高齢者の世帯状況と同居の現状を理解する
核家族化が進み高齢者の単身・夫婦のみの世帯が増えるなか、将来のサポートを見据えて二世帯住宅の価値が改めて見直されています。
詳しくは、「少子高齢化で変化する「高齢者の世帯状況」と同居の現状」をご覧ください。
バリアフリー住宅をつくる5つのポイント
玄関の手すりや踏み台、将来の車椅子移動を見据えた廊下幅、ヒートショックを防ぐ水回りの暖房など、安全で動きやすいバリアフリー設計が不可欠です。
詳しくは、「高齢の親が住みやすいバリアフリー住宅をつくる5つのポイント」をご覧ください。
間取りの工夫で同居トラブルを回避する
トイレや洗面所を世帯ごとに設置し、親の寝室の真上に子ども部屋を配置しないなど、間取りの配慮でお互いのプライバシーと静かな環境を守れます。
詳しくは、「二世帯住宅のトラブルを回避するための間取りプラン」をご覧ください。

高齢の親と同居する二世帯住宅づくりで、後悔しない間取りプランとバリアフリー設計のポイントを徹底解説。
生活リズムの違いによるトラブルを防ぐ工夫や、寝室・水回りの配置、ヒートショック対策から、最大58万円が控除される「老人扶養控除」の適用条件まで網羅。家族全員が快適に暮らせる住まい探しをサポートします。
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少子高齢化社会が進むなか、将来的な親の介護やサポートを見据えて、高齢の親と同居する前提で家づくりを始める人が増えています。

地方だけでなく都心部においても、家計を助け合い、育児や介護で協力し合える「二世帯住宅」の価値が改めて見直され、高い関心を集めています。

しかし、世代や生活習慣の異なる二世帯が一つ屋根の下で暮らす同居生活には、間取りのつくり方やプライバシーの確保、バリアフリー化など、事前に検討すべきポイントが数多く存在します。

家は一度建ててしまうと、後から簡単に建て替えや大幅な間取り変更ができるものではありません。

計画の段階であらゆるリスクや対策を検討しておくことが、後悔しない住まいづくりへの第一歩となります。

今回は、高齢の親と快適に同居するための新築・リフォームのチェックポイント、家族間のトラブルを回避する間取りプラン、そして同居によって受けられる税制上のメリット(老人扶養控除)について、分かりやすく解説します。

日本の少子高齢化は急速に進行しており、高齢者を取り巻く家族の形や世帯の状況は、昭和の時代から大きく変化しています。

内閣府が公表している「高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者がいる世帯は全世帯の半数近くに達しており、過去最高を更新し続けています。

かつて昭和の中頃までは、農家や大家族の世帯が多かったことから高齢者の約7割が子ども夫婦と同居していましたが、核家族化が進んだ昨今では、親との同居率は約4割にまで減少しました。

同居率が低下した一方で、単身(一人暮らし)の高齢者や、高齢の夫婦のみの世帯が年々増え続けています。

医療技術の発達によって日本の平均寿命は延びていますが、年齢を重ねるにつれて足腰が弱くなったり、認知機能が低下したりすることは避けられません。

年老いていく親が、誰の手助けも借りずに独立していつまでも健康かつ安全に暮らし続けることには、どうしても限界があります。

こうした背景から、「親が元気なうちに同居して万が一に備えたい」「お互いのプライバシーを保ちながら助け合える二世帯住宅をつくりたい」と考える現役世代が増えています。

賃貸住宅であれば住み心地に不満があれば気軽に引越しができますが、持ち一戸建ての購入や注文住宅の建築は一生に一度の大きな決断です。

建てた後に「もっとこうしておけば良かった」と後悔しないよう、親世帯・子世帯の双方が納得できる住まいづくりを進める必要があります。

「そろそろ親との同居を考えたいけれど、何から始めればいいのか分からない」「現在の予算でどのような二世帯住宅が建てられるか知りたい」という方は、まずは最新の物件情報や施工事例を見て、実際の二世帯住宅のイメージを膨らませてみましょう。

