賃貸物件を借りる際の初期費用には、大家さんに支払う敷金や礼金などのほか、不動産会社に支払う仲介手数料も含まれます。
今回は、賃貸物件の仲介手数料の相場や仕組みとともに、仲介手数料を安く抑えられるケースや、具体的な方法を解説します。さらに、LIFULL HOME'Sが独自に実施したアンケートの結果も紹介しますので、ぜひリアルな意見も参考にしてください。
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賃貸の仲介手数料の相場

賃貸アパートや賃貸マンションに入居する際には、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。そこでまずは、仲介手数料の概要と相場を解説します。
仲介手数料は、「家賃の0.5~1ヶ月分+消費税」とされるケースが多い
仲介手数料とは、賃貸物件を仲介してくれた不動産会社に支払う成功報酬のことです。
賃貸物件を借りるときには、単に物件を選定するだけでなく、入居審査や賃貸借契約などの各種手続きが必要です。これらの手続きをサポートしてくれた不動産会社への対価として、貸主・借主の双方が仲介手数料を支払います。
仲介手数料の額は不動産会社によって異なりますが、「家賃0.5~1ヶ月分+消費税」と設定されるケースが一般的です。
以下の表は、仲介手数料が「家賃0.5ヶ月分+消費税」、または「家賃1ヶ月分+消費税」と設定された場合の具体的な金額をまとめたものです。自分が希望する家賃から、仲介手数料の目安を把握しておきましょう。
<家賃と仲介手数料の対照表>
家賃 | 仲介手数料 家賃0.5ヶ月分+消費税 | 仲介手数料 家賃1ヶ月分+消費税 |
|---|---|---|
5万円 | 2万7,500円 | 5万5,000円 |
7万円 | 3万8,500円 | 7万7,000円 |
10万円 | 5万5,000円 | 11万円 |
12万円 | 6万6,000円 | 13万2,000円 |
15万円 | 8万2,500円 | 16万5,000円 |
※消費税率10%の場合
賃貸の仲介手数料が「0.5~1ヶ月分+消費税」に設定される理由
仲介手数料は原則、「家賃1ヶ月分+消費税」を超えることはありません。
これは、宅地建物取引業法第四十六条において、「不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限は、家賃の1ヶ月分+消費税」と定められているからです。
一方で、仲介手数料の下限には決まりがなく、不動産会社や物件の状況によっては、「家賃0.5~1ヶ月分+消費税」を下回る金額で設定されることもあります。
なお、仲介手数料はあくまで成功報酬であるため、最終的に物件の賃貸借契約が成立しなかった場合には発生しません。
参考:
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額|国土交通省
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賃貸の仲介手数料の仕組み

本来、仲介手数料は貸主と借主で折半するものです。宅地建物取引業法に基づく告示によると、不動産会社が貸主と借主の一方から受け取れる手数料は、「家賃0.5ヶ月分+消費税」までとされています。
つまり、貸主から「家賃0.5ヶ月分+消費税」、借主から「家賃0.5ヶ月分+消費税」を受け取った結果、上限値である「家賃1ヶ月分+消費税」になります。
しかし、“貸主と借主の一方から受け取れる手数料の上限”には例外があり、貸主または借主のどちらかに承諾を得ている場合は、片方が全額を負担することも可能です。
例えば、賃貸借契約書に、借主が負担する仲介手数料が「家賃1ヶ月分+消費税」(全額)と明記されている場合は、契約時点で合意したとみなされます。トラブルにならないように、不明な点がある場合は、契約前に不動産会社に内容を確認しておきましょう。
参考:
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額|国土交通省
【実例】賃貸の仲介手数料はいくらでしたか?
