新型コロナウイルスの影響が拡大する昨今、人々の住まいの選択にはどのような変化があるのでしょうか?

今回は日本で新規感染者が急増した2020年4月以降で「住みたい街に対する意識に変化があるか」について賃貸ユーザーの動向に注目して緊急調査を実施し、首都圏(1都3県)での街(駅)ランキングを算出しました。

LIFULL HOME'Sに2020年4月~8月に掲載された物件のうち、実際の検索・問合せ数から算出した"実際に探されている街・駅"のランキング結果です。

ポイント

4年連続1位の「池袋」が5位に、 2位「川崎」が12位にランクダウン。  借りて住みたい街が首都圏郊外部に拡散

 1位は「本厚木」。 都心から距離があってもダイレクトアクセス可能な街に人気が集まりました。順位は以下のとおりです。

※「前回比」は2020年2月に発表した2020年LIFULL HOME’S借りて住みたい街ランキングとの比較

順位 前回比 街(代表的な沿線)
1 3↑ 本厚木(小田急小田原線)
2 葛西(東京メトロ東西線)
3 2↑ 大宮(JR東北新幹線ほか)
4 10↑ 千葉(JR総武線ほか)
5 4↓ 池袋(JR山手線ほか)
6 14↑ 西川口(JR京浜東北・根岸線)
7 6↑ 高円寺(JR中央線ほか)
8 3↑ 蕨(JR京浜東北・根岸線)
9 2↓ 八王子(JR横浜線ほか)
10 12↑ 町田(JR横浜線ほか)
11 5↓ 三軒茶屋(東急田園都市線ほか)
12 9↓ 川崎(JR東海道本線ほか)
13 8↑ 船橋(JR総武線ほか)
14 2↑ 柏(JR常磐線ほか)
15 2↑ 三鷹(JR中央線ほか)
16 8↓ 荻窪(JR中央線ほか)
17 2↑ 小岩(JR総武線)
18 新小岩(JR総武線ほか)
19 13↑ 川口(JR京浜東北・根岸線)
20 14↑ 津田沼(JR総武線ほか)
21 12↓ 吉祥寺(JR中央線ほか)
22 10↓ 中野(JR中央線ほか)
23 23↑ 立川(JR南武線ほか)
24 14↓ 北千住(JR常磐線ほか)
25 1↓ 綾瀬(JR常磐線ほか)
26 18↑ 八潮(つくばエクスプレス)
27 13↑ 平塚(JR東海道本線ほか)
28 5↓ 大井町(JR京浜東北・根岸線ほか)
29 33↑ 橋本(JR横浜線ほか)
30 15↓ 浦安(東京メトロ東西線)

借りて住みたい街ランキング1位は小田急小田原線の「本厚木」。 新型コロナウイルスの流行前である2020年2月公表の「2020年LIFULL HOME’S借りて住みたい街ランキング(2019年・年間調査)」の時点でも4位にランクインした人気の街ですが、都心・近郊エリアが軒並み順位を下げている中で準近郊・郊外エリアに位置する街の代表格としてトップに躍り出ました。

 

他にも、「大宮」「千葉」「八王子」「津田沼」「立川」「八潮」「平塚」など、東京23区の街に比べ都心・近郊の事業集積地へのアクセスに時間がかかる街が上位に多数登場しています。

 

この結果から「新型コロナウイルスの影響をできるだけ避けたい」という意向や、テレワーク(在宅勤務)を導入する企業が増え毎日の通勤時間を考慮しなくてもよくなったことで都心近くの利便性だけでなく、「感染リスクに対する安全性・安心感にも着目して住むところを選びたい」という意識の高まりがうかがえます。

 

このように首都圏郊外エリア、もしくは外周エリアに位置する街が数多く上位にランクされる一方、これまで人気の高かった「池袋」は5位に後退し、毎年発表している「LIFULL HOME’S借りて住みたい街ランキング」における4年連続1位の座を明け渡しています。

 

同じく都心・近郊の人気エリアでは「三軒茶屋」が11位、「川崎」が12位へと後退しており、コロナ禍の影響で都心・近郊の生活利便性よりも準近郊および郊外の相対的な安全性や安心感を重視して街選びをしようという意向が浮き彫りになっています。

 

この「志向の郊外化」で問合せ上位にランクされる街の共通点は以下の2つです。

共通点

  • 多少都心方面へのアクセスに時間がかかっても、電車を乗り換えずに済むエリア
  • 郊外のターミナル駅で駅勢圏が比較的広く、生活利便性がある程度担保できそうなエリア

