- 固定資産評価証明書は「評価額を公的に証明する書類」
- 市区町村が管理する固定資産課税台帳の内容のうち、所有者・所在地・固定資産税評価額などを証明する書類です。相続登記の登録免許税の計算や、相続税・贈与税の申告、不動産関係の訴訟などで提出を求められます。納税通知書に同封される課税明細書とは役割が異なる点も、比較表で整理して解説します。
- 取得できるのは所有者本人とごく限られた関係者のみ
- 固定資産評価証明書には資産価値という重要な個人情報が載っているため、取得できるのは納税義務者本人・相続人・借地借家人・委任を受けた代理人などに限られます。窓口・郵送それぞれで必要になる本人確認書類や委任状、相続人が請求する場合の戸籍関係書類を、チェックリスト形式でまとめています。
- 「どの年度分を取るか」を間違えると取り直しになる
- 固定資産評価証明書は年度単位で発行され、手続きによって必要な年度が異なります。相続登記なら申請時の年度、相続税申告なら相続開始年度が原則です。年度の切り替わりは毎年4月1日で、過去分をさかのぼって取得できる期間にも限りがあるため、後悔しないための判断軸を具体的に解説します。
毎年届く固定資産税の納税通知書は見慣れていても、「固定資産評価証明書を提出してください」と言われた瞬間、手が止まってしまう。相続や売却の手続きでは、そんな場面が少なくありません。名前が似た書類がいくつもあるうえ、取得できる場所や手数料は自治体によって異なり、しかも「どの年度分が必要か」まで手続きごとに違います。
実はこの書類、法務局や税務署での手続きを進めるうえでの「不動産の価値を示す公的な物差し」です。仕組みさえ分かってしまえば、取得自体は決して難しくありません。ここでは、固定資産評価証明書の中身から、取得できる人・場所・費用・必要書類、そしてつまずきやすい年度指定の注意点まで、順を追って整理していきます。
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固定資産評価証明書とは? 記載内容と類似書類との違い
固定資産課税台帳の内容を証明する公的書類
固定資産評価証明書とは、市区町村(東京23区は東京都)が備える「固定資産課税台帳」に登録された内容のうち、土地や家屋の評価額などを公的に証明する書類です。
固定資産税は、市区町村が土地・家屋を評価して決定した「固定資産税評価額」をもとに課税されます。この評価額や所有者情報を資産ごとに記録したものが固定資産課税台帳ですが、台帳そのものを誰もが自由に閲覧できるわけではありません。そこで、登記や税務申告などで評価額の証明が必要になったときに、台帳の記載内容を書面として発行してもらうのが固定資産評価証明書です。
証明書には、主に次のような項目が記載されます。
- 固定資産の所有者(納税義務者)の氏名・住所
- 資産の所在地
- 土地の地目・地積
- 家屋の種類・構造・床面積
- 固定資産税評価額
- 課税標準額(自治体により記載の有無や様式が異なります)
なお、固定資産税評価額そのものの決まり方や税額の計算方法を詳しく知りたい方は、なぜ購入後に固定資産税を払わなければいけないの? 固定資産税の調べ方と計算方法もあわせてお読みください。
課税明細書・公課証明書・名寄帳との違い
固定資産評価証明書のまわりには、名前のよく似た書類がいくつかあります。手続きの窓口で「その書類ではありません」と言われないよう、違いを押さえておきましょう。
| 書類名 | 内容 | 入手方法 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 固定資産評価証明書 | 評価額などを公的に証明する書類 | 市区町村の窓口・郵送等で申請 | 登記、相続税・贈与税の申告、訴訟 |
| 固定資産公課証明書 | 評価額に加え課税標準額・税相当額まで証明 | 市区町村の窓口・郵送等で申請 | 売買時の固定資産税の精算など |
| 課税明細書 | 所有資産の評価額等の一覧(証明書ではない) | 毎年の納税通知書に同封 | 自分の資産の評価額の確認 |
| 名寄帳(なよせちょう) | 同一人が所有する資産の一覧 | 市区町村の窓口等で閲覧・写しの交付 | 相続時の資産の洗い出し |
特に混同しやすいのが課税明細書です。評価額の「確認」だけなら手元の課税明細書で足りることが多い一方、法務局や税務署に「証明」として提出する場面では、原則として固定資産評価証明書が必要になります。逆に、提出先によっては課税明細書の写しで代用できる手続きもあるため、まず提出先に確認してから取得に動くと無駄がありません。
評価額は「売れる価格」ではない
固定資産評価証明書に載る評価額は、あくまで固定資産税を計算するための価格です。市場で実際に売買される価格(実勢価格)とは水準が異なり、一般に土地の固定資産税評価額は公示価格の7割程度を目安に定められています(出典:総務省「固定資産税制度について」)。
相続した不動産を売却するかどうか迷っている段階なら、証明書の評価額だけで判断せず、市場価格の目安も並行して確かめておくと、その後の話し合いがスムーズです。地図上でエリアの参考価格を眺めるだけでも、感覚がつかめます。