LIFULL HOME’Sでは、全国の男女300人を対象に仲介手数料に関するアンケート調査を実施しました。現在住んでいる賃貸物件の家賃と、契約時に支払った仲介手数料について尋ねたところ、以下のような結果が得られました。
<アンケート調査結果>
賃貸物件の家賃 | 支払った仲介手数料 |
|---|---|
5万円未満 | 平均2万6,546円 |
5万円以上7万円未満 | 平均5万7,600円 |
7万円以上10万円未満 | 平均7万5,771円 |
10万円以上12万円未満 | 平均10万9,396円 |
12万円以上15万円未満 | 平均7万9,367円 |
15万円以上 | 平均11万6,611円 |
上記の結果からも、仲介手数料はおおむね「家賃0.5~1ヶ月分+消費税」の範囲内に収まっていることがわかります。
(再掲)<家賃と仲介手数料の対照表>
家賃 | 仲介手数料 家賃0.5ヶ月分+消費税 | 仲介手数料 家賃1ヶ月分+消費税 |
|---|---|---|
5万円 | 2万7,500円 | 5万5,000円 |
7万円 | 3万8,500円 | 7万7,000円 |
10万円 | 5万5,000円 | 11万円 |
12万円 | 6万6,000円 | 13万2,000円 |
15万円 | 8万2,500円 | 16万5,000円 |
※消費税率10%の場合
アンケート調査結果で「12万円以上15万円未満」の仲介手数料の平均値が低い結果となったのは、仲介手数料は無料(0円)だったと回答した方が多かったためです。仲介手数料無料のケースを除いた場合の平均値は、11万9,050円でした。
また、「仲介手数料を安くするために、何か工夫したことはありますか?」と尋ねたところ、「はい」と回答した方は全体の6%(19人)でした。具体的に挙がった方法には以下のようなものがありました。
- 不動産会社に交渉をした(5人)
仲介手数料無料の物件を選んだ(4人)
仲介手数料が安い物件を選んだ(4人)
家賃が安い物件を選んだ(3人)
手数料が安い不動産会社を選んだ(3人)
仲介手数料が安くなるキャンペーンを利用した(1人)
上記の回答からも、小さな工夫で仲介手数料を安く抑えられる可能性があることがわかります。
賃貸の仲介手数料を抑えられる4つのケース

ここでは、賃貸物件で仲介手数料を安く抑えやすいケースを紹介します。
1.不動産会社が物件の管理をしている
賃貸物件には、不動産会社が直接所有・管理する「自社物件」と、不動産会社が大家さんから管理を任されている「管理物件」があります。
このような物件では、不動産会社は家賃や管理委託料で収益を得られるため、その分仲介手数料を安く設定できる場合があります。
しかし、不動産会社が大家さんと借主の間に入り、仲介だけを行う物件では、仲介手数料がおもな収益源となります。そのため、仲介手数料を安く設定するのは難しいケースが多いでしょう。
物件に対する不動産会社のかかわり方を知るには、不動産広告に表示されている「取引態様」をチェックするのがおすすめです。初期費用を抑えたい場合は、その旨を担当者に直接伝えても問題ありません。
なお、賃貸物件における取引態様について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

2.貸主と直接契約する
大家さんが直接管理している賃貸物件を借りる場合は、不動産会社の仲介を必要としないため、仲介手数料も発生しません。
先述したアンケート調査結果でも、以下のように、大家さんと直接交渉・契約したとの回答が見られました。
直接、大家さんに会って契約交渉をした
不動産会社を通さなかったので、仲介手数料はかかっていない
知人の紹介なので、仲介手数料自体なかった
ただし、不動産会社を介さない取引は、賃貸借契約の内容に不備が生じるなどのトラブルが発生するリスクがあります。そのため、大家さんと借主が直接契約するケースはあまり多くないでしょう。
3.貸主が積極的に入居者を募集している