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高齢の親と同居する住まいを新築・リフォームする際は、設計の段階からバリアフリー構造を考慮することが最優先事項となります。

ただし、バリアフリー向けといっても、病院や介護施設のような特別な設備ばかりを詰め込む必要はありません。

大切なのは「高齢者が安全に暮らせて、自分の力で自発的に動きやすい家」を意識することです。

過剰な手助けをせずとも、自然に自立した生活が送れる住まいのチェックポイントを5つの部位別に紹介します。

玄関は、段差の上り下りや靴の脱ぎ履きなど、高齢者が最もバランスを崩しやすい場所の一つです。

足元が暗いと段差を見誤って転倒する危険性が高まるため、窓を設けて自然光がしっかり入るように設計するか、足元を照らすセンサーライトを設置しましょう。

また、壁際に頑丈な手すりを設置したり、段差を軽減する踏み台や、座って靴が脱ぎ履きできる小さなベンチを置いたりすると、日々の外出が格段にスムーズになります。

年齢を重ねて足腰が弱くなると、杖の利用や、将来的に車椅子での移動が必要になる可能性があります。

一般的な住宅の廊下幅は75cm〜80cm程度であることが多いですが、車椅子がスムーズに通り抜けたり旋回したりするためには、最低でも85cm〜90cm以上の有効幅を確保しておくのが理想的です。

廊下や通路に十分な広さを持たせておけば、介助が必要になった際にも介護者が横に並んで歩きやすくなります。

高齢の親世代には和室で布団を敷いて寝ることを好む方も多いですが、布団からの立ち上がりや毎日の布団の上げ下ろしは、腰や膝に大きな負担をかけます。

そのため、二世帯住宅の寝室では、立ち座りが楽に行えるベッドの生活をおすすめします。

また、高齢になると夜間に何度もトイレに起きることが増えるため、寝室から数歩で行ける至近距離にトイレを配置する動線計画が非常に重要です。

冬場に暖かい居室から冷え切った脱衣所や浴室、トイレへ移動した際、急激な温度変化によって血圧が乱高下し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす「ヒートショック」は、高齢者が最も起こしやすい家庭内事故の一つです。

これを予防するために、脱衣所や浴室、トイレには必ず壁掛けの暖房器具や床暖房を設置し、家全体の温度差をなくす工夫をしましょう。

浴室にはまたぎやすい浅型の浴槽を選び、滑りにくい床材や手すりを設置することが必須です。

二世帯住宅で親世帯の個室を2階に設ける場合や、メゾネットタイプの住まいにする場合は、階段の形状に注意が必要です。

上から下まで一直線に伸びる直階段は、万が一足を踏み外したときに一番下まで転げ落ちてしまう危険性があります。

そのため、途中に平らなスペースがある「踊り場付きのUターン型(かね折れ階段など)」を採用しましょう。

万が一の転落時にも踊り場で止まるため大怪我を防ぎやすく、上り下りの途中で足を休めることもできます。

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世代が異なる二世帯が一つ屋根の下で暮らすとなると、食事や入浴、就寝といった生活時間(ライフサイクル)がバラバラになるのは当然のことです。

子世帯の仕事の帰りが遅かったり、小さな子どもの足音が響いたり、あるいは訪問客の受け入れや家事のやり方の違いがストレスになり、家族間での大きなトラブルに発展してしまうケースは少なくありません。

こうした同居トラブルを未然に回避するための鍵を握るのが、家づくりの段階における「間取りプラン」の工夫です。

二世帯住宅の間取りには、すべての空間を共有する「完全同居型」、玄関のみを共有して生活空間を分ける「一部共有型」、建物内部で完全に世帯を分ける「完全分離型」の3つのタイプがあります。

どのタイプを選ぶにしても、お互いのプライバシーを尊重しつつ、程よいコミュニケーションを保つための具体的な間取りテクニックをまとめました。以下のポイントを意識して設計を進めましょう。

