小牧駅前の整備計画が進む

小牧市のシンボル、小牧山。頂上にあるのは城を模した小牧市歴史館で、名古屋市在住の実業家が建設寄贈した。ここから東へ(写真では左側)約2kmのところに小牧駅がある(写真提供:小牧市)小牧市のシンボル、小牧山。頂上にあるのは城を模した小牧市歴史館で、名古屋市在住の実業家が建設寄贈した。ここから東へ(写真では左側)約2kmのところに小牧駅がある(写真提供:小牧市)

愛知県北西部に位置する小牧市。市のほぼ中央には、戦国時代に織田信長が城を築いた小牧山があり、信長の没後に羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)陣営と信長の次男である信雄・徳川家康陣営の間で行われた“小牧・長久手の戦い”の舞台ともなった歴史あるまちだ。

この小牧市の玄関口となる名古屋鉄道・小牧駅の周辺整備が進められている。

多くの人々が乗降する小牧駅の周辺は中心市街地でもあり、活性化は長年の課題だった。2008(平成20)年に「小牧駅周辺整備計画」を策定し、検討を進めてきた。だが、2006(平成18)年に廃線となった、小牧駅に乗り入れていた新交通システム・桃花台新交通桃花台線(以下、旧桃花台線)の活用などの検討をしていた愛知県が2015(平成27)年に全線撤去の方針を示したことをはじめ、2017(平成29)年には駅西側の市有地に小牧市中央図書館の建設と、再開発ビル「ラピオ」の再構築としてこまきこども未来館を整備する方針が決定するなど、大きな変化があった。

そこで、あらためて整備に関する考えをまとめ、2018(平成30)年に「小牧駅前広場等整備基本構想」を策定した。「小牧市都市計画マスタープラン」と、全国の自治体が進める人口減少社会に適応したコンパクトシティを実現する「小牧市立地適正化計画」とも連携したものとなる。

小牧市のシンボル、小牧山。頂上にあるのは城を模した小牧市歴史館で、名古屋市在住の実業家が建設寄贈した。ここから東へ(写真では左側)約2kmのところに小牧駅がある(写真提供:小牧市)小牧市中央図書館のテラスから小牧駅(駅西側)を望んだ様子

市民アンケートにも表れた課題

2014(平成26)年度に実施した市民アンケートでニーズの高かったのが下記4項目。
①車(送迎等)での駅前広場の利用のしやすさ
②小牧駅周辺の街並みの景観
③お年寄り、子ども、身体の不自由な人の通行のしやすさ
④小牧駅周辺の治安

そういった市民の声とともに、歩行者、自転車、自動車それぞれの交通量調査、駅前にある市営駐車場の利用台数、駅周辺で行われるイベント開催などの状況調査などを行い、構想案をまとめた。

小牧駅西側にあったペデストリアンデッキや駅東側の公園は、ともに1990(平成2)年にできたもので、排水設備やタイルなどが老朽化。それらは危険を伴うとともに、景観の悪さにもつながる。また、交通の玄関口として、電車とタクシーの乗り換えの利便性といった交通結節点の強化や、旧桃花台線の小牧駅舎跡地の利活用などが課題に挙がった。

「小牧駅前広場等整備基本構想」より、小牧駅周辺施設で課題として考えられたこと「小牧駅前広場等整備基本構想」より、小牧駅周辺施設で課題として考えられたこと
「小牧駅前広場等整備基本構想」より、小牧駅周辺施設で課題として考えられたこと「小牧駅前広場等整備基本構想」より、整備イメージ図(※小牧市中央図書館など一部はすでに完成済み)

5つの基本方針に沿って進む整備の現状

「小牧駅前広場等整備基本構想」で決められた5つの基本方針に沿って進められる整備。現在の状況を紹介していこう(前項目の整備イメージ図もご参照を)。

①公共交通の利便性向上のため交通結節点機能を強化

駅西側にタクシー乗降場、駅東側にバス乗降場と分かれているため、これを旧桃花台線の線路の撤去によって空間ができた東側に集約する工事が進行中。また、西側ではタクシー乗降場の移転に伴う一般車乗降場のスペース拡充を予定している。

②「緑豊かでやすらぎのある空間」の創出

駅東公園の空間整備に向け、現在は撤去工事が進行中。芝生広場などの整備が行われる予定だ。

駅東側のタクシー乗降場とバス乗降場の集約予定地。写真左側に現在のバス乗降場がある。中央奥あたりに見えるのが、撤去され始めた旧桃花台線の線路駅東側のタクシー乗降場とバス乗降場の集約予定地。写真左側に現在のバス乗降場がある。中央奥あたりに見えるのが、撤去され始めた旧桃花台線の線路
駅東側のタクシー乗降場とバス乗降場の集約予定地。写真左側に現在のバス乗降場がある。中央奥あたりに見えるのが、撤去され始めた旧桃花台線の線路現在の駅東公園(通称:メロディーパーク)の様子
駅西駅前広場。取材時は芝生の養生中だった駅西駅前広場。取材時は芝生の養生中だった

