民間の金融機関で審査される項目はだいたい決まっているが……

住宅ローンの審査にあたって金融機関ではどのような項目が考慮されているのか、国土交通省が毎年「民間住宅ローンの実態に関する調査」を実施している。2013年3月に公表された最新の調査結果(下表参照)によれば、考慮する割合が最も高いのは「完済時年齢」であり、次いで「借入時年齢」となっている。何歳までに借り、そして何歳までに完済できるのかがとくに重視されているということだ。借入時年齢は65歳未満、完済時年齢は80歳未満としている場合が多い。さらに、考慮する割合が高いものとして「返済負担率」「勤続年数」「年収」「担保評価」「健康状態」などが続く。

一方で、「性別」(19.2%)、「所有資産」(23.7%)、「家族構成」(27.5%)などは比較的低い割合にとどまっている。また、「雇用先の規模」は31.5%、「業種」は39.9%なのに対して、「雇用形態」が72.8%となっている。住宅ローンの申込者が “どのような” 仕事をしているかよりも、 “どのように” 仕事をしているのかが問われやすいということだろう。

しかし、これらはあくまでも審査項目として挙げている金融機関の割合であり、それぞれの審査にあたってどの項目を重視しているのかは金融機関によって異なる。同じ条件でありながら金融機関によって承認されたり否認されたりといったことが起きるわけだが、否認されたときにその理由が申込者に開示されることはない。実際にどのような審査が行われているのか、はっきり分からない面が多いため、事例の積み重ねによって推測せざるを得ない場合も多い。

国土交通省「平成24年度民間住宅ローンの実態に関する調査」より国土交通省「平成24年度民間住宅ローンの実態に関する調査」より

返済負担率はどのようにチェックされるのか?

返済負担率とは、年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合だ。例えば年収が600万円、住宅ローンの年間返済額が150万円なら25%ということになる。この返済負担率を35%以内もしくは40%以内としている金融機関が多い。中には30%以内、あるいは45%以内とする金融機関もあるため、この設定によって借りやすさの違いも生じやすいだろう。

ただし、審査における年間返済額には住宅ローンだけでなく、マイカーローンや教育ローンなども含まれることに注意したい。他の借入れが多ければ、審査によって住宅ローンが否認されたり減額回答されたりすることもあるのだ。そして、忘れてはいけないのが「審査金利」の存在だ。現在は超低金利水準の状態が続き、住宅ローンを年利1%前後で借りられるケースも少なくないが、審査金利は一般的に4%程度に設定されている。金融機関によってはこれが3%程度の場合もあるようだが、いずれにしても実際に借入れをする金利ではないことをしっかりと頭に入れておきたい。提示された融資金利で計算をして返済負担率に問題はないと自己判断しても、それは通用しないのだ。

クレジットカードや他の借入れにも十分な注意が必要

住宅ローンの審査には、他の借入れ状況も影響を及ぼす。マイカーローンや教育ローンなど、使途のはっきりしているローンであれば、返済負担率の範囲内に収まるかぎりは問題ないだろう。しかし、消費者ローンやフリーローンなど、審査する側から見て使途が分からない借入れは不利になる。また、クレジットカードにキャッシング枠が設定されていると、実際にはそれを利用していなくても「いつでも借入れできるもの」とされ、その一定割合が返済負担率の審査に加えられることが多いようだ。さらに、消費者ローンにかぎらず、いずれかの支払いで過去に延滞の事実があると住宅ローンの審査は厳しくなる。

住宅を購入しようと思い立ったとき、住宅ローンを借りる前提であれば早めに対策を考えておきたい。できることなら、数年前から準備をしておきたいものだ。最近では銀行のカード、信販のカード、物販店のポイントカード、ガソリンスタンドのカードなどでクレジット機能の付いたものが多いため、本人があまり意識しないまま多数のクレジット会社と契約していることも少なくない。クレジットカードはどうしても必要な2枚程度を残し、他のカードはできるだけ早めに解約しておくようにしよう。また、リボルビング払いの買い物や、キャッシングの利用回数が多い場合も審査における心象は悪いため、極力控えるようにしたほうが良いだろう。

