世帯年収から見る住宅ローン借入額
住宅ローンの借入額は、毎月無理なく返せる額から考えることが大切です。年収に占める年間返済額の割合「返済負担率」を25%以内にすると、家計にゆとりのある返済計画を立てやすくなります。
詳しくは、「世帯年収700万円…住宅ローンはいくらまで借りられる?」をご覧ください。
住宅ローン借入額を決める重要点
住宅ローンの借入額は、「金利タイプ」「返済方法」「返済期間」によって大きく変わります。それぞれの仕組みやメリット・デメリットを理解し、ご自身の計画に合ったものを選ぶことで、無理のない返済につながります。
詳しくは、「住宅ローン借入額を左右する3つのポイント」をご覧ください。
金利タイプ別の住宅ローン借入額
借入可能額は金利タイプによって変わります。金利が一定の「全期間固定金利」と、変動するリスクがある「変動金利」では借入額の目安が異なります。金利上昇も想定し、複数の条件で試算することが大切です。
詳しくは、「〈金利タイプ別〉世帯年収700万円で無理なく返済できる住宅ローン借入額」をご覧ください。

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住宅ローンを利用する際には、さまざまな条件や事情を踏まえて返済計画を立てる必要があります。そのなかでも、特に重要な指標となるのが「現在の年収」です。

今回は世帯年収700万円のケースを想定して、無理のない「毎月返済額」や「借入額」、返済額を決めるときに考えるべきポイントなどを詳しく見ていきましょう。

世帯年収700万円…住宅ローンはいくらまで借りられる?

住宅ローンの借入限度額を考えるときには「年収倍率」(年収に対する借入額の倍率)で計算すると、簡単に目安を知ることができます。

 

住宅金融支援機構の「2020年度 フラット35利用者調査」(※)よれば、年収倍率の全国平均は次のようにされています。

住宅の種類

平均購入資金

年収倍率

土地付き注文住宅

4,397万円

7.4倍

建売住宅

3,495万円

6.8倍

新築マンション

4,545万円

7.0倍

中古一戸建て

2,480万円

5.5倍

中古マンション

2,971万円

5.8倍

しかし、実際には同じ年収でも、20年なのか35年なのか、どのくらいの期間にわたって返済するかによって借入限度額には大きな違いが生まれます。

 

そのため、具体的に計算するのであれば「毎月いくらなら無理なく返していけるか」から逆算することが大切です。ここでは、毎月返済額の考え方について解説します。

 

※ 独立行政法人住宅金融支援機構「2020年度 フラット35利用者調査

無理のない毎月返済額を計算するうえで、ひとつの指標になるのが「返済負担率」です。返済負担率とは、「年収に対する住宅ローン年間返済額の割合」のことです。

 

返済負担率は、金融機関の審査基準でも重視され、35~40%を上限としているところが多いです。ただ、一般的に、無理のない返済負担率の目安は「25%以内」とされているため、審査基準よりも低めの設定で計画を立てる必要があります。

 

実際のところ、「2020年度 フラット35利用者調査」によれば、購入した住宅の種類にかかわらず、住宅購入者の返済負担率はいずれも平均20~25%程度となっています。

購入した住宅の種類

総返済負担率の平均値

土地付き注文住宅

24.1%

建売住宅

23.1%

新築マンション

21.7%

中古一戸建て

19.7%

中古マンション

19.6%

全体

22.2%

返済負担率を25%と想定すると、年収700万円の世帯における毎月返済額の目安は「700万円÷12ヶ月×25%=約14万6,000円」となります。そのため、14万6,000円以内であれば、基本的には無理なく返済していけると考えられます。

 

ただし、返済負担率の計算時には、すでに借りているローンの返済金額も含めなければなりません。自動車ローンや教育ローンの返済をしている人は、その金額を毎月返済額の目安から差し引いて計算しましょう。

 

また、世帯人数や貯蓄・娯楽など、家庭の状況によっても生活費の支出額は異なるので、実情に合わせて調整することが大切です。

 

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住宅ローン借入額を左右する3つのポイント

無理のない毎月返済額を明確にしたら、続いて住宅ローン借入額に影響を与える3つの項目について理解しておきましょう。

住宅ローンの金利タイプには、大きく分けて3つのパターンがあります。どのタイプを選ぶかによって、返済計画の立て方に大きな違いが生まれるので、特徴を押さえておきましょう。

■固定金利型(全期間固定金利型)

固定金利型

固定金利型

完済するまで金利が固定されるタイプであり、金利上昇のリスクがないため、安定した返済計画を立てられるのがメリットです。フラット35をはじめ、さまざまな住宅ローン商品で採用されている金利タイプもあります。