入居者が見つかりにくい物件では、大家さんが借主の仲介手数料を負担するケースもあります。具体的には、築年数が経過した物件(築古物件)や、駅から離れている物件などが、これに該当します。
また、不動産業界には引越しの多い「繁忙期」と、引越しが少ない「閑散期」があります。一般的には、繁忙期が1~3月頃、閑散期が7~8月頃です。
閑散期には、大家さんがなるべく早く空室を解消したいと考えるため、仲介手数料を割り引いてもらえる可能性があります。
アンケート調査結果でも、以下のような回答が見られました。
繁忙期を避けて、仲介手数料の水準に納得できる物件探しを心がけた
引越しシーズンを避けた
4.不動産会社が半額・無料キャンペーンを実施している
状況によっては、早期の空室解消などを目指して、不動産会社が仲介手数料を割引するキャンペーンを行う場合があります。
アンケート調査結果でも、仲介手数料のキャンペーンを意識して物件を探した方や、実際にキャンペーンの恩恵を受けた方がいました。
物件探しを急いでいないなら、仲介手数料の割引キャンペーンを待つのがおすすめ
仲介手数料が安くなるキャンペーンがあることを知り、良い物件に巡り合えた
賃貸の仲介手数料を下げる方法

続いて、賃貸物件の仲介手数料を下げる方法を紹介します。
仲介手数料が安い不動産会社を選ぶ
仲介手数料の額は、不動産会社ごとに一律で決められるのが一般的です。つまり、同じ不動産会社のなかで、物件Aは「家賃0.5ヶ月分」、物件Bは「家賃1ヶ月分」などと、バラバラに設定されることはあまりありません。
したがって、物件の仲介手数料を抑えるには、仲介手数料が安い不動産会社を選択するのが近道です。同じ物件を複数の不動産会社が取扱っているケースも珍しくないため、借りたい物件があれば、いくつかの不動産会社を比較してみてください。
仲介手数料の値下げ交渉をする
仲介手数料は、不動産会社との交渉により安くしてもらえるケースがあります。具体的には、「仲介手数料が値引きされればすぐに契約する」と意思表示することで、値下げ交渉に応じてもらいやすくなります。
実際に、アンケート調査結果でも、以下のような回答が見られました。
不動産会社と交渉してみると、案外融通が利く場合がある
交渉して、仲介手数料を半額にしてもらったことがある
また、入居者が見つかりにくい閑散期には、繁忙期よりも仲介手数料の値下げ交渉に応じてもらいやすいと考えられます。
ただし、仲介手数料は本来、仲介業務への対価として不動産会社に支払われるべきものです。物件の契約手続きが進んでから値引き交渉をしたり、交渉だけして契約しなかったりするのはマナー違反です。無理のない範囲で交渉し、誠実な態度を心がけましょう。
仲介手数料以外の費用が安い物件も視野に入れる
仲介手数料は、賃貸物件を借りる際にかかる初期費用の一部です。仲介手数料を安く抑えても、敷金や礼金が高ければ、かえって初期費用の負担が大きくなってしまいます。
したがって、初期費用を抑えるには、仲介手数料以外のコストが安い物件も視野に入れて家探しをするのがおすすめです。具体的には、敷金・礼金が無料または安い物件や、入居後、一定期間の家賃が無料になる「フリーレント物件」などを狙うとよいでしょう。
アンケート調査結果でも、以下のような意見が寄せられました。
仲介手数料だけでなく、いろいろな諸経費をトータルで把握することが重要
仲介手数料が割引不可だったので、敷金を割り引いてもらえるように交渉した
仲介手数料がタダでも、敷金が相場の2倍という物件もあるため注意
敷金・礼金はどちらも家賃の1~2ヶ月分が相場なので、これらが免除されれば仲介手数料無料のケースよりも大きな節約になるかもしれません。
また、フリーレント物件では、家賃が無料になる期間は通常1~2ヶ月ほどで、長い場合は3~6ヶ月ほどになる場合もあります。
敷金礼金0(ゼロ・なし)物件 フリーレント物件賃貸の仲介手数料に関するトラブルや注意点

賃貸物件の仲介手数料を考える際には、いくつか注意点があります。ここでは、特に注意すべき4つのケースを紹介します。
家賃が高く設定されているケース
