防災情報は重要でありながら、複雑でわかりにくいのが現状

2024年6月18日、気象庁などが発表する気象に関する「防災情報防災気象情報)」について、見直し案が公表された。公表したのは、災害情報の専門家らによって組織される気象庁と国土交通省の「防災気象情報に関する検討会」である。

防災情報とは「大雨警報」や「土砂災害警戒情報」など、自然災害の危険レベルを知らせる情報のこと。誰もが一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。防災情報は災害から身を守るために、非常に重要な情報だ。

防災情報は災害から身を守るために非常に重要なものだが、現状の防災情報は複雑でわかりにくい面も防災情報は災害から身を守るために非常に重要なものだが、現状の防災情報は複雑でわかりにくい面も

しかしこれまでの災害情報について、防災や気象などの専門家から以下のような指摘があった。

● 種類が多く複雑
● 名前に統一性がなくわかりにくい
● 名前から災害の危険性をイメージしにくい

気象庁と国土交通省は、災害の危険度をわかりやすく伝えることは住民の命を守るために重要なことであるとし、防災情報の抜本的な見直しと、情報の体系的な整理を決定。防災情報の専門家らを交えて「防災気象情報に関する検討会」を組織し、2022年1月より議論を重ねてきた。そして2024年6月の防災情報見直し案の発表に至ったのである。

見直し案ではより体系的でわかりやすい名称に

実際に防災情報がどのように変わるのだろうか。

まず災害の種類については、現状は「洪水」「大雨による浸水」「土砂災害」「高潮」の4種に分けられている。見直し案では「氾濫」「大雨浸水」「土砂災害」「高潮」に変更された。「洪水」は「氾濫」に変更され、より具体的な災害のイメージが掴みやすくなっている。また「大雨による浸水」は「大雨浸水」に改められ、シンプルな表現になった。

防災情報の見直し案ではこの災害の種類を現す4種のキーワードに「警戒レベルに対応した5段階の数字」と「『警報』などの危険度を示す名称」を組み合わせて発表するとしている。

警戒レベルに対応した5段階の数字は高いほど危険度が増し、レベル5は最大レベルの危険度。5段階の数字と危険度を示す名称は、危険度の高い順に示すと以下のとおりだ。

● レベル5 / 特別警報
● レベル4 / 危険警報
● レベル3 / 警報
● レベル2 / 注意報
● レベル1

「危険警報」は今回の見直し案で新たに導入された名称である。またレベル1は災害への心構えを高めることを示す。

見直し案はシンプルで体系的なわかりやすい情報を目指した見直し案はシンプルで体系的なわかりやすい情報を目指した

見直し案での発表の仕方は、たとえば以下のようになる。

レベル5 氾濫特別警報 → 氾濫に関する、レベル5(最大レベル)の災害情報
レベル4 大雨浸水危険警報 → 大雨に関する、レベル4の災害情報
レベル3 土砂災害警報 → 土砂災害に関する、レベル3の災害情報
レベル2 高潮注意報 → 高潮に関する、レベル2の災害情報

また5段階の数字が国民に十分に浸透したと判断できれば、将来的に危険度を示す名称をなくして「氾濫レベル5」「土砂災害レベル3」のような、よりシンプルな防災情報にする案もあるという。

なお、これらの防災情報はあくまで「見直し案」。これらがそのまま新たな防災情報として使用されるかどうかはわからない点には注意してほしい。

命を守るために国民が意味を理解しやすい防災情報に

実は警戒レベルに対応した5段階の数字については、すでに2019年より導入されている。前年に発生した「平成30年7月豪雨災害」を教訓に、導入された。しかし各警戒レベルに対応する現在の防災情報が、名称の統一性がなく体系的になっていないため、わかりにくいという声がある。実際に国がアンケートをとったところ、情報の意味が十分には浸透していないという結果が出ている。

これは警戒レベルの導入以前から各種防災情報が存在していたため。しかも新たな防災情報の必要性が出たときに、新しい防災情報を「積み増し」してきたからである。

たとえば警戒レベル5に相当する現在の防災情報は「大雨特別警報」や「氾濫発生情報」など。またレベル4に相当するものでは「土砂災害警戒情報」「氾濫危険情報」「高潮特別警報」「高潮警報」などだ。名称に統一性がないうえ、高潮についてはレベル4に「高潮特別警報」と「高潮警報」があるなど、わかりにくい印象がある。

