一時的なものではなく専用のスペースが必要に?

日々の暮らしや働き方、住まいや住まい方も変化せざるを得ないコロナ禍。在宅ワークも一般化してきており、最近では、ハウスメーカーのモデルプランや分譲住宅、マンションなどにも、在宅ワークに対応した間取り提案がみられるようになってきている。一時的ではなく在宅ワークが日常となれば、仕事をするスペースとして、専用の空間づくりが必要になってくるだろう。

実際に、在宅ワークを行っている方はどのように考えているのだろうか。LIXIL住宅研究所が行った調査をみていく。

こだわりの書斎。まるで海の中にいるかのような深いブルーに包まれた空間 [GLホーム] こだわりの書斎。まるで海の中にいるかのような深いブルーに包まれた空間 [GLホーム]

仕事場は45.2%がリビング。35.6%は自分専用スペースあり

調査は、現在、週1日以上在宅ワークを行なっている男女の会社員が対象。まず、在宅勤務時のワーキングスペースはどこか、という質問に対しては、半数近くの45.2%が「リビングスペース」と回答。「書斎などの自分専用のワーキングスペース」と答えているのは35.6%となっている。「ダイニング(25.3%)」や「寝室(24.2%)」という回答もあり、専用のスペースがない場合は、家族の在宅や仕事内容などに合わせて複数ヶ所で作業している可能性もあるだろう。

それらのワーキングスペースは仕事をする環境として整っているかどうかは、「十分に整っている」が16.1%、「整っているほうだと思う」47.7%。合わせて63.8%がそれなりに環境は整っていると答えている。

しかし、課題や気になることとして、「オンライン会議などの時に家族などに遠慮してしまう(声が入ってしまう)」が28.3%、「書類などを収納する場所が少ない(無い)」が27.7%、「ワーキング用のデスクや椅子を置くスペースが無い(机が小さい)」が27.3%という回答が上位に。「ワークスペースが狭い」「モニターやプリンターなどOA機器を置く場所が狭い(無い)」「仕事に集中できるスペースでは無い」などという声も聞かれ、現在の自宅内でのスペースの確保の難しさが読み取れる。

(上)<表1> 在宅勤務時のあなたのワーキングスペースをいくつでもお選びください(MA) N=660
(下)<表2 > 現在のご自宅のワーキングスペースについて、課題や気になることをいくつでもお選びください(MA) N=660
(上)<表1> 在宅勤務時のあなたのワーキングスペースをいくつでもお選びください(MA) N=660 (下)<表2 > 現在のご自宅のワーキングスペースについて、課題や気になることをいくつでもお選びください(MA) N=660

欲しいのは集中できるスペース

長引くコロナ禍、在宅ワークが推奨され始めた頃に比べれば、ある程度環境は整ってきているのかもしれないが、自宅のワーキングスペースとして必要(改善したい)ことはという質問に対しては、34.9%が「仕事に集中できるスペース」と答えている。

「環境音が少ない静かなスペース(28.6%)」「テレビ会議などの時に家族などに遠慮しないで良いスペース(27.3%)」「独立した個室のワーキングスペース(27.1%)」などの声もあり、日常の暮らしの場とは隔離された、仕事に没頭できる空間づくりが求められていることが分かる。

もちろん「ワーキング用のデスクや椅子を置くスペース(27.6%)」や「モニターやプリンターなどOA機器を置くスペース(26.2%)」など、必要なアイテムの使い勝手がいいことも必須条件だろう。

<表3> ご自宅のワーキングスペースとして必要(改善したい)な項目をいくつでもお選びください(MA) N=539 ※「特に課題や気になることはない」を回答した121 名以外に質問<表3> ご自宅のワーキングスペースとして必要(改善したい)な項目をいくつでもお選びください(MA) N=539 ※「特に課題や気になることはない」を回答した121 名以外に質問

現在の自宅では余裕がないのが現実

自宅に専用のスペースを確保できれば、より集中できるような空間へ改善する余地はあるかもしれないが、スペースが無い方の思いはどのようなものだろうか。

「自分専用のスペースが欲しい」と考えている方は77.6%。その内訳は、「絶対に欲しい」と考えている方が14.1%、「できれば欲しい」という方が63.5%となっている。

