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リノベーションが一般的になってきたとはいえ、まだやっている人は少ない。でも、古い建物の多い馬喰町エリアではリノベーションは当たり前に行われていた。ここでは、東東京エリアにいち早く注目し、リノベーションしてお店を出した感度の高い2店舗を紹介。

 

スターネットは益子焼で有名な栃木県益子町で15年続く店。陶器・食べ物・洋服を中心に地域に根ざした自然素材の商品を扱うショップは、遠くから訪れる人も多い人気店。

 

縁あってこの場所に「スターネット東京」をオープンしたのは2011年2月のこと。

 

CENTRAL EAST TOKYO(CET)という東東京を盛り上げるイベントに、益子の町おこし活動に関するゲストで呼ばれたのが、スターネットのオーナー馬場さん。CETとは、アーティストや建築家が中心となり、空き家でのアートイベント等で東京の東側にアトリエやギャラリーの誘致をした動きのこと。

 

スターネットが東京進出を考えた時に「雰囲気がある物件を」という希望を伝えて紹介されたのが、馬喰町の築50年の建物。CETを通した馬場さんと東東京の縁はこうしてつながった。日本橋、東京、銀座に近い馬喰町エリアは交通の利便性が良いのに、築年数が古いため賃料が安かったのも決め手となった。

 

スターネット東京

スターネット東京

 

スターネット東京

スターネット東京

空き家が続いていた物件は「すごい状態だった」そう。スタッフ全員で掃除からスタートして、細部にまでスターネットのセンスを宿らせたリノベーション空間は、建物が持つ50年の歴史と合わさって、唯一無二の居心地の良さを出している。
リノベーション時に残した階段は横幅の狭さに歴史を感じる。手すりの木は後付、古木を探してきたそう。

 

1階の床は栃木県の大谷石。陶器と、商品を置く木の棚と、大谷石が見事に調和した美しい空間になっている。
2階の鉄製の窓枠はリノベーション後も残した。嵌めこまれた少し波打っているガラスは、今ではほとんど見かけない風情ある佇まいだ。

 

古い物件は借りる人を選ぶ。耐震補強や配管の交換が必要だったり、天井の低さや間取りが気に入らなくても、建物が持っている築年数という歴史を、価値だと感じる人。スターネット東京は、時間でしか作れない建物の価値を生かしながら作り上げた、まるでリノベーションのお手本のようなお店。

 

「日常の暮らしで長く使っていく手作りで天然素材の物を、ここで身近に感じていただきたいです」とスタッフの関さん。商品はもちろん、お店自体の居心地の良さが、15年間人気店であり続ける理由だろう。

 

(上)配管は出さず、梁をすっきりと白に塗った2階の天井 (下)リノベーション時に残した階段

(上)配管は出さず、梁をすっきりと白に塗った2階の天井 (下)リノベーション時に残した階段

 

(上)1階の床は栃木県の大谷石 (下)リノベ後も残した2階の窓枠

(上)1階の床は栃木県の大谷石 (下)リノベ後も残した2階の窓枠

 

(上)2週間に一度、益子からスタッフがやってきて、益子の森で摘んだ植物を生けている (下)スターネットオリジナルの益子焼。カラフルな益子焼は珍しく、お祝い品の需要も多いとか

(上)2週間に一度、益子からスタッフがやってきて、益子の森で摘んだ植物を生けている (下)スターネットオリジナルの益子焼。カラフルな益子焼は珍しく、お祝い品の需要も多いとか

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住所: 東京都千代田区東神田1-3-9
営業時間: 11:00~20:00
定休日: なし

 

(上)スターネットオリジナル、コットンシルクのフレアブラウス 33,000円 麻のギャザースカート 22,000円 (下)スタッフの関さん

(上)スターネットオリジナル、コットンシルクのフレアブラウス 33,000円 麻のギャザースカート 22,000円 (下)スタッフの関さん

「神田金物通り 北出食堂」は、“本当に馬喰町エリアは変わりつつあるのだな”と実感するお店。
神田金物通り、なんて聞くと職人が匠の技を繰り出している絵が浮かぶけれど、その場所に、ニューヨークから食の匠がやってきた。

