居住者同士のトラブルにおける主な原因のひとつとして「生活音」が挙げられます。アパートやマンションは集合住宅であり、お互いに快適な生活を送るためには騒音トラブルへの配慮が欠かせません。

今回は賃貸で騒音トラブルが起こってしまう原因と対処法、万が一のときの相談先について見ていきましょう。
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騒音トラブル

 

建物のつくりによっても異なるものの、集合住宅の場合は両隣や上下階との距離が近いため、日常的な生活音が騒音トラブルの原因になってしまうケースも少なくありません。

 

ここではまず、どのような音がトラブルにつながってしまうのか、具体的なケースから見ていきましょう。

騒音トラブルの原因

  • テレビ、オーディオ機器の音
  • 楽器演奏、歌声
  • 子どもの足音、騒ぎ声
  • ペットの鳴き声、足音
  • 洗濯や掃除による日常的な生活音
  • 夫婦げんかの声
  • ダイエット器具を使う音

テレビやオーディオ機器、楽器などはそもそも音を出す設備のため、騒音トラブルにつながりやすいことは想像に難くありません。

 

また、子どもの騒ぎ声やペットの鳴き声なども、うるさく感じられてしまう場合があるので注意が必要といえます。

 

しかし、洗濯機や掃除機などの日常的に使用する電化製品の音、夫婦間のやりとりなどもトラブルの原因となってしまう場合があるのです。

 

また、ダイエット器具を使う音など、コロナ禍によって在宅で過ごす機会が増えたことで新たに顕在化した問題もあります。

ピアノの音

 

騒音トラブルが問題化しやすいのは「人によって聞こえ方が異なる」という面も大きく関係しています。

 

どのくらいの音を騒音と感じるのかは、ある程度の個人差があるため、気づかないうちに周囲へ迷惑をかけてしまう可能性があります。

 

ここでは、どのくらいの音量から問題になりやすいのか、騒音に関する基準を見ていきましょう。

 

環境基本法によれば、騒音に関する環境基準が具体的な数値で示されています。具体的な基準値は、以下の表のように地域の類型によって細かく分けられています。

地域の類型

基準値

昼間

夜間

AA

50デシベル以下

40デシベル以下

AおよびB

55デシベル以下

45デシベル以下

C

60デシベル以下

50デシベル以下

地域の類型

  • AA:療養施設、社会福祉施設などの特に静穏が必要な地域
  • A:住居専用地域など
  • B:主に住居としての利用が多い地域
  • C:住居だけでなく商業、工業にも利用される地域

※面する道路の条件によって一部例外あり

 

こうした区分から考えると、一般的な住宅地で賃貸物件を借りるなら「AおよびB」に当てはまる「昼間55デシベル以下、夜間45デシベル以下」がひとつの基準といえそうです。

 

では、実際にこの基準値は、どのくらいの音量に相当するのでしょうか。40から80デシベル以上に該当する身近な例を見ていきましょう。

音量

音の種類

40デシベル

・図書館

・深夜の市街地

50デシベル

・換気扇(距離1m)

・静かな事務所

・家庭用クーラー、室外機

60デシベル

・洗濯機(距離1m)

・掃除機(距離1m)

・テレビ(距離1m)

・トイレの洗浄音

・乗用車の社内

70デシベル

・ヤカンの沸騰音(距離1m)

・セミの鳴き声

・騒がしい事務所内

80デシベル以上

・布団たたき

・ピアノ

・犬の鳴き声

このデータを踏まえると、一般的な住宅地では、よほど隣室との距離が近くない限り、日常生活の音ではトラブルに発展しにくいと考えられます。

 

ただし、夜間に洗濯機を回したり掃除機をかけたりすれば、建物のつくりによっては騒音で迷惑をかけてしまう可能性が十分にあることも分かります。

 

さらに、犬の鳴き声やピアノなどは昼間の基準値も大きく上回っているので、防音性の高いつくりでなければ騒音トラブルにつながるリスクが高いといえるでしょう。

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貸主・管理会社に相談する

 

ここからは、近隣からの騒音トラブルに悩んでしまったときの対処法について見ていきましょう。

 

騒音の原因が明らかな場合、自分で注意しに行ったほうがシンプルで解決も早いのではと考える人もいるかもしれません。

 

