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家はどうなる?自己破産ガイド

自己破産のメリットとデメリット

自分で自分の債務を管理できなくなり、債務超過となって、かつその返済が不能となってしまったとき、破産を決意できるのです。“自己破産”“破産宣告”という暗い、じめじめとしたイメージの言葉ですが、本当にメリットがあるのでしょうか。答えは「ケースバイケース」です。時には、自己破産をしたら“日陰者”・“脱落者”・“負け犬”なのではないかと、心配されることもあるでしょう。

しかし、破産法という法律は、破産者の再生を目指す法律でもあり、手続を進めることでメリットをもたらしてくれます。但し、破産宣告(破産手続開始決定)した者に無条件で、メリットを享受させるわけではありません。当然の見返りとしてのデメリットは覚悟しなければなりません。メリットとデメリットをしっかりと確認していきましょう。

自己破産のメリット

破産宣告(破産手続開始決定)を受けるメリットは大きく分けて2つです。“精神的自由の享受”と“経済的自由の享受”です。精神的な自由の享受は更に2つに分けられますから、合計3つということになります。1つずつ詳しく確認していきましょう。
最初は、精神的自由の享受です。

1.自己破産をするということは、自由な意思決定権を行使できるということです。誰かに押し付けられた選択肢ではありません。あくまでも自由意志による任意の債務整理の選択肢なのです。債務超過に陥り返済不能になってしまった自分が、自らの意志で考え、決定した任意の債務整理の道なのです。この道を歩くことで、債権者による強制執行さえも、止めることができます。とても強い任意の債務整理の道を自分の意志で選んだのです。そしてこの道は、自分の意志でしか、歩くことができません。

2.破産宣告(破産手続開始決定)の申立てをすれば、債権者による執拗な取り立て・借金返済の請求から解放されます。正常な日常生活を妨げる取り立てから自由になれ、精神的な圧迫・恐怖から解放されます。安心して、夜もぐっすりと眠ることができるでしょう。このように、精神的自由を十分に享受できるようになります。

3.そして、最後に経済的自由です。破産手続を経て免責決定がなされると、抱え込んでいた債務が免責されます。つまりすべての借金がゼロになるのです。こんな凄いメリットを、法律が後ろ盾となって与えてくれるのです。まさに、自己破産をする最大のメリットです。もう、苦しみながら借金を返済する生活とは、さよならです。もう、借金の返済請求にビクビクする必要はありません。

自己破産のデメリット

債務超過となり返済不能状態となって、自己破産の道を歩き出したなら、精神的な自由(自由意志による決定権行使、返済の督促からの解放)と経済的な自由(借金の免責)を享受できることを確認しました。今度はデメリットを確認しましょう。ものごとには、光の側面があれば、必ず影の側面があります。表があれば当然、裏側があるものです。見かけの華やかさの裏には、陰湿な部分が隠れています。美しい花には鋭い棘があるものです。
そこをしっかりと理解しておかないと、こんなはずではなかったと、後悔することになります。

1.信用情報機関のいわゆる、ブラックリストに氏名が登録されます
日本には三つの信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行協会)があり、クレジットカードを使ったり、キャッシングをしたりすると、実は全員の情報が登録されているのです。その証拠に、クレジットカード契約をした段階で、信用情報機関に対して情報を提供したり、情報を照会したりすることが利用規約に謳われています。

自己破産をすると、そこに更に破産者であるということが登録されます。したがって、7年から10年はローンを組んだりキャッシングをしたりすることはできなくなります。全国銀行協会が最長10年間の登録となります。銀行口座は普通に使え、キャッシュカードもデビッドカードとしては機能しますが、キャッシングはできません。クレジットカードも使えないので、周囲の方にその辺りを勘繰られないように気をつけましょう。