土地活用・アパートの住宅カタログを探す 注文住宅の価格・相場講座固定資産評価証明書が必要になる3つの場面
不動産登記を申請するとき
相続や売買で所有者の名義を変更するとき、住宅ローンを完済して抵当権を抹消するとき、建物を取り壊して滅失登記をするときなど、不動産登記の多くの場面で固定資産評価証明書(または評価額が分かる書類)が使われます。
登記の際に納める登録免許税が「固定資産税評価額×税率」で計算されるためです。税率は登記の種類によって異なり、たとえば相続による所有権移転登記は評価額の0.4%、売買による土地の所有権移転登記は本則2%(時限的な軽減措置あり)と定められています(出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」)。評価額1,000万円の土地を相続した場合、登録免許税は4万円という計算になります。
相続税・贈与税を申告するとき
不動産を相続した場合や贈与を受けた場合には、財産の価額を明らかにして相続税・贈与税を申告します。家屋の相続税評価は原則として固定資産税評価額をもとに行われるため、申告の際に固定資産評価証明書を取得して確認・添付するのが一般的です。相続財産に不動産が含まれるなら、早めに取得しておくと申告準備が進めやすくなります。
不動産に関する訴訟・調停を行うとき
不動産の強制執行の申立てや、遺産分割調停など、裁判所での手続きでも対象不動産の価格を明らかにするために固定資産評価証明書の提出を求められることがあります。この場合は当事者だけでなく「訴えを提起する人」として利害関係を疎明したうえで取得できるケースがあり、必要書類が通常より増えるため、事前に裁判所と自治体の双方に確認しておくと安心です。
【無料】住まいの窓口の講座を探す リフォームVS建て替え講座誰が取得できる? 窓口・郵送別の必要書類チェックリスト
取得できる人は限られている
固定資産評価証明書には資産の価値という重要な情報が記載されているため、誰でも自由に取得できるわけではありません。取得が認められるのは、おおむね次の範囲の人です。
- 固定資産税の納税義務者本人(共有者を含む)
- 納税義務者の相続人
- 借地人・借家人(対価を支払って借りている人)
- その固定資産に関する権利を有する人
- 訴えを提起する人など、正当な理由を有する人
- 本人から委任を受けた代理人
つまり「本人か、本人に準ずる立場の人か、本人から頼まれた人」だけです。無関係の第三者が他人の資産の評価証明書を取ることはできません。
窓口で取得する場合のチェックリスト
窓口は原則として、その不動産が所在する市区町村の役所(資産税担当課)です。東京23区内の物件は区役所ではなく都税事務所が窓口になるという特殊な形式をとっており、23区外(市町村部)は各市町村の役所で取得します。持ち物は次のとおりです。
- 交付申請書:窓口備え付けのほか、多くの自治体でホームページから様式をダウンロード可
- 本人確認書類:運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど顔写真付きのもの。顔写真付きがない場合は健康保険証など2点の提示を求められるのが一般的
- 委任状:代理人が申請する場合。所有者本人の署名・押印があるもの
- 相続人であることが分かる書類:相続人が申請する場合。被相続人の死亡と相続関係が確認できる戸籍謄本等(法定相続情報一覧図の写しで代用できる自治体もあります)
- 手数料:1通(1件)あたり200〜400円程度が目安。金額の数え方も自治体で異なり、たとえば東京23区では1件目400円・同一所有者かつ同一区内の2件目以降は1件100円です(出典:東京都主税局「固定資産に関する証明書等の手数料について」)
郵送・オンラインで取得する場合
窓口の受付時間内に行けない場合や、遠方の不動産の証明書が必要な場合は、郵送での申請が可能です。同封するものは次の4点が基本です。
- 記入済みの交付申請書(自治体サイトからダウンロード)
- 本人確認書類のコピー(相続人は戸籍関係書類、代理人は委任状の原本もあわせて)
- 手数料分の定額小為替(郵便局で購入。おつりが出ないよう金額に注意)
- 返信用封筒(宛先を記入し切手を貼付したもの)
往復の郵送日数がかかるため、手元に届くまで1〜2週間程度を見込んでおきましょう。また近年は、電子申請フォームでの受付やキャッシュレス決済に対応する自治体、マイナンバーカードを使ったコンビニ交付に対応する自治体も増えています。対応状況は自治体によって大きく異なるため、「◯◯市 固定資産評価証明書」で公式サイトを確認してから動くのが最短ルートです。
賃貸併用住宅講座 二世帯住宅の建て方講座意外と知られていない落とし穴—「年度」と「タイミング」で失敗しない判断軸
手続きごとに「必要な年度」が違う
固定資産評価証明書は年度単位で発行されます。ここでつまずく人が非常に多いので、判断軸を整理しておきます。
- 不動産登記(相続登記・売買など):登記を申請する日の属する年度の証明書
- 相続税の申告:相続が開始した(亡くなった)年度の証明書
- 贈与税の申告:贈与を受けた年度の証明書
