賃貸物件に住む場合、3人家族に適した家賃は、いくらが目安なのでしょうか? 家賃は立地や設備などのさまざまな条件に左右されるので、一概に「3人家族なら○○円」といった目安を出すことはできません。

しかし、必要な「部屋の広さ」の目安は世帯の人数によって基準があるため、そこから逆算してある程度の賃料を導き出すことはできます。今回は3人家族の家賃について詳しく見ていきましょう。

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家族3人暮らし

 

国土交通省の「住生活基本計画における居住面積水準」では、世帯人数ごとに次の2つの水準が示されています。

最低居住面積水準:健康で文化的な生活を送るうえで最低限必要な広さ

誘導居住面積水準:多様なライフスタイルを想定したときに必要な広さ

それによると、3人家族に必要な広さは以下のとおりです。

3人家族に必要な広さの目安

最低居住面積水準:40平米

誘導居住面積水準:75平米(都市部)/ 100平米(郊外)       

今回はこの広さを基準にして、間取りタイプや家賃相場を詳しく見ていきましょう。

3人家族におすすめの間取りタイプと部屋割り

 

厳密に言えば、つくりによっても異なりますが、先ほど紹介した居住面積水準を間取りタイプに換算すると、40平米なら1LDKや2DK75平米なら2LDKや3LDKが主な候補となります。

 

ここでは、それぞれの間取りタイプの特徴を詳しく解説します。

 

1LDKは「8畳以上のリビングダイニングキッチンと1つの居室」を組み合わせた間取りです。個室は1つしかないため、3人で暮らすとなると、やや手狭にはなりますが、子どもが小さなうちなら十分に生活することもできます。

 

リビングは家族の団らんスペースとして、個室は家族の寝室として利用することになるため、プライベート空間を設けるのが難しいことは確かです。

 

ただ、ほかのタイプよりも賃料は抑えられるので「家の購入資金をためたい」といった人などには適しているといえます。

 

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2DKは「6畳以上10畳未満のダイニングキッチンと2つの居室」を組み合わせた間取りです。1LDKと同じく40平米程度の物件が多いですが、こちらはリビングスペースを小さくする代わりに、居室を2つ確保できるのが特徴です。

 

そのため、使い方によっては仕事部屋と寝室、あるいは子ども部屋と夫婦の部屋を分けるといった部屋割りも可能です。

 

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2LDKは「10畳以上のリビングダイニングキッチンと2つの居室」を組み合わせた間取りです。2DKと比べてリビングを広くとれるので、よりスペースのゆとりをつくりやすいのが特徴です。

 

3人家族なら、居室の1つを子ども部屋、もう1つを夫婦の部屋として利用するのが一般的な使い方です。リビングに十分な広さがあれば、一角を仕切ってテレワークスペースにするなどの利用方法も検討できます。

 

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「10畳以上のリビングダイニングキッチンと3つの居室」を組み合わせた間取りであり、ファミリー向けのマンションなどに多いタイプです。3人家族なら「子ども部屋+夫婦の寝室+書斎」のように、ゆとりのある使い方ができます。

 

また、将来的に子どもがもう一人生まれたときにも対応できるのが大きなメリットです。

 

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3人家族

 

3人家族に必要な広さや間取りの目安を基に、実際に家賃相場を調べてみましょう。

 

まず、LIFULL HOM’ES「家賃相場」サービスを使って最低居住面積水準にあたる「40~45平米」の家賃相場を調べ、表にまとめて紹介します。

 

家賃相場

 

なお、「家賃相場」では専有面積に加えて間取りタイプでも絞り込めるので、40平米に多い「1LDK・2K・2DK」の賃料を参考にしました。

 

東京都心部の家賃相場(40~45平米、1LDK・2K・2DK)は以下のとおりです。

市区町村

家賃相場(※)

千代田区

20.44万円

中央区

19.00万円

港区

23.53万円

新宿区

18.56万円

文京区

17.18万円

渋谷区

22.83万円

※ 2021年11月時点、LIFULL HOME’S「家賃相場」で駅徒歩10分以内にある物件の平均賃料を軸に算出(以下同)

 

東京都心部は、特に地価が高いエリアなので、家賃相場も20万円前後と高い水準になっています。そのため、家賃を抑えたいのであれば、23区のそのほかのエリアにも目を向けてみるといいでしょう。

 

東京23区の代表的なエリアにおける家賃相場(40~45平米、1LDK・2K・2DK)は以下のとおりです。

市区町村

家賃相場

世田谷区

15.46万円

杉並区

14.02万円

品川区

17.24万円

中野区

15.40万円

練馬区

12.67万円

足立区

10.25万円

葛飾区

9.78万円

23区エリアでは、10万~17万円前後が家賃相場といえます。ただし、葛飾区など、探し方やエリア選びによっては「10万円を切る家賃設定」でも、十分に3人家族用の物件を見つけることは可能です。

 

東京市部の代表的なエリアの家賃相場(40~45平米、1LDK・2K・2DK)は以下のとおりです。

市区町村

家賃相場

武蔵野市

13.47万円

三鷹市

12.78万円

国立市

11.66万円

町田市

9.40万円

立川市

9.18万円

八王子市

8.42万円

23区を離れると、東京都内でも家賃相場が10万円を切るエリアは数多く見つかります

 

最寄り駅や駅までの距離によっては、都心のアクセスに便利な物件も見つけられるので、家賃を抑えたい場合には有力な候補となります。

 