現在賃貸でお住まいのエリアから、沿線ごとに郊外方面に移動した場合を想定して駅やエリアで物件を探している状況が想定されます。

 

さらに、これら賃貸ユーザーの「志向の郊外化」が1都3県の範囲にとどまらずその外側エリアにも拡散している可能性を鑑みて、LIFULL HOME’Sでは首都圏の周辺に位置する6県(茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、静岡県)も対象に含めた【1都9県】での調査も実施。

 

その結果、問合せ件数1位が「水戸」、2位「本厚木(首都圏1位)」、3位「宇都宮」という結果を得ました。

 

「水戸」も「宇都宮」も駅勢圏が広く、豊富な物件数があるという特性があるものの、それを差し引いても賃貸ユーザーの意識が郊外に向かっている傾向が明らかな結果となっています。

ポイント

  • 問合せ増加率トップ3は千葉県郊外エリアの街が独占。 1位は「八街」の146%
  • 都心から50km圏を超える東京近隣県の都市が躍進

今回は前年同時期と比較した「問合せ数増加率ランキング」も併せて算出しました。コロナ禍での生活環境の変化によって問合せの絶対数だけでなく、注目度が増加した街はどこかを調査する目的です。増加率の順位は以下のとおりです。

順位 増加率 街(代表的な沿線)
1 146.22% 八街(JR総武本線)
2 140.28% 姉ヶ崎(JR内房線)
3 134.66% 大網(JR外房線ほか)
4 133.76% 相模原(JR横浜線)
5 127.92% 小田原(JR東海道新幹線ほか)
6 126.59% せんげん台(東武伊勢崎線)
7 123.73% 木更津(JR内房線ほか)
8 123.48% 君津(JR内房線)
9 121.37% 藤沢(JR東海道本線ほか)
10 121.29% 日進(JR埼京線ほか)
11 120.67% 稲田堤(JR南武線)
12 120.12% 八千代緑が丘(東葉高速鉄道)
13 119.89% 大袋(東武伊勢崎線)
14 119.06% 流山おおたかの森(東武野田線ほか)
15 117.06% 深谷(JR高崎線ほか)

2019年4月からの同時期と比較して2020年に賃貸ユーザーの問合せ数の増加率が最も大きかったのは「八街」(対前年同期比146.2%)でした。昨年から約1.5倍となっています。千葉県の郊外に位置しJR総武本線で千葉にもそのまま東京にもダイレクトアクセスが可能な街です。

 

2位は「姉ヶ崎」(同140.3%)、3位は「大網」(134.7%)と”トップ3″は千葉県郊外エリアの街が占めました。

 

以下、問合せ数の増加率が大きかったのは「相模原」(同133.8%)、「小田原」(同127.9%)ほかいずれも都心から50km圏を超えるエリアに位置する街が並んでおり、コロナ禍における賃貸ユーザーの「郊外化志向」が明確に表れる結果となりました。

 

また、増加率ランキング上位にはJR内房線、JR高崎線、JR東海道本線、東武伊勢崎線をはじめ、都心・近郊から首都圏郊外まで延伸する長距離運行の鉄道沿線の街が数多く登場しており、都心・近郊エリアへのアクセスが乗り換えなしで比較的容易な郊外エリアの街を選択していることからも、街選びをある程度具体的にイメージして探していることが分かります。これは「通勤・通学可能な郊外」がコロナ禍で賃貸ユーザーに注目されている証左と考えることもできます。

 

なお、この「問合せ数の増加率」ランキングに関しても「問合せ数」のランキング同様に【1都9県】での調査を実施しています。

 

その結果、1位は「みらい平」の161.0%、2位も「みどりの」の148.5%とつくばエクスプレス沿線の街が上位を獲得し(いずれも茨城県)、首都圏(1都3県)で1位の「八街」が3位となっています。

 

15位まで公表したランキング中5エリアがつくばエクスプレス沿線の駅を最寄りとする街となっていることから、具体的に通勤・通学可能な路線としてのつくばエクスプレスの注目度が急激に高まっていることが分かります。

ポイント

  • 問合せ減少率1位は「秋葉原」の43%で前年同期比約6割減
  • 秋葉原以外も新宿・高田馬場など「学生街」の減少が目立つ
  • 上位15位のうち東京都が14エリアを占める

今回は対コロナ禍に着目した賃貸ユーザーの意識の変化を調査するものです。

問合せ数が減少した街については、生活と交通の利便性が良好なことでこれまで優位性が認められていても、それが「コロナ禍を前提とした住宅環境」に限っては高い評価を受けなかったということを意味しています。減少率の順位は以下のとおりです。

