コロナ禍で一時的に緩和されてきた路上利用

ビジネス街の路上に置かれた椅子とテーブルビジネス街の路上に置かれた椅子とテーブル

新型コロナウイルス感染症の蔓延で、多大な影響を受けた飲食店などを支援するため、国土交通省は沿道飲食店等の路上利用の占用許可基準を緩和する特例措置を実施してきた。いわゆるコロナ占用特例は、具体的には、公道上でテイクアウトやテラス営業のための道路占用許可基準が緩和される措置となっていた。

コロナ占用特例は新型コロナウイルスの感染拡大防止に対する応急措置として2020年6月5日に開始されたものであるが、もともとは同時期にほこみち制度ができる予定であったことから、今後はほこみち制度へ移行されることになる。


コロナ占用特例は2023年3月31日をもって終了する予定だ。ただし、2023年9月30日までの6ヶ月間の経過措置あり。コロナ占用特例は、全国の約170の自治体で適用事例が生まれ、占用許可件数は全国で約420件にのぼる。

ビジネス街の路上に置かれた椅子とテーブル出典:国土交通省 道路占用に関するコロナ特例について

ほこみちとは

ほこみち制度は、2020年5月27日に公布された「道路法等の一部を改正する法律」により、2020年11月25日より施行された。ほこみち(歩行者利便増進道路制度)は、公道で営業や看板の設置等が可能になる規制緩和のことを指し、賑わいのある街づくりを行うための道路の指定制度のことである。「歩行者利便増進道路」の愛称とされており、海外都市にみられる路上のオープンカフェ等ができる歩道が想定されている。

従来の道路占用制度では、公道にオープンカフェ等を設置することは難しいとされていた。
2020年11月25日より「道路法等の一部を改正する法律」が施行されたことで一定の要件を満たせば日本でも公道でオープンカフェ等の利用ができるようになっている。

そもそも道路とは、車道だけでなく歩道も含めた部分のことを指す。公道であれば歩道部分も公有地であるため、店舗が勝手にテーブルを並べて商売に利用することはできないのが原則である。従来、オープンカフェ等を行うには民有地内で行うしかなかったが、ほこみち制度を利用すれば公有地である歩道でも営業ができるようになる。

出典:国土交通省 ほこみちリーフレット出典:国土交通省 ほこみちリーフレット

ほこみちを活用することの効果

海外のオープンカフェのような風景が実現すればまちの魅力のひとつになるかもしれない海外のオープンカフェのような風景が実現すればまちの魅力のひとつになるかもしれない

ほこみちは、ほこみちに面した物件に出店している飲食店に大きなメリットがある。飲食店の売上は座席数が大きな影響を与えるが、歩道にも座席数を増やせるほこみちは店舗側に収益機会を追加する効果がある。

また、ほこみちは歩行者にとってもメリットがある。オープンカフェやマーケットが立ち並ぶ海外のような道路になれば、歩いていて楽しい街となるからだ。

さらに、ほこみちは土地建物の所有者にとってもメリットがある。ほこみち沿いの物件は、前面道路の賑わいが増し、かつ、歩道にも実質的に店舗面積を増やせる有利な物件となることから、将来的に入居希望者が増え家賃も上がることが期待される。店舗の家賃が上がれば、そこから導き出される不動産の価格は高くなり、資産価値も上がることになる。

歩行者利便増進道路制度(ほこみち)への移行

ほこみちは、すべての道路で認められる制度ではなく道路管理者が「利便増進誘導区域」に指定した地域内の道路が対象となる。利便増進誘導区域とは、歩行者利便増進施設等の適正かつ計画的な設置を誘導するための区域のことである。

利便増進誘導区域に指定されるには、「地域活性化に資すること」や「十分な有効幅員を確保できること」「沿道住民等の理解が得られていること」等の要件を満たす必要がある。全国で指定されている事例を見ると、街の中心部にある歩道が十分に広い道が多い。

一方で、コロナ占用特例は、「新型コロナウイルス感染症対策のための暫定的な営業であること」等の一定の要件を満たせば全国の道路でできる措置であった。2021年7月7日時点では、コロナ占用特例による占用許可件数は全国で約420件あったとされている。コロナ占用特例を利用している事業者が引き続き公道で営業するには、前面道路がほこみちに指定されることが要件となる。2022年9月までにほこみちに移行した道路は約50件とされており、2022年9月時点では相当数の路上営業は継続できないものと見込まれる。

