修繕積立金と管理費の違い
マンションを購入すると毎月、修繕積立金と管理費が生じる。修繕積立金とは、マンション管理組合が将来行う共用部の修繕に備えるために所有者から徴収するお金である。
それに対して、管理費とは、マンション管理組合が日常的に共用部を維持していくために所有者から徴収するお金となる。
マンション管理組合とは、マンションの所有者たちで構成される団体のことであり、マンションを購入すると所有者は当然にマンション管理組合の組合員となる。
修繕積立金は、以下のような将来予定されている修繕に備えて徴収される。
【将来行われる主な大規模修繕】
・外壁塗装
・エレベーターの更新
・排水管の高圧洗浄
・共用部の照明や空調の更新
・受水槽やポンプ等の給排水設備の交換
・屋上防水
・共用部のひび割れ対応
・建て替え
修繕積立金はすぐに使われるお金ではなく、マンション管理組合の組合財産として少しずつ貯蓄されていくという点が特徴である。
一方で、管理費は、以下のような日常的な共用部の維持管理のために徴収される。
【管理費で賄われる維持管理の内容】
・エレベーターや廊下の電気代、植栽への散水等の共用部の水道光熱費
・廊下や階段、エントランス、集会室などの共用部の清掃費
・植栽の剪定や防虫・除草等の庭の維持費
・エレベーターの定期点検や給排水・消火設備の法定点検等の設備メンテナンス費
・管理人やコンシェルジュなどの人件費
管理費は共用部の維持のためにすぐに使われるお金であり、修繕積立金のように貯蓄されていくものではないという点が特徴だ。
修繕積立金の目安
国土交通省が公表している「平成30年度マンション総合調査結果」※(以下、「本調査」と略)に基づき、修繕積立金の目安について解説する。
※平成30年度マンション総合調査結果
https://www.mlit.go.jp/common/001287645.pdf
本調査では、一戸当たりの修繕積立金の平均額は「1万2,268円/月」としている。
修繕積立金は築年数が経過するほど高くなる傾向にある。
本調査で示している完成年次別の主な修繕積立金は以下のようになっている。
昭和44年(1969年)以前 2万5,348円/月
~平成元年(1989年) 1万2,154円/月
~平成21年(2009年) 1万2,386円/月
平成27年(2015年)以降 6,928円/月
築年数が経過するほど修繕積立金が増える理由は、古い建物ほど大規模修繕の内容が増えるからである。
例えば10年に1度だけ行うAという工事と、15年に1度だけ行うBという工事があるとする。
築30年目にはAもBも行わなければいけないことになり、工事内容も工事費も増える。
外壁塗装や設備交換等の定期的に行う修繕は、築年数が増えるほどタイミングが重なるものが増えていくため、古い建物のほうが必要な修繕積立金は自然と増えていくのである。
また、修繕積立金は戸数が極端に少ないと高くなり、また大規模なマンションも高くなる傾向にある。
本調査で示している戸数別の主な修繕積立金は以下のようになっている。
20戸以下 1万6,809円/月
51~75戸 1万581円/月
101~150戸 1万775円/月
301~500戸 1万4,496円/月
501戸以上 1万3,719円/月
修繕積立金は、50~150戸程度のマンションが最も安くなっている。
20戸以下のようなマンションは、工事費に対する1戸当たりの負担額が大きくなるため、必然的に修繕積立金が大きくなる。
本来なら、戸数が多いほど1戸当たりの負担額が減るはずであるが、300戸以上のようなマンションでは逆に修繕積立金が高くなっている。理由としては、戸数の多いマンションには、統計上、タワーマンションが多く含まれているためである。
管理費の目安
本調査では、一戸当たりの管理費の平均額は「1万862円/月」としている。
管理費は修繕積立金とは逆に築年数が古い物件ほど安くなる傾向にある。本調査で示している完成年次別の主な管理費は以下のようになっている。
昭和44年(1969年)以前 7,211円/月
~平成元年(1989年) 1万836円/月
~平成21年(2009年) 1万2,170円/月
平成27年(2015年)以降 1万3,547円/月
築年数が浅い物件ほど管理費が高くなる理由としては、新しいマンションほど共用部が充実していることが挙げられる。
