新型コロナウイルスの流行によって仕事もテレワークが推奨されるようになっています。外出することが減ったり、自宅勤務をする機会が増えたりして、以前よりも自宅にいる時間がぐっと長くなっている人が多いと思います。生活環境が大きく変化する今、一戸建てを購入する際にはどのような点に気をつけたらいいのでしょうか。今回は住宅ジャーナリストの山下和之さんに、withコロナ時代に建売住宅や中古一戸建てを購入するときの選び方のポイントや注意点などを教えていただきました。

コロナ禍は私たちの生活に大きな変化をもたらし、ウイルス対策などに対応した新しい住まいづくりが注目されています。2020年6月にLIFULLが行った調査(※)では、住み替え・建て替えを検討している人が2020年4月に比べ10%程度増え、その中で新築または中古の一戸建てを検討中の人は30%程度でした。

 

企業がテレワークなどの在宅勤務を推奨する動きが広まり、外出自粛の長期化等で住居環境の悩みを持つ人が増えたことが住み替えや引越しを考えるきっかけになっているようです。家族で一緒に過ごす時間が増え、お互いのスペースを確保しながら過ごすという生活スタイルが今後は一層広がることが予想されています。

 

※参照:LIFULL HOME’S調査<第2回 新型コロナウイルス感染症の影響による生活者の住み替え行動に関する調査>

持ち家として一戸建て住宅を購入することには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。購入してから困らないように事前に知っておきましょう。

一戸建ての最大のメリットはマンションよりも部屋数が多く、広いスペースがあることです。仕事用の部屋があればベストですが、部屋がなくてもリビングなどの共有スペースが広ければ間仕切りなどを設置することでワーキングスペースを確保することができます。プライベートな空間を保ちつつ、ゆとりを持って生活することができるのは大きな魅力です。また、マンションよりも窓が多く、換気しやすい点もメリットといえます。

 

それ以外にも玄関に手洗い場を設置したり、ウイルスをシャットアウトする最新設備を導入しやすいことも一戸建てならではのメリットです。また、在宅時間が長くなると、マンションでは子どもの走り回る音や生活音が気になるという人がいるかもしれません。しかし、一戸建てならある程度隣家との距離があるため、気兼ねなく生活できるでしょう。

建売住宅や中古物件は駅から離れている物件が多いといわれており、徒歩圏内にスーパーがないという可能性もあるでしょう。駅の近くに物件があったとしても、価格が高かったり、面積が狭くて使い勝手が良くない傾向があります。2階以上の建物の場合は、若いときはよくても年を取ると階段の上り下りに苦労することも考えられます。

 

また、一戸建てはマンションに比べてスペースが広く維持管理が大変で、防犯上のリスクについても考えなければなりません。

マイホームの購入で頭を悩ませるのが、どの地域に住むかという点です。もし、自宅でテレワークすることを前提に立地を選ぶ場合は、会社までの通勤時間は気にせず、周辺環境を重視して選ぶことができます。都心部から離れるほど予算内で広い住まいを見つけやすくなるため、首都圏なら千葉県方面、近畿圏では奈良県や和歌山県方面なども候補地として考えてみるのもいいかもしれません。

 

通勤時間が同じでも都道府県が違うだけで住宅の価格や条件は異なるため、あらかじめ相場などを参考にしながら立地を決めるのがいいでしょう。仕事専用スペースの確保や広さなどを求める場合は、郊外も視野に入れながら探すようにし、気に入った場所があれば実際に足を運んで周辺環境を確認しましょう。

 

どのようなエリアが注目されているかは、こちらの記事も参考にご覧ください。

緊急実施! コロナ禍での借りて住みたい街ランキング(首都圏版)

 

緊急実施! コロナ禍での借りて住みたい街ランキング(1都9県版)

住宅を購入する際は経済的負担などを考えたうえで資金計画を立てます。コロナ禍では急速に価格が上昇する可能性は少ないため、じっくりと時間をかけて予算を決めましょう。予算は低ければその分負担は少なくて済みますが、予算にこだわりすぎてしまうと住まいに対する満足度が低くなってしまいます。

 

コロナ禍の影響で収入に不安がある場合は、まずは理想の家づくりに必要な予算を調べ、すぐに購入を決めず貯蓄するのもひとつの方法です。自己資金の割合が多ければ将来的に住宅ローンの金利負担が低くて済むため、長期的な視野を持って資金計画を立てるようにしましょう。

