「私は、頭金をいくら出せばよいですか?」
初めてのマイホーム購入は、わからないことが多く不安が付き物。ビギナーからの質問で多いのは、予算計画や資金計画のポイントともなる「頭金」である。
頭金は、購入者の資産、とりわけ手元の預貯金等から拠出することとなるが、「いくら出せばよいか」というよくある質問に対し、質問者の資産状況を把握していない状況では、実は答えようがない。「効率性を目指すならば、全額を頭金、すなわちキャッシュで買うとよい」と回答したところで、「そんなに出せない」となるケースが多いのではないだろうか。
資産状況を伝えていない相手へ頭金の金額を尋ねても、期待できる答えは返ってこない、ということを質問者側も認識すべきである。では、どうしようもないのか、というとそうではない。自分に最適な予算計画は、自分のお金を知ることでプランニングが可能となる。そう、答えは自分にあるのだ。亜美さんの場合でみていこう。
購入予算=頭金+住宅ローン借入額
亜美さんは、30歳の共働き。マンションを買いたいなぁと思い立ち、まずはマンション購入セミナーに参加した。亜美さんの最大の疑問は「いくらの家が買えるのか」。そして、最大の不安は「住宅ローンを払っていけるのか」である。
住宅の購入予算は、「頭金」と「住宅ローンの借入額」で構成される。それぞれの金額がわかれば、その合計額が購入予算となるわけだ。よって、「いくらの家が買えるのか」との亜美さんの質問に対する回答は、至ってシンプルである。それは、亜美さんへの逆質問となる。
「頭金をいくら出すのか」。そして、「住宅ローンをいくら借りるのか」である。少し言い方を変えると「いくらの頭金が出せるのか」そして、「毎月いくらの住宅ローンが払えるのか」となる。最適解は自身の家計にあり、なのだ。
家計の把握なくして、最適予算計画なし
ところが、亜美さんは回答できない。「頭金は預貯金等から出すこととなり、住宅ローンは家計収支(収入-支出)から出ていく」と説明を加えても、首をひねるばかり。共働きで、互いのお金には関与せず。そのため、自分のお金にも無頓着となり、いくら使って、いくら残って、いくら貯まっているか、などは考えたこともないと言う。
「現在の家賃程度の住宅ローンは払って行けるのだろうと思うけれど、家賃の支払い担当は夫なので、負担感はわからない」とのこと。頭金については、結婚前からの定期預金に100万円があるが、結婚してからはとくに意識して貯めてはいない。夫の貯金額は、まったくわからない、と言う。
購入予算は「頭金+住宅ローンの借入額」で決まるため、頭金がわからず、毎月いくらの住宅ローンが払えるかがわからなければどうしようもない。「家計を把握せずして、住宅を買う事なかれ」と言いたい。
住宅ローンの借入額については、別のコラムに譲り、今回のコラムテーマである「頭金」に焦点をあてて考えよう。
頭金プランニングは、トータル資金計画に大きく影響
亜美さんが、二人の家計を把握していれば600万円の頭金を出すことが可能であったにもかかわらず、貯蓄から100万円の頭金を拠出し、住宅ローンを500万円多く借入れた場合を考えてみよう。住宅ローンの金利が1.8%で、35年の元利均等返済の場合、500万円の借入れに対する毎月返済額は、16,054円。全期間のトータル利息は約174.2万円になる。
家計を把握し、無理のない範囲で頭金を出すことが、総支払額に大きく影響する。住宅ローンの借入額が多いと、連動して増額する諸費用等もある。決して、住宅ローンの支払利息額の問題だけではないことも、意識して欲しい。
住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供する「フラット35」のように頭金がないと利用できない住宅ローンもある(現行制度)。が、住宅価格の100%や、諸費用までも貸してくれる住宅ローンがあるので、頭金がないからと住宅購入をあきらめる必要はない。
大切なことは、現在と将来のライフイベントを意識した、無理のない頭金プランニングである。住宅購入後の直近にお金が必要なライフイベントがあるかどうかは、重要チェックポイントである。
頭金は、「いくら出すか」ではなく、「いくら残すか」で考える
頭金は、「いくら出せばよいかしら」と考えていると、なかなか答えが出ない。お勧めは、「いくら残すか」と考えること。住宅購入後すぐに結婚記念日があり、海外旅行を考えている。ならば、旅行代をおいておかねばならない。亜美さんと夫の趣味でもある、車の買換え時期がまもなくやってくる。ならば、買換えの費用をおいておく必要がある。さらに、いざという時にすぐに使えるお金(緊急予備資金)もある程度はおいておきたい。出産の予定があり、ダブルインカムがシングルインカムになる見込みであれば、その間の生活費等の予備費をおいておく必要があるだろう。
必要費を確保できれば、その残りが住宅購入に回せるお金であり、そこから、購入時諸費用を引き算したものが、頭金である。
亜美さんの場合は、以下のステップで頭金を考えることとなる。
1. 各自の家計(収入・支出・収支・預貯金等)の把握。
2. 把握した預貯金等のうち、目的のある預貯金とそうでないものを区別する
3. 住宅購入後のライフイベントの把握と必要資金の確保
4. おおよその購入時諸費用を試算し、必要費を確保
5. 頭金にまわせるおおよその金額を試算する
頭金の概算を把握できれば、亜美さんの購入予算プランニングは、「住宅ローンの借入可能額の試算」と次ステップへ移る。家計収支さえわかれば、試算は簡単。年収を基にした予算計画の落とし穴に陥らなくて済む。別途コラムでご紹介したい。



