産学連携の一大プロジェクトが発足

7月4日に開催された発足式7月4日に開催された発足式

スマートハウス、スマートシティ、スマートデバイス…。省エネやICT化が推し進む中、様々な「スマート○○」の技術や言葉が生まれているのは周知の通りだろう。こうした技術誕生の傾向として最近は一社独自での開発ではなく、様々な企業や国や団体が手を組み産学連携で取り組んでいる。スマート○○は住まいに関連したものが多く、今後も目が離せないワードだ。

こうした状況がある中、早稲田大学ではスマート社会技術に関する世界トップレベルの研究拠点設立をめざし、2014年7月1日「スマート社会技術融合研究機構(ACROSS)」を発足した。経済産業省、国土交通省の支援のもと、デベロッパーやハウスメーカー、電気メーカー、通信会社などの法人と手を組み、7つの研究所を結集して様々なスマート社会技術を生み出すという。今回、7月4日に早稲田大学の井深大記念ホールで行われた発足式に参加してきた。どんな研究を行うのだろうか?

社会を取り巻くエネルギー事情とは

様々なジャンルで現在スマート化が図られているが、ご存じの通り社会を取り巻くエネルギー事情が大きく起因している。東日本大震災以来、国全体で大きなエネルギー政策の転換が図られた。特に今年に入って、エネルギー基本計画や改正電気事業法などの話題がニュースで飛びかっているが、様々なエネルギー・情報環境の変化が行われているという。

祝辞で登壇した経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長の木村陽一氏は「改正電気事業法も採択されたが、いよいよこうしたエネルギーシステムが実装できる社会に熟した」と言う。

エネルギーの“見える化”の推進政策として、HEMS、MEMS、BEMSの導入補助金や、2016年までに全国でスマートメーター導入を行う。また、住宅に関して言えば環境省と国土交通省が手を組み、ネットゼロエネルギーハウス・ビルを推し進めるとのこと。それぞれ2020年、2030年までの目標がたてられ、技術開発や導入支援が行われるという。さらに、2020年にはトップランナー制度もあり、省エネ対策はさらに強化されていく環境だ。

7研究所を集約

住まいといっても、例えば家にしても照明など電気は不可欠で、車をもつ家庭もある。QOLのような生活の質など、様々なテーマが横断的に関わっているのはご存じの通りだろう。今回発足したスマート社会技術融合研究機構は、先進グリッド技術研究所、住宅・建築環境研究所、太陽光発電システム研究所、電動車両研究所、スマートライフサイエンス研究所、次世代科学技術経済分析研究所、動力エネルギーシステム研究所の7つの研究所を集積して、分野横断的な新しい社会システムの研究を行うとのことだ。

さらに、研究所をサポートする存在として、技術開発を後押しする「スマート社会技術研究会」と、実際に普及・展開・活用をしていく「スマート社会技術推進協議会」がある。前者では例えば旭化成、KDDI、三井不動産などが名を連ね、後者ではオムロン、パナソニック、三菱電機などがある。私たちの知らないところで研究だけ進むのではなく、実際にその研究結果を前者の企業がデザイン化するため、私たち自身も研究結果を共有できる。

早稲田大学 常任理事・副総長 橋本周司氏の挨拶の中で「これだけ違う分野の人がよく集まったと思います。今回の機構は、5年という期間ですが、様子を見てさらに5年間の延長も計画している。10年経つ前に、機構自体が恒久化するような機関になるよう期待している」とのこと。大学側の期待も大きく、今までの産学連携の取り組みよりもさらに大きなものが期待できそうだ。

抜粋:スマート社会技術融合研究所機構のパンフレットより抜粋:スマート社会技術融合研究所機構のパンフレットより

住宅分野は・・・

左:田辺新一教授
右:林泰弘教授左:田辺新一教授 右:林泰弘教授

スマート社会技術融合研究機構は、早稲田大学 理工学術院 林泰弘教授が機構長として就任。林教授は、先進グリッド技術研究所の所長も兼任して、エネルギーに関する研究を進めていく。

住宅・建築環境研究所は同じく理工学術院の田辺新一教授が就任。ゼロ・エネルギーハウスの研究を進め、その中でも「どうやって住宅に関する電気制御をしていくか」がキーワードだという。我慢して省エネを強いるのではなく、自然に暮らしていても省エネ暮らしができるというそんなスマートウェルネス社会の実現のために提案していくということだ。

今後、この研究機構を通して、どんな革新的な研究が生み出されるのか。今まで業界別に縦割りだった印象があるが、今回のように分野を超えて官民連携で様々な取り組みができる体制は面白い取組みだ。果たしてどのような研究が生まれるのか?今後も注目していきたい。

2014年 07月12日 11時12分