターや模型展示を通じて五感でリアルに体感できる施設となっている。
ICHIJO-Lab 幕張をご案内いただいたのは、一条工務店の大島さんと岡添さん。
「ICHIJO-Lab 幕張は、ご予約なしでどなたでもお楽しみいただけるi-GARDENと完全予約制のi-Labの2つのエリアで構成されています。
i-GARDENエリアのひとつにパラソルビューイングと呼ばれる傘のようなオブジェの中に設置したモニターで家づくりに関する動画を視聴するコーナーがあります。動画のプログラムには『家づくりの流れ』『ライフタイムコスト』『温熱環境』の 3 種類が視聴でき、短時間で家づくりに必要な知識を楽しく学ぶことができます。
さらにi-GARDENエリアには近年多発する水害への備えとして開発された『耐水害住宅』の1/4スケールモデルがあります」という。
近年多い災害、水害に対応する「耐水害住宅」の体験コーナー
日本では近年、台風・線状降水帯による浸水被害が急増している。そのニーズに対応するため、一条工務店は耐水害住宅の研究を進め、実験・実証を行いながら仕様を開発した。
耐水害住宅とは、水害時でも家の内部への浸水をできる限り防ぎ、被害を最小限に抑えるための仕組みを備えた家だ。床下・床上浸水や設備の水没による損害を減らし“水が引いた後すぐに生活を再開できる家”として設計されている。
「外壁・基礎部分は止水性が強化されていて、サッシも水密性が高く水圧に強い構造となっています。また豪雨などで排水管が逆流し、トイレ・浴室から水が吹き上がる被害を防止するために逆流防止装置を採用。給湯器や電気設備の設置位置を高くして浸水被害を減らすなど、水没対策をパッケージ化しています」と、大島さん。
その性能を1/4スケールのモデルで実演で確かめることができる。
ガラスの大きな水槽の中に1/4スケールの家がある。ボタンを押すと大雨を想定した水が降りかかり、その中に水がどんどん溜まっていく。水は基礎部分を超え、一階の窓枠の上まで達していく。一定の高さに水が達すると、住宅が浮上し浸水を防ぐ様子が見れる。
もちろん住宅は水が引くと元に戻る仕組みになっている。その際にも住宅を傷めず、元に戻すための技術があるという。
耐水害住宅は、室内や壁の中の浸水をできるだけ防ぐことで、家が大きなダメージを受けることを防ぐ。水害の4つの危険、浸水・逆流・水没・浮力に対する革新的な技術をリアルな実演で確認することができる。
家の快適性とは?数値ではわかりづらい断熱性能を比較できる「断熱体感ルーム」
ICHIJO-Lab 幕張の完全予約制エリアが「i-Lab」だ。
i-Labには「断熱体感ルーム」「地震体験装置」「蓄電池シアター」「実大スケルトン模型」「さらぽか体験棟」「LDK collection」と住まいの体験や知識が学べるコーナーが設けられており、そのほかにも映像だけでなく五感で感じる体感型のプレミアムシアターや声や人の動きに反応して幻想的に形を変えるキネティックアートのあるラウンジがある。
その中でも注目したいのは、関東初展示となる「断熱体感ルーム」。数値だけではわかりづらい断熱性能を断熱等級の異なる4つの部屋に実際に入ることで体感ができる。
部屋の断熱等級は2・4・7に加えて一条工務店仕様の4つ。同じ間取りの4つの部屋で断熱等級や暖房方法が違うことで室温や快適性の違いを肌で実感することができる。断熱体感ルームの4つの部屋の外の温度は約2度。じっとしていると寒くて震えそうな気温に設定されている。
まずは断熱等級2の部屋。部屋の中に入ってエアコンがあっても寒く、特に足元がひんやりする。家の中でも暖かさを感じないという体感だ。窓側によるといっそう寒さを感じる。
次は断熱等級4の部屋。2013年に定められた省エネ基準に相当し、新築住宅で最低限クリアすべき性能とされている。等級2の部屋と比べると少しは寒くないように感じるが、暖かいとはいいがたい。部屋には扉で区切られた洗面所などを想定した空間が設置されているが、扉を開けて中に入ると気温差が感じられ、ヒートショックになりそうだとも感じる。
そして、断熱等級7の部屋。現状(2025年現在)では、日本最高等級とされており、樹脂サッシ+高性能トリプルガラスや厚い断熱材を組み合わせている断熱性能だ。さすがに家に入ると暖かく、足元も寒くない。等級2や4の部屋とは大きく違う快適性を感じる。
もうひとつが一条工務店仕様の断熱等級7の部屋。同じ断熱等級7なのだが、部屋の温度にさらにムラがないと感じる。床暖房と組み合わせることでより快適な体感が感じられた。一条工務店はこの自社独自の断熱性能を実現するために、サッシなども自社グループの工場でつくっている。
どの家を選ぶか、どこまでの断熱性能の家を選ぶのかを考える際には、こういった体験型の施設で実際に体感してみるとよいと思う。
家づくりで何を優先するのか?を考える
今回ICHIJO-Lab 幕張を訪ねて思うことは、家づくりを考える際は情報だけでなく体験も必要だということ。
暮らしのQOLを考える際に間取りや動線を考えることももちろん、毎日の住まいの環境を左右し、省エネにつながる断熱性や災害時に家族を守る耐震性や耐水害性をどこまで考えるのか、まずは知ることが大切だ。
予算に限りがあるのが普通であるから、家づくりにおいて自身で「何を優先するのか」を確かめるためにもこういった施設を利用して学び、考える機会をもつことは必要だと感じた。
■取材協力
ICHIJO-Lab 幕張(いちじょうらぼ まくはり)
JR京葉線「新習志野駅」より徒歩2分
〒275-0024
千葉県習志野市茜浜2丁目2-1 ミスターマックス新習志野店2階
営業時間:10:00〜18:00 休館日:年末年始 ※その他ミスターマックスの休日に準じる
公開日:















