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リノベーション概要

所在地 東京都世田谷区 専有面積 54.80m²
物件価格 2,700万円 リノベーション費用 800万円
管理費 11,090円 修繕積立金 12,940円
構造・規模 鉄筋コンクリート造 竣工年 2007年
土地権利 所有権
設計 株式会社ブルースタジオ 石井健、石井大吾

東急世田谷線沿線が気に入って、築35年のマンションを購入してリノベーションしたTさんご一家。9階建ての6階、約54平米のお部屋には、専有部のおよそ半分を占める"土間"があります。一昔前の和の生活様式を実現されたお住まいを拝見します。

古民家への強い憧れ

古民家に強い憧れがありました。できれば鎌倉あたりで平屋の一戸建てに住むのが理想でした。しかし、都心の仕事場にも近い方がいいので現実には難しい。では都心にいながら「和の生活様式」を取り入れてみようと考え、「畳の上でごはんを食べ、夜は片付けてふとんを敷いて寝る」といった一昔前の生活スタイルを希望したのです。結果として小上がりの畳とフローリングのリビングが"家の中"、そして玄関から広がる土間が"家の外"のような不思議な空間が出来上がりました。

モルタル仕上げの土間は床面積の半分以上を占める

土間部分はリビングより低く、この段差があるおかげで、同じ室内でも異なった雰囲気が楽しめます。和の生活様式に欠かせない、リビングの半分を占める畳スペースもポイントです。こちらも小上がりにして段差を付けてあるので、空間を区切る役目をしてくれています。 また、シンプルな素の感じを出すために壁は躯体コンクリートむき出しにしました。以前の貼られていた壁材を剥がしたボンドの痕も一つ一つ削っていただきました。粗い表情が素朴でありながら、ざっくりとしたモダンな印象も与えてくれています。

ものがこぼれても心配ないキッチンの床

キッチンの特徴も玄関から続く土間の床です。多少のものがこぼれても心配ありません。L型に配置し、立つ位置から部屋全体が見渡せるようにしました。天板とシンク、ガスコンロに食洗機を組み込んだだけのシンプルでオープンなキッチンです。天板の材質は天井の黒に合わせて、黒い天然石のタイルにしました。

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キッチンの天板は、実はバス・トイレの床と同じ黒い天然石のタイルだ。

ガラスブロックから部屋の灯りが差し込むバスルーム

バスはユニットバスではなく、在来工法でお願いしました。居室とは扉一枚で区切り、内部はバス、トイレ、洗面台、洗濯機スペースをコンパクトに納めました。むき出しのコンクリートブロックで囲まれているので、屋外の離れのような印象です。床が黒のタイルで、内部の壁がモルタル仕上げのため、全体的に暗めの仕上がりです。その分、壁の上部をガラスブロックにし、部屋の灯りが浴室内にやさしく入りようにしました。落ち着いた癒しの空間です。

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洗面からバスルーム上のガラスブロックをのぞむ。

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モルタル仕上げの土間の続きではあるが、バス・トイレの床は黒のタイルにしてある。

収納も書斎も、土間の中

玄関脇はもともと四畳半の小さい部屋がありました。この場所を改修時は壁を設けず、広い土間スペースとしました。主に書斎として使っていますが、一人用のソファで本を読んだりフリーに使っています。以前は居場所のなかった自転車も置くことができました。 この玄関とリビングを分ける役目をしているのがクローゼットです。壁は天井まで届いていないので圧迫感がありません。一つの白い小さな納屋のような場所です。内部は一部をくり抜いており、収納を兼ねる階段を上れば子供用のロフトスペースに出ることができます。ロフトの壁面には小さな窓があり、リビングと空間をつないでいます。子供は大喜びで遊んでいます。

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書斎。すぐ左側が玄関。


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before


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after

購入者の声

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T さん

家族構成:夫婦+子供一人

職業:公務員

物件を購入しようと思ったキッカケ

住んでいた社宅の退去時期が迫っていたことと、子供が生まれたことです。これを機に購入しようと思いました。家探しの段階でリノベーションをやろうと決めていました。リノベーションのことを知ったのは5~6年前くらいだと記憶しています。雑誌かネットで見かけて「これしかない!自分もやってみたい」と。

購入してリノベーションしようと決めた理由

古いもの大事にする考え方に共感しました。物件の価格も低くなるので、自分の気に入った街を選び、かつ自分好みの部屋作りができることが魅力でした。

困ったエピソード

中古マンションは、「リフォーム済み」の物件が多い! 確かに安くてすぐに住みたい人にはありがたいのでしょうけど、リノベーションを前提に選ぶにはありがたくありません。リフォームしないでその分物件価格が下がってくれたほうがうれしい。資源もお金ももったいない。リノベーションを選択する人が増えれば変わってくるのでしょうか??

完成したときの印象

前の住居の退去期限はまだ残っていたので、物件探しものんびり構えていたのですが、突如よい物件が出てきたので、その後、リノベーションまではあっという間の出来事でした。設計の打合せの時から、自分の要望がデザイナーさんのアイデアでどんどん膨らんでいくのがとても楽しかったです。施工中も気になって進行具合をワクワクしながらのぞきに行っていました。

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フローリングのリビングダイニング。こちら側だけを見るとシンプルモダンなスタイル。

実際に住んでみて

まだ生活して1年半ほどですが、和の生活様式はとても自然に受け入れられました。もうずいぶん前からいるような気がするくらい私たちに馴染んでいます。中古マンションは比較的手軽に家作りの醍醐味を味わうことができるので、もし機会があればまたチャレンジしてみたいです。

写真提供:住宅&インテリアマガジン「LiVES」(VOL.38)/撮影:Hitoshi Hasebe

「RIKUBUN」はこちらの雑誌でも紹介されています

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住宅&ライフスタイルマガジン「LiVES」(ライヴズ)
VOL.38 APR.& MAY 2008 特集:新世代のリフォーム・トレンド
発行:Daiichi Progress

デザイン住宅、デザイナーズ・マンション、リフォーム&リノベーション、建築家など、スタイルのある住宅を手に入れるための情報が満載です。