マイホームの購入において、親や祖父母から資金援助を受ける場合は、資金計画が組みやすくなります。ただ、資金援助を受ける際には、たとえ親子間であっても贈与税の対象となってしまうため、注意が必要です。
今回は親から資金援助を受けるときに知っておくべき「贈与税」の仕組みと注意点、利用できる特例について見ていきましょう。
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資金援助額の平均額や割合はどのくらい?

国土交通省「令和2年度 住宅市場動向調査 報告書」によれば、注文住宅の平均購入資金は土地の購入も含めた場合で4,606万円。そのうち借入金が3,409万円、自己資金は1,197万円となっています。
さらに、自己資金のうち、贈与で用意された部分の平均額は143万円とされています。
この集計には、まったく支援を受けていないケースも含まれるため、純粋な援助額の平均値を示しているわけではありません。ただ、単純計算をすると、贈与で用意された金額の平均割合は「自己資金の1割」「購入金額全体の3%」程度にあたるといえます。
この割合については、建売住宅やマンション、中古住宅の場合もそれほど大きく変わりません。なお、自己資金の残りについては、預貯金や退職金が大きな割合を占めるほか、不動産売却、遺産相続なども含まれています。
いずれにしても、自己資金が多ければ住宅ローン借入額を抑えられるため、その分だけ総支払額が小さくなります。そのため、資金援助を受けられるのであれば、積極的に利用したいところでしょう。
贈与税の基本的な仕組み

前述のように、資金援助は住宅購入資金を用意するうえでとても有効な手段だといえます。
しかし、資金援助が行われたときには、たとえ親子間であっても贈与税の対象となってしまうため、事前に税金の詳しい仕組みを押さえておく必要があるのです。
贈与税の基本的な仕組み
贈与税とは、個人から財産をもらったときに発生する税金のことです。この場合の財産は純粋なお金の受け渡しだけでなく、保険料を負担していない生命保険金の受け取りや、借金の肩代わりなども含まれます。
一方、個人の死亡により財産の引き継ぎが行われた場合には、贈与ではなく相続として扱われます。贈与税と相続税では、税金の計算方法や利用できる特例に違いがあるので注意しておきましょう。
贈与税の計算方法
贈与税は、1年間(1月1日~12月31日)に贈与があった合計金額を基に計算されるのが一般的です。これを「暦年課税(れきねんかぜい)」と呼び、110万円の基礎控除があります。
そのため、たとえば1年間で500万円の贈与を受けた場合には、「500万円-110万円=390万円」が課税対象となります。また、贈与税の税率には、“誰から誰へ贈与が行われたか”よって以下のような違いがあります。
一般税率
基礎控除後の課税対象額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
特例税率※
基礎控除後の課税対象額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
※親や祖父母から20歳以上の子や孫へ贈与が行われた場合
この表から分かるとおり、同じ金額の贈与であれば、「特例税率」のほうが計算上は控除額が大きくなります。
たとえば、年間500万円の贈与があった場合、それぞれ以下のような計算式となります。
計算式
一般税率
500万円-110万円(基礎控除)×20%-25万円=53万円
特例税率
500万円-110万円(基礎控除)×15%-10万円=48.5万円
なお、贈与額が110万円以下の場合は、基礎控除によって贈与税がかからず、申告も不要となります。
マンションを探す 一戸建てを探す 注文住宅カタログを探す 無料で住まいの窓口に相談する住宅購入のための贈与で利用できる2つの特例