仲介手数料が無料または安い物件でも、家賃が相場よりも高めに設定されていることがあります。毎月の家賃が高ければ、契約時に「前家賃」として支払う金額が増え、長期的には負担が大きくなってしまいます。
物件を選ぶ際には、“無料”や“割引”といった言葉に惑わされず、初期費用の総額を見て判断することが大切です。
なお、前家賃とは、契約した月の翌月分の家賃を支払うことを指します。
別名目で請求されているケース
仲介手数料は無料でも、「書類作成費」などの名目で、仲介手数料と同程度の費用を請求されるケースがあります。
したがって、仲介手数料だけでなく、その他の費用も含めて内訳を慎重に確認しましょう。
仲介手数料がサービス品質に影響するケース
仲介手数料は、不動産会社のサポートに対する報酬です。そのため、仲介手数料が安い場合、サービスが手薄になる可能性があります。
一方で、一定の仲介手数料がかかっても、その分きめ細やかなサービスを提供してくれる不動産会社もあります。サービス品質を重視するなら、仲介手数料は必要経費として割り切るのも一つの考え方です。
入居者が集まらない理由があるケース
前述のとおり、仲介手数料が割安な物件は、入居者を積極的に募集したい物件であることが多いです。
つまり、ほかの物件と比べて何らかの不利な条件がある場合や、もともとの家賃が相場より高いなど、入居者が集まりにくい理由がある可能性が考えられます。
どのような条件を不利と感じるかは人によって異なります。不動産情報ポータルサイトを活用し、似たような条件の物件と比較してみると、仲介手数料が安い理由が見えてくるでしょう。
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最後に、賃貸物件の仲介手数料に関するよくある質問と回答を紹介します。
仲介手数料に消費税はかかる?
家賃・敷金・礼金・管理費・共益費などの居住用物件に関する費用は、例外的に非課税とされています。実際に不動産広告を見ると、家賃などに「税込」や「税別」といった記載がないのがわかるでしょう。
一方で、仲介手数料は仲介業務というサービスの提供に対する費用であり、消費税の対象となります。また、鍵の交換費用やハウスクリーニング費用も、同様に消費税の課税対象です。
なお、事業用途で賃貸物件を借りる場合は、仲介手数料のほか、家賃や礼金にも消費税がかかります。居住用途と事業用途では、税の取扱いが異なる点に注意しましょう。
仲介手数料を支払うタイミングは?
仲介手数料は、賃貸借契約が成立した際に発生します。賃貸借契約を結んだあと、敷金・礼金などとまとめて、遅くても入居日の前日までに支払わなければなりません。
初期費用の合計額は、家賃の4~6ヶ月分程度かかるのが一般的です。初期費用の支払いに困ることがないよう、合計金額を事前に計算しておくことが重要です。
部屋の内見だけでも仲介手数料はかかる?
仲介手数料は“賃貸借契約の成功報酬”であり、契約する物件が決まらなかった場合には発生しません。
例えば、「実際に部屋を見てみたらイメージと違った」など、内見によって気持ちが変わることもあるでしょう。そのような場合には、仲介手数料はかからないため安心してください。
まとめ
賃貸物件の仲介手数料の相場は、一般的に「家賃0.5~1ヶ月分+消費税」です。法律上、不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限が「家賃の1ヶ月分+消費税」と定められており、これを超える額は請求されません。
仲介手数料を抑えるためには、手数料を安く設定している不動産会社を選ぶほか、キャンペーンの開催を待つ、値下げ交渉を試みるなどの方法があります。
ただし、仲介手数料だけにこだわると、初期費用や毎月の家賃の負担が増えるかもしれません。敷金・礼金の額や家賃の相場なども考慮し、広い視野で物件探しを行いましょう。効率的に物件を探したい方は、LIFULL HOME’Sをぜひご活用ください。
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更新日: / 公開日:2024.08.27