消費者ローンを借りているのなら、そもそも住宅を購入する段階ではないだろうが、借入れがなくても消費者ローンのカードを持っているときは速やかに解約し、他の借入れも必要最小限にとどめるようにしたい。銀行口座の自動貸付機能にも注意が必要だ。水道光熱費などが銀行口座からの自動引落しになっていて、口座残高が不足するときに自動貸付される場合も少なくない。これが借入れとされ、住宅ローンの審査に影響を及ぼす例もあるようだ。夫の収入だけでは基準に足りず、妻の収入を合算して住宅ローンを申込む場合もあるが、その際には妻についても同様な審査対象となるため、クレジットカード対策などをしっかりと考えておきたい。

見落としがちな携帯電話、スマホの契約

スマホや携帯などの契約も住宅ローン審査に影響する!?スマホや携帯などの契約も住宅ローン審査に影響する!?

携帯電話やスマートフォン、タブレットの端末代金を2年間の分割払いにすることが一般的になっている。ところが、これによって住宅ローンの否認や減額回答につながることもあるようだ。これらの分割払いは、クレジットと同様にみなされて信用情報が登録される。「実質負担金0円」などとなっていても、実際にはその分が借入金と同等の扱いになる。残高不足などで利用料金を期日までに支払えなければ、携帯電話キャリアに対する延滞だけでは終わらないのだ。延滞を何度か繰り返せば、住宅ローンが否認される要因にもなるだろう。

携帯電話やスマートフォンなどの分割払いに伴う信用情報を、どのように評価するのかは金融機関によって異なるだろう。しかし、住宅ローンの申込み時において「他社の借入れ」の自己申告でこれを失念すると、「虚偽申告」あるいは「事実との相違」とみなされて住宅ローンの融資が否認されることもあるようだ。妻や子どもなど、家族の利用料金を夫の口座からまとめて支払う場合も多いだろう。そのようなときには、すべてが合算されて審査の対象となることにも注意が欠かせない。

担保評価と勤続年数、その他の審査項目は?

しっかり見極めて対策を!しっかり見極めて対策を!

住宅ローンでは、購入した物件に抵当権が設定される。つまり、融資の担保として物件が用いられるため、それがどう評価されるかは審査に大きく影響する。購入金額に対して「100%融資」を認めている金融機関でも、物件の担保評価が悪ければ融資されないことになるだろう。違反建築物や再建築不可の土地は低い評価になるほか、既存不適格建築物(建築当初は合法だったものの、後の法改正によって制限を超えることになった建築物)も十分な評価はされないケースが多い。新築住宅で違反建築物の場合には住宅ローンの融資をしないよう、国土交通省から金融機関に対して要請がされている。市街化調整区域内の住宅も注意が必要だ。市街化区域内の住宅のみを融資対象とし、市街化調整区域内の住宅には融資をしない金融機関もある。

何らかの理由によって担保評価が低くなる物件では、減額回答される場合だけでなく、申込額の融資をする代わりに保証料の増額を求められたり、融資実行金利が高くなったりする場合もあるので、慎重に検討をすることが大切だ。

勤続年数に関しては、一般的に同じ会社で最低3年間とされることが多い。しかし、社会の変化などに伴い、最近は転職などに対して柔軟な姿勢を見せる金融機関も多い。同じ職種でのレベルアップ転職なら、あまり支障にならないこともあるだろう。ただし、優遇金利の適用などにおける条件として、最低勤続年数を厳格に審査されることもあるようだ。自営業者や個人事業主では過去2~3年程度にわたり、安定した所得を申告しているかどうかが問われる。ちなみに、住宅金融支援機構によるフラット35では勤続年数の規定がないため、転職して間もないのであればこちらを選択することも考えたい。

また、団体信用生命保険(団信)に加入できることを条件としている金融機関がほとんどであり、保険に加入できない健康状態では住宅ローンの借入れが難しいことになる。その他にもさまざまな審査項目があるが、自己資金の割合が多いほど金融機関の心象が良いことは当然だろう。不利な点がいくつかあっても、自己資金の多さでカバーできる場合もある。なお、住宅ローンの申込みが審査によって否認されたとき、別の金融機関で再度申込みをすることもあるだろう。このとき、個人信用情報機関への照会履歴が重なることで、さらに審査が不利になる場合もあることを覚えておきたい。いくつも申込みを繰り返すより、その原因をしっかりと見極めて対策を練ることが先決だ。

2013年 11月12日 10時43分