原野商法の二次被害とは
ここ数年、原野商法の二次被害が増加している。原野商法の二次被害とは、一言でいうと「バブル景気の時代に原野を購入した高齢者をだます詐欺トラブル」である。政府広報オンラインによると、国民生活センターに寄せられた原野商法の二次被害のトラブル件数は、2010年度までは年間500件以下、2013年度以降は年間1,000件前後、2017年度以降は年間1,500件超となっている。
原野商法の二次被害額も増加しており、2009年度は平均で149万円であったものが2018年度には平均で484万円まで増えている。
被害者年齢構成も91%が60歳以上の人となっており、消費者庁も原野商法の二次被害は高齢者が巻き込まれる詐欺的なトラブルの一例として挙げている。もともとの原野商法とは、バブル景気時代に行われた山林や原野を高値で買わせるビジネスだ。
当時は「将来高値で売れる」という言葉に信ぴょう性があったため、投資目的で購入した人も多かったと思われる。
その後バブル経済が崩壊し、所有していた原野の価格も大きく値崩れしたことで手放せなくなり、そのまま持ち続けた人たちが今になって別の被害にあっている。一説には、バブル時代に原野を購入した人のリストが出回っているのではないかという憶測もささやかれているくらいだ。
バブル景気時代に購入した原野を持っている人はターゲットとされる可能性があり、まずは「原野商法の二次被害」が増えているということを認識してほしい。
原野商法の二次被害の手口と事例
原野商法の二次被害は、いくつかのパターンが見られる。ここでは、原野商法の二次被害の典型的な3つの事例を紹介する。
(1)売却勧誘-下取り型
一つ目は、知らない間に新たな原野に買い替えさせられるという「売却勧誘-下取り型」の手口である。
手口としては、最初は単に原野を買い取るという不動産会社からの申し出があり、契約してみたら別の土地も購入させられる買い替えの契約になっていたという被害だ。具体的には1,200万円で保有している原野を売り、1,600万円で新たな原野を購入させられ、差額の400万円を支払うといったケースである。
そんな被害があり得るのかとも思うが、相手方は「購入した土地は転売先が見つかっているので、そこに売ったらすぐにお金は戻ってくる」等のだまし文句を言うらしい。
買い替えた方が節税になる等の話も出し、言葉巧みに高齢者を誘導して買い替えの契約書を締結させるという手口だ。
お金を支払った後は不動産会社と連絡が取れなくなることが多く、結局はお金を支払って再び売れない原野を買わされてしまうことになる。原野商法の二次被害の中では、買い替え型は被害額が大きくなりやすいため、最も注意したいところである。買い替え型の入り口は「山林や原野を買い取ります」という誘い文句であるため、このような勧誘を受けた場合には、原野商法の二次被害を疑うべきだろう。
(2)売却勧誘-サービス提供型
二つ目として、原野を購入したい人がいると説明され、整地費用等を請求される「売却勧誘-サービス提供型」がある。先に測量や整地の費用を請求され、原野の売却は行われないまま不動産会社と連絡が取れなくなってしまう被害である。測量や整地の費用を先に請求されることも、通常の売買では考えにくい。そもそも山林や原野のようは一般的に価格の低い土地は、測量費の負担が過大になることから測量を行わずに登記簿に記載された面積に基づいて売買されることが多い。
登記簿面積に基づく売買のことを「公簿売買」と呼ぶ。山林や原野は公簿売買が多いため、測量をしないと売れないというのは怪しい話といえる。
それに対して、測量を行って実測面積に基づいて行う売買のことを広義の意味で「実測売買」と呼ぶ。
公簿売買とするか実測売買とするかは、あくまでも売買の条件の一つであるため、買主と協議して決めることになる。仮に実測が必要となったとしても、まずは買主から価格と購入条件が記載された買付証明書をもらうべきである。一般的な宅地の売買であれば、測量は売買契約書を締結してから引渡しまでの間に行うことも多い。
測量や整地は、行うとしても買主に会う前に不動産会社に言われたままに行う必要はなく、売買の話が具体化してから行うべきものである。よって、「購入したい人がいる」という話だけで測量や整地を要求された場合は、「売却勧誘-サービス提供型」の詐欺を疑った方がいい。
(3)管理費請求型
三つ目は、管理費請求型というものもある。突然、覚えのない管理会社から「20年分の管理費を支払え」と請求されるケースだ。管理費請求型は、別荘地にある山林や原野が狙われやすいようである。
請求の根拠が不明であることがほとんどであり、よくわからない請求に対しては毅然として対応することが必要となる。
対策1.家族や公的機関に相談をする
原野商法の二次被害は、売れない土地を持っている人の弱みに付け込んでくる詐欺被害である。
売れない土地を持っていることはお金に関連する高齢者の不安や悩みの一つであり、高齢者が被害にあいやすい。また比較的、高齢者は自宅にいる時間が長いこともあり、電話勧誘や訪問販売にあいやすいことも被害を受けてしまいやすい特徴といえるだろう。
山林や原野で「うまい話」が持ち掛けられたときは、原野商法の二次被害の可能性を考え、まずは子どもなど、家族に相談することをおすすめする。
身近に適切な相談相手がいない場合には、消費生活センター等の公的な相談先も活用するのもいいだろう。
【公的な相談先】
全国の消費生活センター
https://www.kokusen.go.jp/map/index.html
対策2.他の不動産会社に査定を依頼する
山林や原野を手放したいのであれば、他の不動産会社に査定を依頼し、まずはいくらで売れそうなのかを把握しておくことも一つである。
できれば、客観性を持たせるために山林や原野がある地元の不動産会社から2~3社を選んで各社に査定を依頼するのが適切といえる。場合によっては、複数の地元の不動産が「ゼロ円でも手放すのは難しい」というかもしれない。地元の不動産会社が売れないと判断したのであれば、原野の買取の話はかなり怪しいということがわかる。
そもそも買取は不動産会社が転売を目的として購入するものであることから、転売できないような不動産を買うことは合理的ではないからである。一方で、地元の不動産会社が一定額で売れると判断するのであれば、地元の不動産会社に依頼して売るのがよい。
この場合も、後で不動産会社と連絡が取れなくなるようなことが起きないように、しっかりと現地で不動産会社の店舗を確認し、類似物件の売却実績等を見せてもらったうえで検討することをおすすめする。
対策3.相続土地国庫帰属制度を利用する
最終手段としては、相続土地国庫帰属制度を利用するという方法もある。相続土地国庫帰属制度とは、2023年4月27日から開始が予定されている国が土地を引き取ってくれる制度である。
相続土地国庫帰属制度を利用するには、「土地の境界が確定している」、「崖がない」等の一定の要件を満たす必要がある。また、10年分の土地管理費相当額を国に支払うことも必要だ。粗放的な管理で足りる原野の場合、10年分の土地管理費相当額は20万円程度とされている。
土地は一定の要件を満たし、かつ、10年分の土地管理費相当額が必要となり、費用がかかるが、相手が国であるため、詐欺にあうということはない。高齢者の中には原野を相続で子どもに残したくないため、子どもに相談できずに原野商法の二次被害にあってしまう人も多いようである。相続土地国庫帰属制度ができたことで、売れない土地で八方ふさがりになってしまうことはなくなった。
地元の不動産が売れないと判断するような原野であれば、最終手段として新しく始まる相続土地国庫帰属制度を活用してみるのも一つの方法だろう。相続土地国庫帰属制度については、過去に解説しているので条件や費用などの詳細については下記記事を参照してほしい。
相続土地国庫帰属制度とは? いつから始まる? 制度や要件を解説
https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_01352/
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