- 土地の公図の役割と地図との相違点
- 公図は、明治時代の地租改正の際に作られた、土地の大まかな位置や形状を示す図面です。現在の地図よりも精度は低いですが、地図が備え付けられていない地域では今でも重要な資料として活用されています。
詳しくは、「土地の公図とは?」をご覧ください。 - 土地の公図を手に入れるための手順
- 公図は、法務局やその支局・出張所で取得できます。不動産の地番を調べ、申請書に記入して提出します。法務局の窓口に行く時間がない場合は、郵送やインターネットを利用した取得方法も選択できます。
詳しくは、「土地の公図の取得方法」をご覧ください。 - 公図をめぐる近隣との問題を避ける
- 公図は現状と異なる場合があり、隣地との境界トラブルの原因になり得ます。事前に隣人と立ち会いのもと境界を確認し、境界標を設置したり、正確な実測図を作成したりすることで、トラブルを未然に防ぎましょう。
詳しくは、「公図によるトラブルを回避するために事前予防に努めよう」をご覧ください。
土地や不動産の調査時や境界線を設ける際に、“公図“(こうず)を求められることがあります。
公図という言葉を耳にしたことがあっても、具体的な内容がわからず、一般的な地図と混同されている方も多いかもしれません。
今回は公図とは一体どういったものなのか、取得方法と併せて紹介します。
土地の公図とは?

公図とは、土地の大まかな位置や形状を表した図面で、その多くは明治時代の地租改正の際に作成されました。
現在の登記所(法務局)には、土地の区画を明確にするための資料として地図が備え付けられていますが、地図が備え付けられるまでの間、“地図に準ずる図面”として地図代わりに公図が備え付けられていました。
当時の技術では正確な測量が難しかったこともあり、現状とは異なることもありますが、公図以外に土地の位置や形状が記載されている資料がない地域では、土地の大まかな位置や形状を把握するための資料として今でも利用されています。
現在では“地籍調査”という事業のもと、公図を正確な地図へ置き換える作業が進行していますが、2018年(平成30年)度末時点で進捗率は全国平均52%にとどまっています。
地図との違いとは?
登記された一筆の土地ごとに区切られた図面である公図に比べ、地図は住宅や商業施設で区切られた図面です。現在においては、地図のほうが土地の面積や距離、形状、位置についての正確性が高く、土地の詳細がより把握しやすいでしょう。
公図から正確性の高い地図に書き換えられつつあるため、1つの土地に両方の図面が存在することはありません。
土地の公図の取得方法

公図は、法務局や支局、出張所といった登記所で取得できます。公図を取得したい不動産の地番を控え、法務局に備え付けられている申請書に記入したら、係員に提出しましょう。
この際、注意すべきポイントとして、記入に必要な地番は「○○区○○町○丁目○-○」といった一般的によく見かける“住居表示”とは異なります。地番がわからない場合は、登記所に備え付けてある“ブルーマップ“と呼ばれる地図で確認をするか、登記所の職員に聞いてみてください。
また、公図は入手に限らず、閲覧もできるので、確認だけしたいという場合も法務局を訪れましょう。
公図は法務局の委託を受けたサービスを通してインターネットでも取得可能ですが、現在すべての地図や地図に準ずる図面のデータ化が完了しておらず、データ化されていない土地に関しては、不動産のある地域を管轄する登記所のみでしか閲覧・取得ができないので注意が必要です。
また、郵送を希望する際は、法務局のホームページで申請書を入手し、記入後に収入印紙(1筆につき450円)を貼り付けて郵送すると、数日程度で公図が自宅に届きます。
法務局など登記所が遠い方や自宅が遠方にある方はインターネットや郵送などの取得方法も活用しましょう。
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公図によるトラブルを回避するために事前予防に努めよう