今後もテレワークが推進され在宅勤務をする機会はぐっと増えると考えられます。テレワークに適した間取りを考える場合、一戸建てなら延床面積が90平米から100 平米以上は欲しいところです。国土交通省が発表している快適に暮らせる広さの目安としては、2人なら55 平米以上、4人家族は最低でも95 平米以上が理想となっています。

 

間取りは仕事用の部屋があるか、またはリビングなどのカウンターで家族の様子を見ながら仕事ができるスペースがあるかどうかをチェックしましょう。しかし、仕事部屋にこだわって部屋数が多い住宅を選ぶと、逆に各々の部屋の広さが狭くなる場合もあります。大きな広いスペースに間仕切りや家具などで部屋を区切れば汎用性が高く、ライフステージの変化にも対応しやすいので、間取りや延床面積についてはコロナ禍の影響ばかりを考えず、柔軟に対応できるかどうかも意識しましょう。

一戸建て住宅は住んでからもリフォームなどで手を加えることができますが、周辺環境は変えることができません。もし、在宅勤務を前提に住まいを探す場合は、仕事に集中できる静かな環境であることが理想です。近所を気にせず暮らせるように隣家との距離感にも注意が必要です。

 

利便性ではスーパーや銀行、郵便局や病院などの場所や、最寄り駅からの距離や交通量などを確認するのがいいでしょう。ほかにも教育関連施設や公園など、普段よく使う施設が近所にあるかどうかも大切なポイントです。

 

治安については管轄の警察署のホームページで確認できますが、騒音やにおいなどはなかなか気づきにくいのが現状です。空き地や駐車場などがある場合は高い建物が建つ可能性もあるため、平日と休日それぞれに周辺環境の確認をすると安心でしょう。

都心部から近く、最寄り駅へも徒歩圏内で利便性が高い住まいは価格が高い傾向にあります。自然の多い場所で暮らしたい場合は都心部には少ないため、住居選びでは、利便性や周辺環境のうち、何を優先するべきか決める必要があるでしょう。

 

コロナ禍の影響でテレワークをする機会が増えることを踏まえ、会社への通勤時間や最寄り駅からの徒歩時間を気にせずに住宅を選ぶこともひとつの方法です。当然ながら都心部から遠く、最寄り駅からも離れている場所ほど広くて環境のいい条件をクリアしやすくなります。新幹線通勤や地方移住といった選択肢もこれからは増えてくるかもしれません。

住宅選びのときに忘れてはいけないのが建物の構造をチェックすることです。主な種類としては、木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造などがあります。コロナ禍では避難所が3密になる可能性があるため、災害時も自宅で過ごすことができるよう、耐震性や耐火性などに優れた頑丈な建物を選ぶといいでしょう。

 

特に築年数の経った中古一戸建ての場合は耐震性に注意が必要です。1981年の新耐震基準以前に建築確認を受けた建物は新たに耐震改修を行い、災害に備える必要があるでしょう。築年数が20年以上の場合は水回りや建物の腐食などが起こっている可能性もあるので、インスペクションを依頼して点検しておくと安心です。

住宅選びをするときにこだわる条件は個人によって異なります。日当たりの良さや生活しやすい動線、キッチン・お風呂などの設備、間取りや部屋の広さなど、優先順位をあらかじめ決めたうえで物件選びを考えましょう。

 

最近では新型コロナなどのウイルスを室内に持ち込まないように玄関に手洗い場を設置したり、ドアや壁などに抗菌処理加工を施したりする人が増えているそうです。ウイルス対策としては全館空調で換気を徹底し、さらに宅配ボックスで外部との接触機会を減らすという方法もあります。中古住宅の場合は、リフォームなどで必要な設備を入れて新型コロナなどのウイルス対策ができるかどうか、専門家に相談してみるといいでしょう。

コロナばかりに意識が向かいがちですが、近年は地震だけでなく大雨や洪水などの水害も増え、住宅に被害を及ぼす事例が多くなっています。大地震や二次災害に強い耐震構造の住宅はこれからもますます需要が高まるでしょう。また、ゼロエネルギーハウス(ZEH:ゼッチ)を選ぶことで、太陽光発電で災害時でも発電をすることができます。

 

地震の揺れを最小限に分散する住宅、万一の際は建替えを保証するサービスなどもありますので、災害リスクに対応した住宅かどうかも忘れずにチェックしておきましょう。

 