注意したいのは、年度の切り替わりが毎年4月1日である点です。たとえば3月中に証明書を取得し、登記申請が4月にずれ込むと、新年度の証明書を取り直す必要が生じることがあります。年度末をまたぐ手続きでは、取得のタイミングを申請日から逆算して決めるのが鉄則です。
過去の年度分は、さかのぼれる期間に限りがある
過去年度の証明書は無期限に発行されるわけではなく、多くの自治体で発行できるのは直近数年度分(5年程度が目安)に限られます。「いつか申告するときに取ればいい」と放置しているうちに必要な年度分が取得できなくなる、というのが典型的な失敗パターンです。相続などの手続きは、必要書類が揃ううちに早めに進めることが、結局いちばんの節約になります。
「有効期限切れ」を理由に差し戻されることがある
証明書自体に法律上の有効期限はありませんが、提出先によっては「発行後3ヶ月以内」などの条件を設けている場合があります。金融機関や裁判所に提出する予定があるなら、先に提出先へ発行時期の条件を確認し、提出直前に取得するのが安全です。
相続登記の義務化で、この書類の出番は確実に増えている
固定資産評価証明書がにわかに注目されるようになった背景には、2024年4月1日から始まった相続登記の申請義務化があります。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。しかも義務化前に発生した相続も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です(出典:政府広報オンライン「不動産の相続登記義務化!過去の相続分は?」)。
相続登記を申請するには、前述のとおり登録免許税の計算根拠として最新年度の固定資産評価証明書(または評価額が分かる書類)が必要です。つまり「親の家の名義がまだ祖父母のまま」という状態を放置している場合、証明書の取得は避けて通れない最初の一歩になります。
名義を整理する過程で「この家、これからどうする?」という話し合いが生まれるのも自然な流れです。住み継ぐのか、貸すのか、売るのか。売却も選択肢にあるなら、名義変更と並行して不動産会社の当たりをつけておくと、その後の動きがぐっと軽くなります。
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まとめと次のステップ
固定資産評価証明書は、不動産の評価額を公的に証明する書類で、相続登記・相続税や贈与税の申告・訴訟などの場面で必要になります。取得できるのは所有者本人や相続人など限られた人だけで、窓口・郵送のいずれでも申請でき、手数料は1通200〜400円程度が目安です。最大の注意点は「手続きごとに必要な年度が違う」こと。年度の切り替わる4月1日前後の手続きでは、取得のタイミングを慎重に選びましょう。
「必要になったら取ればいい」と後回しにしていると、過去年度分が発行期間を過ぎて取得できなくなったり、相続登記の期限(義務化前の相続は2027年3月31日)が迫って慌てたりと、選択肢が静かに狭まっていきます。逆に、書類さえ揃えてしまえば、名義の整理も、その先の「住む・貸す・売る」の検討も、自分のペースで進められるようになります。
まずは大きな決断をする前の小さな一歩として、手続きの段取りや資金まわりの疑問を中立的な立場の専門家に整理してもらうのも一つの方法です。
よくある質問
Q1. 固定資産評価証明書はコンビニで取得できますか?
A. 自治体によります。マイナンバーカードを使ったコンビニ交付や電子申請に対応している自治体がある一方、窓口・郵送のみの自治体も少なくありません。不動産が所在する市区町村(東京23区は東京都主税局)の公式サイトで、対応状況と対象となる証明書の種類を確認してください。
Q2. 遠方にある実家の証明書は、住んでいる市役所で取れますか?
A. 取れません。固定資産評価証明書は、その不動産が所在する市区町村でしか発行されないためです。遠方の場合は郵送申請が便利で、申請書・本人確認書類のコピー・定額小為替・返信用封筒を送付すれば取得できます。届くまで1〜2週間程度みておきましょう。
Q3. 固定資産評価証明書と公課証明書はどちらを取ればよいですか?
A. 提出先の指定に従うのが確実です。目安として、登記や相続税・贈与税の申告では評価額を証明する「評価証明書」、売買時に固定資産税を日割り精算する場面では税相当額まで記載される「公課証明書」が使われるのが一般的です。迷ったら、提出先(法務局・税務署・不動産会社など)に書類名を確認してから申請しましょう。
Q4. 亡くなった親名義の不動産の証明書は、子どもでも取得できますか?
A. 相続人であれば取得できます。その際、被相続人(親)が亡くなったことと、申請者が相続人であることを確認できる戸籍謄本等の提示が必要です。自治体によっては法定相続情報一覧図の写しで代用できるため、相続手続き全体で戸籍を何度も出し直す手間を減らしたい方は、先に法務局で法定相続情報証明制度を利用しておくと便利です。
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更新日: / 公開日:2020.06.26










