競売とは

競売とは、裁判所が債権者(お金を貸している人)のために行う入札形式による不動産の売却のことである。住宅ローンやアパートローンを使って不動産を購入する場合、通常、その物件に抵当権が設定される。

抵当権とは、債権者がその担保物件から優先的に弁済を受けることができる権利のことである。債務者(お金を借りている人)の借入金返済が滞ると、債権者がローン残債の回収を図ることになる。具体的には裁判所に競売の申し立てを行い、そのまま実行されて売却されるのが競売物件ということだ。

競売物件は検討期間が非常に短い。短い検討期間で判断をするのは非常に難しいだろう競売物件は検討期間が非常に短い。短い検討期間で判断をするのは非常に難しいだろう

競売物件の特徴

競売の最大の特徴としては、物件の検討期間が短いという点である。物件が公告されてから2週間後に入札が開始され、入札期間も1週間となっている。短い期間において少ない情報の中から物件の良否を検討し、入札手続きまで行わなければいけないことから、一般の個人の方には容易に手を出しにくいというのが実態だ。また、競売物件は安く購入できるイメージがあるが、必ずしも安く購入できるとは限らない。

競売は、売却基準価額が市場価格よりも安く設定されているだけであり、実際の落札価格は売却基準価額よりもかなり高くなっており、結果的に安く買えていないケースも多い。

売却基準価額とは、裁判所が入札前に公表する基準となる価格のことであり、売却基準価額の8割以上の価格(買受可能価額という)が入札の最低額となっている。売却基準価額は、市場価格の7割程度で設定されていることが一般的だ。

現在、裁判所はBIT(不動産競売物件情報サイト)と呼ばれるサイトで過去の物件の「売却価額(落札額)」と「売却基準価額」の結果も公表している。物件によっては、「売却価額」が「売却基準価額」の2倍以上になっている物件もあり、必ずしも安く購入できるとは限らない状況となっている。

競売物件の調査の仕方

裁判所が提供する「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」の3つの資料を読み込むことが必要となる裁判所が提供する「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」の3つの資料を読み込むことが必要となる

競売物件は、裁判所が公表する資料を読み込んで物件調査を行うことが基本となっている。裁判所は、「物件明細書」と「現況調査報告書」「評価書」の3つを公表しており、これらの資料は俗に「3点セット」と呼ばれている。

物件明細書

1つ目の物件明細書とは、物件に対する裁判所の認識を示した書類となる。書類としては薄いが、買受人が負担することとなる他人の権利や、占有状況に課する事項等が記載されており、重要な書類といえる。買受人(落札者のこと)が負担することとなる権利とは、買い取った後に、例えば賃借権などの引き継がなければいけない権利があるかどうかが記載されている。また、占有状況に課する事項には、占有者の有無や明け渡しまで猶予されている期間等が記載されている。

現況調査報告書

2つ目の現況調査報告書とは、裁判所の執行官が立ち入り調査を行った際の記録が記載されている。競売物件は基本的に入札前に内部を見ることはできないため、現況調査報告書の内容も重要なものとなる。現況調査報告書には内部の写真も掲載されているため、十分に確認しておきたい。

評価書

3つ目の評価書とは、裁判所から委託された評価人(不動産鑑定士)による評価額が記載された書類となっている。評価額はそのまま売却基準価額となり、売却基準価額の8割が買受可能価額、2割が買受申出保証額となる。買受可能価額とは入札の最低金額のことであり、買受申出保証額とは入札時に納める保証金のことである。そのほか、評価書には駅からの距離や公法上の規制等の物件に関する内容が記載されている。

3点セットはBITでダウンロードすることが可能となっているが、ダウンロードできる3点セットでは個人情報に関わる部分がマスキングされている。マスキングの部分を確認するには裁判所に出向き、閲覧することが必要だ。

競売物件の購入方法

振り込み完了後、入札終了日までに「入札書」「入札保証金振込証明書」「その他添付書類」の提出が必要となる振り込み完了後、入札終了日までに「入札書」「入札保証金振込証明書」「その他添付書類」の提出が必要となる

