世界基準の公認陸上競技場を持つ、市民のための都市型公園
ベンチに座って談話する老夫婦や、管楽器を練習する学生、マラソンの練習に精を出す若者などで長居公園はいつも賑やかだ。大阪市東住吉区にある長居公園は、大阪府内最大の総合公園。Osaka Metro 御堂筋線・長居駅から徒歩1分程度でアクセスも良い。総面積65.7haもの広さを誇る園内には、球技場、運動場、植物園、ユースホステル、市立長居プールなど9つの施設がそろっている。
県外の人でも「ヤンマースタジアム長居」を知っている人は多いだろう。「ヤンマーフィールド長居」と共に、公園内に2つの第一種公認陸上競技場を有しているのは日本でここだけ。大阪国際女子マラソンや日本陸上競技選手権大会、FIFAワールドカップなども開催されてきた。同園内に、「ヨドコウ桜スタジアム」もあり、これは2021年からJリーグに加盟する「セレッソ大阪」のホームスタジアムとなっている。
ライブや大型イベントに活用される施設があるだけでなく、公園内の施設以外の部分は、自然と緑あふれる豊かな環境が広がっている。毎朝6時半になると300人程の人が公園に集まり、ラジオ体操が自発的に行われていたりする。日常的に市民に親しまれている様子が垣間見える。
公園の新たな魅力創出を目指す
長居公園は、都市の中にある緑のオープンスペース。この貴重な特徴を生かして、公園の魅力向上に繋げていきたいと大阪市は考えていた。大阪市では令和2年5月から指定管理事業予定者を募集し、2020年12月9日の市会の議決を経て、「長居わくわくパークプロジェクトチーム」を指定管理事業者に決定した。
めでたく2021年4月に、この長居公園の指定管理事業者となった「長居わくわくパークプロジェクトチーム」。ヤンマーが100%出資をする「わくわくパーククリエイト株式会社」(指定管理者事業者代表)、事業・経営支援に従事する「ヤンマーホールディングス株式会社」「セイレイ興産株式会社」、公園内施設の運営管理を担う「一般財団法人 大阪スポーツみどり財団」「タイムズ24株式会社」「公益財団法人 大阪ユースホステル協会」の計6社で構成される。
「みんなの笑顔が溢れ出す公園に」をテーマに、自然・みどり・スポーツ・食の4つのテーマを体験できる公園づくりが目標。食やアミューズメント、スポーツ施設など各施設が連携しながら、公園全域でのWi-Fiの導入やモバイルアプリの活用も視野に入れた、今の時代に合わせた新たな公園の可能性を探っていく。
施設同士、近隣や民間企業とのコラボも
指定管理事業期間は20年間。「長居わくわくパークプロジェクトチーム」が生まれた背景は、なんだったのだろうか?
ヤンマーがサポートしているセレッソ大阪。「ヨドコウ桜スタジアム」が2021年4月に完成したことを機に、セレッソ大阪のホームグラウンドが、「ヤンマースタジアム長居」から「ヨドコウ桜スタジアム」に移った。2つの大型施設を、1つの指定管理会社が一括管理することが最初の目的だったそう。
「長居公園は、植物園もあり緑が多い。さらに世界レベルの陸上競技場もある、ほかにはない公園です。わくわくした公園を作っていくためのプラットホームとして生まれたのが、わくわくパーククリエイト株式会社です」そう話すのは、わくわくパーククリエイト株式会社の代表取締役・神原清孝氏だ。
約1,200種類の植物が育つ長居植物園や、市民ランナーたちの練習場になっている長距離走路。年中使える長居プールや長居庭球場。そして、日本で唯一スタジアム内にある宿泊施設・長居ユースホステルなど、充実の施設がそろっている。今後は、これらの長居公園内の施設のみならず、大阪商工会議所、近隣の大学や民間企業との協働も積極的に行なっていく予定だ。
公園内の遊具を活用してエクササイズ
すでに公園の中で、いくつかの企画も始まっている。
2021年8月からスタートしている「長居パークレッチ」は、スポーツジムを運営する「東急スポーツオアシス」とのコラボプロジェクトだ。東急スポーツオアシスが開発・運営するアプリトレーニングアプリ「WEBGYM」をダウンロードするだけで、誰でも園内でエクササイズが可能になるという。長居公園の各所にあるQRコードに専用のアプリをかざすと、VRが登場して、その場でできるさまざまなエクササイズを提案してくれるというもの。特別な器具ではなく、鉄棒や段差など公園内にある既存の設備を活用して、公園を歩きながら健康維持やダイエットができるという面白い試みだ。「老若男女どなたでも気軽に使えるので、ぜひ活用してほしいです」と神原氏は話す。
▷「WEBGYM」 https://sportsoasis-webgym.socialcast.jp/
大人も子どもも楽しめるイベント開催も
また、長居ユースホステルとセレッソ大阪との共催で、公募の子ども向けのサッカースクールも実施されている。2021年8月には、セレッソ大阪の試合を見た後に、ヨドコウ桜スタジアム内にテントを張って宿泊。選手によるレッスンとミニゲーム付きという1泊2日の贅沢なプログラムだったそう。「子どもたちがサッカーレッスンをしている間に、親御さんに向けて、バランスの良い食事を伝える『栄養講習会』も実施しました。参加した子どもたちだけでなく、親御さんにも好評の企画となりました」
スタジアムを競技に使うだけではもったいない。公園内にあるものすべてを市民に有効に使ってもらいたい、という想いから、「スタジアム芝生開放デー」という企画も。ヤンマースタジアムで自由にのびのびと遊べる場を提供している。2021年10月開催時には、106家族357名の応募があったそうだ。「今後は、キャンプやナイトinシアターなども計画中。市民の方に喜んでもらえる企画をたくさん生み出していきたいです」
「ワクワク」をキーワードにした、サステイナブルな公園と街の未来
「サスティナブルは、シリアスなものではなく、もっと前向きでストレスフリーなものです。キーワードはワクワク。前向きで楽しく健康に生きることが、本質的な持続可能な未来だと考えています。そのために、長居公園を『自然×スポーツ×食=健康』を体験できる公園にしていきます」
2022年春を予定として、新しい施設も誕生する。それは、これまで長居公園になかった「食」をキーワードにしたものだ。呼び込みたいのは、ファミリー世帯。親子が日常的に楽しめる場となることで、子どもが大人になった時に思い出の場所になる。世代を超えて愛される公園へと未来につないでいきたいと考えている。
「具体的には、来園者を増やし、滞留時間を増やすことが目標です。近隣には古くから残るいくつかの商店街もあります。イベントで集まったお客さまを商店街に流していく動きもつくっていきたい。近隣と一緒になって、盛り上げていく。近隣住民への波及効果も意識しています。楽しいお店が増えて、ワクワクする街になっていく。街を含めた規模でのサステイナブルな循環も生み出していきたいですね」と神原氏は話す。
街の中にある公園が、人の流れをつなぎ合わせる「新しい交流拠点」になりそうだ。
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