しかし、対応次第ではさらなるトラブルにつながる可能性もあるため、直接伝えるのは原則として避けるべきです。

 

入居者同士のトラブルが起こったときには、無理に当事者で解決しようとするのではなく、公平な第三者に入ってもらうのが基本です。

 

賃貸物件の場合は、迷わず貸主や管理会社に相談をして、具体的な対処方法を一緒に考えてもらいましょう。

 

貸主や管理会社に相談することを前提に置いたうえで、具体的に意識しておきたいポイントを見ていきましょう。

ポイント

  • 犯人捜しにこだわるのではなく、騒音が収まることを最優先に考える
  • 可能なら騒音自体を録音しておく
  • 音の種類や頻度、頻発する時間帯、音がする方向を詳細に伝える

まずは、騒音を出している犯人捜しにこだわるのではなく、騒音が収まるのを優先的に考えることが大切です。

 

たとえば、賃貸物件の場合は、共用部分に注意呼びかけのポスターを貼り出すだけでも、騒音が収まる場合があります。

 

入居者のなかには「もしかしたら自分が原因かもしれない」と考え、これ以上トラブルに発展する前に改善しようとしてくれる人もいるのです。

 

その場合は、無理に犯人を突き止めようとするのではなく、問題が改善したという事実を素直に受け止めることが大切です。

 

また、貸主や管理会社に相談するときには、騒音を録音しておくと、原因を突き止めるのに役立ちます。併せて音の種類や頻発する時間帯なども記録しておくと、より具体的な対処法を見つけやすくなります。

内見

 

騒音トラブルが発生するかどうかは、建物のつくりに左右される部分も大きいといえます。ここでは、騒音を避けやすい物件選びのポイントを解説します。

 

細かなつくりによっても異なりますが、建物の防音性は、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順に向上していくのが一般的です。

 

マンションなどで用いられる鉄筋コンクリートは、構造体の密度が高いため、通常の生活音程度であればほとんど遮断してくれます。

 

最上階の部屋であれば、上階からの足音や生活音に悩まされる心配はありません。そのため、できるだけ静かに生活をしたい人にはおすすめといえます。

 

反対に、1階や階下が共用部分、店舗などになっている部屋であれば、自室の足音を気にする必要がありません。そのため、小さな子どものいる世帯などには、かえって住みやすいと感じられる場合も多いです。

 

また、隣接する部屋が少ない角部屋も、騒音トラブルを避けやすい環境といえます。

 

騒音トラブルが起こりやすいかどうかは、管理状況や入居者のマナーによっても異なります。

 

玄関や集合ポスト、駐輪場の使い方、ゴミの出し方などのルールをきちんと守れていない入居者がいれば、騒音を含めたさまざまなトラブルが起こるかもしれないと判断できます。

 

自室からの騒音について不安がある場合には、内見時に室内の防音性もチェックしてみるといいでしょう。

 

四方の壁を軽くたたいてみて、硬く詰まったような音がする場合には防音性が高いと判断できます。反対に、軽くて高い音が響くようなら、防音性が低い可能性があります。

 

また、部屋の真ん中で手をたたいてみて、反響音がきちんと返ってくれば、ある程度室内の音は遮断されていると考えることが可能です。

 

反響音がなければ、室外にそのまま音が漏れてしまっているケースもあるので、注意しておきましょう。

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不動産会社に相談する

 

部屋探しの際は、内見などのタイミングで、不動産会社の担当者に騒音の現状と対策について遠慮せずに聞くことが重要です。

 

担当者がすぐに答えられない場合には、管理会社や貸主に尋ねる時間が必要になることもありますが、急ぎでなければ確認してもらったほうが安心です。

 

質問しにくいと感じてしまうかもしれませんが、貸主側からは「騒音を起こしにくい入居希望者」として好意的にとらえてもらえるケースも少なくありません。納得のいく部屋探しを行うためにも、遠慮せずに相談してみましょう。

  • 日常的な生活音が騒音トラブルにつながることも少なくない
  • 時間帯によっても騒音の基準が異なるので、音の種類と併せて確認しておく
  • トラブル発生時には自分で解決しようとせず、まず貸主や管理会社に相談する
  • 騒音を録音したり、音の頻度や頻発する時間帯をメモしたりすると対応の際に役に立つ
  • これから部屋を借りる場合は、騒音が気になりにくい物件探しのコツを押さえておく
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