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自己破産以外の債務整理の方法

自己の債務を管理できずに、債務超過で支払い不能状態となった場合の債務整理の方法として、自己破産について取り上げてきました。実は、債務の整理をしなければならないとなったとき、自己破産以外にも法的な整理手続があります。それが、任意整理、特定調停、個人民事再生手続です。これら3つの法的手段と自己破産の制度の違いを明確にしつつ、どの選択肢がどのような場合に、ベターな解決策となり得るのかを確認していきましょう。

任意整理

自分で管理することができなくなった、債務を整理するための法的な手続の一つとして、任意整理といわれるものがあります。任意整理の最大の特長は、裁判所を関与させないということです。債務者自らが金融業者と交渉することも可能ですが、法律に疎い一般人である債務者には少々荷が重い交渉となります。そこで弁護士や司法書士という専門家に依頼して、金融業との交渉を任せることになります。

1.交渉内容

債務者の代理人である弁護士等の専門家が、金融業者と債務の減額及び分割払いによる支払いについて交渉を行います。あくまで交渉による話し合いですから、大幅な減額を期待することは難しいでしょう。支払回数については基本3年間分で、最大5年間分までになります。毎月返済していくのであれば、36回から60回払いまでとなります。

2.手順

  • 専門家への相談・依頼
  • 専門家から金融業者への受任通知発送
  • 債務調査、金融業者への取引履歴開示請求
  • 利息制限法に基づく残高を算出
  • 和解締結・分割返済の交渉

以上の手続に約3か月から半年ほどかかるのが、通常です。

3.メリット・デメリット

メリット

  • 裁判所を関与させずに行いますから、家族や知人、会社に情報が洩れることが100%ありません。
  • 依頼した専門家が金融業者に受任通知を発送した段階で、金融業者は債務者に直接取り立てをすることができなくなります。そのために厳しい取り立てに攻め立てられることもなくなります。
  • 将来利息をカットできるので、金利不安がなくなります。
  • 一部の債務についてだけ交渉することが可能です。親戚や知人からの債務以外について任意整理を行うことも可能です。

デメリット

  • 交渉がまとまらないと、和解が成立しないという結末を迎えます。
  • 5年程度は新たな借り入れやローンを組むことができなくなります。

4.自己破産との比較

自己破産では債務の免除、すなわち債務をゼロとすることができますが、任意整理では減額をするのが精一杯です。しかも大幅に減額ということは期待できません。また、任意整理では金融業者との交渉がまとまらないことも、可能性としてゼロではありません。裁判所や破産管財人を介して、確実に手続きが進んでいく自己破産とは、この点が大きな相違点となります。

5.どのような人が任意整理に向くのか

安定した収入源があり、長期間にわたって返済のための原資を確保できる方には、任意整理という手続きが向いています。返済期間を長くして、多少の債務額の減額があれば返済可能となるような場合ということです。また、借金の原因が浪費やギャンブルという方の場合には、自己破産の免責不許可事由と判断される場合もあるので、任意整理の方が向いていると思われます。但し、それなりの収入が継続的にあることが前提です。

特定調停

自分で管理することができなくなった債務を整理するための法的な手続の一つとして、特定調停といわれるものがあります。特定調停の最大の特長は、裁判所を関与させておきながら、弁護士等の専門家は絡ませないところにあります。
簡易裁判所が、申立人である債務者と債権者である金融業者との話し合いがスムーズにいくように仲裁します。そして、返済条件の軽減等の合意が成立するように働きかけを行い、債務者が債務を整理して、経済的生活を立て直せるように支援します。

1.調停内容

債務者の返済条件を軽減することで、債務者の経済的生活の立て直しを図ります。しかし調停という制度であるため、あくまでも債務者と債権者である金融業者との合意がなければ、和解に達することができません。また調停成立までの期間の遅延損害金や、調停が成立した後の利息(将来利息)を支払わなければならない、という和解が成立することも多々あります。これらは任意整理では基本的にカットされるものであり、調停という制度で行われる交渉の限界なのかもしれません。