親や祖父母からの贈与では、計算方法のところで紹介したように税率が優遇されています。そのうえで、「住宅購入資金」については、一定の要件を満たしていればさらにいくつかの特例を利用することができるのです。
ここでは、2つに分けて特例の仕組みと内容を解説します。
1.直系尊属からの住宅取得資金贈与の非課税特例
この特例(※)では、一定の要件を満たしていれば、最大で1,500万円の贈与額が非課税となる特例です。利用する条件には「贈与される人(受贈者)の要件」と「建物の要件」の2つがあります。
(※)2021年12月31日までの場合。2021年10月時点での情報になります。最新の情報を国税庁のホームページなどでご確認ください。
受贈者の条件
- 贈与者の直系の子や孫であること
- 贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること
- 贈与を受けた年の合計所得が2,000万円以下(家屋の床面積が40平米以上50平米未満の場合は1,000万円以下)であること
直系とは、直接的な親子関係でつながっている系統のことであり、自分の親や祖父母とのつながりを示します。そのため、「配偶者の親や祖父母は含まれない」点に注意が必要です。
建物の条件
新築の場合
- 床面積が50平米以上(合計所得金額が1,000万円以下なら40平米以上)240平米以下
- 床面積の2分の1以上が居住用
- 贈与された翌年の3月15日までに入居すること、または居住が確実に見込まれていること
中古の場合
- 新築と同様の条件が満たされていること
- 以下の2つのうちいずれかを満たすこと
1. 築20年以内(マンションなどの耐火建築物は25年以内)
2. 一定の耐震基準を満たすこと
また、どのくらいの金額までが非課税となるかは、住宅の条件によって以下のような違いがあります。
| 良質な住宅※ | 一般住宅 |
|---|---|---|
住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合 | 1,500万円 | 1,000万円 |
それ以外の場合 | 1,000万円 | 500万円 |
※耐震等級2以上または免震建築物、省エネ等住宅、高齢者等配慮対策等級3以上の住宅など
購入時に消費税がかかる住宅とは、「新築の建物」や「売主が不動産会社である中古物件」のことを指します。一方、「売主が個人である中古住宅」(不動産会社は仲介を行うのみ)であれば、消費税がかからないため、非課税限度額は下段の内容が適用されます。
なお、この非課税特例は、暦年課税の110万円の基礎控除と併用が可能です。つまり、良質な新築住宅の購入資金として贈与を受けた場合には、最大で「1,500万円+110万円=1,610万円」までが非課税になるということです。
2.相続時精算課税制度
この制度は、親や祖父母の死亡時に行われる相続の一部を前倒しで行う仕組みのことです。この制度を利用すれば、贈与額から2,500万円までの部分が控除されて非課税となります。
そして、控除された部分については、相続時に贈与税ではなく相続税として精算をする仕組みです。この制度は前述の「直系尊属からの住宅取得資金贈与の非課税特例」とも併用できるので、組み合わせることで贈与時点の税金を大幅に抑えることができます。
ただ、一度相続時精算課税を選択すると、後から暦年課税に戻すことはできないため、計画的に利用する必要があります。
贈与税の特例を利用するときの注意点

贈与税の特例を利用するためには、どちらも必ず確定申告しなければなりません。これは、特例の適用によって非課税になる場合でも同様です。
基礎控除で非課税になった場合とはこの点が大きく異なるので、注意しておきましょう。また、先ほども紹介したように、直系尊属は実の父母・祖父母を指すため、配偶者の親や祖父母は対象とならない点に注意が必要です。
そのうえで、特例の要件をきちんと確かめたうえで贈与のタイミングを見極めることも大切です。贈与の時期があまりにも早すぎると、入居期間の条件から外れてしまうケースもあるため、事前にチェックしておきましょう。
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親から資金援助を受ける方法には、贈与以外にも「親子間融資」と「共有名義での購入」の2種類の選択肢があります。ここでは、それぞれの具体的な内容と注意点を解説します。
親から融資を受ける方法
親から金銭的なサポートを受ける際には、贈与ではなく融資を検討してみるのもひとつの方法です。きちんと返済を行うのであれば、贈与税が発生する心配はなく、親にも過度な負担をかけずに済むのが大きなメリットです。
ただ、融資であっても「適切な利子を設定しない」「借用書などを用意しない」「返済計画があいまい」などの場合には、贈与と見なされてしまうケースがあります。
無用なトラブルを避ける意味でも、返済方法や利率を明記した借用書を用意したうえで、返済は銀行振り込みなどの記録が残る形で行いましょう。
親と共有名義で購入する方法
親と共有名義で住宅を購入すれば、贈与税が発生せずに資金の一部を負担してもらうことができます。ただ、共有名義で購入する場合は、資金を負担した割合に応じて正確に持分を登記しなければなりません。
負担割合と持分割合に違いがある場合は、差額を贈与と見なされてしまうため、注意しておきましょう。また、親も所有権を持つこととなるため、固定資産税などの税負担が発生してしまう点には注意が必要です。
まとめ

- 親子間であっても資金援助は贈与税の対象となる
- 住宅購入資金であれば、一定の要件を満たすことで非課税の特例を利用できる
- 相続時精算課税制度を併用すれば、大幅な節税が可能
- 特例を利用するためには期間内の確定申告が必要
- 贈与のタイミングや贈与者との関係性にも注意する
更新日: / 公開日:2021.10.22