水害のリスクを避けるためには、ハザードマップだけでなく土地の形状などにも注目しましょう。土砂災害は山のふもとの造成地などで起こりがちですが、市街地でも崖沿いや斜面などは注意が必要です。川の近くはもちろん、以前川が流れていた場所、田んぼや貯水池を埋め立てた場所などは地盤が弱く浸水のリスクがあります。

 

また、水に由来する地名がついている場合はかつて水にゆかりのある地であった可能性が高い地域です。それらの地域では水害をはじめ自然災害になる可能性が高くなるため、事前に調査するとよいでしょう。大地震の際は、湾岸エリアでなくても、地下水位が高い砂地盤等は液状化することがあるため、地盤が弱い地域は注意しましょう。

土地付き一戸建てを購入する場合、資産価値は重要なポイントになります。遠方への転勤などで将来売ることになった場合は資産価値が高いほど有利になりますが、仮に価値が下がれば住宅ローンの残債だけが残ってしまいます。

 

都心部の一等地、ターミナル駅の近くはコロナ禍に関係なく人気が高いエリアです。希少性が高く、資産価値も維持しやすいといえるでしょう。しかし、都心部でも人気のないエリアなどには比較的手ごろな価格で購入できる物件もあるといいます。住みやすい環境で都心からのアクセスがいい場合は将来資産価値が下がる可能性は低いかもしれません。駅から離れている場所でも商業施設がそろい、暮らしやすいエリアもあります。大きなターミナル駅の周辺駅で、駅から少し離れているエリアも狙い目といえるでしょう。

建売住宅や中古住宅の場合は間取りなどが自分たちの希望に沿わないこともあります。もし、広い空間がある場合は間仕切りを設置することで自由にアレンジすることができますが、近年は簡単にワークスペースをつくることができる商品など、比較的低価格で設置できる設備の販売も増えています。子ども部屋やプライベートスペースが欲しいという場合は、工事がいらない設置型の小部屋もおすすめです。

 

間取りを変更するためにリノベーションする場合は、住宅の構造によって工事が可能かどうかを見極める必要があります。壁で建物を支える構造になっている「2×4工法」では壁を取り払うことができないため、柱と梁(はり)で構造が組まれている建物を選ぶのがいいでしょう。しかし、間取りに気を取られて地震などの対策をないがしろにすることはできません。中古住宅を選ぶ際は、耐震性に優れた構造を選ぶことが大きなポイントとなります。住宅選びの際は、耐震性やリノベーションのしやすさの両方を専門家の意見も聞きながら選ぶようにしましょう。

コロナ禍は住宅の内見にも影響しています。実際に自分の目で確かめるのが一番ですが、最近はオンラインで内見ができる物件もあります。現地にいる担当者とビデオ通話を通して内見できるシステムとなっており、自宅にいながら住宅の下見をすることができます。ただし、住宅メーカーによっては近所の展示場からオンラインで下見をするなど、利用条件が異なります。

 

複数の候補地がある場合はオンライン相談・内見をし、気になった住宅には実際に足を運んでみるなど、安心して購入を決める方法を検討しましょう。周辺環境などは車などで確認するのもおすすめです。

 

自宅でオンライン相談や内見を行う際は、以下のポイントに注意しましょう。

オンライン相談・内見をする際の確認ポイント

  • チェックしておくべきポイントや質問事項を書き出しておく
  • 内見時には音やにおいなど、現地に行かないと判断できないことを必ず質問する
  • Web会議などと同様のシステムを使うため、良好な通信環境を整えておく

特に、普段動画を見すぎて通信制限がかかっている場合などでは、正しく映像が受信できないなど、オンライン内見が行えなくなってしまうこともあります。当日になって焦らないよう、Wi-Fiを利用する、使用する機器をしっかりと充電しておくか電源につないでおくなど、あらかじめ良好な通信環境を準備しておきましょう。

 

オンラインでの内見に対応しているかどうかは、不動産会社によって異なります。LIFULL HOME’Sではオンラインでの相談に対応している物件を特集しているので、こちらも利用してみてください。

コロナ禍の今、建売住宅や中古一戸建て住宅を購入する際にはそこで生活することだけではなく、テレワークで仕事をすることも考えて住宅を選ぶ必要があります。住宅選びの際は立地条件や周辺環境、こだわりの条件などを総合的に判断し、納得のいく住宅を選ぶようにしましょう。災害リスクに備えてハザードマップを確認したり、耐震性能が優れた住宅を選んだりといったことも大切です。

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