なお、コロナ占用特例では公道を占用するにあたり占用料は不要であったが、ほこみちに指定されれば占用料が発生するという違いがある。占用料は、政令で定められている道路占用料の10%(90%は補助)となっている。

出典:国土交通省 経過措置の具体的内容出典:国土交通省 経過措置の具体的内容

ほこみちにおける規制緩和の内容

ほこみちに指定された道路では、公道で従来できなかったオープンカフェの営業や看板の設置等ができるようになる。もともと、道路の多様な活用を困難にしていた理由は、道路法によって「無余地性の基準」と「既存の占用許可の優先」、「5年の占用期間」の3つの規制があったためとされている。利便増進誘導区域では、これらの3つの規制が緩和される形となっている。

無余地性の基準とは、道路区域外にその占用物を置く余地がなく、やむを得ない場合のみ占用を許可するという基準のことである。従来はオープンカフェのような施設は無余地性の基準を満たさないことから、道路の占用許可は与えられなかった。しかしながら、歩行者利便増進道路では無余地性の基準にとらわれず占用許可が認められるため、オープンカフェのようなこともできるようになる。

また、道路法では既存の占用許可が優先されることから、既に他の占用許可が下りている場合にはその許可を取り消すことは困難とされていた。これに対して、歩行者利便増進道路では占用希望者が競合しても公募によって複数の占用申請を比較し、新たな占用許可を与えることができるようになっている。

さらに、占用期間も5年しか認められない点もハードルとなっていた。短期間の占用しか認められなければ、事業者が例えば飲食スペースにテラスを付ける等の投資がしにくくなる。歩行者利便増進道路では占用期間が最長20年となっており、設備投資がしやすくなった点も特徴だ。ほこみちに指定された道路には、以下のような占用物件を設置することができるとされている。

【ほこみちに占用できるもの】

・広告塔又は看板(良好な景観の形成又は風致の維持に寄与するもの)
・標識、旗ざお、幕およびアーチ
・ベンチ、街灯その他これらに類する工作物
・食事施設、購買施設その他これらに類する施設
・自転車駐車器具で自転車を賃貸する事業の用に供するもの
・集会等の催しのために設けられる露店、商品置場その他これらに類する施設

イタリアのオープンカフェイタリアのオープンカフェ

ほこみちの活用事例

ほこみちは、2021年2月12日に全国で初めて「大阪市の御堂筋」と「神戸市の三宮中央通り」、「姫路市の大手前通り」の3つが指定されている。このうち、神戸市の三宮中央通りの事例について紹介する。

三宮中央通りはコロナ占用特例が導入されていた地域であったが、三宮中央通りまちづくり協議会の若手メンバーが中心となってほこみちへの移行が実現している。コロナ占用特例を利用していた段階でオープンカフェ等の試みがなされていたことから、スムーズにほこみちへ移行できたものと思われる。

三宮中央通りがほこみちに指定された要因として、もともとの歩道が広かった点が挙げられる。もともとの歩道の幅員が6mもあり、4mが通行区域で2mが特例区域となっている。
また、従来から三宮中央通りまちづくり協議会という地元組織が存在し、街づくりに関心の高い組織があったこともほこみちの指定を獲得できた要因といえる。

三宮中央通りでは、「沿道の飲食店による常設のオープンカフェ」と「パークレット」が設置されている。パークレットとは、道路の一部を転用して作られた歩行者のための空間を指す。アメリカのサンフランシスコが発祥とされ、三宮中央通りのパークレットは日本初の取組みとなっている。三宮中央通りのパークレットは「KOBEパークレット」と名付けられており、4箇所に設置されている。基本的にはベンチが設置されており、飲食や休憩、読書等ができるスペースが提供されている。

日常的には飲食やグループでのおしゃべり、待ち合わせ、子どもの遊び場等として利用されており、また定期的にコーヒー等の無料試飲イベントにも利用されている。投資額が比較的少なく、管理の手間もほとんどかからない仕組みで、賑わいと憩いが創出された空間が実現した好事例となっている。

出典:国土交通省<br>ほこみちプロジェクト本格始動! ~全国初の歩行者利便増進道路(ほこみち)が指定されました~出典:国土交通省
ほこみちプロジェクト本格始動! ~全国初の歩行者利便増進道路(ほこみち)が指定されました~

公開日:

ホームズ君

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