マンション買取再販のリーディングカンパニー。株式会社大京穴吹不動産
株式会社大京6,000棟目の物件「ザ・ライオンズ上野の森」(2008年2月竣工)。2021年12月末現在、大京は事業主別累計供給戸数において1位の実績を誇る。※全国の事業主別累計供給戸数ランキングで大京は1位(各社事業開始から2021年までの累計戸数)/株式会社不動産経済研究所調べのデータを基に算出三大都市圏から地方圏まで、広域で営業店舗を展開する株式会社大京穴吹不動産。直営営業拠点の所在都道府県数32は、不動産流通業界で最多(※1)だという。ライオンズマンションやサーパスマンションといった新築マンションの供給でマンション業界を牽引してきた株式会社大京のグループ会社(※2)で、既存住宅の売買仲介・賃貸管理など多岐にわたるサービスを提供する総合不動産事業者だ。
2012年にはリノベーションブランド「Renoα(リノアルファ)」を立ち上げ、10年で1万2,245戸(※3)のリノベーション済み物件を供給。近年、中古マンションをリフォームやリノベーションして販売する買取再販物件や事業者は増加しているが(※4)、同社はそのリーディングカンパニーといえる。
この度、株式会社大京穴吹不動産 事業推進部 部長の杉原直樹氏、同次長の幡野勝己氏にインタビューする機会を得た。同社はフロントランナーとして現状をどう捉え、今後どのような挑戦をしていくのだろうか。インタビュアーは、日本最大級の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」を運営する、株式会社LIFULL 取締役 LIFULL HOME'S事業本部長の伊東祐司氏が務めた。
※1:2023年1月現在、大京穴吹不動産調べ。同数に他1社
※2:大京およびその子会社
※3:2013年3月期から2022年3月期。1棟トータルリノベーション事業「グランディーノ」シリーズの販売戸数を含む
※4:不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」における買取再販物件は、2019年9月から2022年9月の3年間で、掲載物件数が約2.2倍、掲載会社数が約2.4倍となっている
売買も賃貸も、あらゆる選択肢があることでユーザーに寄り添う対応を
杉原 直樹:1998年 大京住宅流通(現大京穴吹不動産)に入社。入社以来仲介営業に従事し、2008年 大森店店長就任後、複数エリアの店長業務を経験。2019年 首都圏第一営業部部長。2021年から事業推進部部長伊東氏:大京およびその子会社といえば、ライオンズマンションやサーパスマンションのイメージをもつ読者も多いと思います。貴社はその中で、どのような歴史を持ち、どのような役割を担っているのでしょうか。
杉原氏:大京はこれまで、約46万戸の新築マンションを分譲してきましたが、マンションはつくって終わり、売って終わりではありません。清掃や日々の管理業務、年数が経つと大規模修繕工事といった形で物件と継続的にかかわることが必要です。オーナーさまについても、購入後に売却や賃貸に出す、リフォームするなどといったニーズがあり、そのサポートを行うことは大京およびその子会社としての責任だと考えています。当社は、そのうちの売買仲介を担うことを目的として1988年に設立されました。2015年の株式会社穴吹不動産センターの吸収合併を経て、店舗網は全国に広がります。サービス面では、2005年に株式会社大京レンタルを合併し賃貸事業を、2020年には株式会社大京リフォーム・デザインを統合しリフォーム事業を開始し、既存マンションのオーナー様にとって必要なサービスを総合的に提供できるようになりました。
幡野 勝己:2001年 大京住宅流通(現大京穴吹不動産)に入社。以来、10年間仲介営業に従事し、2011年から上野店、新宿店、川崎店、池袋店でマネージャー業務を経験。2020年にグループ会社の管理部門へ出向。2022年4月から事業推進部次長
伊東氏:多岐にわたるサービスを展開される貴社ですが、特に競合他社と比較しての強みはどこにあるのでしょうか。