■変動金利型

変動金利型

変動金利型

市場の金利や経済情勢に合わせて、半年ごとに金利の見直しが行われるタイプです。変動に基づいて5年ごとに毎月返済額が調整されるため、途中で金利が上がれば返済額も増えてしまうのが難点といえます。

 

一方、借り入れ当初の金利は固定金利型よりも低く設定されているので、総支払額を安く抑えられる可能性もあるのがメリットです。なお、変動の上限は「直前の返済額の125%以内」と決められています。

■固定金利期間選択型

固定金利期間選択型

固定金利期間選択型

借り入れ後の一定期間にわたって固定金利が適用され、その後に改めて金利の種類を選択できるタイプです。固定期間は借入時に決めておき、3年や5年、7年などで設定されるのが一般的です。

 

その後は金利の動向に合わせて、引き続き固定金利を選択することも、変動金利に切り替えることもできます。ただ、変動金利型のように変動の上限は設けられないことが多いため、返済額が大幅に増える可能性がある点には注意が必要です。

住宅ローンの返済方法には2つのタイプがあり、こちらも金利タイプと同様に借入額や返済計画を左右する重要なポイントとなります。

 

元利均等返済と元金均等返済

 

メリット

デメリット

元利均等返済

・毎月の返済額が一定のため、返済計画が立てやすい

・借入金が残高の減り方は遅くなる

・元金均等返済よりも総返済額は多くなる

元金均等返済

・元金の減り方が早くなる

・元利均等返済よりも総返済額が少なくなる

・返済当初の返済額が大きくなる

元利均等返済では、毎月の元金と利息の合計額を均等に返済する方法であり、返済額が一定になるため、計画を立てやすくなるのがメリットです。

 

それに対して、元金均等返済は元金を毎月均等に分け、それに応じた利息を上乗せして返済していく方法です。

 

元金が減るのが早く、その分だけ総支払額が少なくなるのが大きなメリットといえますが、返済当初の返済額が大きくなる点には注意が必要です。

同じ毎月返済額を設定するなら、返済期間が長い方が借りられる金額も多くなります。しかし、返済期間が長ければ、その分だけ利息負担分が増えるので、総支払額が増えてしまう点は理解しておきましょう。

 

また、住宅ローン審査においては、完済時の年齢も重視されるので、借入時の年齢によっては長い返済期間をとるのが難しい場合もあります。

 

多くの金融機関は完済時年齢の上限を75~80歳程度としているものの、定年後に収入が減少することを考えると、65歳までに完済できる計画を立てる方が安心といえます。

 

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住宅ローンをシミュレーションをする

ここからは、LIFULL HOME’S「住宅ローンシミュレーター」を使って、実際に金利タイプ別に借入可能額を見ていきましょう。

全期間固定金利の場合は、途中で金利が変動する心配がないので、基本的な考え方はとてもシンプルです。

 

今回は、返済負担率を25%と設定し、金利はフラット35の最頻金利(2022年7月時点、返済期間21年~35年)を参考にして1.5%と想定しましょう。

 

すると、返済期間を35年と設定した場合の借入可能額は「4,768万円」となりました。

変動金利では、途中で金利が上昇する可能性があるので、返済負担率を20%程度に抑えておけると安心です。ただ、当初の利率は固定金利よりも低いので、その点に関しては有利といえます。

 

年収700万円の場合、返済負担率を20%に抑えると、毎月返済額は「約11万7,000円」です。また、金利は各都市銀行のデータを参考にして、0.7%と想定しましょう。

 

すると、返済期間を35年と設定した場合の借入可能額は「4,357万円」となりました。

繰り返しにはなりますが、変動金利型の場合は金利の上昇リスクを踏まえて計画を立てる必要があります。

 

そのため、住宅ローン商品によっては、通常の金利とは異なる「審査金利」(適用金利よりも3~4%ほど高い金利)で借入額の審査が行われる場合もあります。

 

住宅ローンシミュレーターでも、今後の金利上昇を想定した数値として、金利3%での試算をデフォルト設定にしているので、変動金利の方は念のために3%での計算も行っておきましょう。

 

なお、「金利3%」「返済負担率25%」「返済期間35年」で実際に計算すると、借入可能額は「3,794万円」となりました。このように、適用金利とは大きな差が生まれるので注意が必要です。

 

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無理のない住宅ローン返済を行うためのポイント

最後に、無理のない返済を続けるために押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

繰り上げ返済とは、本来の返済額とは別枠で、任意のまとまった金額を前倒しで返済することです。繰り上げ返済をした部分については、全額が元金の返済に充てられるため、利息分を大きくカットできるのがメリットとなります。

 

繰り上げ返済の方法には「以降の毎月返済額を軽減させる方法」と「以降の毎月返済額は一定のまま、返済期間を短くする方法」の2種類があり、どちらも返済を軽減させるうえで有効な手段となり得ます。