  • トイレと洗面所は世帯ごとに独立して設置する

キッチンや浴室などの水回りを共有する場合でも、最低限「トイレ」は各世帯に1台ずつ、計2台を設置するのがベストです。

また、朝の通勤・通学時間帯に混雑しやすい洗面所も2箇所作っておくことで、お互いに気兼ねなく水回りを使用でき、日々の小さなストレスや衝突を劇的に減らすことができます。

  • 家事動線を一直線にまとめて効率化する

水回り設備を一箇所に集約し、玄関からキッチンへ直接アクセスできるような一直線の「家事動線」をつくることで、効率よく家事をこなせるようになります。

世帯間で家事を分担したり、一緒に料理をしたりする際にも、動線が整理されていればお互いの動きが干渉しにくくなります。

  • 親世帯の寝室の真上に子ども部屋を配置しない

生活音のトラブルで最も多いのが、上の階の足音や物音です。夜早く就寝する親世帯の寝室の真上に、元気に動き回る子どもの部屋や、夜遅くまで電気がついているリビングを配置してしまうと、睡眠を妨げる原因になります。

上下階の間取りを重ねる際は、親の寝室の上には子世帯の書斎や納戸など、夜間に物音が響きにくい静かな空間をもってくるのが鉄則です。

  • 臨機応変に使える「2部屋続きの和室」を設ける

リビングや親世帯のスペースの隣に、障子や襖で仕切ることができる2部屋続きの和室(あるいはLDKと一体化できる畳スペース)を作っておくと非常に便利です。

普段は親の寝室やリビングの延長として広々と使い、親戚やゲストが訪問した際には個別の応接間や宿泊部屋として臨機応変に活用できます。

  • 「共有の居間」を作りプライバシーと交流を両立させる

普段の生活スペース(個室やミニキッチンなど)は各世帯で別々に確保し、プライバシーをしっかり守りつつも、休日や家族が集まる時間には全員で過ごせる「広めの共有リビング(居間)」を配置しましょう。

適度な距離感を保ちながらも、寂しさを感じさせない理想的な二世帯のコミュニケーションが生まれます。

 

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高齢の親と同居して二世帯住宅で暮らすことには、生活面での助け合いだけでなく、経済的な税制メリットもあります。

一般的に「扶養控除」といえば収入の少ない子どもを対象とするイメージが強いかもしれませんが、実は一定の条件を満たしていれば、同居している自分の両親や配偶者の両親、さらには祖父母についても扶養親族として国から認められ、所得税や住民税の負担を軽減することができます。

特に、扶養する親族が高齢である場合には、一般の扶養控除よりも控除額が大きく引き上げられた「老人扶養控除」という制度が適用されます。老人扶養控除を受けるための主な要件は、以下の3点です。

  • 扶養親族(親や祖父母)が、その年の12月31日時点で「70歳以上」であること
  • 納税者(子)またはその配偶者と「生計を一(いつ)」にしていること
  • 年間の合計所得金額が一定以下であること

2025年分(令和7年分)からは原則58万円以下

給与収入のみの場合は123万円以下が目安

 

これらの要件をすべて満たしている場合、子世帯の所得から一定の金額が控除されます。控除される金額は、同居か別居かによって以下のように異なります。

同居・別居の区分所得税の控除額(税性メリット)
同居老親等(70歳以上の親・祖父母などの直系尊属で、納税者または配偶者と同居している場合)58万円
老人扶養親族(70歳以上)※同居老親等以外48万円

※別居している場合でも、継続的な仕送りなどにより「生計を一にしている」と認められれば、老人扶養親族として48万円の控除を受けられる場合があります。

※住民税についても扶養控除が設けられており、同居老親等は45万円、老人扶養親族(同居老親等以外)は38万円の控除が適用されます。

 

ここで重要なのは、「生計を一にする」という言葉の定義です。

これは必ずしも「同じ部屋で同居していなければならない」という意味ではありません。

たとえば、別居して暮らしている両親であっても、子どもが定期的に生活費や療養費などを仕送りしており、その仕送りによって両親の生計が維持されている実態があれば、税法上「生計を一にしている」と認められる可能性があります。

