シングルマザーの家庭では、収入の確保や子育ての大変さから、部屋探しに不安を抱えてしまうケースもあるでしょう。今回はシングルマザーが賃貸物件を借りるうえで目を向けておくべきポイントについて、入居審査や住居費用などの面から解説していきます。また、ひとり親家庭が利用できるさまざまな手当の制度についても詳しく見ていきましょう。
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シングルマザー

 

シングルマザーであっても、審査項目をクリアすれば入居審査には通ります。しかし、夫婦がそろっている家庭と比べて、審査が厳しくなってしまう一面もないわけではありません。

 

ここでは、賃貸物件の入居審査の流れと、気をつけておくべきポイントについて解説していきます。

入居審査で初めに目を向けられるポイントは、やはり「安定して家賃を支払うことができるか」という点です。そのため、まずは希望する部屋の家賃と入居者の収入、職業や勤務先、勤続年数などが重要な審査項目となります。

 

また、連帯保証人も主な審査項目の1つです。万が一入居者が家賃を支払えなくなってしまった場合に備えて、代わりにしっかり支払えるか、収入があるかどうかを確認します。

 

さらに、トラブル予防の観点から、入居者の人柄や見た目なども審査の対象となる場合があります。そのため、入居の手続きを行う段階から、見た目や振る舞いなどにも気を配っておくことが大切です。

 

子どもが幼いうちは、審査に通りにくくなってしまうケースがあります。夜泣きや室内での足音などによって、周囲との騒音トラブルが起こりやすいと見なされてしまう可能性があるためです。

 

また、審査に通過をしたとしても、騒音によって実際に入居してから思いがけないトラブルが発生してしまうケースもあります。そのため、小さな子どもがいる場合には、事前にきちんと大家さんや管理会社へ事情を相談しておくほうが安心です。

幼い子どもがいる事情を知ったうえで部屋を貸してくれる大家さんであれば、ある程度の年齢になるまで、子育てへの理解が得られる可能性も高いのです。

 

これまでにあげたとおり、入居審査においては、収入と家賃の関係性が重要なチェック項目の1つとなります。実際に生活を送るうえでは生活費や固定費なども支払っていく必要があるため、収入に対してあまりにも家賃が高ければ、それだけ滞納のリスクも高いと判断されてしまうのです。

 

審査を通過するための一般的な基準としては、月々の家賃は「手取りの3分の1以下」が目安とされています。急な出費にも対応できるようにするため、金銭的に十分なゆとりが持てるような家賃の部屋を選びましょう。

保証人不要の物件 家賃相場を調べる

契約

 

賃貸物件を借りる際には、貸し手側との間で賃貸借契約を結ぶ必要があります。スムーズに契約を進めるためには、事前にさまざまな準備を済ませておくことが大切です。

 

ここでは、賃貸物件の契約に必要なものを解説していきます。

 

賃貸物件を契約するにあたっては、まず身分証明書・住民票・印鑑などが必要となります。これらは、借り手の身分を信用してもらうために、最低限必要なものです。

 

また、賃貸物件を借りる際には、連帯保証人が必要となります。親や親戚など、万が一のときには代わりに家賃を支払ってくれる人がいることで、貸し手側は安心して部屋を貸せるのです。

 

身近に頼れる親戚がいないなど、なかにはどうしても連帯保証人を頼むことができないケースもあります。そうした場合であっても、決して賃貸物件を借りられないわけではありません

 

物件によっては、連帯保証人の代わりに保証会社の利用が認められているところもあります。そうした物件では、保証会社の審査に通過し、決められた保証料を支払えば通常と同じように部屋を借りることが可能です。

 

そのため、連帯保証人を立てられない場合には、事前に保証会社利用可能となっている物件に絞り込んで部屋探しをしましょう。

保証人不要の物件

家を借りる費用

 

賃貸物件を借りる際には、必要書類や連帯保証人のほかに初期費用も用意しておく必要があります。ここでは、初期費用の項目や相場について詳しく見ていきましょう。

 

初期費用は家賃をもとに計算され、相場としては4~6ヶ月分程度が目安です。家賃6万円であれば24~36万円程度となり、基本的には入居をする前にまとめて支払う必要があります。

 

