プロが教える「競売」と不動産売買
競売にも内覧制度(買受希望者に不動産内部を見学させる手続き)は存在しますが、所有者の協力を得られない場合が多いので、事実上利用できません。そのため、競売物件の入札に参加したいと思っても、事前に室内を確認できないなどの不利益をこうむってしまいます。しかし、それ以外にもいくつかのデメリットやリスクが存在します。そこで、どのようなマイナス要因が具体的にあるのかまとめてみました。
1998年に民事執行法が改正され、住宅ローンを活用して競売物件を購入できるようになりました。競売物件の所有権移転登記と銀行の担保権設定登記を、同時にできる手続きが制定されたのです。その結果、不動産業者のほか、一般の人が入札に参加するケースも多くなっています。不動産競売では、低価格で物件が処分されるので格安で住居用物件の取得が可能です。住宅ローンを活用できれば、用意する自己資金の額も抑えられます。そのため、競売物件を購入する際に住宅ローンが活用できることは大きなメリットだといえるでしょう。
しかし、金融機関の中で競売物件を購入する目的の住宅ローンを取り扱っているところは限られています。また、対応可能な金融機関でも不動産業者に限定し、個人の申込者は門前払いされる事例も目立っています。しかしながら、競売物件の人気が一般の人にも広がってきたことから、信用金庫や地方銀行では柔軟に対応してくれるところも増えています。
ただし、初めて競売物件の入札に参加する個人に対しては慎重です。経験や実績のない人は、競売物件の取得方法を理解していないことも多く、競売の入札へ参加しても落札できる可能性は高くないでしょう。したがって、融資のリスクも多くなるため、容易に対応してもらえないのです。初めて競売物件に入札する人が住宅ローンを利用したいなら、金融機関と入念に話し合わなければなりません。それにより融資を認めてもらえる場合でも、かなりの時間を要することは覚悟しておきましょう。
また、個人がスムーズに住宅ローンの融資を受けたければ、競売を専門とする不動産業者にサポートしてもらいながら申込をすると効果的です。確かな実績のある業者が間に入れば、金融機関側も個人の競売物件取得に対する懐疑的な考え方を変える可能性があります。その結果、融資の審査が下りる確率も高まるでしょう。競売の専門不動産業者は、事前に競売物件を入念に調査し、その結果を資料にまとめて金融機関へ報告するサポートをしてくれます。そのため、金融機関からの信用を勝ち取り、スムーズに住宅ローンの手続きを進められるのです。
とはいっても、競売物件を購入する目的で利用する住宅ローンは、一般の人には敷居が高いことは否めません。だからこそ、競売の専門不動産業者を活用すれば、一般流通物件を購入するときに利用する住宅ローンと同じ感覚で利用できるでしょう。
競売物件が落札されると、裁判所が買受人へ売却しても問題ないか否かを判断します。これを売却許可決定といいますが、問題がなければ1週間程度で許可が出ます。その後、買受人が代金を支払えば競売物件を取得できるのです。
しかし、代金の支払いは納付期限までに一括で支払わなければなりません。この点が競売物件を購入する際のネックになります。競売物件の価格は、市場価格より30~50%程度安いのが通常です。競売では、市場価格を基準にして不動産査定の価格が割り出されます。それでも数百万円単位のお金が必要です。場合によっては数千万円から数億円かかることもあるでしょう。そのため、一度に高額資金を調達できなければ競売物件を購入できません。
ただし、自分の資力だけで代金一括払いに対応できない場合でも、競売物件の購入をあきらめる必要はないでしょう。ほかから資金援助を受ける方法がいくつかあるからです。まず、住宅ローンを利用する方法があります。競売物件は不確実性やリスクもあるので簡単に融資を受けられませんが、競売の不動産専門業者を上手に活用すれば、金融機関から融資を引き出せる可能性はあります。
自分が住むための家を取得する目的で競売物件の落札を考えているなら、親から資金援助を受けるのも一つの方法です。親から数百万円単位の資金援助を受けると、多額の贈与税がかかる可能性もあります。しかし、その点も問題ありません。親から住宅取得資金の贈与を受ける場合、一定限度額まで非課税となる特例制度があります。この非課税制度の適用を受けるには、受贈者である子の年収が2000万円以下であることが必要です。
