賃貸物件と持ち家のどちらがいいかは、ライフスタイルや細かな状況によって変化します。それぞれのメリット・デメリットを把握することで、自分に合っている住まいを選択できるでしょう。

この記事では、賃貸一戸建てと持ち家を比較し、両者のいい面と注意点を解説します。また、どのような基準で選んでいけばいいかも見ていきましょう。

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ポイント

 

賃貸の一戸建てと持ち家を比較する前に、前提として押さえておきたいことがあります。賃貸物件では老後の資金計画、持ち家では住宅ローンの返済計画がポイントになります。

 

賃貸物件は、住み続ける限り家賃が発生します。そのため、持ち家よりも老後の資金計画を慎重に立てる必要があるといえます。

 

将来も含めて資金に余裕を持てるかを確認し、物件を選ぶことが大切です。

 

住宅ローンで借りたお金は、当然ながら必ず返さなければならないお金です。

 

金利が上昇したり収入が低下したりしても、返済は滞りなく行わなければなりません。そのため、長期にわたって無理のない返済計画を立てられるかがポイントになります。

 

賃貸と持ち家を比較するときは、どちらが得かという金銭的な面だけでなく、社会情勢や仕事の状況、ライフプランや価値観を踏まえて選択することが重要です。

 

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一戸建て

 

それでは、賃貸の一戸建てに住み続けるメリットとデメリットを解説します。これらを知ることで、老後も賃貸物件に住む利点なども見えてくるでしょう。

 

賃貸一戸建てを選ぶメリットは、大きく3つです。

 

初期費用が安い

 

賃貸物件の初期費用は「家賃4~6ヶ月分」とされていて、物件にもよりますが合計数十万円程度で済むことが多いです。一方、持ち家の初期費用は「物件購入費用の5~10%」が相場となり、合計で数百万円規模のコストがかかることが大半です。

 

初期費用の負担だけを見れば、賃貸物件の方が軽いといえます。

 

住み替えがしやすい

 

賃貸物件であれば、家族構成や住環境の変化に応じてフットワーク軽く引越すことができます。万が一、収入が低下したとしても、住み替えることで容易に支出を調整できるのは、賃貸物件ならではの強みです。

 

メンテナンスコストが不要

 

基本的に賃貸物件の維持費や経年劣化による修繕費は、所有者であるオーナーが負担するものです。規約に違反するような使い方をしない限り、借主が負担するケースは多くありません。

 

続いて、一戸建ての賃貸物件に住み続けるデメリットを見ていきましょう。

 

リフォームが自由にできない

 

賃貸物件の借主には原状回復義務があるため、原則として自由にリフォームすることはできません。許可を取らずにリフォームした場合、退去時に元の状態に戻さなければならないため注意しましょう。

 

そのため、年を取ってバリアフリーな住環境にしたいと思っても、対策をとりにくいといった点がデメリットとして挙げられます。

 

自己資産にならない

 

賃貸物件を選択する大きなデメリットは、自己資産にはならない点です。特に定年後には、収入に対して家賃の負担が大きくなりやすいため、家計をやりくりする意識が必要になります。

 

老後の住み替えが難しくなる

 

住み替えがしやすい賃貸物件ですが、高齢になってからの住み替えは難易度が上がります。高齢になると入居審査の際、身元の保証や健康状態に注目される機会が多くなり、審査に通過できないことも。

 

定年後に収入が低下し、家賃の安い物件に引越そうとしてもできないことがある点は押さえておきましょう。

一戸建て

 

次に、持ち家のメリットとデメリットについても解説します。

 

持ち家の主なメリットは、以下の3つです。

 

間取りの自由度が高い

 

注文住宅を新築するのであれば、間取りやデザインの選択肢が広いので、自分の要望を反映させやすくなります。

 

また、建売住宅や中古住宅であっても、リフォーム・リノベーションが可能です。老後のバリアフリー化にも対応でき、生涯を通じて住みやすい住環境をつくることができます。

 

建物・設備のグレードが高い

 

住宅ローンの返済額が賃貸物件の家賃と同等とした場合、持ち家の方が建物や設備のグレードは高くなることが多いです。そのため、持ち家の方が賃貸よりも快適な住環境を手に入れやすいといえます。

 

住宅ローンを完済すれば自己資産になる

 

住宅ローンの完済後は自己資産となるため、気持ちにゆとりが持てます。税金やメンテナンスコストはかかりますが、家賃がかからないのは大きなメリットです。

 

持ち家のデメリットは、主に以下の3つです。事前に把握し、比較するときのポイントとして役立ててください。

 

メンテナンスコストがかかる

 

持ち家の修繕費用やメンテナンスのコストは、すべて自己負担です。また、購入後には固定資産税と都市計画税が毎年かかります。資金計画を立てる際は、これらのコストを踏まえてゆとりを持った計画を立てましょう。

 

住み替えがしにくい

 

持ち家の場合、ライフスタイルや家族構成が変わったとしても、簡単に住み替えができなくなります。

 

