マンションの管理形態の種類
マンションの管理は区分所有者の集まりである管理組合が行うことになるが、実際には管理組合から管理会社に業務を委託することで管理が行われている。マンションの管理形態は、管理会社へ委託する業務の範囲により「全部委託管理」と「一部委託管理」、「自主管理」の3つに分類される。
全部委託管理
全部委託管理とは、マンションの管理をすべて管理会社に委託する管理形式のことである。新築の分譲マンションは、全部委託管理となっていることが一般的である。管理会社は分譲主であるマンションデベロッパーの関連会社となっていることが多く、新築マンションは管理のサービスもセットで分譲されているとの見方もできる。
国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果(以下、マンション総合調査と略)」によれば、全部委託管理を採用しているマンションは全体の74.1%となっている。
https://www.mlit.go.jp/common/001287645.pdf
一部委託管理
一部委託管理とは、マンションの管理業務のうち、一部だけを外部の会社に委託する管理形態のことを指す。一部委託管理は、一部の中古マンションに見られる管理形態となっている。管理組合の決定により、途中で全部委託管理から一部委託管理に切り替えられたケースが多い。
マンション総合調査によれば、一部委託管理を採用しているマンションは全体の13.3%となっている。
自主管理
自主管理とは、マンションの管理をすべて自分たちで行う管理方式のことである。自主管理は古い公団や公社のマンションに多いとされる。
マンション総合調査によれば、自主管理を採用しているマンションは全体の6.8%となっており、最も少ない (全部委託管理と一部委託管理、自主管理の合計割合が100%にならないのは、不明等の回答もあるため) 。
マンションの管理形態は、全部委託管理が全体の約4分の3を占めており、一部委託管理や自主管理は比較的少数の物件ということになる。
全部委託管理のメリットとデメリット
全部委託管理のメリットは、「管理組合の負担が軽くなる」「緊急時に迅速な対応が可能となる」「最先端のサービスの提案を受けることができる」等が挙げられる。全部委託管理は、管理業務を全面的に管理会社に依頼できるため、管理組合の手間を省くことができる。
設備の故障や敷地内の事故等が発生した場合、全部委託管理なら管理会社が迅速に対応してくれることが通常だ。また、管理組合は管理会社にとってはお客様であるため、管理会社が新しい管理サービスを提案してくれることもよくある。そのため、管理組合が自ら調べなくても最先端のサービスを受けやすくなっている。
一方で、全部委託管理のデメリットには、「管理費が割高になる」や「管理組合の管理に対する意識が希薄になってくる」等が挙げられる。管理会社はマンションの管理をすべて自分たちで行うことはできず、管理会社からさらに専門の会社に業務を振り分けていることが一般的だ。下請け構造になっているため、管理組合へは管理会社の手数料が上乗せされた金額が請求されている。そのため、全部管理は管理費用が割高となってしまうことが通常となっている。
また、全部委託管理を採用していると、管理組合の管理に対する意識が希薄になっていく傾向がある。自分たちで物件の価値を上げていくという意識が薄らぎ、築年数が古くなると売却しにくくなる物件が生じることもあるかもしれない。
一部委託管理のメリットとデメリット
一部委託管理のメリットは、「管理費を削減できる」「自分たちで考えた最適の管理が選択できる」「管理組合の管理に対する意識が高まる」等が挙げられる。一部委託管理では、管理業務の一部を管理会社が専門の会社に直接依頼することができる。例えば清掃業務であれば複数の専門会社から相見積もりを取得し、最も安い金額の会社を選ぶといったことも可能だ。直接発注のため、管理会社が上乗せしていた手数料も省くことができるため、管理費の削減ができる。
一部委託管理は、管理費の削減を目的に全部委託管理から切り替えることで生まれることがよくある。管理組合に熱心な理事がいると一部委託管理の切り替えにより管理費削減に成功することが多いといえる。また、一部委託管理であれば、自分たちで考えて無駄を省き、最適な管理を行うこともできる。
例えば、住み込みの管理人や受付のコンシェルジュは要らないと判断すれば、省くことも可能だ。無駄を省くだけでなく、例えば空いている駐車場を時間貸しにして収益を生むようなこともできる。言われるままに管理会社から管理費を請求されるのではなく、自分たちでコストをコントロールできることも一部委託管理の特徴だ。
さらに、管理に対する意識が高まることで、自分たちで物件を良くしていく活動も生まれやすくなる。
例えば、古いマンションの中には、住民たちの話し合いによって大規模改修で中庭にコミュニティースペースを作ったような物件もある。自分たちで物件を良くするという意識が生まれれば、物件価値を向上させるような取組みもできるのだ。
一方で、一部委託管理のデメリットには、「管理組合の労力が増える」や「理事の個人的な能力への依存度が高まる」「理事と専門の会社との間に癒着が生まれることもある」等が挙げられる。
一部委託管理は管理をすべて依頼できないことから、管理組合の業務量が増える。理事の仕事量が増えるため、理事を積極的にやろうとする人が減り、業務の引き継ぎも難しくなる。また、理事の個人的な能力に依存する部分も生じ、他の人へ交代できないようなことも生じやすい。
例えば、工事に関しては管理者に専門的な能力が求められるため、ゼネコン出身の人が長らく理事を務めざるを得ないケース等もある。さらに、専門の会社に直接発注をするようになると、理事と専門の会社との間で癒着が生まれるようなことも考えられる。
もし万が一癒着が発生するようなことが起これば、管理費の削減効果は薄れてしまう。一部委託管理では、一部の理事が長期間役職を担いがちになるが、不正が発生しないような仕組みを確立することも重要となる。
自主管理のメリットとデメリット
自主管理のメリットとデメリットは、基本的には一部委託管理のメリットとデメリットと同じである。ただし、難易度は一部委託管理よりも高いため、一部委託管理で見られるデメリットが一層強くなる傾向がある。
管理組合の労力は一部委託管理よりも増え、管理の難易度が高まることから理事の個人的な能力への依存度は一層高まってしまう。自主管理のマンションは、管理が不行き届きになりやすい傾向があるため、購入は慎重に検討したほうがいいだろう。
購入時の注意点
購入時の注意点としては、以下の点をチェックすることが挙げられる。
【購入時のチェックポイント】
・管理形態の種類
・共用部の施設
・管理計画の認定の有無
1つ目は管理形態の種類である。管理形態は全部委託管理の形式が多いが、一部の中古マンションには一部委託管理の物件も存在する。一部委託管理の場合には、売主に管理に関して満足しているかを確認しておきたい。
場合によっては「理事になると大変」といった情報も聞き出せるかもしれないので、理事の経験を聞いてみるのもいいだろう。
2つ目は共用部の施設である。昨今の新築マンションは共用部が充実しており、管理費は古いマンションよりも築浅のマンションの方が高い傾向にある。例えば、最近のマンションは共用部にコインランドリーやコワーキングスペース、カフェラウンジ等が設置されている物件も存在する。共用部に特殊な施設が増えるほど、管理の難易度は上がり、管理費も高くなる傾向にある。
3つ目は管理計画の認定の有無である。管理計画認定制度は2022年4月からスタートする新しい制度になる。管理組合が適切な管理計画を自治体に提出すれば、自治体が適切な管理が行われているマンションとして認定してくれる仕組みだ。
管理計画が認定されているマンションであれば、管理が適切に行われているという一つの判断材料となる。
管理計画認定制度の普及にはまだまだ時間がかかると思われるが、中古マンションを購入するなら、念のため認定の存否は確認することをおすすめする。