東京都以外の家賃相場(40~45平米、1LDK・2K・2DK)についても、いくつか代表的なエリアをピックアップして見ていきましょう。

市区町村

家賃相場

札幌市

4.8万~5.9万円

仙台市

6.6万~8.1万円

横浜市

8.2万~15.2万円

名古屋市

6.4万~10.1万円

大阪市

6.7万~12.0万円

福岡市

6.7万~8.5万円

横浜市や名古屋市、大阪市は行政区ごとに相場の価格差が大きく、どのエリアを選ぶかを慎重に判断することが大切です。

家賃相場

 

続いて、都市部の誘導居住面積にあたる「75平米」の家賃相場も見ていきましょう。なお、今回は、専有面積を「70~80平米」、間取りタイプを「2LDK・3K・3DK」に設定して調べています。

 

東京都心部の家賃相場(70~80平米、2LDK・3K・3DK)は以下のとおりです。

市区町村

家賃相場

千代田区

37.18万円

中央区

32.36万円

港区

43.01万円

新宿区

32.46万円

文京区

29.47万円

渋谷区

43.01万円

 東京都心部では、75平米の広さを持つ物件自体が少なく、家賃相場は群を抜いて高い傾向があります。収入にゆとりのある世帯を除いて、十分な広さが欲しい場合は、そのほかのエリアにも目を向けてみましょう。

 

東京23区の代表的なエリアの家賃相場(70~80平米、2LDK・3K・3DK)は以下のとおりです。

市区町村

家賃相場

世田谷区

25.67万円

杉並区

20.94万円

品川区

29.25万円

中野区

22.64万円

練馬区

19.10万円

足立区

13.63万円

葛飾区

13.89万円

23区エリアでも、75平米の広さを持つ物件となると20万~30万円の家賃が水準になります。ただ、エリアを上手に絞り込めば10万円台で探すことも可能です。

 

東京市部の代表的なエリアの家賃相場(70~80平米、2LDK・3K・3DK)は以下のとおりです。

市区町村

家賃相場

武蔵野市

20.95万円

三鷹市

22.97万円

国立市

14.57万円

町田市

12.36万円

立川市

12.28万円

八王子市

10.91万円

市部にまで目を向けると、10万円台の物件も比較的簡単に見つけることができます

 

また、アパートやマンションだけでなく、一戸建てタイプの物件も多く見つかるので、「庭が欲しい」「専用駐車場が欲しい」といった場合は、市部を中心に部屋探しをしてみるのもひとつの手です。

 

東京都以外の家賃相場(70~80平米、2LDK・3K・3DK)についても、いくつか代表的なエリアをピックアップして見ていきましょう。

市区町村

家賃相場

札幌市

6.8万~10.4万円

仙台市

9.0万~12.0万円

横浜市

10.5万~32.7万円

名古屋市

8.2万~17.9万円

大阪市

8.6万~25.2万円

福岡市

8.5万~15.4万円

大都市圏であっても、エリアによっては10万円以下で探すことも十分に現実的なラインといえます。

 

ただ、横浜市や名古屋市、大阪市では行政区ごとの差が特に大きいので、居住エリアを決める際には、区ごとの相場をさらに細かく調べておく必要があります。

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生活費シミュレーション

 

無理のない家賃の上限は、一般的に「手取りの3分の1以下」とされています。

 

しかし、具体的な目安はライフスタイルや住むエリアによっても異なるので、毎月の生活費と収入のバランスから考えることが大切です。

 

総務省統計局「家計調査」(2020年)によると、3人世帯の平均的な生活費データ(住居費を除く)は以下のとおりです。

費用項目

金額

食費

7万7,071円

水道・光熱費

2万2,683円

家具・家事用品費

1万1,961円

被服費

1万1,375円

保険・医療費

1万4,367円

交通・通信費

4万5,434円

教育費

1万434円

教養・娯楽費

2万8,658円

そのほかの費用

6万2,397円

合計

28万4,380円

この数値はあくまで平均値なので、実際の家計と見比べながら調整することが大切ですが、モデルケースとして参考にしてみるといいでしょう。

 

手取りでの世帯収入30万円で3人暮らしをするなら、ある程度生活費を抑える工夫が必要となります。「自家用車を使用しない」「外食を減らす」といったポイントを押さえるだけでも、費用を大幅に減らすことが可能です。

 

具体的な目標としては、まず生活費の合計を20万円以下に設定しておくといいでしょう。

 

そのうえで「家賃の安いエリアを狙う」「設備や条件に妥協できるポイントを設ける」などの計画を立てれば、都内で3人家族に適した物件を借りることも可能です。

 

毎月の手取りが40万円なら、平均的な生活費を差し引くと手元には11万円程度残ります。

 

貯金などを考慮しても、家賃として10万円捻出できると考えられるので、東京23区内でも最低居住面積水準の物件なら比較的見つけやすいでしょう。

 

また、東京都の市部やそのほかの都市圏であれば、より広く、便利な設備や条件の整った部屋も視野に入ります。

3人家族

 

  • 3人家族に最低限必要な広さは40平米、ゆったり過ごすなら75平米が目安
  • 40平米は1LDKや2DKに多く、75平米は2LDKや3LDKに多い
  • 40平米の家賃相場は東京都心部で20万円程度、それ以外のエリアなら10万円台でも見つけられる
  • 東京都の市部、そのほかの大都市圏なら10万円以下の物件を探すのも十分可能
  • 75平米で10万円台前半に抑えるなら23区の限られたエリアかそれ以外から探すのが無難
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更新日: / 公開日:2022.01.27