大学進学や就職などで初めて東京で一人暮らしをする際には、生活費がどのくらいかかるのか気になるものです。

特に、地方から引越す場合は、生活環境が大きく変わることに不安を感じる人も少なくないのではないでしょうか。

今回は東京での水道・光熱費がどのくらいかかるのかを中心に、節約のポイントなどを詳しく解説します。

一人暮らしにぴったりな物件

光熱費

 

総務省統計局の2021年度「家計調査」(※)では、家計の平均支出額について、エリア別のデータが公表されています。

 

それによると、単身世帯における水道・光熱費は全国平均「1万1,358円」に対して、大都市「9,677円」、中都市「1万2,136円」、小都市・町村「1万3,208円」となっています。

 

また、地方別のデータも以下のとおりであり、関東地方や近畿地方などの大都市が集まるエリアでは比較的費用が安いことが分かります。

地方

平均水道・光熱費

北海道・東北地方

1万4,738円

関東地方

1万660円

北陸・東海地方

1万1,095円

近畿地方

1万253円

中国・四国地方

1万2,544円

九州・沖縄地方

1万1,265円

この理由は、主に「基本料金の違い」にあると考えられます。人口が集中する都市部では、基本的な設備の維持・管理コストをより多くの人で負担し合えるため、費用が安く抑えられるのです。

 

また、都市部は安価な都市ガスが普及している一方、地方ではプロパンガスを使う地域が多いため、ガス代も高くなりやすい傾向があります。

 

さらに、北海道や東北地方などの寒い地域では、冬場に暖房器具を使う場面が多いため、こうした事情も電気代の差として表れます。

 

いずれにしても、地方から東京都へ引越してくる場合には、水道・光熱費は地方よりも安くなる可能性が考えられるでしょう。

 

※ 総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯/1世帯当たり1か月間の収入と支出 都市階級・地方別

東京都の平均家賃

 

光熱費については安くなる半面、地価の高い東京都では、家賃が高額になりやすいのも特徴です。ここでは、実際にどのくらいの賃料が目安になるのか、具体的な家賃相場を見ていきましょう。

 

総務省統計局の2018年の調査(※)によれば、1ヶ月当たりの家賃は全国平均で「5万5,695円」とされています。それに対して、東京都では「8万1,001円」と、全国平均よりもはるかに高い水準となっています。

 

東京都に隣する、神奈川県は「6万8,100円」、千葉県「5万7,421円」、埼玉県「5万9,358円」と、全国平均よりはやや高いものの、東京都に比べれば低めの水準です。

 

また、三大都市のひとつである大阪府では「5万5,636円」、愛知県では「5万2,492円」と、どちらも全国平均に近い水準です。

 

これらのデータを踏まえると、他県から東京都に引越す場合には、家賃の水準を高く見積もっておく必要があるといえるでしょう。

 

※ 総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計

 

東京都は平均家賃が高いという特徴のほかに、エリアごとの賃料差が大きいという側面も持っています。

 

ここでは、LIFULL HOME’Sの「家賃相場」サービスを用い、東京都の主なエリアにおける一人暮らし向け物件(ワンルーム・1K・1DK)の平均家賃を紹介します。

 

エリア

家賃相場

都心

新宿区

10.46万円

渋谷区

11.38万円

港区

12.43万円

区東

足立区

7.05万円

江戸川区

6.88万円

江東区

9.54万円

区西

世田谷区

8.97万円

中野区

8.74万円

目黒区

10.23万円

武蔵野市

7.81万円

立川市

6.11万円

八王子市

5.24万円

※2022年4月時点、駅徒歩10分以内にある物件の平均賃料を軸に算出

 

このデータからも分かるように、エリアによっては他県の平均的な賃料とそれほど変わらないケースもあります。

 

一方、都心部では一人暮らし向け物件でもかなり高い賃料となるので、どのエリアに住むかが重要な選択になるといえます。

 

一人暮らしにぴったりな物件

東京都で一人暮らしにかかるお金

 

それでは、結局のところ東京都で一人暮らしをすると、毎月どのくらいのお金がかかるのでしょうか。ここでは、家賃相場を踏まえて、1ヶ月当たりの支出をシミュレーションしてみましょう。

 

