
シェアハウスに住んでみたいけど、プライバシーは守られるのか、住人同士のトラブルは起きないのか…周りに聞いても、インターネットで調べてみても本当のことはよくわからず不安…。
そこで今回、LIFULL HOME'S編集部が実際にシェアハウスを訪ね、住んでいる方に住み心地、そしていろいろ気になる点について話を聞いてきました。
“シェアハウス未経験だけど検討中”という方は、ぜひ参考にしてみてください。
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話を聞いた人:カズキタさん(シェアハウス「モテアマス三軒茶屋」オーナー)

シェアハウスにはどんな人が住んでいる?
――まず、こちらのシェアハウスについて簡単に紹介してもらえますか。
カズキタさん:はい、シェアハウス「モテアマス三軒茶屋」は2016年11月にオープンしました。もともと私自身、シェアハウスに何軒か住んできて、自分でもシェアハウスをやろうと思い立ったのがオープンのきっかけです。
以前社員寮だった3階建ての建物をリフォームし、部屋は全部で15室あります。完成した当初の数ヶ月は人が集まらず、私1人だけでここに住んでいて「15部屋持て余しているから誰か遊びに来てよ」というところから「モテアマス(持て余す)三軒茶屋」と名づけました。
おかげさまで、今では満室になっていて持て余してはいないのですが(笑)。
――それは大変でしたね(笑)。 実際には、どんな方が住んでいるんでしょうか?
カズキタさん:15部屋ありますが、相部屋なども含めると今は25人ほど住んでいます。初めてシェアハウスに住むという方もいれば、以前別のシェアハウスに住んでいたという方も多いですね。
年齢層は20代が多いです。他のシェアハウスでは女性専用というところもありますが、ここは男女混合で、現在の男女比は2:1くらい。
たまたま今は男性のほうが多いのですが「シェアハウス=男性中心」ということでは決してありません。私が以前住んでいたシェアハウスは女性のほうが多かったです。
そのシェアハウスの持つ雰囲気や立地、家賃などによって男女比は大きく変わると思います。
オープンから今日まで50人近くの方が住み、大体みなさん1年未満でここを離れます。うちは特に、2~3ヶ月だけ住みたいという方や、1ヶ月のうち10日間だけ住みたいという方向けのプランも用意しているので、比較的人の流動性が高いと思います。
ここを離れる理由はもちろん人によってさまざまですが、東京を出て地方で働くためだったり、結婚や同棲だったり、なかには自分でシェアハウス立ち上げるという人もいました。
ポイント
女性専用のところもあれば、男女混合のところもある。シェアハウスの男女比は、雰囲気や立地、家賃などの要因によっても大きく変化。シェアハウスには短期定住を目的に選んでいる人も多い。
ルールについて…厳しいルールがたくさんある?

――シェアハウスと一口に言っても、いろいろなタイプがあるんですね。
カズキタさん:そうなんです。シェアハウスは基本的に、それぞれの部屋と入居者全員が利用できるシェア(共有)スペースが設けられた賃貸住宅のことですが、今は規模によって二極化されています。
企業がビジネスとして運営する社宅のような100人規模のところと、個人で一軒家などに5人くらいの小規模で運営しているところのどちらかです。その中間にあたる、うちのような20~30人というのは珍しい規模感だと思います。
シェアハウス内でのルールや文化も、そこに住んでいる人数によって大きく変わる部分があるので、これから住み替えを検討している方は規模感にも注目してみてると何となく想像できる部分があるかもしれませんね。
ポイント
シェアハウスの規模は大きく、大(100人以上)か小(5人程度)に分かれる。規模感からシェアハウス内でのルールや文化などを想像できる部分もある。
――ルールという言葉が出ましたが、どんなルールがあるのでしょうか?
カズキタさん:これはシェアハウスによって大きく異なります。
会社として運営されている大規模シェアハウスにはルールがきっちり決められている場合が多いのですが、個人運営のシェアハウスはそれぞれで文化を形成しています。
私のこれまでに住んでいたところだと「机の上には何も置かない」「何か作って食べたら調理器具も含めてすべて洗って片付ける」「掃除は当番制」などがありました。
そういうところは、キレイな所が多いですね。ただ、ルールが厳しければ厳しいほど、監視されている感じになることもあって。何かあったときに犯人捜しが始まってしまったり、ルールを守らない人への不満が起きやすかったりします。
そのため、うちではルールは特に決めていません。人によって育った環境も違いますし、価値観は人それぞれです。共有スペースの掃除ひとつをとっても、うちでは気になった方がやるという形で、自主性に任せています。また、住んでいる方同士でコミュニケーションをとりながら、生活の中でつくられていくようにしています。
いろいろなタイプのシェアハウスがあるので、見学したり問い合わせたりしてみて、自分に合ったスタイルのところを見つけることが大事です。
ポイント
シェアハウスごとにルールの数や内容は変わるので事前に確認する。
住民同士でトラブルが起きる可能性は?