競売は、物件の検討期間が短いため、まずはBITで今後の売却スケジュールを確認することが第一歩となる。BITでは、裁判所ごとに年間売却スケジュールが公開されている。スケジュールでポイントとなるのは競売される物件の公告日(閲覧開始日)となる。

公告日に3点セットが公開され、その2週間後には入札が開始されることが一般的となっている。入札期間は入札開始から約1週間で終了する。

3点セットは2週間以内に読み込んで購入の可否を判断しなければいけないことになる。入札手続きでは、最初に保証金の振り込みを行うことがポイントだ。保証金の額はBITにも公開されている買受申出保証額(売却基準価額の2割)となる。振り込みの控えは入札書類の一つである入札保証金振り込み証明書に貼り付けることが必要となっている。

振り込みが完了したら、入札終了日までに「入札書」や「入札保証金振込証明書」「その他添付書類」の提出を行う。その他添付書類とは、個人なら住民票、法人なら資格証明書または登記事項証明書となる。

入札書には入札価格を記載する必要があるが、入札価格は買受可能価額(売却基準価額の8割)以上の金額であることが条件となっている。入札が終わると、その1週間後に開札が行われる。開札は裁判所の売却場で実施され、最高入札額が発表されて最高価買受申出人が決定される。落札できなかった場合、振り込んだ保証金は返還されることとなる。

開札後、特に執行抗告(所有者等からの反論のこと)が発生しなければ1週間後に売却許可が下りる。代金の納付は、売却許可決定が下りてから約1ヶ月後が一般的となっている。代金を納付すると所有権を取得することになり、引渡命令が下って不動産の引渡を受ける。所有権移転登記に関しては、代金納付後から10日程度で完了するのが目安となっている。

注意点1:取り下げられる物件も多い

競売は、売却代金が納付される前までなら債権者が取り下げることができる。債権者が取り下げるのは、債権者が競売ではなく任意売却に切り替えて物件を売却することがあるためだ。

途中で取り下げられてしまえば、3点セットで検討した時間や入札手続きに要した労力などは無駄に終わってしまう。競売は最後まで購入できるかどうかわからないということは知っておく必要がある。

注意点2:買受後に消滅しない権利もある

競売では、抵当権等の他人の権利は買受後に消滅するのが原則である。ただし、例外的に買受後に消滅しない権利も一部に存在する。例えば、抵当権が設定された以前に存在する賃借権は、競売後に消滅しない (抵当権設定後に発生した賃借権は競売後に消滅する) 。

つまり、賃借権が発生したタイミングによっては、買受後に借主が残ってしまうケースもあるということだ。買受後に消滅しない権利については、物件明細書の「買受人が負担することとなる他人の権利」に記載されているため、十分に確認しておきたい。

注意点3:明け渡しに費用がかかるケースがある

競売は、明け渡しに費用がかかるケースがある。明け渡しとは、占有者や家財がない状態で物件を渡すことであり、所有権の引き渡しとは異なる。
占有者がいる状態で物件が引き渡された場合、買受人は占有者と協議して明け渡してもらうことが一般的だ。しかしながら、占有者との協議が整わない場合は、強制執行を申し立ててる必要がある。

家財道具が残っている場合は、家財道具の運び出しや保管を行うこととなる。強制執行にかかる費用は、法律上は強制執行を受ける相手方が負担することになるが、相手方は資力がないことが多いため、現実的には買受人が負担するケースが多くなっている。

注意点4:法定地上権が発生する物件もある

競売物件では、法定地上権が発生する物件もある。法定地上権とは、競売で土地と建物が別々の所有者となった場合に、建物所有者に法律上認められる地上権のことである。法定地上権がある物件では、買受後に登記や地代の決定等の手続きを要するが、これらは買受人が地主と協議して進めていくことになる。地主との協議には専門的な法律知識を有するため、弁護士などの力を借りなければいけないことも多い。

法定地上権に関しても、物件明細書の「売却により成立する法定地上権の概要」に記載があるため、購入前に発生の有無を十分に確認しておきたい。

不動産競売は注意点やリスクを把握したうえでよく検討したい不動産競売は注意点やリスクを把握したうえでよく検討したい

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