2.手順

  1. 特定調停の申立書類の作成
  2. 特定調停の申立(債権者の住所を管轄する簡易裁判所)
  3. 事件受付票の交付・調査期日の指定
  4. 調停委員の選任(裁判所)
  5. 調査期日(裁判所・本人)
    ※1〈和解成立〉
  6. 調停調書の作成
  7. 調停調書に基づく返済開始
    ※1〈和解不成立〉
  8. 調停に代わる決定
    ※2〈債権者同意〉
  9. 調停に代わる決定に基づく返済
    ※2〈債権者不同意〉
  10. 調停不成立
    ※1和解の成立・不成立で進行が変わります
    ※2債権者の同意が得られるかどうかで結論が変わります

特定調停を申し立ててから1ヵ月ほどで、調停委員と申立人(債務者)による調査期日が設定されます。この調査期日というのは、申立人(債務者)の事情聴取を行う日のことです。この調査期日には、債権者は出廷することはありません。

3.メリット・デメリット

メリット

  • 弁護士等の専門家に依頼せずに、裁判所を後ろ盾にして手続きを進めることができます。任意整理を個人で行うよりも、手堅い方法といえます。
  • 債務額を減額できる可能性があります。
  • 一部の債務についてだけ交渉することが可能です。親戚や知人からの債務以外について特定調停を行うことも可能です。

デメリット

  • 交渉がまとまらないと、和解が成立しないという結末を迎えます。
  • 任意整理では専門家に依頼する場合、専門家が債権者に送付する受任通知によって、債権者の取り立てを止めさせることができました。しかし特定調停では、裁判所に申し立てをするまでは、債権者の取り立てを止めさせることができません。申立ての準備にはそれなりの時間を要するため、どうしても任意整理よりも遅くなります。
  • 特定調停では、あくまで現在の借金の支払条件を交渉するため、過払い金については、別途訴訟を起こすなどの手段をとる必要があります。
  • 調書は裁判の判決と同じ効力があります。そのため、債務者が調停調書による支払いを滞らせると、債権者は調書によって、強制執行を容易に行えます。
  • 調停委員は債務整理の専門家とは限らないため、債務者に不利な内容で和解してしまう可能性もあります。
  • 信用情報機関のブラックリストに氏名が登録されます。

4.自己破産との比較

自己破産では、債務の免除、すなわち債務をゼロとすることができますが、特定調停では減額をするのが精一杯です。しかも大幅に減額ということは期待できません。また、特定調停では金融業者との交渉がまとまらないことも、可能性としてゼロではありません。裁判所や破産管財人を介して、確実に手続きが進んでいく自己破産とは、この点が大きな相違点となります。

5.どのような人が特定調停に向くのか

安定した収入源があり、長期間にわたって返済のための原資を確保できる方には、特定調停という手続きが向いています。返済期間を長くして、多少の債務額の減額があれば返済可能となるような場合ということです。また、借金の原因が浪費やギャンブルという方の場合には、自己破産の免責不許可事由と判断される場合もあるので、特定調停の方が向いていると思われます。但し、それなりの収入が継続的にあることが前提です。
任意整理と比較すると、デメリットが多いため、利用される件数は年々減少する傾向があります。

個人民事再生手続

自分で管理することが出来なくなった債務を整理するための法的な手続の一つとして、個人民事再生手続といわれるものがあります。個人民事再生手続の最大の特長は、裁判所を関与させて、債務(借金)を最大五分の一に減額してもらい、3年から5年で返済していくというものです。イメージとしては、自己破産と任意整理の中間というような感じでしょうか。

“小規模個人再生手続”と“給与所得者等再生手続”の2種類があります。
給与所得者等再生手続は、サラリーマンのような給与所得者を対象としていますが、現実的にはあまり使われていません。それは、自分の可処分所得額(自分の収入の合計額から税金や生活費用として政令で定められた費用を控除した残額)の2年分以上の金額を支払わなければならないためです。したがって以下、小規模個人再生手続について説明します。