2.自己破産することで、債務をゼロにしてもらう免責許可を得られます。法的制度の恩恵に与れるのですから、当然それなりに自分の財産も失うことは覚悟しなければなりません。不動産を所持していれば、失います。自宅を所有していたならば、引越しを余儀なくされます。車も失います。現金、預貯金、解約した保険の返戻金なども失います。過払い金があって、返還請求して戻ってきたお金も、基本的に取り上げられてしまいます。

生活必需品に関しては手元に残すことが何とかできます。これとこれは残したいというような、任意の決め方ができるのではなく、どういうものを残せるのかは、きっちりと決まっています。更に、99万円以下の現金ならば手元に残すこともできます。しかしそのくらいのものを残せるだけで、多くのものを失うことには変わりはありません。

3.生活における制限事項

・一定の職業に就くことができません
破産宣告(破産手続開始決定)の申立てをしたときから免責手続が終了するまでの間、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士などの士業や質屋、古物商、生命保険外交員、宅地建物取引士、警備員になることはできません。会社の役員にもなれません。役員だった場合は退任手続きが必要です。

・郵便物を直接受取れない可能性
破産管財人が選任された場合に、裁判所は申立者(債務者)宛の郵便物を破産管財人に
回送させる決定(回送嘱託)をする場合があります。しかも破産管財人には、郵便物を開封する権限が認められているのです。

・身体拘束(引致)を受ける可能性
破産手続をしている最中に、裁判所が必要だと判断すると、身体を拘束される(引致)場合があります。しかし、裁判所や破産管財人に非協力的な態度を示しながら破産手続を進めていけば、実際に引致される可能性があるということです。

・氏名の公表
破産の申立てをしたときと免責許可決定がなされたときに、官報に氏名が掲載されます。いわば、世間に破産者として公表されるということになりますので、プライバシーを制限されることになります。しかし、官報に氏名が公表されるのであり、新聞に公表される訳ではありませんから、そこは多少安心です。

自己破産する際の手順

破産宣告(破産手続開始決定)を申立てて、実際に債務の免責が決定されるまでの一連の手続の流れについて、確認しておきましょう。

1.破産宣告(破産手続開始決定)申立ての準備

裁判所に様々な書類を提出する必要があります。裁判所に提出する書類を、一般の人が作成することに慣れているはずもありません。したがって、少々面倒な作業にはなります。
先ずは、自分の住民票のある住所を管轄する裁判所に、必要書類について問合せをしてみましょう。なぜなら、破産の申立書は、裁判所によって書式が異なることが多いためです。
以下が必要書類の一覧です。

破産の申立てに必要な書類

  • 破産手続開始・免責許可申立書
  • 陳述書
  • 債権者一覧
  • 資産目録
  • 家計状況
  • その他の添付書類

2.破産宣告(破産手続開始決定)申立て

破産申立て書類の準備が調ったら、いよいよ破産の申立てをします。直接管轄の裁判所に持参しても構いませんし、郵送でも可能です。不明な点は事前に管轄の裁判所に問合せておきましょう。

3.破産手続・免責手続

破産の申立てをすると、破産管財人が選任される場合があります。破産管財人が選任されると、後はほとんど破産管財人に任せておけばよいのです。過払い金があるのかないのか、あった場合の返還請求まで、すべて任せることができます。

ただし、債権者への通知や裁判官に事情などを訊かれる審尋は、自らが対応する必要性があります。更に裁判所や破産管財人に求められた追加資料の作成等の対応はしなければなりません。破産手続が終わると、免責手続となります。

破産管財人が選任されない場合は、ほとんど財産が無い場合です。したがって破産手続開始と同時に廃止(終了)となり、免責手続きに移行します。これはどういうことか、説明をしておきましょう。破産手続というのは申立人(債務者)の財産を換金して、債権者に配当することです。ところが配当できる財産が無いということが既に明らかな場合には、開始と廃止(終了)を同時に決定した方が、効率がよいということです。

