老後の暮らしにおける悩みのひとつに、生活費に関する不安が挙げられます。年金と貯蓄だけで暮らしを維持していけるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。

また、経済面で問題がなかったとしても、認知症などで本人がお金の管理をきちんと行えなくなるケースもあります。

この記事では、一人暮らしの高齢者の生活費やお金の管理にまつわるポイントなどを解説します。

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老後の一人暮らしにかかる生活費は、ライフスタイル以外に持ち家か賃貸住宅かによっても異なりますが、目安を押さえておくことは大切です。

 

総務省が公表している2023年度の「家計調査 家計収支編」によれば、65歳以上の単身世帯の消費支出は月14万9,033円となっています。

 

この結果を基に考えると、年間180万円程度の生活費が必要になりますが、年金受給額が少ない場合、老後の暮らしに不安を感じやすくなります。

 

年金額や貯蓄額を踏まえたうえで、無理のない暮らしができるようにライフプランを考えていく必要があります。

 

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厚生労働省によると、2024年4月分以降の年金支給額は、国民年金(老齢基礎年金)は満額の場合でも月額6万8,000円です。

 

また、会社員で厚生年金に加入している場合、厚生労働省の2022年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均的な受給額は14万4,982円(国民年金も含む)とされています。

 

一人暮らしの場合はすべての生活費を一人でまかなわなければならないため、毎月の支出を抑える工夫も必要になるでしょう。

 

ここでは、年金生活の負担を減らすためのポイントを解説します。

 

公営住宅では、収入が著しく低い、あるいは仕事を辞めたことで収入が減った場合などに利用できる「家賃減免制度」というものがあります。

 

高齢者の一人暮らしで経済面に不安を感じるときは、ひとつの有力な選択肢となるでしょう。

 

公営住宅の所得基準や入居資格は自治体によって異なり、入居は先着順となります。入居を希望する際は、条件を確認したうえで早めに申し込む必要があるでしょう。

 

一戸建て住宅を所有していれば、住み続けるかぎり固定資産税といった税金や、住宅設備の故障に伴う修繕費用などがかかります。一人で住むには広くて管理が大変と感じているのであれば、売却を検討するのもひとつの手です。

 

また、自動車に関しても自動車税や保険料、車検代などの維持費が定期的に発生します。

 

自動車税は排気量によって税金が高くなる仕組みであるため、一人しか乗らないのであれば軽自動車に乗り換えたり、カーシェアリングを利用したりすることも検討しましょう。

 

生活の実態に合わせて、住まいや移動手段を改めて考えてみることで、経済面での負担を減らせます。

 

高齢になってからの医療費や介護費の負担の懸念から、高い保険料のものや、年齢とともに毎月の保険料が高くなる保険に加入している傾向があります。

 

加入している保険は適切なのか、保障内容や範囲を見直してみましょう。

 

養っている家族がいなければ、高額な死亡保険は不要だといえます。また、保険料を低くしても、介護保険を含めた公的医療保険制度の仕組みを理解しておけば、必要以上に不安になることもありません。

 

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元気なうちは自分でお金の管理ができていても、高齢になってくると毎月の支払いや財産の管理などが十分に行えなくなる可能性があります。

 

特に認知症といった症状が現れてくると、本人で管理することが難しくなってくるでしょう。

 

家族が近くに住んでいればサポートも可能ですが、家族だけで支援が困難なときは、国の制度や民間団体の支援事業などを利用してみることも大切です。どのような制度があるのか見ていきましょう。

 

住んでいる地域にある社会福祉協議会では、「日常生活自立支援事業」というものを行っています。主な支援内容は、福祉サービス利用時の契約代行や、お金の管理に不安がある高齢者のサポートです。

 

お金の管理に関しては、預金の払い戻しや預け入れ、解約といった手続き、日常に必要な生活費の管理といった支援を行ってくれるのが特徴です。

 

1時間あたり1,000円程度で利用できるため、それほど費用をかけずに必要な支援を受けられるのがメリットです。

 

また、通帳や印鑑など大切な書類の管理も依頼できるため、高齢の親を詐欺や悪徳な勧誘などから守ることが可能です。

 

財産管理について、国の制度である「家族信託」や「成年後見(せいねんこうけん)制度」を利用する方法があります。

 

家族信託は、認知症などで自身の財産の管理ができなくなったときに備え、あらかじめ信頼できる家族に財産管理の権限を与えておく制度を指します。

 

身近な親族に財産の管理を任せられ、契約内容を自由に決められるのが特徴です。ただ、親族の一人が財産管理を行うことに親族間で不満が生まれることもあります。

 

一方、第三者が財産を管理するのが成年後見制度です。成年後見制度は、財産管理や身上監護(介護や福祉サービスの利用契約、施設の入所や入院などの契約の締結)を、本人に代わって成年後見人等が行う仕組みをいいます。

 

後見人の選任は、家庭裁判所を通じて行い、弁護士や司法書士などが務めるのが一般的です。専門家が対応してくれる安心感がある一方で、報酬が発生する点に特徴があります。

 

なお、保有財産が少ない場合などは、本人があらかじめ任意の後見人を選ぶことも可能です。

 

家族信託、成年後見制度の特徴を押さえ、高齢者本人の意思を尊重しながら活用を検討していきましょう。

 

高齢の親が楽しく、安心して長生きできるようにするためには、他者とのコミュニケーションが欠かせません。

 

地域住民や高齢者同士のコミュニティへの参加を促すなど、金銭的な負担が少ない楽しみを一緒に見つけていきましょう。

 

また、老後の暮らしに不安があるからと、不動産担保ローンやリースバックなどを検討することもあると思いますが、慎重に判断することが重要です。

 

まずは本人の意向を尊重して、どのような形で今後を設計していけば経済的な不安が減り、生き生きとした老後につながるのかを考えてみましょう。

 

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年金生活の不安を減らすためのポイントは?

 

毎月の支出や年金額などの状況を把握したうえで、無駄な支出や負担が大きいと感じている費用がないかを見直してみることが大切です。具体的には、自宅や自動車の売却、保険契約の見直しなどが挙げられます。

お金の管理が不安なときは、どうすればいい?

 

社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援事業や、国の制度である家族信託、成年後見制度などの活用を検討してみましょう。元気なうちにどのような制度を利用するのかを決めておくことで、暮らしの不安を軽減できるでしょう。

 

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