素材への徹底したこだわりが見える空間
住宅雑誌などから写真をファイリングして、場所ごとに使いたい素材や色を具体的に設定していたというご主人。
そのファイルからは、素材への並々ならぬこだわりが伝わってくる。
奥さまも感心するその情熱がつくり上げた空間は、たくさんの素材が共演しながら活かし合う、まとまりのある世界観に仕上がっている。

この写真の中だけでも、何種類もの素材を見ることができます
直天井に足場板。使いたい素材をファイリングする中で出会った、リノベーションという手法。
―キッチンのボディや収納、小上がりの和室の壁、通路の壁など、ポイントとなるところに足場板が使われていますね。
ところどころ白く塗られていて、とても印象的です。
ご主人: 足場板は絶対に使いたいと昔から思っていたんです。
武骨な素材感やくすんだ色が好きで、仕上げの素材には徹底的にこだわりました。
雑誌などから写真を切り抜き、場所ごとにファイリングして、使いたい素材の候補を挙げて、設計者の山田悦子さんに相談しました。
―キッチンや洗面室の壁のアンティーク調のタイルもご主人のご希望ですか?
キッチンは目地が茶色で、洗面室は白。ディテールへのこだわりも感じます。
ご主人: 海外の古い物件やニューヨークのロフトのような雰囲気が好きだったので、タイルはぜひ使いたいと思っていました。石っぽい素材が好みなんです。
茶色の目地はとあるカフェの外観に使われていたタイルを参考にしました。洗面室は小さな空間なので、圧迫感が出ないように白い目地にしています。

キッチンの通路側の面材は濡れた手でさわるので木ではない素材を使用
―そういった素材がお好きなのは昔からですか?
ご主人: 学生時代から「いつかコンクリート打ち放しのデザイナーズマンションに住みたい」と思っていて、壁紙や畳、フローリングなどの一般的な内装には魅力を感じませんでしたね。
情報収集しているうちに、リノベーションという手法にたどりつき、自分の好きな空間につくり変えられることを知り、とても惹かれました。
―この物件でも天井はコンクリートの躯体が、無塗装でむき出しになっていますね。
ご主人: 天井も高くなるので、直天井にすることは物件探しを始める前から希望していました。奥さま: 実はスケルトンになったときに、雑誌などで見るよりラフな印象だったので、「本当に大丈夫かな?」と思ったのですが、完成してみると足場板などの素材との相性が良く、とても気に入っています。
設計者のアドバイスで、色彩豊かで飽きのこない空間が実現。
―浴室や洗面室を囲むボックス状の壁はブルー、寝室の壁はラベンダー色に塗られていてポイントになっています。
リビングの壁はブラウンで落ち着いた雰囲気ですが、テクスチャーが残っていて独特の風合いですね。
ご主人: ブルーとラベンダー色は、どこかにこんな色を使いたいと希望を出していて「玄関やリビングから見える寝室の2面と、水まわりのボックスはどうですか?」と山田さんからご提案いただきました。リビングの壁は、最初からポーターズペイントを使って、自分たちで塗装することを希望していて、ワークショップにも参加したんです
。リビタのコンサルティング担当の大嶋さんにも手伝ってもらって、2日間で塗り上げました。

色を大胆に使いながらも落ち着いた空間
―ハケ跡も味わいになっていて、とても良い仕上がりですね。
光の反射で表情が変わるのも素敵です。
ご主人: ありがとうございます。実は最初は明るめのブルーで塗ろうと思っていたのですが、山田さんのアドバイスでこの色になったんです。
出来上がってみると、おっしゃっていた意味が良く分かり、さすがだなと。
私たちの希望を上手くまとめていただきました。
長く暮らしても、飽きのこない空間に仕上がったと思います。リビタ 大嶋: Iさんの世界観がしっかり山田さんに伝わっていたので、山田さんもイメージをまとめやすかったのだと思います。
これだけたくさん素材を使っていても、お互いを活かし合っていてバランス良く仕上がっています。
―具体的な素材のセレクトはどのように決めていったのですか?
ご主人: 設計者の山田さんにファイルを見せてこちらの希望を伝え、山田さんがその希望をふまえてサンプルを準備してくれて、そこから選んでいきました。
サンプルを見て「これを使うとどんな家になるのか?」と想像するのが楽しくて、素材選びはとても面白い作業でした。奥さま: 出来上がってからは、もう素材が選べないことを残念がっていましたから(笑)。
―それにプラスして設計者側からの視点で、的確なアドバイスがあったということですね。
奥さま: 床は足場板だと裸足で歩くには不向きとか、キッチンの通路側の面材は濡れた手でさわるので木ではないほうがいいとか、女性ならではの細やかな提案をいただいて、快適性も損なわない選択ができたことがとても良かったです。

ゆる~くわけた空間でまったり時間を過ごす。都心であることも忘れてしまいます
物件探しや設計者の選定で、選択肢が広がるサービス
―リビタでは最初のご相談から、物件探し、設計者の決定、設計、施工まで一人の担当者がコンサルティングを行ないますが、そのことについてはいかがでしたか?
ご主人: 物件探しの段階でエリアについても大嶋さんからアドバイスをもらいました。実はこのエリアにはほとんど馴染みがなかったのですが、すすめてもらって内見しているうちに「ここもアリかな」と思うようになりました。リビタ 大嶋: 環境の良さや都心近くという利便性、物件の管理体制の良さなど、総合的に見て、とてもおすすめできる物件でしたから。

新宿にいながら窓からは緑が。環境の良さや都心近くという利便性が実現できたのもリノベーションだからこそ
―設計者を決めるときには、リビタから何人か候補を提案するのですか?
リビタ 大嶋: Iさんのご希望に合わせて、何人かご提案させていただきましたが、最初から山田さんがおすすめだということはお伝えしていました。Iさんがやりたいことをとても具体的に持っていたので、それを拾い上げて一緒につくっていくタイプの設計者が良いと思っていましたから。結果として山田さんをご紹介させていただき、良いマッチングができました。ご主人: ワンストップのサービスよりも、コンサルティングというスタイルでより広い選択肢から設計者さんを検討できるところが、リビタに惹かれた理由でもありました。物件探しも設計者さん探しも、全部自分で手配するのは難しかったでしょうし、リビタにサポートしてもらったことで、結果的に選択肢はとても広がったと思います。リビタ 大嶋: 私も担当させていただいて、とても楽しかったし、勉強になることも多かったです。Iさんと山田さんの掛け合いで、相乗効果が出てここまで良い物件がつくれたことに、このサービスの面白さを再確認できました。ご主人: 大嶋さんが一緒につくってくれているという感覚があったし、常に私たちの目線に立って提案してくれたので、リノベーションを存分にやり切って、楽しめたという気持ちです。文:村田保子/撮影:鈴木拓也