多くの方が希望している専用のスペースだが、持っていない(作ることができない)理由として多いのは、「現在の自宅では、空間的にワーキングスペースを作る余裕がない(53.6%)というもの。次いで「リフォーム資金など金銭的な面で難しい(32.1%)」「ワーキングスペースのために、自宅のリフォームなどは面倒(31.2%)」と続いている。スペースはもとより資金などの現実的な難しさなどから、積極的なリフォームへと実行できないのは致し方ないのかもしれない。

扉を閉めると仕事に集中可能な専用のワーキングスペース [フィアスホーム]扉を閉めると仕事に集中可能な専用のワーキングスペース [フィアスホーム]

このまま在宅勤務が続くのであれば、郊外への引越しも検討?

在宅ワークとなり、都市部への通勤が必要ではない方の中には、地方への移住もみられるようになっている。

自宅でワーキングスペースを確保できない現状の中、このまま在宅勤務が続くとしたら、郊外への引越しも検討したいと思うかという質問には、「すでに郊外への引っ越しを実施した」という方が3.8%、「現在、郊外への引っ越しを検討している」9.1%、「できれば検討したいと思っている」21.3%。家族構成、子供の有無・年齢などはもちろん、住まいに対する価値観など、さまざまな条件が関係してくるため難しい面もあるが、在宅勤務を機に郊外への引越しについて前向きな方が三人に一人程度いることが分かる。

一方、「引越しを検討するつもりがない」と答えた方にその理由を聞いてみると、「現在の住まいから引っ越したくないため(37.3%)」「現在住んでいる土地から移りたくないため(30.5%)」といった声や「都市部での生活から離れたくないから(25.8%)」「郊外に移住すると不便なことが多いため(25.4%)」といった声も聞かれる。

前向きな方の場合、郊外へ引越しする(引っ越しした)際に、在宅勤務に関連して考慮する(考慮した)こととして、「専用のワーキングスペースの確保」を47.9%が挙げ、また、「業務時間外に気分転換が可能な自然が豊かなところ」と答えた方も46.2%。住まい探し、家づくりや間取りプランも都市部での住まいづくりとは異なってくることが分かる。

(上)<表4> このまま在宅勤務が続くとしたら、この際、郊外への引越しも検討したいと思いますか?(SA)※以前から郊外に住んでいる166 名を除く、494 名に質問
(下)<表5> 郊外へ引っ越しする(引っ越しした)際に、在宅勤務に関連して考慮する(考慮した)こと(MA) N=169 ※「すでに郊外への引っ越しを実施した」「現在、郊外への引っ越しを検討している」「できれば検討したいと思っている」を回答した169 名に質問
(上)<表4> このまま在宅勤務が続くとしたら、この際、郊外への引越しも検討したいと思いますか?(SA)※以前から郊外に住んでいる166 名を除く、494 名に質問 (下)<表5> 郊外へ引っ越しする(引っ越しした)際に、在宅勤務に関連して考慮する(考慮した)こと(MA) N=169 ※「すでに郊外への引っ越しを実施した」「現在、郊外への引っ越しを検討している」「できれば検討したいと思っている」を回答した169 名に質問

在宅ワークの普及は、暮らし方だけでなく、住まいそのもののプランニングにも影響がみられる。自分専用のスペースを多くの方が希望する中、共働きであればそれぞれの空間が必要になるだろうし、集中できるような空間づくり、オンラインでも気にならない音対策も重要だ。

また、気分転換ができるような自然に囲まれた環境にある住まいが理想だが、難しければ庭やベランダを上手に取り込んだプランも考えられる。もちろん家族との時間が長くなることで、くつろぎの場のつくり方にも変化がみられるかもしれない。新築やリフォームを検討しているのであれば、どのような在宅ワークを行っているのかだけでなく、家族との時間の過ごし方など、将来的な変化も含めイメージし検討することが大切だろう。

【調査概要】 
対象:現在週1日以上在宅勤務を行なっている男女の会社員
調査地域:関東近郊(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県)
有効回答:660
調査時期: 2021年8月12日から8月19日

協力  株式会社LIXIL住宅研究所

公開日: