アパートやマンションの1階は、ほかの階と比べて家賃が安い場合が多いことから、住居費用を抑えたい人にとっては魅力的だといえます。

しかし、1階には「防犯性が低い」といったイメージもあり、特に女性の場合は、物件自体は気に入っても、借りるのを迷ってしまうケースも多いのではないでしょうか。

今回は1階の防犯性と自分でできる防犯対策について解説していきます。
2階以上の物件セキュリティ・防犯対策が充実した物件

アパートの1階

 

1階は一般的に防犯性が低く、特に女性の場合は避けたほうがいいといったイメージがあります。

 

ここでは、1階を避けたほうがいいとされる理由を確認したうえで、防犯性に関するデータを具体的に見ていきましょう。

 

1階の防犯性が低いとされている理由としては、大きく分けて2つの原因があります。

 

1つ目は、玄関や窓が地面に近いため、ほかの階と比べて不審者が侵入しやすいといった点です。

 

万が一不審な行動を発見されたとしても、ほかの階より逃亡しやすいため、空き巣などのターゲットになりやすいとされているのです。

 

2つ目の原因は、建物のつくりによって、周囲の道路から部屋の状態が丸見えになってしまう点にあります。

 

プライバシー性が低いことにより、住んでいる人の様子が分かりやすくなってしまうため、女性の一人暮らしであると特定されてしまうケースもあるのです。

 

特に洗濯物を外に干している場合は、下着泥棒などの被害に遭ってしまうリスクも高くなります。

 

以上の理由から、1階に住むのであれば、特に防犯に対する意識を高める必要があるといえます。

 

しかし、警視庁の「侵入窃盗の場所別発生状況」データによれば、空き巣などの被害は4階以上の中高層階でも一定の割合で発生していることが分かります。

 

2019年度の侵入窃盗被害の内訳は、「一戸建て住宅が34.5%」「3階建て以下の共同住宅が15.5%」「4階建て以上の住宅が7.8%」となっており、住まいの階数が高くても被害に遭ってしまう可能性はあるのです。

 

1階は特に高い防犯意識が求められるものの、ほかの階数でも決して油断はできません。

オートロック

 

住まいの防犯性は、階数だけでなく、建物のつくりや立地によっても異なります。ここでは、防犯性の高い物件選びのポイントを見ていきましょう。

  • オートロックや防犯カメラが付いている
  • モニター付きインターホンがある
  • 宅配ボックスがある
  • 窓にシャッターが付いている

一般的には、防犯に関する設備がそろっている物件であるほど安心感が強いため、人気も集まりやすいといえます。

 

特に1階に住むうえでは、窓にシャッターがあると安心と感じる場面が多く、遮音や遮光などの面でも役立つ設備です。

 

ただ、設備が充実しているからといって過信は禁物です。セキュリティ設備が整っていると、かえって防犯への意識が薄れやすくなるため、戸締まりなどの基本的な対策を怠るべきではありません。

  • 治安の良いエリアに建てられている
  • 明るく人通りの多い道路に面している
  • 窓側に侵入防止のフェンスが設けられている

立地や建物のつくりも防犯性に影響を与えるポイントのひとつとなります。

 

治安の良いエリアを選ぶのはもちろん、実際に内見をするときには、周辺の状況も細かくチェックすることが大切です。

 

侵入経路となるような箇所や、人目につかないような死角がないかどうか、自分の目でしっかりと確かめておきましょう。

 

物件の管理形態には、主に次の4つがあります。

常駐管理

 

集合住宅内に住み込みの管理人がいる形態。原則的に、9時〜17時など定められた勤務時間での対応になりますが、急病など緊急時には夜間のトラブルにも応じてもらえます。

日勤管理

 

管理会社から派遣される管理人が毎日通勤する形態。勤務時間は平日の9時〜17時が一般的で、土・日および祝日は休みのことが多いです。

 

そのため、休日や夜間の緊急トラブルにはすぐに対応できません。

巡回管理

 

毎週2〜3日ほど曜日や時間を決めて、定期的に管理人が巡回する形態。比較的小規模なマンションやアパートで多くみられます。

無人管理

 

建物内に管理人を置かないタイプの管理形態。住人からのクレームや相談は、管理会社に電話連絡をすることになります。

 

このうち、セキュリティ上の安心度がもっとも高いのは、管理人が住み込みで対応してくれる常駐管理です。ただ、常駐管理は人件費などのコストがかさんでしまうため、管理費が高くなる傾向があります。

 

特に、総戸数の少ないアパートなどでは、1戸当たりの管理費が高くなるため、採用されているケースはほとんどありません。

 

そのため、管理費とのバランスを考慮しながら、管理人が通勤する日勤管理や、定期的に巡回してくれる巡回管理の物件を探すことも大切です。

オートロック付き物件 宅配ボックス付き物件 管理人常駐の物件

家の鍵

 

警視庁のデータによれば、侵入窃盗の発生原因の多くが「無施錠」によるものとされています。そのため、まずは戸締まりが防犯対策の基本です。

 

そのうえで、日頃から意識すべき防犯対策のポイントを見ていきましょう。

 

防犯グッズのなかには、賃貸物件でも手軽に設置できるようなものが安価で市販されています。

 

たとえば、ドアスコープをふさぐ「のぞき見防止カバー」は、外からのぞき見されたり、留守や在宅などの状況を特定されたりするのを予防できます。

 

また、窓やドアに「センサータイプの防犯ブザー」を取り付けると、不審者が侵入した際に周囲へ異常を知らせてくれるため便利です。

 

ほかにも、「センサーライト」を窓側に取り付けたり、太陽光を反射する「ミラーレースカーテン」を利用したりと、賃貸でも大がかりな作業なしで防犯性を高める方法は数多くあります。

 

不審者は、自分の動きによって音や光が発生するのを嫌がる傾向が強いです。そのため、1階の場合は、人が歩くと大きな音がする防犯砂利を庭先に敷いておくと一定の効果があります。

 

ただ、庭やベランダは共用部分にあたるため、賃貸物件の場合は自分の手で行うよりも、大家さんに対策をお願いしてみるといいでしょう。

 

親身になってくれる大家さんであれば、快く対応してもらえるケースもあります。

洗濯物を干す

 

女性の一人暮らしにおいては、普段の生活から防犯について心がけておきたいことがあります。ここでは、具体的なポイントを見ていきましょう。

 

1階に住むうえでは、洗濯物を室内干しにしたり、どうしても外に干したい場合は男性用の下着を一緒に干したりすると安心です。

 

女性の一人暮らしであることを悟られてしまわないように、日頃の生活から気をつけておくといいでしょう。

 

また、新聞や郵便物をため込んでいると、留守である印象を与えてしまう可能性があります。特に郵便物のなかには、個人情報を特定できてしまうものもあるため、慎重に管理することが大切です。

 

カーテンの色や柄を気にするなど、外から見たときの部屋のイメージに注意しておくことも大切です。室内の様子を探られないために、遮光カーテンなどを利用するのも有効です。

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女性限定物件イメージ

 

賃貸物件のなかには、女性しか契約できない女性限定のものもあります。ここでは、女性限定物件の特徴やメリット・デメリットについて見ていきましょう。

 

物件によっても異なるものの、女性限定物件は管理人常駐のところが多いなど、通常よりもセキュリティ面が強化されている傾向があります。

 

また、契約できるのは女性のみであるため、ほかの入居者との関係性にも安心感があります。

 

女性限定ということもあり、おしゃれな外観や内装の物件も多く、女性にとって使いやすい設備が整えられているところも少なくありません。

 

洗髪洗面化粧台や女性の身長に合わせた戸棚など、物件ごとに細かな工夫が施されているのが特徴です。

 

女性限定物件は、物件内に男性がいないことから、かえって不審者に狙われてしまう危険性もあります。

 

そのため、女性限定だからといって安全性を過信するのではなく、物件自体のセキュリティ体制をきちんと見極めることが大切です。

 

また、物件ごとにルールが細かく設定されている点にも注意しておきましょう。

 

女性限定とされている以上、友人や家族であっても男性の入室が認められないところは多いため、事前に規約を確かめておく必要があります。

女性限定(専用)の物件

 

  • 中高層階でもリスクはあるが、1階は特に防犯意識を強く持ち、対策を取ることが重要
  • 設備と立地、管理形態から防犯性の高い物件を探す
  • 1階に住む際には、市販の防犯グッズを利用したり、大家さんに協力してもらったりするといい
  • 女性であれば、洗濯物や郵便物の管理などにも気をつけることが大切
  • 女性限定物件はセキュリティに優れたところが多いものの、過信は禁物
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