1.個人民事再生手続の内容

再生計画案を作成して裁判所に認可されれば、債務は計画案に記載された額にまで減少されます。その際債務を、最大五分の一に免責とし、それを3年で支払うという計画案にしておけば、理想の計画案と言えます。3年での分割支払いが完了すると、残りのすべての債務が免除されます。返済期間については、5年までの長期分割弁済が認められることもあります。

2.手順

  1. 個人民事再生手続の申立書類の作成
  2. 個人民事再生手続申立
    ※1〈弁護士等専門家が代理人の場合〉
  3. 審尋(省略する裁判所あり)
    ※1〈債務者のみで手続きを進める場合〉
  4. 個人再生委員の選任
    ※2 手順3、4から(手順5に続く)
  5. 再生手続開始決定
  6. 再生計画案の提出
  7. 債権者の議決・債権者への意見聴取
    ※3〈再生計画案認可〉
  8. 債務(借金)の減額
  9. 支払い
  10. 計画通りの支払完了で残額は免除
    ※3〈不認可〉
  11. 不服申立てするか、自己破産等を検討

個人再生委員の選任については、裁判所毎に異なる対応をしています。東京地裁では申立人に専門家の代理人がいるかいないかに関わらず、必ず個人再生委員を選任しています。
個人民事再生手続開始決定後、申立人は計画案にある毎月の返済予定額を個人再生委員に支払います。計画案通りに返済ができるのかという、リハーサルという位置づけです。

3.メリット・デメリット

メリット

  • 遅くとも個人民事再生手続の申立てをしたときから、債権者に直接取り立てをされることがなくなります。
  • 債務額(借金)を最大五分の一にまで減額できます。
  • 借金を作った理由を問われません。
  • 特定の職業を継続できます。
  • マイホームなどの高価な財産を所有し続けられます。

デメリット

  • マイホームを残すような場合、減額された債務(借金)の他に住宅ローンも引き続き支払う必要があります。
  • 信用情報機関のブラックリストに氏名が登録されます。

4.自己破産との比較

自己破産では債務の免除、すなわち債務をゼロとすることができますが、個人民事再生手続では減額をするのが精一杯です。
しかし、マイホーム等の価値の高い財産を手元に残しておくことができます。

5.どのような人が個人民事再生手続に向くのか

支払い不能な債務額が高額となっていても、マイホームなど没収されたくない高価な財産を所有している場合や、自己破産すると仕事を続けられないような方に非常に有効だといえるでしょう。また、浪費やギャンブルによって自己破産できないような人にも向いているでしょう。

まとめ

自分で債務の管理ができなくなり、債務超過で支払い不能となったときに、債務を整理する法的手続きは、全部で4つあります。自己破産、任意整理、特定調停、個人民事再生手続です。このうち裁判所を介さずに行うものは任意整理だけです。個人で金融のプロである金融機関と交渉しなければならないということは、非常に厳しいため、弁護士等の専門家に依頼した方が、よりよい結論を導けるのではないでしょうか。

一方裁判所を介する他の3つの法的手続のうち特定調停は、債権者の合意を得ることが難しく、利用者も年々減少する傾向があります。このようにみてくると、実質的に有効な法的手続きとしては、任意整理と個人民事再生手続、自己破産の3つということになります。

3つそれぞれに長所と短所がありますが、収入源と財産及び何を重視したいかで選択肢を選ぶべきでしょう。返済できる収入がない場合は自己破産がお薦めとなります。マイホーム等の大きな価値を持つ財産を残すことを重視するならば、個人民事再生手続がよいでしょう。家族や身内に内緒にすることを重視し、継続的な収入があるのならば、任意整理がお薦めです。任意整理では債務が免除されませんが、専門家にお願いすれば、債権者である業者との交渉も上手くまとまる可能性が高まります。

(2017年11月)

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