「こどもみらい住宅支援事業」の目的

「新しい資本主義」の実現のために

岸田政権が「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとして掲げる「新しい資本主義」。その実現のため、2021年11月26日に閣議決定された令和3年度補正予算案に「こどもみらい住宅支援事業」が盛り込まれた。これは、一定の基準をクリアした省エネ住宅の新築と、一定の要件を満たすリフォームを行う場合に補助金を交付するもの(施行は今後の国会で予算が成立することが前提)。新築は子育て世帯・若者夫婦世帯のみが対象となり、最大100万円の補助金が交付される(リフォームは最大60万円)。その詳しい内容を解説しよう。

注文住宅を新築する場合

国土交通省・経済産業省・環境省が公表した「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」によると、2030年に新築される住宅・建築物は、ZEH基準の水準の省エネ性能が確保され、新築一戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が導入されていることを目指すとしている国土交通省・経済産業省・環境省が公表した「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」によると、2030年に新築される住宅・建築物は、ZEH基準の水準の省エネ性能が確保され、新築一戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が導入されていることを目指すとしている

ZEHなど一定の省エネ性能を有する注文住宅が対象

新築に関しては、注文住宅と分譲住宅のどちらも対象となる。なお、同事業における子育て世帯とは18歳未満の子を有する世帯で、若者夫婦世帯とは夫婦のいずれかが39歳以下の世帯だ。年齢は2021年4月1日時点での判定となる。

●対象となる注文住宅

・所有者となる子育て世帯・若者夫婦世帯が自ら居住することを目的に新たに工事請負契約する住宅の建築
・2021年11月26日から2022年10月31日までに工事請負契約を締結したもの
・後述する事業者登録を行った後、2022年10月31日までに着工したもの
・延べ面積が50m2以上のもの
・次の①から③のいずれかに該当する住宅

① ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready 、ZEH Orientedのいずれか
「ZEH」
高い断熱性能と高効率機器などによる省エネ、太陽光発電システムなどによる創エネを組み合わせることで、石油や石炭といった一次エネルギーの年間消費量を概ねプラスマイナスゼロにする住宅。再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量を削減する。
「Nearly ZEH」
再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量を削減するZEHに近い住宅。
「ZEH Ready 」
太陽光発電システムなどの創エネを必須とせず、断熱性能などを高めて基準一次エネルギー消費量を50%削減する住宅。
「ZEH Oriented」
狭小地のため屋根が小さくなるので太陽光発電システムの設置には不向きだが、ZEH基準の断熱性能と省エネ性能は有している住宅。

② 高い省エネ性能等を有する住宅
次のa)~c)のいずれかの性能を有する住宅が対象。
a) 認定長期優良住宅
長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅。所管行政庁に申請することで認定を受けることができる。
b) 認定低炭素住宅
省エネ法の省エネ基準に比べ一次エネルギー消費量がマイナス10%以上の住宅。所管行政庁が認定を行う。
c) 性能向上計画認定住宅
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の規定により建築物エネルギー消費性能向上計画が認定された住宅。

③ 省エネ基準に適合する住宅
※断熱等級4かつ一次エネルギー消費量等級4の性能を有する住宅。
※等級とは品確法に基づく住宅性能の評価。

●補助上限額

①ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Oriented:100万円/1戸
②高い省エネ性能等を有する住宅:80万円/1戸
③省エネ基準に適合する住宅:60万円/1戸

新築分譲住宅を購入する場合

建物要件は注文住宅とほぼ同じ

●対象となる分譲住宅

・所有者となる子育て世帯・若者夫婦世帯が自ら居住することを目的に売買契約する新築住宅の購入
・事業者登録を行った後、2022年10月31日までに着工するもの
・2021年11月26日から2022年10月31日までに売買契約を締結したもの
・延べ面積が50m2以上のもの
・次の①から③のいずれかに該当する住宅(詳細は注文住宅と同じ)
① ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready 、ZEH Orientedのいずれか
② 高い省エネ性能等を有する住宅
③ 省エネ基準に適合する住宅

●補助上限額

①ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Oriented:100万円/1戸
②高い省エネ性能等を有する住宅:80万円/1戸
③省エネ基準に適合する住宅:60万円/1戸

既存住宅をリフォームする場合

結露による湿気はカビの原因となり、健康被害を招くこともある結露による湿気はカビの原因となり、健康被害を招くこともある

開口部の断熱改修などが対象

既存住宅に対するリフォームは、新築と違い年齢制限はなく、すべての世帯が対象となる。

●対象となるリフォーム

・所有者が施工者に工事を発注して実施するリフォーム工事
・2021年11月26日から2022年10月31日までに工事請負契約を締結したもの
・事業者登録を行った後に着工し、2022年10月31日までに完成したもの
・次の①~⑧に該当するリフォーム工事。だたし、①~③のいずれかは必須。
①開口部の断熱改修(ガラス交換や内窓設置など)
②外壁、屋根、天井または床の断熱改修
③エコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム、高効率給湯器など)
④子育て対応改修(ビルトイン食器洗い乾燥機、宅配ボックスなど)
⑤耐震改修
⑥バリアフリー改修(手すりやホームエレベーターの設置など)
⑦空気洗浄機能・換気機能付きエアコンの設置
⑧リフォーム瑕疵保険等への加入

●補助上限額

子育て世帯・若者夫婦世帯
既存住宅を購入してリフォーム:上限60万円/1戸
上記以外:上限45万円/1戸
その他の世帯
安心R住宅(※)を購入してリフォーム:上限45万円/1戸
上記以外:上限30万円/1戸

※安心R住宅:一定の耐震性があり、インスペクション(専門家の検査)も行われた既存住宅にリフォームや修繕計画等についての情報提供も加えた事業者団体が標章を付与した住宅

補助金の申請方法

申請はすべて工事事業者または販売事業者に任せればOK

補助金が交付されるまでの手続きはすべて工事事業者または販売事業者が行う。ただし、交付も事業者に対して行われるので、あらかじめ補助金がきちんと住宅取得者に還元される方法を決めておく必要がある。

また、交付を受ける事業者は、事前に事業者登録の手続きを行わなければならない。登録後に対象住宅の着工が可能になるので注意が必要だ。

●補助金交付手続きの流れ

1.事業者登録
2.契約・着工
3.補助金交付申請
4.補助金交付
5.工事完了報告

●申請期間

事業者登録期間:2022年1月中旬~2022年10月31日(予定)
補助金交付申請期間:2022年3月頃~2022年10月31日(予定)
完了報告期限:2023年5月31日(一戸建ての場合)

「こどもみらい住宅支援事業」の対象となる住宅は、脱炭素社会の実現に貢献するのはもちろん、家計に優しく快適な暮らしも実現する。ワンランク上の住まいを手に入れるためにも、ぜひ同事業の利用を検討してほしい。

補助金交付手続きの流れ。手続き自体はすべて工事事業者または販売事業者が行う(出典:国土交通省「こどもみらい住宅支援事業の概要」)補助金交付手続きの流れ。手続き自体はすべて工事事業者または販売事業者が行う(出典:国土交通省「こどもみらい住宅支援事業の概要」)

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