公図しか資料がない地域では、土地の境界(筆界)に関する記録が十分でないため、隣家との境界がわからず土地を十分に活用できない、面積表記が曖昧になるため土地が売買しづらいといったトラブルが生じる可能性もあります。
特に後者の場合、過去の測量が正確でなかったため、登記されている土地面積が間違っていることがあります。
トラブルを避けるためにも、隣人と確認をしたうえで境界標を設けるなど、日頃から境界がきっかけで起こり得るトラブルの防止に努めましょう。隣人立ち会いのもと、正確な実測図を作成するのもトラブル防止に効果的でしょう。
公図や地図の正確性は、土地の所有権や筆界には影響なし
公図は大まかな地図であるため、現状とずれていることも多々ありますが、土地の所有権や境界に対しての影響はありません。公図は、あくまで土地の大まかな位置や形を知るために使われます。
公図を上手に活用しよう
精度の高い地図に比べ、明治時代につくられた公図は、精度自体は低いものの、地図が備わっていない地域では重要な書類として扱われています。ほかにも当該土地が分筆されたものではないか、公図と同じように土地が活用されているかなどの確認ができます。
このように、公図を上手に活用することで購入予定の住宅用地や現在住んでいる土地などの調査に役立てることができるので、必要があれば公図の取得手続きをしてみてください。
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Q.1:そもそも「公図(こうず)」とは何ですか? 普段見ている地図とは違うのでしょうか?
A.1:公図とは、土地のおおまかな位置や形を示した図面です。主に明治時代に作られたもので、現在の地図のように精度は高くありません。私たちが普段目にする住宅地図とは異なり、法務局で保管されている専門的な資料です。
Q.2:なぜ古い公図が、今でも必要になることがあるのですか?
A.2:より精度の高い地図への切り替えが、まだ全国で完了していないためです。新しい地図が整備されていない地域では、公図が土地の概要を知るための重要な手がかりとして、今でも利用されています。
Q.3:土地を買って家を建てたいのですが、公図は見ておいた方がいいですか?
A.3:確認することをおすすめします。購入を検討している土地のおおまかな形状や、隣の土地との位置関係を把握するのに役立ちます。
Q.4:公図はどこで、どうやって手に入れることができますか?
A.4:最寄りの法務局やその支局・出張所の窓口で取得できます。そのほか、オンラインで請求したり、郵送で取り寄せたりすることも可能です。
Q.5:公図の取得には何が必要ですか? 住所を伝えればいいですか?
A.5:住所(住居表示)ではなく、「地番(ちばん)」という土地固有の番号が必要です。地番が分からない場合は、法務局に備え付けの「ブルーマップ」という地図で確認するか、法務局の職員に尋ねてみましょう。
Q.6:公図に書かれている内容が、実際の土地の様子と違うことがあると聞きました。その場合、どうなるのでしょうか?
A.6:公図は古い技術で作られているため、実際の土地の広さや形と異なっている場合があります。ただし、公図の内容がそのまま土地の所有権や境界を決めるわけではありません。あくまで、土地のおおまかな位置関係を知るための参考資料です。
Q.7:公図が原因で、隣人と土地の境界をめぐってトラブルになることはありますか?
A.7:はい、その可能性はあります。公図しかない地域では、隣の土地との境界線(筆界)がはっきりせず、認識のずれからトラブルに発展することがあります。
Q.8:隣人との境界トラブルを未然に防ぐには、どうしたらいいですか?
A.8:トラブルを防ぐには、隣地の方に立ち会ってもらったうえで、土地の境界を示す「境界標(きょうかいひょう)」を設置することが有効です。また、専門家に依頼して土地の正確な測量図(実測図)を作成しておくと、より安心です。
Q.9:公図を取得したり、閲覧したりするのにお金はかかりますか?
A.9:はい、手数料がかかります。料金は取得方法によって異なるため、詳しくは法務局の窓口やホームページなどで確認してください。
Q.10:公図を見ることで、土地のどんなことが分かりますか?
A.10:土地のおおまかな形や隣地との関係のほか、過去に大きな土地から分割されたのか(分筆)、道路にどのように接しているかなど、その土地の成り立ちを推測する手がかりにもなります。
更新日: / 公開日:2019.10.24