――ルールがないということで、住民同士でトラブルやケンカになったりしないんですか?
カズキタさん:トラブルは実際に起こります。ただし、これまでの経験上、そういったことは大体コミュニケーション不足からくることが多いもの。お互いに考えがあっての行動だったりするので、話を聞けば解決するケースも多々あります。
そのため、うちでは基本的には本人同士で話し合ってもらうようにしていますが、私が以前いたシェアハウスでは直接話すのではなく、管理会社が間に入り、個人間ではやりとりをしないというシステマチックな体制のところもありました。
また仮に、自分にはここが合わないと思ったら、そこに無理して自分を合わせる必要はありません。ほかにもっと自分に合うシェアハウスがあるはずなので、ストレスになるようならきっぱり移るのも手です。
ポイント
トラブルが起きる可能性はある。日頃からコミュニケーションをとり、相手の考えを知っておくことで、不満の種をトラブルへと発展させないことが大切。
プライバシーはどうやって守る?

――プライバシーについてはいかがでしょう。常に誰かがいる、顔を合わせるということで、住人同士ストレスを感じることはないのでしょうか?
カズキタさん:そうですね、共同生活にプライバシーを求めると息苦しくなると思います。
これはシェアハウスの形態や本人の考え方次第で大きく変わってきますが、特に、人数が多いところより、5人くらいの少人数のシェアハウスのほうが避けられない問題になる可能性があります。
大人数であれば、個人の行動をいちいち追えないので、気遣いの場面が減り、意外と楽なんです。しかし、少人数だと、お互いの役割分担や精神面の変化など、些細なことが目につきやくなります。
シェアハウスに住むのであれば、できれば自分を隠すのではなく、オープンにしたほうが本人や周りにとっても楽になります。
自分を守りたい気持ちが強いとつらくなるでしょう。ただ、本人はどう見られるのかを意識していても、意外と周りはそんなに気にしていなかったりするので、あまり気にしすぎないことも大切です。
ポイント
プライバシーを守りたい気持ちが強いと、息苦しく感じる可能性も。なるべく、自分をオープンにしたほうが本人や周りにとっても楽になる。あまり意識しすぎないことも大事。
家賃の節約のためにシェアハウスを選ぶのはあり?
――シェアハウスに住むと家賃や生活費を節約できるのでしょうか?
カズキタさん:うちに限らず、家具家電付きで、水道光熱費やWi-Fi、ランドリー代なども込みというシェアハウスは多いので、トータルコストが見えやすく、お金は節約しやすいと思います。
ただし、それは人と関わらなければの話です。交際費はかかるかもしれませんが、せっかくシェアハウスに住むなら、周りと交流し、つながりを持ったほうがよりお得とも言えます。
人脈を築くために交流イベントに参加したり、外の飲み会に参加したりすることを考えると決して高くないお金の使い方ですよね。また、相手を知る中で、友人を紹介してもらったり、仕事を回し合ったり、思わぬ出会いがあったりします。
家賃を“消費”として捉えるのではなく、“投資”として考える人にはシェアハウスは向いているでしょう。
ポイント
生活するだけなら、お金は節約できる。住民同士で関わっていくことで、お金以外の思わぬシナジーを生むことも。
住民同士で恋愛関係になったりするの?

――思わぬ出会いということは、住民同士で恋愛関係に発展することもあるのでしょうか?
カズキタさん:もちろん、あると思います。恋愛に発展するかは物件によりけりですが、明確に“恋愛禁止”としているところは聞いたことがないですね。
うちでいうと、住民同士もありますし、住民と住民の友達というパターンもあります。実際に、ここで知り合って結婚したカップルもいますし、あくまでも本人たちの自由です。
ただ、好意を持ったからと言って、一方的に相手との距離感を測らずに、一か八かでいくのだけはやめてほしいですね(笑)。 住みにくくなるとやはりよくないので。“恋愛を頑張る”というよりは、関係性の中で自然とそうなるのであれば、こちらとしても幸せになってもらえたら嬉しいです。
ポイント
住民同士の恋愛はあり得る。禁止されているわけではないが、お互いの今後の生活をよく考え、周りへの配慮もしっかりと行うのであれば本人同士の自由。

――最後に、これからシェアハウスに住もうと考えている方にアドバイスや一言あればお願いします。
カズキタさん:自分に合ったシェアハウスを探したい方はまず、自分の理想とするイメージから、具体的に条件整理を行いましょう。
なぜシェアハウスに住みたいのかをよく考えたうえで、譲れない条件は何かなどを決めてから内覧すると、自分に合っているかどうか判断しやすいため、決めやすくなると思います。
シェアハウスには先ほどの話したとおり、大きなところもあれば小さいなところもあります。ビジネスライクな寮のようなところもあれば、一つの家族のようにつながりが深いところもあります。いろいろとインターネットやSNSなどを通じて情報を確認し、自分に合ったシェアハウスを見つけられるといいですね。
シェアハウスには、シェアハウスでしか得られない魅力が確かにあります。選択肢の一つとして、検討してみる価値は大いにあると思いますよ。
私がそうだったように、シェアハウスを好きになってくれる方、住んでよかったと思える方が増えることを願っています。
【取材協力】
モテアマス三軒茶屋
ルームシェア可の物件 家賃相場を調べる更新日: / 公開日:2019.08.15