また、親から贈与を受けた翌年3月15日までに、住宅取得資金を支払って取得した物件に居住していることも要求されます。これらの要件を満たした場合、2020年3月31日までであれば、最低でも700万円までの贈与税が非課税になるのです。
親の資金援助が数千万円単位にのぼるなら、相続時精算課税の特例を併用しましょう。20歳以上の子や孫が、親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、2500万円までの贈与税が非課税になります。住宅取得資金の贈与の特例制度と併せて利用すれば、3000万円以上の贈与を非課税にすることが可能です。なお、受贈者の子や孫がこの特例制度を利用するには、親や祖父母から贈与を受けた翌年3月15日までに住宅取得資金を支払って取得した物件に居住するか、それが確実だと見込まれる必要があります。
不動産競売で物件を取得した場合はさまざまなリスクが想定されますが、瑕疵担保責任を問えないことも大きな問題でしょう。競売の流れの中で取得した物件は、深刻な欠陥が少なくありません。例えば、床下にシロアリが潜んでいるケースです。シロアリは木が主食なので、木造住宅内の壁や柱が食い荒らされる被害にあいます。また、屋根に隠れた損傷があり、そこから雨漏りが起こる場合も考えられます。通常の不動産売買で取得した物件からこのような問題が発生したときは、一般的に売主は買主へ責任を負います。これを瑕疵担保責任といい、買主は売主へ瑕疵の修補を求めたり、損害賠償請求をしたりすることが可能です。
また、欠陥によって購入した目的が達成できない場合、契約の解除を請求できます。この責任は無過失責任とされているので、売主側が隠れた瑕疵の存在を知らない場合でも免責されません。そのため、取引した物件に隠れた瑕疵が存在しても、買主側は一定の保護を受けられるのです。
一方、家競売では瑕疵担保責任の規定がありません。競売とは、債権回収手続きであり、不動産売買取引ではないからです。民法570条でその旨が定められています。したがって、競売物件に隠れた瑕疵が存在しても、買受人は元所有者へその責任を問えないのです。競売の手続きにおいて低価格で物件を取得できるのは、このようなリスクの存在も理由の一つです。
また、市場で行う不動産売買でも任意売却の場合は通常、買主は瑕疵担保責任を追及できません。任意売却とは、借金整理目的の不動産売買のことですが、契約上は瑕疵担保責任が免除されるのが一般的です。そのため、買主は任意売却で購入した物件の隠れた瑕疵のリスクを負わなければなりません。
しかし、不動産競売でも、買受人が元所有者へ責任を追及できるケースがあります。それは、取得した競売物件に権利関係の瑕疵がある場合です。例えば、競売流れの中で借地上の建物を取得したとします。その際、借地権が設定されていない場合がこれに当たります。また、本来設定されていない用益権がついている場合も同様です。
このような場合、買受人は元所有者へ解除や代金返還を請求できます。ただし、元所有者は基本的に経済的困窮状態の人が多いため、買受人が権利関係の瑕疵を根拠に代金返還請求をしても実現できないことが多いでしょう。そのような場合は、不動産の処分代金の配当を受けた債権者へ代金返還請求が可能となっているので安心です。
さらに、損害賠償請求は原則認められませんが、元所有者が権利関係の瑕疵を知りながら申し出ないときは請求できます。債権者が権利関係の瑕疵を知っていながら競売申立をした場合も同様です。元所有者や債権者に悪意がある場合のみ、損害賠償請求が認められています。
競売で不動産を購入するときは瑕疵担保責任を問えませんが、権利関係の瑕疵に対する責任だけは追及できるため、デメリットばかりではないのです
競売物件を購入する人は、基本的に自分ですべての手続きを行わなければなりません。手続きの際、買受人に不都合な事態が生じても、自分で解決する必要があります。つまり、競売の利用は、すべて自己責任だと理解しておく必要があるでしょう。
不動産会社の仲介で一般流通物件を購入するときは、仲介担当者が手続き面でサポートしてくれます。そのため、自分で手続きすることはほとんどありません。また、不動産会社は、売買契約の締結前に、重要事項の説明を行う義務があります。重要事項説明書という書類を交付して、物件の情報を説明するのです。重要事項説明書には、対象となる物件の現況や権利関係、利用の制限事項などが記載されているため、買主側は対象となる物件の詳細な情報を把握することが可能です。もし、重要事項の説明の内容が違う場合は不動産会社へ責任追及できます。したがって、競売よりも手間がかからず、デメリットやリスクも少ないのです。
