8月1日は「水の日」。日本の水事情と家庭に水が届くまで

8月1日は水の日(みずのひ)である。
水の日は、1977年に水資源の有限性、水の貴重さ及び水資源開発の重要性について国民の関心を高め、理解を深めるため、水の週間とあわせて定められたという。年間を通じて水の使用量が多く、水について関心が高まるということで、8月1日に設定され、その日からの1週間を「水の週間」とした。2014年からは「水循環基本法」において8月1日を「水の日」として公式に法定化している。

「水循環基本法」であるが、これは日本における健全な水循環の維持又は回復を目的としたもので、①水循環の重要性 ②水の公共性 ③健全な水循環の配慮 ④流域の総合的管理 ⑤水循環に関する国際的協調 の5つの理念が掲げられている。

日本では、雨や雪などの降水が水の源となっている。降水量の総量を体積で表すと、1年間で約6,600億⽴⽅メートルで、琵琶湖の水の約24倍もの量となるというが、そのうちの約2,300億立方メートルは蒸発してしまい活用ができないという。また残りの約4,300億⽴⽅メートルも山が多い日本の地形では、河川が短く集中して雨が降るため海に流れてしまう。活用できる水は、降水量の総量の約10%に過ぎない。

その水の一部が私たちの生活で使われる水道水となっているのだ。

健全な水循環の維持又は回復(※「水循環基本法 水循環基本計画」」内閣官房水循環政策本部事務局 資料より)健全な水循環の維持又は回復(※「水循環基本法 水循環基本計画」」内閣官房水循環政策本部事務局 資料より)

日本の水は、主に川から水を利用し、水道用水や農業用水などに分けている。
川の水には、人体に有害な物質やウイルス、大腸菌などの菌も含まれているため、浄水場などの施設通じて家庭に水が届けられる。その工程は以下、

(1)ダム:水をいつでも供給できるように、水を貯めておく施設。大雨のときには洪水を防ぎ、渇水のときにも水を使えるように水の量を調節
(2)取水場:川の水やダムの水(原水)を取り入れて、浄水場へ送る施設
(3)水路:取水した原水を別の川や浄水場などの必要な場所に運ぶ
(4)浄水場:取水した原水に浄水処理を行い、安心して飲める安全な水道水をつくる施設
(5)配水池:浄水場できれいになった水道水を貯めておく施設
(6)配水管:配水池から各家庭の蛇口につながる給水管へ水道水を運ぶ

ちなみに水道事業は、原則として市町村が経営することとされている。
水道は昭和40年代以降、高度経済成長期を中心に整備され、全国に普及した(平成28年度の水道の普及率は97.9%)。徐々に水道事業の数は減少しているが、現在も全国に6,000以上の水道事業が存在している。

健全な水循環の維持又は回復(※「水循環基本法 水循環基本計画」」内閣官房水循環政策本部事務局 資料より)水源から安全な水が、家庭に届くまで(※資料:政府広報オンラインより)

世界に誇る日本の水道水の安全性と飲料水事情

次に蛇口から出る水道水の品質はどうなのだろうか。
日本の水道水は安全であるといわれており、世界でも蛇口から出る水をそのまま飲める国は日本を入れてわずか12ヶ国しかない(※国土交通省『令和5年版 日本の水資源の現況について 第7章 水資源に関する国際的な取組み』より)。

日本の水道法で規定されている水質基準項目は51項目に及び、それは食品衛生法で規定するミネラルウォーターの検査項目47項目を上回る。水道水は、厳しい水質基準をクリアしているのだ。

日本の水道水は、前段でお伝えした原水となる川や雨水に混じっている菌やウイルスを消毒するため、消毒用の塩素が投入されている。水質の定期的な検査は水道事業者に義務付けられており、安全性は管理されている。ただし、塩素の影響でカルキ臭や調理の際のビタミンの分解などの多少の影響もある。また、塩素消毒では処理のできないカビ臭なども残ることがあるという。