そこで防災情報は国民が命を守る行動をするためのもののため、国民が情報の意味を理解しやすくなるように、シンプルで体系的な情報へと抜本的に変更することになったのである。

現在の防災情報は複雑でわかりにくい印象現在の防災情報は複雑でわかりにくい印象

また先述のとおり「『警報』などの危険度を示す名称」に、新しく警戒レベル4に相当する「危険警報」が追加されている。これは現状では警戒レベルの数字が5段階であるのに対し、危険度を示す名称は「特別警報」「警報」「注意報」の3種類しかなく、レベル1を除く警戒レベルの数字と一致していない。

そこでレベル1を除く警戒レベルの数字と危険度を示す名称を一致させるために「危険警報」を新たに設定したのである。これによりレベル2〜5までの警戒レベルの数字と、4種類の危険度を示す名称が双方対応する形となり、それぞれの意味を補完している。

防災情報を受け取ったときに気をつけるべき点

災害の種類の把握、警戒レベルの数字や危険度を示す名称から状況を把握、そこから取るべき行動を知り、実際に行動する。もし見直し案の防災情報が導入された場合、私たちが防災情報を受け取ったときはどのような点に気をつけるべきなのだろうか。

先述のとおり、見直し案の防災情報は「警戒レベルの数字+災害の種類+危険度を示す名称」という3要素の組み合わせである。一つ目の注意点は、災害の種類の把握だ。見直し案の防災情報では「災害の種類」が明示されるので、どのような災害の危険が迫っているかを知ることが大事だ。

二つ目の注意点は、防災情報から現在の状況を把握すること。防災情報の警戒レベルの数字・危険度を示す名称から、災害の危険度がわかる。

そして三つ目の注意点は、防災情報から得られた災害の種類・現在の状況から、どのような行動を取るべきかを知り、実際に行動することである。警戒レベルの数字・危険度を示す名称では、それぞれの段階で「取るべき行動」が定められている。

● レベル5 / 特別警報 = 命の危険、ただちに安全確保!
● レベル4 / 危険警報= 危険な場所から全員避難
● レベル3 / 警報 = 危険な場所から高齢者等は避難
● レベル2 / 注意報 = 自らの避難行動を確認する
● レベル1 = 災害への心構えを高める

とくにレベル4以上は全員避難を要するので、重要かつ危険度が高い。レベル4以上の情報が出た場合は、すぐさま避難行動を始めよう。ただしレベル3の状況でも十分危険が迫っているため、早めの避難行動を心がけたい。レベル2でも今後危険度が高まる恐れがあるため、すぐ避難できるように準備をしたり、避難場所を確認したりする必要があるだろう。普段から避難の準備や避難場所の確認をしているのが理想だが、その場合でも再確認をし、災害に備えたい。

5段階の警戒レベルには、それぞれ住民が取るべき行動が示されている(上記の表では中ほどの「避難行動等」が「住民が取るべき行動」にあたる)5段階の警戒レベルには、それぞれ住民が取るべき行動が示されている(上記の表では中ほどの「避難行動等」が「住民が取るべき行動」にあたる)

2024年6月に公表された防災情報の見直し案。あくまで案の段階であるため、これがそのまま導入されるとは限らない。しかし災害に対して国民が命を守る行動を取りやすくするため、情報を現在よりわかりやすくしようと検討は続けられている。

私たちは災害が発生する恐れがあるとき、防災情報を受け取ると同時に正しく理解する必要がある。そして受け取った情報に応じた避難行動ができるように備えたい。


◆ 参考
防災気象情報に関する検討会|気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/shingikai/kentoukai/bousaikishoujouhou/bousaikishoujouhou_kentoukai.html
防災気象情報とその効果的な利用|気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/ame_chuui/ame_chuui_p8.html
防災気象情報と警戒レベルとの対応について|気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html
「警戒レベル4」で危険な場所から全員避難!5段階の「警戒レベル」を確認しましょう|政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201906/2.html

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