初期費用の内訳としては、敷金・礼金・仲介手数料・火災保険料・日割り家賃・前家賃・保証会社利用料などがあり、物件の契約内容によって項目には多少の違いがあります。入居をするまでにはこれらの費用に加えて、引越し代金や家具・家電を用意するお金も必要となるため、できるだけ余裕のある計画を立てることが大切です。

 

初期費用にはまとまったお金がかかるため、あまり貯蓄にゆとりがない状態であれば、少しでも安く抑えることを意識する必要があります。物件によっては、初期費用が安く設定されているところもあるため、そうした部屋を優先的に探してみましょう。

 

たとえば、物件のなかには、礼金がゼロとなっているところもあります。通常、礼金は家賃の1~2ヶ月程度となるため、こうした物件は初期費用の面でとても経済的です。

 

また、入居してから一定の家賃が免除される「フリーレント物件」もあります。なかには3~6ヶ月分の家賃がかからない物件もあるため、フリーレントを行っているところを中心に部屋探しを行うのも1つの方法です。

フリーレント物件 敷金礼金0(ゼロ・なし)物件

住宅補助制度

 

シングルマザーの家庭では、両親のいる家庭と比べて経済的に不利な状況が生まれやすい面があるため、政府によってさまざまな支援の仕組みが設けられています。ここでは、シングルマザーが利用できる補助制度について見ていきましょう。

 

シングルマザーの家庭では、通常の児童手当とともに、「児童扶養手当」を受けることができます。これは、ひとり親家庭で18歳未満の児童を養育している人に対して、所得の状況に合わせて2月に一度のペースで一定金額が支給される仕組みです。

 

さらに、自治体によっては、独自でシングルマザー家庭への支援制度を設けているところもあります。たとえば、東京都では「児童育成手当」として、児童1人につき毎月1万3,500円の手当を受けることが可能です。

 

そのほかにも、自治体によって、「ひとり親家庭医療費助成制度」などの制度が設けられているところもあります。そのため、住んでいる市区町村の相談窓口などで、利用できる制度を確認しておくことが大切です。

 

住宅支援についても、自治体ごとにさまざまな形でシングルマザー向けの制度が設けられています。細かな仕組みや適用される条件は住まいの地域ごとに異なるものの、収入や家賃などの要件を満たしていれば、一定金額の家賃補助を受けられるところが多いです。

 

また、家賃補助制度がない自治体であっても、シングルマザー向けの施設が整っていたり、生活費や福祉支援金といった別の名目で補助金を支給してもらえたりするケースがあります。シングルマザーの生活支援は、制度の見直しが行われやすい分野でもあるため、部屋探しを行う前に自治体の窓口へ相談してみることが大切です。

 

間取り

 

快適な環境で子育てを行うためには、間取りに目を向けて部屋探しを行うことが重要です。ここでは、子ども一人とシングルマザーの家庭に適した間取りを紹介していきます。

 

1LDKは広めのリビングを確保できるため、子どもと一緒にゆったりと過ごす空間をつくれる間取りです。子どもが小さなうちはあまり目を離すこともできないため、同じ部屋で過ごす時間が中心となります。

 

そのため、同じ専有面積であれば、部屋数を増やすよりもLDKのある間取りのほうが快適に過ごせます。

 

ある程度子どもが成長してからは、子ども部屋をつくれる2DKのほうが便利だと感じられる場合が多いです。ダイニングキッチンにある程度の広さがあれば、食卓を囲める場所と子ども部屋、自分の寝室といった3つのスペースを独立して使用することができます。

 

家賃や間取り、立地などのさまざまな条件を考慮したうえで、優先順位を明確にしておくことが理想的な部屋探しの第一歩です。子どもの年齢や人数によって、生活に必要な条件も変化していくため、少し先の将来にも目を向けておきましょう。

 

1LDKの物件 2DKの物件

シングルマザー

この記事のポイントをまとめます。

  • 入居審査では収入の状況や家賃、子どもの年齢などが主なチェックポイント
  • 家賃は月の手取りの3分の1以下が審査通過の目安とされている
  • 連帯保証人を用意できないときには、保証会社の利用ができる物件を探す
  • シングルマザーが利用できる手当などには、児童扶養手当のほかにも自治体ごとにさまざまな制度がある
  • 子どもの成長に合わせて適した部屋の条件は変化する
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更新日: / 公開日:2020.11.18