住宅ローン控除とは、一定の要件を満たした場合に「毎年年末の住宅ローン残高の0.7%」を所得税および住民税から控除できる制度です。

 

控除額には上限が設けられているものの、計算後の税額から丸ごと差し引ける仕組み(税額控除)なので、住宅関連の制度のなかでも特に節税効果が大きいです。

 

住宅ローン控除の利用条件は、自然とクリアするものも多いですが、念のために国税庁のホームページなどで確認しておくといいでしょう。」

 

住宅ローン

  • 世帯年収700万円で無理なく捻出できる毎月返済額の上限目安は14万6,000円
  • 毎月返済額とともに、金利タイプや返済方法、返済期間に目を向けることが大切
  • 世帯年収700万円の場合、最大では4,500万円近く借りられる計算になる
  • ただし、変動金利の場合は、金利の変動リスクも十分に考慮してゆとりを持たせることが大切
  • 繰り上げ返済や住宅ローン控除の仕組みを正しく理解して、上手に活用できるようにしておこう
住まいの窓口に資金計画を相談する はじめての家づくり講座

Q.1:世帯年収700万円だと、いくらくらいの家が買えますか?

A.1:返済期間35年の場合、「全期間固定金利」(金利1.5%)なら約4,768万円、「変動金利」(金利0.7%)なら約4,357万円が借りられる額の目安です。ただし、金利のタイプや条件によって金額は変わるため、あくまで参考としてください。

Q.2:無理なく返済するために、毎月の返済額はいくらくらいに設定すればよいですか?

A.2:年収に占める年間返済額の割合(返済負担率)を25%以内に抑えるのが、無理なく返済できる目安です。世帯年収700万円なら、月々約14万6,000円が上限と考えましょう。

Q.3:自動車ローンなど、他に借り入れがある場合、住宅ローンの借入額に影響はありますか?

A.3:影響します。返済負担率は、住宅ローン以外の借り入れも全て合計して計算します。そのため、月々の返済上限の目安額(約14万6,000円)から、他のローンの返済額を差し引いた金額が、住宅ローンで返済できる額になります。

Q.4:住宅ローンの「金利タイプ」にはどんな種類があり、どれを選べばよいですか?

A.4:主に以下の3つのタイプがあります。ご自身のライフプランに合わせて選びましょう。
・全期間固定金利型:完済まで金利が変わらず、返済計画が立てやすい
・変動金利型:当初の金利は低いが、将来金利が変動する可能性がある
・固定金利期間選択型:一定期間だけ金利を固定できる

Q.5:「変動金利」は金利が上がるのが少し不安です。どのくらい返済額が上がる可能性があるのでしょうか?

A.5:返済額が急に高額になることはありません。変動金利の返済額が見直されるのは5年ごとで、上昇する場合でも直前の返済額の1.25倍までというルールがあるためです。万が一の金利上昇に備え、返済負担率を20%程度に抑えておくと安心です。

Q.6:返済方法で「元利均等返済」と「元金均等返済」があると聞きましたが、どちらがお得ですか?

A.6:どちらにもメリット・デメリットがあります。
・元利均等返済:毎月の返済額が一定で家計管理がしやすい。総返済額は元金均等返済より多くなる。
・元金均等返済:総返済額を少なくできる。ただし、返済開始当初の返済額が最も高くなる。

Q.7:返済期間は最長の35年で組むのが一般的ですか?

A.7:定年後の収入が減ることを考え、65歳までに完済できる計画を立てると安心です。返済期間を長くすると月々の返済額は減りますが、支払う利息の総額は増える点に注意しましょう。

Q.8:シミュレーションをすると高額なローンも組めそうですが、本当にその金額を借りて大丈夫でしょうか?

A.8:シミュレーションはあくまでも参考値として考えましょう。特に変動金利を選ぶ場合は、金利が上昇しても返済できるか確認することが大切です。記事で紹介されているように、審査で使われる高めの金利(例:3%)で試算してみると、より安全な借入額が分かり安心です。

Q.9:毎月の返済以外に、ローンの負担を軽くする方法はありますか?

A.9:「繰り上げ返済」が効果的です。まとまった資金を前倒しで返済する方法で、返済した分は全て元金に充てられるため、将来支払う利息を大幅に減らすことができます。

Q.10:住宅ローンを組むと税金が安くなる制度があると聞きました。

A.10:「住宅ローン控除」という制度を活用できます。これは、一定の要件を満たす場合に、年末のローン残高の0.7%が所得税や住民税から控除(差し引かれる)される制度です。大きな節税効果が期待できるので、利用できるか要件を確認しておきましょう。

更新日: / 公開日:2020.06.02