「中宇治yorinプロジェクト」の舞台となる宇治。小商いをこの地で始めるのであれば、この地でどのような「まちづくり」が進められているのかも知っておきたいところ。宇治のまちづくりに深く関わり、ご自身も宇治への移住者だという京都文教大学 総合社会学部 森正美教授(地域協働研究教育センターセンター長)に、宇治のまちづくりの方向性と街の魅力をお聞きしました。
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宇治川の流れを骨格として、その両岸に古来より人々が移り住み、平安の世には多くの社寺が造営された宇治。1994年(平成6年)には世界文化遺産「古都京都の文化財」として、平等院と宇治上神社が登録されています。かねてより、文化財の保護や景観の維持も意識されているのが宇治の街です。

 

こうした歴史遺産を背景に観光客も多く訪れる宇治では、当然ながら行政や民間ともにまちづくりへのさまざまな取り組みが行われています。現在宇治では、どのようなまちづくりが目指されているのでしょうか?

 

世界の文化遺産として登録された「平等院」と「宇治神神社」。観光地としては、宇治を訪れる8割以上の人々が「平等院」という一極集中化の傾向にある。宇治のまちづくりでは、地域に点在する社寺やお店を回遊する仕組みづくりがすすめられている

世界の文化遺産として登録された「平等院」と「宇治神神社」。観光地としては、宇治を訪れる8割以上の人々が「平等院」という一極集中化の傾向にある。宇治のまちづくりでは、地域に点在する社寺やお店を回遊する仕組みづくりがすすめられている

ご自身も宇治への移住者だという京都文教大学 総合社会学部 森正美教授(地域協働研究教育センターセンター長)に、まちづくりの方向性と街の魅力をお聞きしました。

 

宇治のまちづくりには、大きく分けて「歴史保存」「観光振興」「地域の活性化」の3つのレイヤーが存在しているといいます。そして、森教授によれば、「このレイヤーが今、うまくかみ合ってきているタイミング」だというのです。

 

歴史的な観点からいえば、宇治は重層性のある地域。古代には宇治川を通過する交通の要所として人が集まり、平安時代には社寺の創建を含め都市として大きく発展しました。戦乱の世では、茶の栽培が始まると同時に茶好みの太閤秀吉の庇護により、茶産地としての名声を高めました。こうした歴史深い宇治には、多くの社寺や古民家などが文化財の指定を受け、保護されています。

 

「面白いのは、宇治では生きた文化が多く残されていることです。“伝統的建造物群保存地区”などの指定により、全国的に歴史ある建造物を残す努力がなされています。しかし、これは建物のみの保存であることが多いもの。一方、宇治では、民家や茶屋問屋、茶畑に茶工場など、現在でも操業している生きた文化が残されています。モノだけではない、人の営みそのものが息づいているのが、この宇治の魅力のひとつなのです」

 

宇治市の資料から抜粋。</br>元資料:https://www.city.uji.kyoto.jp/cmsfiles/contents/0000007/7147/gaiyo_4.pdf

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さらに観光の側面では、観光振興基本計画などをはじめ、観光客の8割以上が訪れる平等院への一極集中化から回遊型観光地への移行が進められています。観光プロモーションの強化や「おもてなし」の心を持った人材育成、バリアフリーの環境整備などがその一端を担います。

 

「こうした市政の取り組みと民間の連携も進んできました。例えばJR宇治駅から宇治川までをつなぐ『宇治橋通り商店街』などでは、活発なイベントが企画されています。表通りに関していえば、目立っていた空き家にも店舗が入り、その数はぐっと少なくなってきました」

 

だからこそ、宇治は今、まちづくりの重要なターニングポイントを迎えているのです。言い換えれば、この地で商いを始めるには絶妙なタイミングと捉えることができるのです。

 

「空き家の問題にしても、今ならばまだ持ち主が特定できる段階です。これが時期を逃してしまえば家と人の関係性が切れ、活用しづらくなるでしょう。こうした課題が表面化している今だからこそ、住民の方々も地域活性化への意識が高まっているのです。外部から移住なども受け入れやすい状況です」

 

 

宇治には「大幣神事」という伝統的なお祭りがあります。これは「大幣座」とよばれる担い手が裃を身に着け、大幣を持って中宇治地域を行列して厄払いをします。最後は宇治橋の上から宇治川へ、厄を集めた大幣を投げ入れるというもので、地域の人々には「大幣さん」と長く慕われている初夏の風物詩です。
こうした祭りも文化保存として大切に受け継がれています。

 

土産物屋や飲食店が軒を連ねる、平等院参道。

土産物屋や飲食店が軒を連ねる、平等院参道。

移住者の一人である森教授は、職場である大学に合わせてこの地に移り住んできました。だからこそ、この街の魅力を外から感じることができるといいます。

 

「京都が“偉大なる田舎”だとしたら、宇治は“適度なる田舎”」と面白いキャッチフレーズが森教授の口からは飛び出します。宇治というのは、京都のような大都市の雰囲気とも違い、街の機能を持ちながらも景観は田舎の風情を残しています。街全体はコンパクトであるにも関わらず、歴史もありネームバリューもある地域です。確かに、県外の人がとらえる“宇治”のイメージは、京都に退けをとらないほど良いものがあります。森教授は「そのギャップこそが面白い」と感じているのだとか。

 

「街がコンパクトというのは、人とつながりやすいということでもあります。何かをしたいと思って手を伸ばせば、必ず必要な方につながります。でも村ではないので、あまりにも密接な運命共同体というわけでもありません。異業種がゆるやかにつながる、ほどよい隙間というものもあります。
それでいて、ネームバリューがあり観光客が訪れる場所なわけです。まだまだこれから開拓の余地はありますが、商いを行う場所としてみた場合、地域のもつポテンシャルは高いはずです」

 

路地裏

路地裏

 

ところどころに古民家が

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近頃、中宇治にご自宅を建てられたという森教授ですが、宇治は人々が思う「帰りたい故郷」ではないかと感じているそうです。

 

「散歩をするのが本当に気持ちのよい場所です。うじ橋に立てば思わず深呼吸をしたくなります。東京に住む親戚などが遊びにくると言いますね。なんだかホッとする場所だと。こうした人の琴線に触れる部分。街の雰囲気と息づかいも大切にしながら、まちづくりができればと考えています」

 

宇治の街を歩けば、路地裏に小川が流れ、古き民家の趣に癒される。土地の魅力、そして人と人がつながる楽しみ。歴史を刻んだこの地では、魅力的なお店づくりのアイデアがそこかしこに隠れていそうです。

 

 

かつての木造の橋を思わせるような美しいフォルムの「うじ橋」。橋の中心に立てば、すべてを洗い流してくれそうな川の流れを感じられます。橋のたもとには「紫式部」の記念碑も。「源氏物語」の「宇治十帖」はこの宇治を舞台に物語が展開されます。

 

 

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更新日: / 公開日:2016.04.15