近年のマンションには共用部にラウンジやゲストルーム、トレーニングジム、コインランドリー、コワーキングスペース等が併設されるようになってきており、昔のマンションにはない共用施設が増えたため、その分、管理費も割高となってきている。
また、管理費は、修繕積立金と同様の理由で戸数が少ないと割高となり、また大規模なマンションも高くなる傾向にある。本調査で示している戸数別の主な管理費は以下のようになっている。
20戸以下 1万3,260円/月
51~75戸 1万386円/月
101~150戸 9,451円/月
301~500戸 1万4,022円/月
501戸以上 1万767円/月
マンション購入時の注意点
新築マンションを購入する際は、販売時は修繕積立金が低く設定されているという点に注意すべきである。
新築マンションは、マンションを購入しやすくするためにマンションディベロッパーが修繕積立金を低く設定して販売していることが多い。
新築マンションでは、購入時に修繕積立一時金というお金を徴収することで毎月の修繕積立金の額が低く設定されている。販売時点では、5年ごとに修繕積立一時金を徴収することで毎月の修繕積立金を抑えるシナリオとしているマンションもあるが、実際には予定どおりに行かないマンションは多い。
修繕積立一時金は支払い時の負担が大きいことから、多くのマンションでは築5年目になる前にマンション組合の話し合いによって修繕積立一時金方式を廃止することがある。
修繕積立一時金方式を取りやめると必要なお金は毎月の修繕積立金に平準化されるため、築5年目以降は一気に修繕積立金が跳ね上がることになる。よって、新築マンションの購入にあたっては、築5年目以降は修繕積立金が高くなることを前提に検討する必要がある。
また、修繕積立金は、多くのマンションで当初の予定よりも不足するケースが多い。理由としては、建築技術が進むことで当初予定していなかった想定外の工事が発生することが多いからだ。
例えば、共用部の照明を蛍光灯からLEDに変更する工事などは、古いマンションでは新築当初に想定しえなかった典型的な工事となる。
修繕積立金は計画よりも不足していくケースが多いため、将来の負担額は当初の想定よりも増える可能性があることは知っておくべきだろう。
一方で、管理費については新築当初よりも減っていくケースもある。管理費の負担が重くなると、多くのマンション管理組合では自主的に管理の内容を見直し、維持コストを下げていくからである。よって、管理費については築年数が経過しても増額されていくことは少なく、むしろ若干減ることもある。
そのため、新築マンション購入時は、管理費はほぼ固定と考えておけよ良く、修繕積立金については増額される可能性が高いと想定しておくことが適切といえる。
タワーマンションの修繕積立金と管理費が高い理由
タワーマンションは一般的に他のマンションよりも修繕積立金と管理費が割高である。本調査では階数別の修繕積立金と管理費を以下のように公表している。
【階数別の主な修繕積立金】
3階以下 1万340円/月
6~10階建 1万2,078円/月
20階以上 1万3,699円/月
【階数別の主な管理費】
3階以下 1万895円/月
6~10階建 1万392円/月
20階以上 1万5,726円/月
修繕積立金も管理費も20階以上のマンションになると高くなっている。タワーマンションの修繕積立金が高い理由は、設備に個別受注生産されている特注品が多く、廉価な汎用品によって交換ができないことが挙げられる。
また、建物が特殊仕様となっている部分が多く、大規模修繕が元施工会社でないと対応できないことも割高となる理由となる。タワーマンションでは、一般的なマンションのように複数の施工会社に相見積もりを取ってコストを下げられる部分が限られていることから、大規模修繕費が高くなってしまう。
一方で、タワーマンションの管理費が高い理由は、一般的な物件よりもコストのかかる管理を行っていることが多いことが挙げられる。
例えば、多くのタワーマンションでは、コンシェルジュ(受け付け)が常駐している。
エントランスや庭に滝や小川が流れている物件もあり、プール付きの物件もある。
タワーマンションでは管理メニューや共用設備がハイスペックな物件が多いことから、必然的に管理費も高くなってしまうのである。タワーマンションは、購入価格だけでなく、ランニングコストも高いということは知っておいた方がよいだろう。