③駅前の好立地を生かした「新たなにぎわい空間」の創出

駅西駅前広場に芝生の整備が2022年3月に完了した。ただ、もともとは、2018(平成30)年に飲食店など民間活力導入に向けたサウンディング調査を実施したが、事業参入には至らなかった。そのため、憩いの場として芝生広場に計画を変更したが、イベント利用もできるようにしている。

駅西駅前広場の西側の道路(小牧駅西線)は、タクシー乗降場と駅西駅前広場のある区画分の電線類地中化を実施。駅西駅前広場からこの道路を挟んで西側にある2021年3月に完成した小牧市中央図書館の区画(A街区)と一体感が出るように、視覚的な空間整備を行った。

そして、図書館の北側の歩道は、「にぎわい広場」の機能も持つ。ここではイベントやマルシェ、キッチンカーの出店などが行われている。この歩道は、図書館と調和するデザインにされた。

駅東側のタクシー乗降場とバス乗降場の集約予定地。写真左側に現在のバス乗降場がある。中央奥あたりに見えるのが、撤去され始めた旧桃花台線の線路右側が小牧市中央図書館。写真では図書館左側の通路が「にぎわい広場」と名付けられ、イベントなどの開催に利用されている。小牧駅へはペデストリアンデッキの撤去によって、写真右方面にある横断歩道を渡ることになるが、空間デザインの視覚的な効果で動線を生み出すように配慮

歩行の流れを生む一体化した景観と安全性

基本方針の残り2つは下記のとおりだ。

④駅周辺施設をつなぐ「快適な歩行者空間」の整備

小牧市中央図書館と同時期にこまきこども未来館が誕生した。南北に走る道路を挟んで駅のあるところと区画は異なるが、動線を意識している。駅東側にあった老朽化したペデストリアンデッキは撤去し、バリアフリーを考慮した歩道を整備。駅西駅前広場のイベント時には、この歩道にキッチンカーの出店も想定した舗装が行われている。

また、タクシー乗降場と駅西駅前広場の地下空間は市営の小牧駅地下駐車場があるのだが、障がい者用スペースとエレベーターを設置して駅などへの動線を整備した。

小牧駅西口から小牧市中央図書館方面を見た様子。ここにかつてペデストリアンデッキがあった。左側にある茶色い四角の建物が小牧駅地下駐車場に新設されたエレベーター小牧駅西口から小牧市中央図書館方面を見た様子。ここにかつてペデストリアンデッキがあった。左側にある茶色い四角の建物が小牧駅地下駐車場に新設されたエレベーター

⑤安全・安心な駅前環境の整備

⑤は、現在はまだ構想段階とのことだが、災害時の帰宅困難者の一時避難場所確保もできるスペースを駅東側に確保したり、夜間でも安心して駅周辺施設を利用できるように照明などの適切な設置を考えているそうだ。

まちの活性化の実現へ

景観をよくするため、電線類が地中化された一角。左側が小牧駅、西側が小牧市中央図書館景観をよくするため、電線類が地中化された一角。左側が小牧駅、西側が小牧市中央図書館

駅東側については、愛知県が行っている旧桃花台線のインフラ撤去の進捗状況にも左右されるが、小牧市役所都市整備課によると「令和6年度から駅東駅前広場や駅東公園の整備工事に着手していく予定です」とのこと。

計画された整備が順調に進められている駅西側については、さらなる取組みで活性化を目指している。図書館北側の「にぎわい広場」と同様に、駅西駅前広場をイベントやキッチンカー、マルシェ出店に利用できるようにする予定だという。

最後に今後の展望を聞いた。
「本市では、将来にわたって魅力と活力の続く中心市街地を目指すために、令和4年3月に『小牧市中心市街地グランドデザイン』を策定しました。本計画の施策に基づく取組みを『中心市街地グランドデザインアクションプラン』として示し、住民や商店、関係団体等の意見を聞きながら、計画の進捗管理と事業の改善を行ってまいります」

2022年6月5日には、「中心市街地まちづくりプラットフォーム」という、LINEのオープンチャットを活用したオンライン上のつながる場を開設。市民、商店などと連携して取組んでいく体制をつくった。

環境の整備から、活性化の実現に向けた取組みへと進み始めた小牧市。その取組みが実を結び、より住みよいまちへと変わりゆくことを期待したい。

取材協力:小牧市役所 都市整備課
参照:小牧駅前広場等整備基本構想 
http://www.city.komaki.aichi.jp/admin/soshiki/toshiseisakubu/toshiseibi/4/4/1/20968.html

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