リフォーム済み物件+リノベーションで実現したこだわり空間


リビングからキッチン方向を見たところ。壁天井などは既存のままで、床材を元のフローリングの上から貼り直している

リビングからキッチン方向を見たところ。壁天井などは既存のままで、床材を元のフローリングの上から貼り直している

彼女と一緒に暮らそうと思ったことをきっかけに、住宅の購入を考えはじめたというOさん。
もともと古着が好きだったり、古いマンションの屋上のペイントハウスを改装した知人宅に好印象を持っていたこともあって、中古物件をリノベーションするという発想は自然な流れだったそう。ご自身で物件探しを進める中、希望のエリアでリペア中の物件に出会い購入を決意。
立地や景色は申し分なかったものの、平凡な内装に物足りなさを感じてしまい、もっと自分たちらしくリノベーションできればと、ブルースタジオのセミナーに訪れ、その後、個別相談会に参加。「予算は250万円くらいなんですけど、リノベーションできますか?」そんな第一声で、スタートしたと担当の石井氏は振り返ります。「部屋や家具、小物類を撮った写真も持参されていて、それを見ると世界観がきっちりとある。
編集者とイラストレーターのカップルだけあって、センスが良くてかっこいい。
少し手を加えるだけで住みやすい空間ができると思い、その場でデザインをご提案しました」(石井氏)大きな変更点は4つ。
庭に面した2部屋は間仕切りを取り払ってひとつながりの空間に。
古材を使ってパーテーションを作り、リビングとワークスペースは緩やかに分けています。新品ですが平凡だった既存の床の上にはオーク材の無垢のフローリングを貼り、家具の雰囲気に合わせました。クローズドタイプで閉塞感のあったキッチンは、リビング側の壁に窓を開けて開放感を出しています。さらに、リビングの一角には、収納が少なくなった分をカバーするためのコンテナ型のウォーク・イン・クローゼットを設置。
これは、構造上の柱の凹凸を補う形になっています。リフォーム済みの物件だったため、水回りや天井、壁などはそのまま。
キッチンやバスなどの設備もそのまま使うようにし、コストを抑えています。「リノベーションを前提に物件を探す場合、リフォーム済みを敬遠する人がいますが、やり方によっては、リフォーム済みの方がお得な場合もあります。
今回のように、共有スペースなどのスタイリングを変えるだけで、雰囲気を一変させることができるんです。
しかも、フルリノベーションの場合よりもコストをかなり抑えられます」(担当者)
リビングの一角にはコンテナ型のウォーク・イン・クローゼット。構造柱のでっぱりをカバーするように作られている

リビングの一角にはコンテナ型のウォーク・イン・クローゼット。構造柱のでっぱりをカバーするように作られている


世界観づくりに参加できことで、より愛着が


リビングは本棚を兼ねた白いパーティーションで仕切られている

リビングは本棚を兼ねた白いパーテーションで仕切られている

リフォーム済み物件を購入し、さらにリノベーションで自分らしい雰囲気に仕上げるという方法で理想のマイホームを実現したOさん。
物件購入やリノベーションの過程などについて、お聞きしました。
パーテーションの向こうは、二人が並んで作業できるワーキングスペース

パーテーションの向こうは、二人が並んで作業できるワーキングスペース

 
パーテーションは古材を一度塗りした雰囲気ある仕上げ

パーテーションは古材を一度塗りした雰囲気ある仕上げ


——住宅の購入に至った経緯やエピソードなどをお聞かせください。


彼女と一緒に暮らそうと思って、物件を探し始めました。
賃貸ではなく、購入というのは両親の考え方の影響も大きかったと思います。長く住むことを意識すると、街の見方が少し変わりましたね。
「もし、子育てをするなら…」など、その時は身近じゃなかった要素も入ってきましたし。物件探しは自分でしました。
古い物件を扱うWebサイトをチェックして、よさそうなのがあると直接電話して…といった感じで、内見まで行ったのは7件ほど。
毎回、それぞれの間取りでの家具の置き方などを想像してノートに書き込んだりして、楽しい経験でした。途中、手付金まで払った物件があったんですが、価格交渉をしている途中に満額の人が出て、購入できず。
その経験で、より本気になったと思います。購入にあたって予想以上にたくさんの人が関り、たくさんのステップもあって、とても感慨深いものでした。

——現在の物件に決めたのは?


自身でリノベーションする方法と、リノベーション済み物件の両面から探していたとき、ちょうどリペア中の物件に出会いました。
明るくて庭があったこと、景色が抜けていたこと、マンションまでの緑道が気持ちよかったことが、決め手となりました。

——その後のリノベーションについてはいかがですか?


物件が決まってからだったので、予算も少なく、ダメもとでブルースタジオさんの個別相談会に参加したところ、その場でなんとか実現可能なプランを提示していただいて、驚きと期待に満たされました。それ以降、同年代の担当デザイナーさんについていただき、イメージを伝える打ち合わせを重ねて、すごく楽しかった。
アメリカのDIYセンターで売っている照明ソケットやランプ、扉のパーツなど、相談しながらも自分たちで買いに行って、世界観づくりに参加できたことで、より愛着がわいています。
ウォーク・イン・クローゼットの取手は電車用のパーツ

ウォーク・イン・クローゼットの取手は電車用のパーツ

 
キッチンの壁に開けた窓からリビングが見える。窓枠は電車をイメージしたもの

キッチンの壁に開けた窓からリビングが見える。窓枠は電車をイメージしたもの


——具体的なリノベーションのこだわりポイントは?


昔から好きな古着や古い看板、古本、おもちゃなど、モノがいっぱいあったので、その雰囲気に合うような感じで全体をイメージして、深い色の木の床、古材の壁、スチールのパーツなどを使ってます。洋服を収納するクロークは、ブルースタジオさんからのアイデアで、木製のコンテナをイメージした大きなボックスにしてもらいました。
その取手も工業製品で使われるようなゴツイものを使用しています。
本や雑貨が沢山あるので、それらを収納しつつ、籠もれるようなスペースにしてもらいました。あと、購入時に新品だったキッチンはそのまま利用していますが、シンクの前の壁を抜いて、電車の窓枠のようなデザインの窓をつけました。
リビングとつながったので相手の顔を見ながら料理ができるようになりましたね。

——実際に住んでみてのご感想はいかがですか?


モノを集めるのが好きなタイプで、どんどん増えていってしまうので、収納がもっとほしいなと思いますが、それを言い出すとキリがないので、取捨選択して生きていこうと思います(笑)。好きな空間に長く居れて嬉しいですね。古い物件のリノベーションなので、気を使わずに、床にペンキがこぼれても、それも“アジ”くらいの気楽な感じが気に入っています。