直近3ヶ月は変動金利が横ばい、固定金利は軒並み上昇
このところ固定金利を中心に住宅ローン金利への上昇圧力が強まっている。急速に進んだ円安には一服感が出ているものの、物価上昇の勢いが止まらないためだ。加えて昨年終盤に日銀がサプライズ的な金融緩和の修正を行ったことから、長期金利が急上昇したことも大きく影響した。住宅ローン金利の上昇傾向は2023年も続くのか、1月時点の動向と今後の見通しをまとめた。
変動金利
直近3ヶ月の主要銀行の変動金利の動きを見ると、イオン銀行と楽天銀行を除いて横ばいでの推移となっている。イオン銀行が1月に0.14% の大幅な引き下げを行ったが、これは新たなキャンペーンで金利優遇幅を拡大したことによるもので、優遇前の店頭表示金利は12月と変わっていない。
10年固定金利
10年固定金利は上昇傾向が鮮明だ。昨年11月に多くの銀行が金利を引き上げた後、12月にはいったん引き下げに転じる動きも見られたが、1月にはSBI新生銀行を除いてほぼすべての銀行が金利を引き上げた。イオン銀行や住信SBIネット銀行のように0.4%以上の大幅な引き上げを実施した銀行もある。
35年固定金利
さらに35年固定金利も上昇基調となっている。11月に各行が金利を引き上げた後、12月には引き下げた銀行もあったが、1月は再び多くの銀行が引き上げに転じている。各行が取り扱うフラット35の最低金利も3ヶ月連続の上昇となった。ソニー銀行は2ヶ月連続で引き下げているが、引き下げ幅はわずかで、10月の金利(2.101%)と比べると高い水準となっている。
日銀による金融緩和策の修正で長期金利が急上昇
変動金利の基準となる短期金利については、日銀がマイナス金利政策を維持しているため、引き続きマイナス圏が続いている。1月のイオン銀行のように独自のキャンペーンで金利を引き下げるケースはあるかもしれないが、基本的には今後も横ばいでの動きが続きそうだ。
一方、上昇基調となっているのが10年固定金利と35年固定金利だ。いずれも2022年にロシアによるウクライナ侵攻に伴う物流の混乱や原油価格の高騰などを背景に欧米で物価上昇が進み、3月には米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げが始まったことが金利上昇のきっかけとなった。その後は夏から秋にかけて金利上昇がいったん収まったものの、12月20日に日銀が突如として金融緩和の縮小を発表したことで長期金利が急上昇し、連動して固定期間が長めの住宅ローン金利も上昇に転じた形だ。
日銀による政策修正は、長期金利の変動許容幅をそれまでの「プラスマイナス0.25%」から「プラスマイナス0.5%」に拡大するというものだ。これにより0.25%前後に張り付いていた長期金利が上昇し、年末にかけて0.5%前後まで切り上がった。1月の住宅ローン金利は10年固定が多くの銀行で1%を超える水準となり、35年固定は1%台後半から2%台前半が主流となっている。
日銀が金融緩和を再度修正すれば金利のさらなる上昇も!?
米国ではFRBが4回連続で0.75%の利上げを実施するなど、金融引き締めを推し進めたことで長期金利が上昇し、2022年10月には4.2%を超える水準となった。その後は急激な金利上昇による景気後退懸念が広がり、金利が低下に転じ、現在は3.5%前後で推移している。FRBは12月の利上げ幅を0.5%に縮小したが、物価上昇率は依然として高い水準にあることから、早期に金融緩和へ転じるかどうかは予断を許さない状況だ。
これに対し日本の長期金利は1月に入り、日銀が新たに設けた上限である0.5%を超える場面も見られた。だが、直近の金融政策決定会合で現状維持を決定したことを受けてやや低下し、その後は0.4%前後のレンジで推移している。日銀は今のところ0.5%で10年国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を実施しているため、長期金利がこれ以上大きく上昇する動きにはなっていない。
日銀が長期金利の変動許容幅を再度拡大すれば、金利がさらに上昇する可能性はある。だが、米国ではすでに利上げ幅が縮小段階に入っており、景気後退への懸念から株価が停滞し、為替も円高ドル安が進んでいる。2023年4月には日銀総裁の交代が予定されているが、すぐに現在の金融緩和を終了し、引き締めに転じる可能性は低そうだ。長期金利や住宅ローン金利が今後上昇したとしても上昇幅は限られるだろう。
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