水道の水をそのまま飲める国(水色:12ヶ国)、飲めるが注意が必要な国(黄色:29ヶ国)、飲めない国(ピンク)。日本は世界でも、水道水をそのまま飲めるわずかな国だ(出典:国土交通省『令和5年版 日本の水資源の現況について』 )水道の水をそのまま飲める国(水色:12ヶ国)、飲めるが注意が必要な国(黄色:29ヶ国)、飲めない国(ピンク)。日本は世界でも、水道水をそのまま飲めるわずかな国だ(出典:国土交通省『令和5年版 日本の水資源の現況について』 )

世界でも安全性を誇る日本の水道水ではあるが、日本人は健康や美食志向になるにしたがって、さらに飲み水にこだわるようになっている。

例えば、ミネラルウォーターの一人当たりの年間消費量は2005年には14.4リットルだったが、2023年には40.2リットルと約3倍に伸びている。これはイギリスの一人当たり32.6リットルを上回る(出典:日本ミネラルウォーター協会『ミネラルウォーターの1人当り消費量の推移』より)。ウォーターサーバーの普及率も2023年度で12.7%と年々伸びているようだ(日本宅配水&サーバー協会HPより)。
また、住居内に設置される家庭用浄水器の普及率も46.3%(※2023年9月現在 出典:浄水器協会)と広がっている。

マンションなどの集合住宅で各家庭に水が届くまで

集合住宅に住んでいる方も多いと思う。マンションの各家庭に水が届くまでは、どうなっているのだろうか。

マンションの給水方式には、大きく分けて「水道直結方式」と「受水槽方式」の2種類がある。
水道直結方式とは、水道局の水道本管と直接つながっている給水方式。受水槽方式は、水道本管から水を一度水槽に溜めてから給水する方式である(※参考記事「マンションの貯水槽の種類。汚染リスクや管理義務内容とは」)。

水道直結方式と受水槽方式の最大の違いは、受水槽の有無であるが、受水槽があることで、溜めているタンクの環境下で水質汚染のリスクが発生してしまうこともあるため、水道直結方式の方が比較的安全性が高いといえる。近年は自治体も水道直結方式を採用することを推奨し始めている。例えば、東京都では、従来、直結直圧方式は3階までとしていたが、一定の圧力が確保できる場合は4階以上の建物への採用も認めるようになっている。
直結直圧方式も受水槽方式もいずれもマンション内の各住居への水道管を通して水を供給していくが、その水道管も管理などが行き届かなかったり、老朽化したりすると、錆や菌が水に混じる心配も出てくる。

ミネラルウォーターやウォーターサーバーなどは、様々な種類の飲料水が出ており、コストも様々なので、個人の好みで選ぶとよい。ただ、せっかく日本の安全な水道水があるので、より美味しく飲むためには、各家庭の蛇口から水が出る直前の浄水器が活躍するといえる。

出典:宇部市水道局<br>https://ubesuido.jp/pages/42/
<br>受水槽や高置水槽の管理について出典:宇部市水道局
https://ubesuido.jp/pages/42/
受水槽や高置水槽の管理について

「水道水を使って、料理をより美味しくする」浄水器の実力とは

一般社団法人浄水器協会によると、初めて家庭用浄水器が販売されたのは1950年代。ただし、当時は井戸ポンプとの併用だったようだ。1965年初頭に浄水器の水道水利用が始まった。その後、幾度かのブームを経て、現在分譲マンションのほとんどの部屋には浄水器が設置されているようだ。

浄水器大手の株式会社タカギの開発部 新技術開発課白武さんにお話を聞いた。
「株式会社タカギは、散水用品(家庭用)をつくる金型事業から浄水器事業に参入しました。1990年代までは外付けの浄水器やビルトイン方式の浄水器がほとんどでしたが、浄水器を付けると先端が大きくなりキッチンの邪魔になったり、ビルトイン浄水器は業者にメンテナンスをしてもらわなくてはいけないことで面倒だというお客様の声から、それまでの金型事業のノウハウも活用し、1999年に蛇口一体型の浄水器を開発・発売したのです。カートリッジ式でお客様が取り替えることで、手軽に簡単にメンテナンスができます」という。

それでは、水道水の品質と浄水器を通した水はどういった違いがあるのだろうか。
「ペットボトルなどのミネラルウォーターが健康に良い、というイメージがあると思いますが、実は水道水にも人間の身体に大切なミネラルはしっかりと入っているんです。日本の水道水のミネラル成分の含有量は実は国内の市販のミネラルウォーターとほぼ変わらないという結果が出ています」