順位 減少率 街(代表的な沿線)
1 43.93% 秋葉原(JR山手線ほか)
2 44.27% 仙川(京王線)
3 47.63% 西日暮里(JR山手線ほか)
4 50.71% 笹塚(京王線)
5 51.61% 菊川(都営新宿線)
6 52.23% 飯田橋(JR中央線ほか)
7 52.23% 高田馬場(JR山手線ほか)
8 52.59% 新宿(JR山手線ほか)
9 52.97% 浅草橋(JR総武線ほか)
10 54.03% 水天宮前(東京メトロ半蔵門線)
11 54.48% 戸越(都営浅草線)
12 55.15% 山手(JR京浜東北・根岸線ほか)
13 56.01% 蒲田(JR京浜東北・根岸線ほか)
14 56.29% 門前仲町(東京メトロ東西線ほか)
15 57.08% 南千住(JR常磐線ほか)

2019年4月からの同時期と比較して2020年に賃貸ユーザーの問合せ数の減少率が最も大きかったのは「秋葉原」の43.9%でした。昨年と比べて5割強もの問合せ減となっています。

 

2位以下も「仙川」(対前年同期比44.3%)、「西日暮里」(同47.6%)、「笹塚」(同50.7%)、「菊川」(同51.6%)と都心・近郊の交通・生活利便性のバランスの評価されやすい街が軒並み昨年の同時期から半分程度の問合せ数に激減しています。

 

以下も6位「飯田橋」(同52.2%)、8位「新宿」(同52.6%)など2019年の同時期から約半数程度の問合せ数にとどまった街が名を連ねています。

 

ランキングに登場する街はその多くが最寄り駅にターミナル性や交通条件が整っており、駅勢圏も広くて生活も仕事も余暇もその街で完結し得るだけのポテンシャルがあるエリアばかりですが、この繁華性・利便性こそがあだとなってコロナ禍にあっては一部の人に避けられる要因となったと考えることができます。

 

さらに、ランキングに示した減少率の大きい15エリアのうち14エリアが東京都内の街であり、残りの1エリアも神奈川県内で賃貸ユーザーに人気の高い街であることから、本来であれば「何かと便利で生活しやすく通勤の負荷も少ない」傾向のある住みやすい都心の街は、コロナ禍にある住宅環境に限っては高い評価を受けなかったようです。

 

なお都内に数多くある大学や専門学校の授業がリモート中心となっている現在、通学が本格的に再開する状況にないことが、都内の「学生街」と言われる街の問合せ数を減少させている一因とも考えられます。

 

特に2020年4月に入学した学生はほぼ通学する機会がない場合が多く、必ずしも大学・専門学校所在地周辺および沿線周辺に居住する必要が生じていないため、問合せが減少していることがうかがえます。

 

働き方だけでなく、学び方にも大きな変化があるなかで、これまでは利便性とコストのバランスを重視して検討することが多かった「住みたい街」ですが、これからは「どこに住んで安心できる生活をしていくか」という命題を改めて考えることになりそうです。

 

なお、「問合せ数の減少率」ランキングは【1都9県】に調査エリアを拡大しても問合せ数が大きく減少した街は都心・近郊にほぼ集中していることから、首都圏を対象とした調査とまったく同じ順位の結果が得られています。

 

コロナ禍の状況においては、「都心・近郊の人気エリアよりもできるだけ安全で通勤・通学にも対応可能な街に移り住みたい」という賃貸ユーザーの率直な意向が浮き彫りになりました。

調査概要

対象期間
2020年4月1日 ~ 2020年8月18日


対象者
LIFULL HOME’S ユーザー
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県を対象とした

      
集計方法
・コロナ禍での借りて住みたい街ランキング
LIFULL HOME’S に掲載された賃貸物件のうち、問合せの多かった駅名をそれぞれ集計


・問合せ増加率ランキング
LIFULL HOME’S に掲載された賃貸物件のうち、前年比で問合せ数の増加率が高かった駅名をそれぞれ集計


・問合せ減少率ランキング
LIFULL HOME’S に掲載された賃貸物件のうち、前年比で問合せ数の減少率が高かった駅名をそれぞれ集計
増加率・減少率ランキングは問合せ数上位500駅を対象


分析
LIFULL HOME’S 総研

LIFULL HOME’S住みたい街ランキング

withコロナ時代の住まい探し記事

本件に関するお問合せ先

株式会社LIFULL(ライフル)

メール:info-media@LIFULL.com

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