免責手続では、免責不許可事由の有無を調べる調査の後、裁判所において免責審尋(免責審問)が行われます。この免責審尋(免責審問)には、必ず出廷する必要があります。免責不許可事由が無ければ、心配することなく、免責となるでしょう。免責不許可事由がある場合でも、裁判所による裁量免責という仕組みがあります。これは裁判所の心証次第ですから、どのような印象を与えられるかという、目に見えない心の問題です。慎重に対応することが肝心です。

このように自分で自己破産を申し立てることは十分可能ではあります。しかし実際に申立て書類を作成するのは、かなり大変な労力を必要とします。そこで、一般的には弁護士や司法書士の専門家に依頼することが多いというのが実情です。この場合には、専門家の報酬を負担しなければならなくなります。

自己破産するかの判断基準

それではどのような状況になったら、自己破産の準備を始めればよいのでしょうか。
その基準は“借金を払えなくなったら”です。また、その基準は、人それぞれです。

例えば借金が200万円あったとします。毎月手取りで16万円の給料の方と50万円の給料の方では状況が全く違います。50万円の給料の方は、支払能力があるとして、まず自己破産を認められることはないでしょう。一方、16万円の方は一概には決まりません。親と同居し、家賃ゼロで預貯金が50万円という生活をしていて、車とバイクを新車で所有しているならば、やはり自己破産を認めてもらうことはできないでしょう。しかし、預貯金が0円、家賃が月85,000円で都会での一人暮らしだったらどうでしょう。この場合でも簡単には自己破産はできないでしょう。家賃を下げるとか、他の支出を減らす等の対策で、借金を返済できる可能性があるからです。

では30万円の借金を返せない場合はどうでしょう。30万円でも返済できないのならば、自己破産は可能です。例えば生活保護を受けている方が30万円の借金を背負ったならば、返済は不能でしょう。生活保護を受けている方は、生活に必要な最低限の金額しかもらっていないはずですから、理論的には借金返済の余力はないはずです。破産宣告(破産手続開始決定)の申立てをすれば、免責許可が出るでしょう。

ここまでみてきたように、一概に借金いくらで自己破産というような具体的な基準は、ありません。収入よりも返済額が多くなる状態(債務超過)となり、自己の所有する財産(現金、預貯金、有価証券、不動産、保険解約金)でも返済できない場合に、自己破産をすることができるとしか、言いようがないのです。したがって、個別の状況で判断をすることになります。

債務を整理する方法には、任意整理・特定調停・自己破産とありますが、その中で一番強力な効果をもたらしてくれるのが、自己破産による債務の整理です。任意整理や特定調停という債務の整理の仕方は、借金がゼロになることはありません。自己の債務整理の方法として、自己破産は強力な効果を得られる分、多大な犠牲も強いられる可能性があるということを知っておかなければなりません。自己破産によって債務を整理する場合でも、任意整理・特定調停でも、債権者が異議を申し立てることには変わりはないのです。借金をゼロにするために、自己破産の強力な効果(免責)を欲するのであれば、ある程度覚悟を決めておく必要があるでしょう。

まとめ

自己破産ができるかどうかは、個人的な要素との関係が大きいために、一律の基準というものはありません。借金の目安は200万円というようにも言われていますが、20万円でも人によっては返済できずに、自己破産することは可能なのです。節約と分割支払いでも本当に返済できないならば、自己破産を検討すべきです。自己破産をした場合のメリット、デメリットを十分に確認していただきましたので、自己破産を選択されるならば、デメリットを覚悟した上でメリットを享受することになります。

債務管理が不能となり、債務超過かつ支払不能になった際には、十分に検討して結論を導き出しましょう。その時に自己破産という道を選択したのであれば、堂々と歩んでください。自己破産を認めているのは破産法という法律なのです。刑法ではありません。つまり、自己破産は犯罪ではないのです。前科者になったわけではありません。
ただし、デメリットについての認識と、免責不許可事由がある場合には例え2%であっても、免責不許可になる可能性があることは頭の片隅に置いておいてください。

(2017年11月)

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