この場合、親が70歳以上で扶養親族の要件を満たしていれば、老人扶養控除(48万円)の対象となります。

また、二世帯住宅を建てるなどして親と同居し、「同居老親等」に該当する場合は、老人扶養控除額が58万円となり、より大きな節税効果が期待できます。

親が公的年金を受給している場合でも、扶養親族の所得要件を満たしていれば老人扶養控除を受けることが可能です。

例えば、65歳以上で公的年金収入のみの場合、年金収入が年間168万円以下であれば、原則として合計所得金額58万円以下となるため、扶養親族に該当する可能性があります。

ただし、年金以外に給与所得や不動産所得などの収入がある場合は、それらを含めた合計所得金額で判定されます。

二世帯住宅への引越しや親との同居を検討している場合は、老人扶養控除の適用可否についても確認しておきましょう。

要件を満たしていれば、年末調整や確定申告で申請することで所得税や住民税の負担を軽減でき、家計の負担軽減につながります。

高齢の親との同居を見据えた二世帯住宅づくりは、単に大きな家を建てることではなく、お互いのこれまでのライフスタイルやこれからの安心を形にする作業です。

玄関や寝室、浴室のバリアフリー設計を徹底することで親の自立した安全な暮らしを守り、上下階の防音や水回りの複数設置などの間取りの工夫を凝らすことで子世帯のプライバシーと快適な生活を維持できます。

さらに、老人扶養控除などの税制優遇を活用すれば、経済的な負担を抑えながら理想の住まいを維持していくことが可能です。

二世帯住宅の計画を失敗させないためには、新築にするかリフォームにするかの選択も含め、初期の段階から家族全員で希望条件をしっかりと話し合い、多くの施工実例に触れることが大切です。

「我が家に最適な二世帯住宅の間取りをプロに提案してほしい」「まずは二世帯住宅が得意な建築会社をじっくり比較したい」という方は、LIFULL HOME’Sが提供する無料のサポートサービスや各種お役立ち講座をぜひ活用してみてください。

理想の二世帯同居生活を叶えるための確かな一歩を、ここから踏み出しましょう。

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A.1 生活リズムの違いによるストレスや音のトラブルを防ぐことです。

具体的には、朝の混雑や気兼ねをなくすためにトイレや洗面所を各世帯に独立して設置することや、夜早く就寝する親の寝室の真上に、物音が響きやすい子ども部屋やリビングを配置しない上下階のゾーニングが極めて重要です。

 

A.2 将来車椅子を使用することを見据え、廊下や通路の有効幅を85cm〜90cm以上確保することが推奨されます。

また、玄関や浴室への手すりの設置、段差の解消に加え、冬場の急激な温度変化によるヒートショックを防ぐため、脱衣所や浴室、トイレに暖房器具を設置することが大切です。

 

A.3 「老人扶養控除」という制度を利用できる場合があります。

その年の12月31日時点で70歳以上の親や祖父母を扶養しており、生計を一にしていることや所得要件を満たしていることなど、一定の条件を満たす場合には老人扶養控除の対象となります。

控除額は、親や祖父母が「同居老親等」に該当する場合は58万円、それ以外の老人扶養親族の場合は48万円です。

別居している場合でも、継続的な仕送りなどによって生計を一にしていると認められれば、老人扶養親族として控除を受けることができます。

これにより、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。

 

A.4 対象になります。

親が公的年金を受給していても、所得要件などを満たせば老人扶養控除の対象となります。

65歳以上で公的年金収入のみの場合、年金収入が年間168万円以下であれば、原則として扶養親族に該当する可能性があります。

ただし、年金以外の所得がある場合や、生計を一にしていない場合は対象外となることがあります。

なお、最終的な判定は合計所得金額や扶養状況を踏まえて行われます。

 

A.5 すべての空間を共有する「完全同居型」、玄関のみを共有する「一部共有型」、建物内部で完全に世帯を分ける「完全分離型」の3タイプがあります。

生活スケジュールが大きく異なる場合や、将来の資産価値(将来的に片方を賃貸に出すなど)やプライバシーを最優先する場合は「完全分離型」が最もトラブルが少なくおすすめです。

更新日: / 公開日:2016.09.02