幡野氏:マンションデベロッパーをルーツに持つ当社は、マンションのことならどこにも負けないと思っています。一例を挙げると、近年供給されたマンションには住宅性能評価書が付きますが、当社の営業スタッフであれば、内容をしっかり理解し、売主さまや買主さまにきちんとご説明することができるなど、仲介にとどまらない知識をもっています 。また、前述したようにマンションオーナーのあらゆるニーズに応える体制を整えていることは強みだと自負しています。同じ物件でも、仲介で売却した場合、買取再販で売却した場合、賃貸に出した場合や、リフォームして住み続ける場合など、さまざまなシミュレーションができます。
伊東氏:貴社に頼むことで、多くの選択肢を検討できるということですね。不動産市況が刻々と変わりゆくなかで、売ったほうがいいのか、貸したほうがいいのかなど、分からないことも多いですから、さまざまなパターンを比較検討できるのはエンドユーザーにとってうれしいことではないでしょうか。
「客観的で幅広い情報提供を」と始めたオンラインセミナー
杉原氏:不動産市況という話もありましたが、不動産の売買は、多くの人にとって一生のうちに何回も経験するものではありませんから、売り時や買い時というのは分からなくて当然です。しかし、そういった方々が納得して決断するための情報を提供するのも、当社の役割だと考えています。前述したシミュレーションを通して、売却だけでない多様な選択肢を示すこともひとつですし、ほかにはオンラインの市況セミナーも定期的に開催して、不動産の専門家などの私たちとは違う第三者の立場からお客さまに情報提供を行っています。ここでは、客観的な情報であることが重要だと考えておりますので、セミナーの登壇者には当社にとっての都合に関係なく語っていただいております。例えば、買い時・売り時ではないなど、私たちの事業にとってはビジネスにつながらない話もあるかもしれませんが、当社からお話しいただく内容を指定することはありません。
近年は動画メディアなどが普及し、消費者の方々もさまざまな情報に触れられています。しかし、その中には大雑把なものもあると感じています。私たちのセミナーでは、最新の不動産のデータを持っている外部の有識者の方々をお呼びし、データに基づいて結論を導き出していただいていますので、その点は参加された皆さまから高く評価いただいているものと考えます。
伊東 祐司:大学卒業後、2006年株式会社ネクスト(現LIFULL)に入社。2015年に最年少の32歳で執行役員就任。2019年、LIFULL HOME'S事業本部長に、2020年12月に取締役に就任した。事業責任者として不動産業界が抱える社会問題の解決に向けて積極的に取組んでいる伊東氏:オンラインセミナーはいつ頃から始められたのでしょうか。
幡野氏:オンラインでの実施は、新型コロナ感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言が発出された、2020年5月からです。それまでも対面でのセミナーは開催していましたが、オンラインでの開催には運営事務局も慣れておらず、苦労しました。当初は20名程度のご参加でしたが、内容も試行錯誤を重ね、不動産市況について第三者である専門家にお話しいただく形式にしてからは参加者がグンと増えて、今では毎回数百名の方に参加いただけるようになりました。
最初は、自分たちが売りたいサービスや知ってほしいサービスにつながるテーマを設定していたんですね。しかし、本当にユーザーにとって有益な情報なのかを考えたときに、こちらからの一方的なサービスの発信ではなく、お客さまが聞きたいテーマから考えることが必要なのだ、ということに気がつき、そういったセミナー設計をするようになってから、多くの方にご参加いただけるようになりました。オンラインの特性上どこからでもアクセスできるので、全国各地から、遠くは米・ロサンゼルスからの参加もありました。
先日も著名なWebブロガーの方に登壇いただいたのですが、具体的な新築マンションの名前を挙げた批評など、とても私たちの立場ではできないようなお話もあり、参加者から好評を得ました。運営側の私たちとしては少しドキドキすることもありますが、それでも当社の立場を慮って発言されてはお客さまのメリットにはならないと考えており、さまざまな立場からの情報を忖度なく伝えるというスタンスは今後も続けていきたいです。