 

店主の北出さんはニューヨークのブルックリンにある「BOZU」で修行を積んできた。帰国したのは2013年5月で、北出食堂のオープンが12月15日、わずか半年で馬喰町エリアにブルックリンの匂いを産み出した。スタッフもほぼ全員がブルックリン時代の仲間。
本物を知る、価値観が同じ仲間だからこその嘘くさくない空間が広がっている。

 

築44年の元製薬会社をリノベーションした北出食堂。倉庫として使われていた中二階への階段は新設。「天井高のある工場っぽい雰囲気がNYのロフトみたいで良かった」と北出さん。
ブルックリンは古い建物が多い。その建物の特徴を生かしながら自分たちでリノベーションをして暮らしていた北出さんは、お店をリノベーションする時も、建物の素材の良さを残しつつ理想の内装に仕上げていった。この雰囲気ある壁のリノベーションテーマは、“貝殻のような自然にできたグラデーションを!”。NYでエイジング加工を専門にしていた友人が施工したそうだ。

 

薬品に日光が当たらないように、濡らさないように取り付けられていた製薬会社時代の軒先のオーニング(ビニールの庇)はそのまま残した。今では、遠くからでも北出食堂の場所がわかる目印になっている。

 

テーブルの一部は自作。京都の古民家再生事業をしている、岸下建設の吉井社長からほとんどの木材を提供していただいたそう。

 

北出食堂

北出食堂

 

自分たちでリノベーションをした。キッチンは1階の奥に新設。小さなのぞき窓から、キッチンの活気が伝わってくる

自分たちでリノベーションをした。キッチンは1階の奥に新設。小さなのぞき窓から、キッチンの活気が伝わってくる

 

テーブルの一部は自作

テーブルの一部は自作

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出店にあたり、特に馬喰町エリアにこだわっていたわけではなかったけれど、西東京に興味はなかった。
「あっちは完成されていて面白くないじゃないですか」

 

勧められるままに馬喰町に来たら、古い建物が多い街並みがどこかブルックリンに似ていることに気がついて、この街が気に入った。今では家族で暮らしてみたいとも思う。

 

「馬喰町は“これからの場所”ですよ。ここの人口を増やしたいんです」。
こんな思いを持ったお店や人が増えれば、きっとそうなると思う。このリノベーションレストランから馬喰町エリアが盛り上がっていくような、この人たちが何かを始めるような予感にゾクゾクする。

 

「行く意味があれば、人は絶対に来るんです」。
その通り。そして、きっとこういう人たちがその意味を作るんだろうな、と思うと羨ましくなった。

 

北出さん

北出さん

【手作りトルティーヤのタコス 900円】
ビーフステーキ・ハーブで煮込んだチキン・テンペ(大豆をバナナの皮で発酵させたもの)の3種類。野菜たっぷりで女性にうれしい。自家製のディップをつけて美味しくいただきましょう。

 

【岩手県産短角牛100%ハンバーグ 1200円】
ブルックリン流に、脂身ではなく赤身の多い短角牛を使って。肉の旨みがぎゅっと詰まった美味しいハンバーグ。リンゴの皮を発酵させた自家製天然酵母ソースが肉汁に見事にマッチしています

 

【モヒート 1,000円】
モヒートにミントと紫蘇を入れるのがNYの流行りだとか。飲む瞬間にふわっとスパイシーな香りがして、食欲を増大させてくれます。

 

メニュー

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住所: 東京都千代田区岩本町1-13-5 8ビル1階
営業時間: 11:30~23:00(FoodL.O 22:00)
祝日11:30~22:00(FoodL.O 21:00)
定休日: 日曜日

 

※2014年02月06日の情報です。最新の情報は訪れる前にご確認ください。

 

北出食堂

北出食堂

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更新日: / 公開日:2014.02.06