奈良県にある大和ハウス工業の総合技術研究所

大和ハウス工業 総合技術研究所 副所長の池端正一氏大和ハウス工業 総合技術研究所 副所長の池端正一氏

「住宅」というと科学や医療に比べて「最新」と言われてもイメージしにくい分野ではないだろうか?しかし、実はそうした科学や医療に負けず劣らず、最近日本の住宅の進化はすごいのはご存じだろうか。今どんな住宅技術があるのかを探るべく、大和ハウス工業の総合技術研究所を訪問して現在の最新住宅技術について取材してみた。

大和ハウス工業の総合技術研究所は、大和ハウス工業が創業40周年記念事業として奈良県の平城山に創設された研究所で、今年創立20周年を迎える。約3万m2の広大な敷地に研究施設だけでなく、一般の人も予約制で見学できるミュージアム、ギャラリーが併設されているのが特徴だ。現在は国内外から毎年約1万人以上の方が訪れ、住宅に関する技術にふれている。

今回、大和ハウス工業が取り組む住まいに関連した様々な最新技術を、総合技術研究所を訪問させていただき見学させていただいた。アテンド頂いたのは大和ハウス工業 総合技術研究所 副所長の池端正一氏である。

「大和ハウス工業は家だけでなくホーム・エネルギー・マネジメント・システムの「D-HEMS(ディーヘムス)」や野菜を栽培できる植物工場ユニット「agri-cube(アグリキューブ)」など様々な技術開発に挑戦してきました。こうした技術を一般の方々に研究所にご来館いただき、是非見ていただきたいですね」(池端氏)

今回の記事では、大和ハウス工業がその中でも最近特に力をいれているという、「環境=エネルギー」と「福祉=介護」の研究について取り上げたい。生活者の立場にたったテクノロジーで、住まいのプロだからこそ開発できた技術だと思いながら見学をした。

エアコンのメーカーが違っても一斉にスイッチオフできる!?

省エネ空調システム「エアスイート」省エネ空調システム「エアスイート」

環境に関した研究で面白いと思ったのが、省エネ空調システム「エアスイート」。
家中のエアコンを集中制御するシステムだが、家族のライフスタイルや生活パターン、家族構成、ライフステージの変化に合わせて身体にやさしい温度環境を作り出すことができるという。また、特徴的なのが異なるメーカーのエアコンでも一括制御できるという点。新築当時に同じメーカーのエアコンを揃えても、年月を経て家電量販店で違うメーカーの安いものを追加で買うこともあるだろう。そうした状況でも、一括制御できないという事態にはならないのが嬉しいシステムだ。

「建てて終わりではなく、住んでいる人がいかに快適に住めるかという考えで提案させていただいています。エアスイートに関しては、メーカーごとにエアコンの性能が違うため、色々と教えて頂くのは大変でしたね」

取材時にギャラリーでバラバラの複数のエアコンを実際に操作してみた。確かに、パナソニック製、ダイキン工業製、三菱電機製などメーカーの違うエアコンを一括制御できるのは便利だ。部屋ごとの管理も「エアスイート」の端末一つで操作できるため、例えば子育て、介護をする人も、わざわざ2階などに行ったりせずに離れた場所の空調と家庭内のエネルギー管理をすることができる。
こうした生活者の立場にたった技術は、とても便利だなと感じた。

PM2.5も家に寄せ付けない!

実際に展示場で「換気浄化ef」の下でバタバタホコリをたてると、自動作動の様子を伺える実際に展示場で「換気浄化ef」の下でバタバタホコリをたてると、自動作動の様子を伺える

環境という点でもう一つ面白かったのが「換気浄化ef」だ。空気清浄機はどうしても置き場所を考えてしまうが、こちらの機器は家の天井に換気扇のように搭載されているもの。一般的な空気清浄機に搭載されているHEPAフィルターを装備した「換気浄化ef」が、ハウスダウストなどを感知すると自動的に作動する。

家電メーカーと共同開発したもので、PM2.5などの微粒子もフィルターに吸着させるという。また、生活の中で発生する水蒸気や臭いなどフィルターで取りにくいものもセンサーで感知し、排気口から外に排出する。

ギャラリーでこちらの実験をした際、「換気浄化ef」の下で服をバタバタはたくと急に動きだし、その性能を実際に確認することができた。住まいの空気に関して以前HOME'S PRESSでも取り上げたが、やはり空気清浄機の置き場所に悩む方は多いので、こうした着眼点はやはり住む人の目線で考えているなと感じることができた。

スマートハウスと「D-HEMS」

スマートハウスの展示スマートハウスの展示

エネルギーと言えば、今はやはりスマートハウスとHEMSだろう。
大和ハウス工業では、屋根に太陽光パネルを置き発電する一方、家庭用リチウムイオン蓄電池を設置して電気を蓄える。この家庭用リチウムイオン蓄電池は停電が起こった場合、2.5kWhのものなら約5時間、大きいサイズの6.2kWhのものなら約24時間稼働できるという。(※照明、テレビ、冷蔵庫を使用する場合)
この2つをコントロールするものとして、「D-HEMS」がある。「D-HEMS」はipadアプリとして提供されており、電力をいかに使ったか、発電したかなど、宅内のエネルギー使用状態が“見える化”されている。ここに「外張り断熱通気外壁」も利用すると、さらに省エネ化が図れる。

しかし、問題なのは私たちの意識。最近、省エネは大きく謳われているが、「美人は3日で飽きる」と言う言葉もあるが、電力の見える化もいずれは飽きる。確かに電力が見えたとしても、最初は注目するものの実際使ったら正直なところ、すぐ飽きてしまうのではないかと思う。

「こうした機能は日常化すると、どうしてもマンネリ気味になってしまいます。この状況を打破するために、日常のひろがりを心がけています。具体的にいうと、「D-HEMS」を使った次のコンテンツサービスです。需要のある子供の見守り機能やショッピングなど、日常の中で役立つ、そして次につながるサービスを提供できればと思っています」

確かにそうしたサービスがあれば私たちは省エネへの関心が持続するだろう。現在HEMSは生まれたてで、まだ“機能”に焦点があてられている段階である。作りっぱなしではなく、省エネ意識を高めHEMSを普及していくためには池端氏が言う通り、機能を使った次のコンテンツサービスこそ重要なのではと思った。

今回は環境と福祉に関する生活者目線の展示物について取り上げたが、次回はギャラリーで実際に体験した住まいを守る・住まいを快適に過ごすための技術についてお届けしたい。

2014年 04月13日 13時09分