北九州市の小倉南区堀越にあるタカギの新本社工場北九州市の小倉南区堀越にあるタカギの新本社工場
北九州市の小倉南区堀越にあるタカギの新本社工場「日本各地の水道水」と「市販のミネラルウォーター」のミネラル成分(カルシウム・マグネシウム)の含有量
(※出典:株式会社タカギ 調べ)

「浄水器では、水道水に含まれているミネラル分はそのままに、残留塩素をしっかりとることでカルキ臭やカビ臭を取り除くことができます。浄水カートリッジはそれまでの粒状活性炭から繊維活性炭とし、内部の接水面積を増やすことでより不純物を除去することが可能になりました。
日本の水道水はとても安全ですが、浄水器で塩素を取り除くことができると、お茶やごはん、出汁などがひと味変わります。原水と浄水後の水で、それぞれの旨味成分の比較をすると、旨味がアップするという実際の実験結果もでています」という。

北九州市の小倉南区堀越にあるタカギの新本社工場水道の原水と浄水器の水の旨味成分の比較実験結果(出典:株式会社タカギ 調べ)

浄水器のカートリッジ別の除去成分比較

浄水器を賢く利用するためには、カートリッジの取り換えに気を付けたいという。

「一般的なご家庭では、使用量に応じて2~4ヶ月を目安に取り替えていただければ品質を保つことができます。近年、非正規品のカートリッジが海外から入ってきたりしていますが、ものによってはほとんど浄水機能がないなどというものもあります。品質をしっかり調べて、できればやはり安全な正規品を使っていただくことをおすすめします。
弊社では3つのタイプの浄水カートリッジをご用意していますが、塩素除去・カビ臭除去の標準仕様にプラスして微量でも含まれている発がん性を指摘される物質やにごりも取り除くことができるカートリッジもあります。健康に気遣う人は、より物質除去の多いタイプを選ぶお客様もいらっしゃいます」と、開発部 カートリッジ開発課の湯淺さん。

浄水カートリッジ別の浄水能力(資料:株式会社 タカギ)浄水カートリッジ別の浄水能力(資料:株式会社 タカギ)

「飲み水」と「暮らし」を豊かにするこれからの浄水器

浄水器の大手メーカー株式会社タカギのみなさん浄水器の大手メーカー株式会社タカギのみなさん

キッチンで水を使うことは毎日の事。タカギでは浄水器のデザインや使いやすさにもこだわっているという。

開発部 水栓商品開発二課の有吉さんは、
「蛇口は汚れやすいところでもあります。掃除もしやすく、カートリッジが交換しやすいこともそうですが、お客様がストレスを感じず、ちょっとした快適さを感じられるようなデザインにもこだわった商品をつくりたいと思っています。また、現在は、弊社の浄水器は分譲マンションのシェアがほとんどですが、今後は賃貸物件に住む方々にも浄水器を通して暮らしに豊かさを感じてもらいたいと思っています」という。

お客様サービス本部 ダイレクト営業推進室の福石さんは、
「子どものころシンガポールに住んでいたことがあります。緑も多く美しい国ですが、そんな国でも“水道の水は飲むな”と言われていました。そのまま飲めない水がある国もたくさんある中、日本は安全できれいな水が蛇口から出てくる国。その水を浄水器を使ってより美味しくし、暮らしを豊かにしていきたい」と話してくれた。

安全な水道水を家庭の使用直前の蛇口から、より高品質な水として届けることができる浄水器。
「人々の暮らしの在り方もそうですが、水を飲みたい・使いたいのシーンも変化を続けると思います。口に入る水だからこそ、これからも浄水器を通じて、より安全な水道水を家庭に届けていきたい」と、株式会社タカギの社員のみなさん。

新築分譲マンションでは、すでに70%以上の普及率の浄水器。今後は賃貸住宅でも、標準の設備として浄水器が装備されることで、より水道水を美味しく安全に飲める暮らしが拡がるかもしれない。

浄水器の大手メーカー株式会社タカギのみなさん浄水器はボタン式、タッチ式など機能もデザインも様々なものが出ている(株式会社タカギ)

■取材協力
株式会社タカギ https://www.takagi.co.jp/

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