先ほどの「家計調査」によれば、大都市における単身世帯の住居費を除いた消費支出は以下のとおりです。

費用項目

金額

食費

4万299円

水道・光熱費

9,677円

家具・家事用品費

5,617円

被服費

5,004円

保健医療費

8,695円

交通・通信費

1万7,418円

教養・娯楽費

1万8,574円

その他

2万8,286円

合計

13万3,570円

この合計を家賃以外の生活費として考えると、あとは平均家賃を足せば1ヶ月当たりのおおまかな支出を算出できます。

 

たとえば、新宿区で平均的な家賃の物件を探すなら、1ヶ月の目安支出は合計「23万8,170円」となります。

水道・光熱費を節約するコツ

 

水道・光熱費は毎月発生する費用なので、少しの節約でも年間で考えると大きな効果が生まれます。ここでは電気代と水道代、ガス代のそれぞれについて、節約のコツを解説します。

 

電気代は、契約する電力会社やプランによって、大きく費用が変わることもあります。

 

基本料金が安く設定されているプランや、日中の電気代が安くなるプランなど、特徴はそれぞれ異なるのでライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。

 

また、家電製品の使い方においては、特に電力消費の大きいエアコンの使い方を工夫してみるのがコツです。

 

「自動運転モードを活用する」「あまり頻繁にオンオフを切り替えない」など、夏場や冬場はちょっとした心がけで電気代に差がつきます。

 

水道代は「トイレの大と小を使い分けて流す」「水道を流しっぱなしにしない」などのちょっとした工夫がポイントとなります。

 

また、節水グッズを活用して、特に意識しなくても節約できるような仕組みをつくるのもコツです。

 

節水コマや節水機能付きシャワーヘッドなど、日常的な使用で自然と節水できるグッズが市販されているので、自分に合ったものから取り入れてみましょう。

 

ガス代については、電気代と同じくまずは契約する会社やプランを慎重に見極めることが大切となります。電気とセットで契約することで安くなる会社もあるので、総合的な観点で契約会社を選ぶようにしましょう。

 

また、日常生活においては、できるだけ使用時間を短くするのが基本となります。

 

具体的には、「追い焚きの回数を減らす」「シャワーを使う時間を短くする」「ちょっとした調理は電子レンジで済ませる」「圧力鍋で調理をする」などの方法があります。

物件選び

 

水道・光熱費は、住む部屋によっても左右される面があります。ここでは、節約しやすい部屋選びのポイントを見ていきましょう。

 

ガスの供給方法には、主に都市ガスとプロパンガスの2種類があります。東京都に住む場合は都市ガスの物件も多いですが、23区外ではプロパンガスを使用する物件もあります。

 

ガス代は都市ガスのほうが安くなる傾向があるので、物件選びにおいてはガスの種類にも目を向けておきましょう。

 

都市ガスが使える物件

 

水道料金は自治体によって異なるので、気になる場合は役所のホームページなどで料金をあらかじめ調べておきましょう。

 

東京都のほとんどの自治体では、東京都水道局が水道事業を運営していますが、一部の市部では自治体独自で運営を行っています。

 

日当たりなどの環境も光熱費を左右する重要なポイントとなります。たとえば、日当たりのよい南向きの物件は、冬場でも暖かいことが多いため、暖房費を節約しやすいという特徴があります。

 

一方、日当たりに恵まれないとされる北向きの物件は、夏場でも涼しく冷房費を節約しやすいのがメリットです。また、暑さ対策を考えるうえでは、換気のしやすさにも目を向けておきましょう。

 

小さくても窓が2方向にある部屋を選べば、自然と空気の通り道が生まれ、冷房に頼らずに快適な室内環境を整えることが可能です。

 

南向きの物件 角部屋の物件

東京

 

  • 東京都などの都市部は地方よりも水道・光熱費が安い
  • 東京都は家賃が全国平均より高いものの、エリアによって異なるので事前に相場を調べておこう
  • 電気やガスは契約する会社やプランを慎重に見極めることが大切
  • 水道・光熱費の節約は、日常生活で実践できそうな方法から試していこう
  • 日当たりや換気のしやすさによって光熱費に差が生まれることも多い

 

一人暮らしにぴったりな物件

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