競売の場合も、物件情報を確認する方法はあります。裁判所に三点セットと呼ばれる書類が備えられており、それを確認すれば物件情報の把握が可能です。三点セットとは、現況調査報告書、不動産評価書、物件明細書のことをいいます。しかし、重要事項説明書と比較して、詳細に記載されていない場合も少なくありません。そのため、物件情報を把握しきれないケースもあるので、やはりリスクが伴います。
また、事故物件をつかまされてしまう事例もめずらしくありません。事故物件とは、人の自殺や不審死が起きた訳あり物件のことです。一般市場で事故物件を売却する場合、売主側に告知義務が課せられます。そのため、買主が事故物件をつかまされることは皆無といってよいでしょう。
一方、競売でも裁判所が処分対象の物件を調査します。しかし、事故物件の事実を見逃してしまうケースも少なくありません。裁判所へ申立てられる競売の数が多いため、限られた時間の中で処理され、気付かない場合があるのです。それから、裁判所の手続き費用は、競売物件の処分代金から捻出されます。競売は債権回収を目的で行われるので、処分代金は債権者への配当を優先する傾向があります。それにより、手続き費用も抑えられ、最低限の調査しかできないのが大きな理由です。
また、裁判所が競売物件を調査する際に非協力的な所有者も多く、詳細な情報を得にくい現状があります。それらの事情により、事故物件の事実が見逃され、そのまま競売により処分されてしまうのです。
自分が気に入った物件を見つけたら、確実に購入したいと考えるでしょう。しかし、競売物件の場合は、購入できないことも少なくありません。市場取引のときは、売主側と条件が整えば通常は物件を購入できます。契約上で特別な事情が発生しない限り、取引が流れることはないでしょう。
一方、競売の場合は、入札方式で物件の買受人を決定します。入札方式とは、決められた日や期間内に最高額を指定した人が落札できるシステムです。最高額の買受人以外の人は落札できません。そのため、不動産競売の入札手続きに参加しても、必ず物件を購入できるわけではないのです。法改正により、入札手続きは参加しやすくなりました。格安で物件の仕入が可能なので、多くの不動産会社も入札手続きに参加しています。さらに競売代行を行う専門業者の参加者も多くなっています。そのため、一般の人が入札手続きに参加しても、落札が難しい環境となっており、デメリットが生じてしまう可能性も高いでしょう。
不動産競売で物件を取得できない場合、それまでに費やした手間が無駄になってしまいます。入札に参加する際に金額を指定する必要があるので、対象物件の事前調査を行わなければなりません。三点セットを閲覧したり、現地まで足を運んで調査したりするケースも多いでしょう。その結果、競売物件を落札できれば、これらの行動が意味のあるものとなりますが、落札できなければ、無意味なものとなってしまうのです。
また、入札時には保証金を用意しなければなりません。競売物件の売却基準価額にもよりますが、数百万円単位となる場合も多いでしょう。一般の人にとって、容易に準備できる金額ではないので、資金調達の労力も伴います。したがって、競売物件を落札できなければ、それも無駄になってしまうのです。ただし、入札時に納めた保証金自体は無駄になりません。落札できなかった人が納めた保証金は、後日裁判所から返却してもらえるからです。経済的な損失は発生しないので、この点は心配しなくてもよいでしょう。
代金を一括で支払わなければならないこと、手続きは自分で行う必要があること、買受人の保護が不十分であることなど、競売物件取得にはさまざまデメリットやリスクが存在します。一般流通物件を購入したほうが無難に取得できる可能性が高いでしょう。
ただし、競売で生じるデメリットやリスクの対応策も存在します。専門業者を活用したり、資金援助を受けたりすることにより、ピンチをチャンスに変えられるのです。デメリットやリスクを把握した上で競売を活用すれば、よりよい物件に巡り合える場合もあるでしょう。
(2017年11月)
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