住み替える際は、持ち家を売却する、あるいは賃貸に出すことになりますが、売却するためには住宅ローンを完済する必要があり、賃貸に出すためには住宅ローンより金利の高い賃貸用のローンに切り替えなければなりません。

 

そのため、住宅を購入してから間もないタイミングでの売却・賃貸は難しいケースが多いでしょう。

 

一方で、築年数がたってからの売却・賃貸は、物件価値が低くなることで買い手や借り手が見つからないといったリスクが生じます。

 

初期費用の負担が大きい

 

持ち家の初期費用は前述したとおり、物件購入費用の5~10%程度です。

 

ここでいう初期費用とは、不動産取得にかかわる税金や手数料、住宅ローンの保証料や各種保険料などのことで、「頭金」は含んでいません。頭金を準備するのであれば、さらに自己資金の準備が必要になります。

 

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コストをシミュレーション

 

実際に持ち家と賃貸一戸建てに住み続けた場合のコストをシミュレーションしてみましょう。

 

今回は、以下の条件でシミュレーションを行いました。

・入居期間はどちらも50年

・家賃(管理費込み)と住宅ローン返済額はそれぞれ毎月10万円

・火災保険料の条件は賃貸が「2年に1回更新:2万円」、持ち家が「5年に1回更新:15万円(地震保険料込み)」

 

まずは、いくらぐらいの住宅を購入できるのか、LIFULL HOME’Sの「住宅ローンシミュレーター」で試算します。

 

住宅ローンの返済期間を35年、金利は全期間固定の1.5%とした場合、結果は約3,270万円となりました。

 

次に、3,270万円の住宅ローンを組んで住まいを購入したときの総住居費を計算します。利息を含んだ総返済額は約4,025万円です。

 

購入時の初期費用(諸費用)を物件価格の5%とし、税金・火災保険料・修繕費を年間40万円とすると、トータルコストは次のようになります。

持ち家の総住居費(50年間)のシミュレーション

 

・住宅ローン総支払額:約4,025万円

・初期費用:164万円

・税金・火災保険料・修繕費:2,000万円

総住居費:6,189万円

ただし、持ち家の場合は住宅ローン控除の減税効果もあるので、実際の費用は上記の金額よりも多少は下がると考えられます。

 

次に、賃貸物件の住宅コストをシミュレーションしてみましょう。物件の更新費用を2年に1回・家賃1ヶ月分とし、初期費用を家賃の5ヶ月分として試算した結果は以下のとおりです。

賃貸一戸建ての総住居費(50年間)のシミュレーション

 

・家賃:6,000万円

・初期費用:50万円

・更新費用:250万円

・火災保険料:50万円

総住居費:6,350万円

シミュレーションの総住居費は持ち家とほぼ同じくらいですが、住宅ローン控除を踏まえると、持ち家の方が若干負担額は少なくなると想定できます。

 

ただ、賃貸では子どもが独立したあとなどに、家賃の安い物件に住み替えるといった選択がある点は有利といえます。

 

上記のシミュレーションを踏まえて、自分にはどちらが向いているのかを考えると共に、ライフプランが今後どのように変化しても対応できるよう備えておくことが大切です。

一戸建て

 

賃貸一戸建てと持ち家のどちらがいいかを判断するときのヒントとして、それぞれどのような人に向いているのかを解説します。

 

賃貸物件に向いている人の特徴は、以下のとおりです。

・実家の近くに引越す予定がある人

・海外移住や田舎での暮らしに憧れている人

・仕事で転勤や転職する可能性がある人

上記の特徴からいえるのは、ライフプランに不確定な要素が多い人の方が賃貸物件に向いているという点です。

 

また、家のメンテナンスや住宅ローン返済を負担に感じているのであれば、賃貸物件の方が住みやすいといえます。

 

持ち家に向いている人は、以下の条件に当てはまる人だといえます。

・老後の住居費についての悩みを解消したい人

・収入が安定している人

・住宅ローン返済のめどがつけられそうな人

持ち家は、ローン完済後の住居費が安くなるのが特徴です。老後の暮らしの安定性を重視するのであれば、持ち家の方が向いているといえるでしょう。

 

また、住宅ローンの借り入れでは、安定した収入があることが条件となります。住宅ローンを使って住まいを購入するのであれば、定年までに住宅ローン返済のめどが立っていることも大切なポイントです。

 

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賃貸物件を選択するメリットはどこ?

 

初期費用が安いことと、住み替えがしやすい点です。ライフスタイルの変化に応じて住む場所を変更でき、支出の調整をしやすい点がメリットです。

持ち家のメリットは何?

 

住宅ローンの完済後にその家が資産となる点です。メンテナンス費や税金はかかりますが、気持ちにゆとりが生まれて生活ができるようになるでしょう。

賃貸物件に向いている人はどんな人?

 

賃貸一戸建てを借りるのに適している人は、ライフプランに不確定な要素が多い人です。転職や転勤の可能性がある、将来実家の近くや海外への転居を考えているのであれば、賃貸物件を選択した方がフレキシブルに動けます。

 

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