杉原氏:セミナーに参加されたお客さまの不動産売買を当社が担当させていただくケースも増えていますし、当社の社員もセミナーを見ることで勉強になっていると思います。私自身も営業出身で、かつてはセミナーと営業は関係がないと思っていたこともありましたが、今は、お客さまが決断する際に必要な情報を提供するために、営業も(セミナーを開催する)本社も一体となって企画運営することが大事だと考えています。
社内でも「真のユーザーファースト」の姿勢が浸透
伊東氏:杉原さまは営業ご出身とのことですが、どのようなことを心掛けて営業活動をされていましたか。また現在、社員の皆さまにどのようなご指導をされているのでしょうか。
杉原氏:営業なので「数字がほしい」と思うこともありましたが、そうではなく、お客さまの期待に応えるためにどう向き合えばいいのか、という意識を大切にしていました。結果的に、そのほうが成果にもつながるものです。当社では「真のユーザーファースト」を目標に掲げており、組織での営業やDXの推進によって業務効率の向上を図り、少しでもお客さまと向き合う時間を増やせるように取組んでいます。そして、多彩な選択肢や、第三者の立場からの情報を通して、真のユーザーファーストを実現したいと考えています。当社は営業インセンティブが色濃くなく、営業成績だけで昇進することはありません。そういったところも影響してか、お客さまのために親身になれる社員が多いように思います。社内でも「それってユーザーファーストじゃないよね?」という会話が自然と交わされています。
買取再販市場を牽引する「Renoα(リノアルファ)」
伊東氏:特に最近力を入れていることや、これから挑戦したいことを教えてください。
幡野氏:多岐にわたるサービスのうち、特に中古マンションを買い取ってリノベーションし販売する買取再販事業では業界ナンバーワン(※5)の実績となっており、今後も注力していきます。ライバルも多いですが、私たちは品質で差別化を図っています。2012年に立ち上げたリノベーション済みマンションのブランド「Renoα(リノアルファ)」は、お客さまの中古住宅に対する不安を取り除き、さらにプラスαの価値をお届けするという想いを込めており、仕入れ、プランニング、施工、アフターサービスという4つの面で独自の品質基準を設け、それらをすべてクリアしたものだけを「Renoα 品質」としてお客さまにお届けしています。特に、プランニングを行うのは、当社のライオンズマンションなどの新築マンションで設計経験を積んできた者です。そういった意味では、「Renoα(リノアルファ)」にはライオンズマンションの品質基準が生かされているといえます。
中古物件を購入して自分で手を加えるのと比べて、リノベーション済み物件は既に内装が刷新されているので、購入前に実際の生活をイメージしやすいです。また、2年間の品質保証(※6)も付与されるので、購入後も安心して住んでいただけると思います。
※5:リフォーム産業新聞の調査データ(買取再販年間販売戸数ランキング2016~2022)を基に大京穴吹不動産が算出
※6:品質保証には専有部分内重要部分の統一基準の13項目(情報系配線・ガス配管・電気配線・住宅用火災警報器等)や専有部内装およびその他設備(フローリング、給湯器等)が該当
ストック利活用は住宅業界の使命
伊東氏:最後に、少し視野を広げて業界のこれからについてお考えをお聞かせください。
杉原氏:マンションをはじめとする住宅は、オーナーさまにとっても、街にとっても国にとっても重要な資産と考えます。新築住宅だけではなく、既存住宅をいかに活用していくかという点は、当社だけでなく、これからの業界全体の役割です。当社としては、既存住宅が有効に使われる手助けが少しでもできるよう、セミナーや事業を通してユーザーファーストの情報発信を継続していきたいと思っています。
伊東氏:近年は住宅を買い替えることが徐々に当たり前のものとなり、さらに新築マンションの価格上昇や、新築着工戸数の減少を背景に、中古住宅という選択肢も普通のものとなりつつあるように思います。貴社の「Renoα(リノアルファ)」を始めとした多彩なサービスによって、不動産のさまざまな活用や、既存ストックの有効活用が進んでいくことを期待しています。本日はありがとうございました。
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