親子二世帯同居の場合、相続時にかかる自宅の税金が軽減されることがあるのをご存じでしたか? 

これを「小規模住宅等の特例」といいます。親子同居を検討中の人は、この制度を知っておくといいかもしれません。

◆小規模宅地等の特例とは

親子二世帯の同居の際、親つまり被相続人が亡くなった場合、子どもである相続人に高額の相続税が発生して、納税のために土地家屋を手放さなければならなくなるケースがあります。

 

小規模宅地等の特例は、そのような事態が起こるのを防ぐために設けられました。特例の対象となるのは被相続人の住居あるいは事業などのために使われていた土地であり、建物は含まれません。

◆特例の対象となる宅地は4種類

特例を受けられる宅地は、以下の4種類です。

(1)特定居住用宅地等

 自宅として使っている

 

(2)特定事業用宅地等

 事業として使っている

 

(3)特定同族会社事業用宅地等

 被相続人が経営していた会社に貸し出している

 

(4)貸付事業用宅地等

 人に貸している

このうち「(1)特定居住用宅地等」が住宅用の宅地です。これについて、もう少し詳しくご説明します。

◆減額率は80%、適用面積の上限は330m2まで

特定居住用宅地等の場合、被相続人の宅地に対し限度面積330m2(約100坪)まで80%減額されます。相続した宅地が500m2の場合、330m2が適用され、残り170m2は通常の課税率となります。

◆誰が対象となるのか

特定居住用宅地等の特例は、誰でも受けられるというわけではありません。対象者に応じて要件が異なります。

 

(1) 被相続人の配偶者

取得者ごとの要件はありません。

(2) 被相続人と同居していた親族

被相続人と同居している場合、区分所有登記がされていない建物に同居している場合には特例が適用されます。区分所有登記とは、例えば「1階は親、2階は自分の名義」という形での登記のこと。

 

つまり、住み方ではなく、親子二世帯で同居しているという要件を満たしているかどうかが特例適用の鍵といえます。

 

しかし、被相続人が自分の家族をその建物に残して単身赴任している、相続人が老人ホームに入所しているという場合には、一定の要件を満たせば、特例が適用されます。

 

例えば、必要な入所であり、入所後誰かに貸していた事実がないことなどが要件となります。

(3) (1)と(2)以外の親族

被相続人に配偶者や同居している親族がいなくても、相続人である親族に持ち家がない場合、特例が認められることがあります。「家なき子特例」と呼ばれるものです。

◆相続税の申告書に加えて、一定の書類を添付する必要がある

小規模宅地等の特例適用を受ける場合、以下の書類が必要となります。

  • 戸籍謄本(相続開始日から10日経過した日以降に作成されており、被相続人のすべての相続人が明らかになっているもの)
  •  
  • 遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
  •  
  • 遺産分割協議書に押印した相続人全員の印鑑証明書
  •  
  • 申告期限後3年分以内の分割見込書(申告期限内に遺産分割の協議が終わらなかった場合)
  •  
  • 住民票の写し(相続開始日以後に作成されたもの)

 

被相続人と同居しておらず、相続開始前3年以内に持ち家がない親族の場合は、以下の書類も必要です。

  • 相続開始前3年以内の住所や居所を明らかにする書類
  • (マイナンバーカードがある場合は不要)
  •  
  • 相続開始前3年以内に住んでいた家が自分や配偶者、三親等内の親族または特別な関係のある一定の法人の所有する物件ではないことを証明する書類 ※1  (つまり、親名義、あるいは家族が経営している会社名義の家を借りて住んでいなかったことを証明するものが必要です)
  •  
  • 相続開始時に、過去に住んでいた家が持ち家ではないことを証明する書類 ※2  (過去に持ち家があった場合にはこの特例を受けることができません)

※1、※2の書類は、2018年4月1日の税制改正によって変更になりました。2018年3月31日以前の相続や遺贈に関しては、相続開始前3年以内に住んでいた家が自分や配偶者が所有するものではないと証明する書類でよかったのですが、税制改正より「家なき子特例」が厳しくなったといえます。

 

また、被相続人が老人ホームに入所しており同居していなかったという場合、以下の書類を提出します。

  • 被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始日以後に作成されたもの)
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  • 介護保険の被保険者証の写しや障害福祉サービス受給者証の写しなど、被相続人が要介護認定や要支援認定などを受けていたことを証明する書類
  •  
  • 入所時に交わした契約書の写しなど、被相続人が老人ホームに入所していたことを証明するための書類

◆最新情報はこまめにチェックを

小規模宅地等の特例に関する税制は2018年4月1日に改正されました。上記はあくまで現時点での要件であり、今後も税制改正によって要件が変更になる可能性があります。

 

親子二世帯の同居を検討中の場合、国税庁ホームページをはじめ最新情報をチェックすることが大切です。

ご紹介した相続の特例をはじめ、子どもの面倒を親に見てもらったり、家事を分担できたりと便利な親子二世帯の同居。

 

しかし、プライバシーが守られにくい、生活ルールが異なるなどのストレスが生じることもあります。小規模宅地等の特例だけにこだわることなくしっかりと検討し、納得して同居するかどうか決めましょう。

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