豪雪地帯では欠かせないのが、一戸建ての屋根に積もった雪おろしや雪かき作業。
賃貸だから、除雪作業まで大家さんや管理会社がやってくれても当然だと思っていませんか? どちらがやるべきかを確認せずに、雪下ろしを行わずにいたために屋根が壊れたら、契約によっては借主が責任を負わなければならなくなります。
賃貸一戸建てでは、雪かきや雪おろしは管理会社の義務なのか、それとも借主がするべきなのかについて解説します。
賃貸一戸建てを探す
雪国暮らしで必須の雪おろし作業は誰がするべき?
雪が積もる地域に住んだことがない人は雪おろしと聞いてもピンとこないかもしれませんが、毎年何十センチも積もるような地域では、屋根に積み重なった雪をおろすことに頭を抱えています。「一戸建てだけど賃貸だから管理会社が雪おろしをしてくれるだろう」と甘く見ていたら、雪おろしは借主の義務だからと言われて全くしてもらえないこともあるといいます。
一般的に、賃貸アパートやマンションでは管理費を支払う代わりに共用部のメンテナンスは管理会社が行います。しかし、一戸建てでは家の周りの草むしりや落ち葉拾いなどの作業は、借主に任せているという家主がほとんどなのだそうです。そうなると当然、雪かきや雪おろしもできないと言われれば、借主がやるしかないということになるでしょう。

豪雪地帯などでは、契約内容にはっきりと「雪おろしは借主が行うこと」などといった文言が記載されていることもあるようです。雪おろしの可能性がある地域で一戸建てを借りる時は、契約の際に雪おろしは誰が行う義務があるのかよく確認しましょう。
自力で雪おろしや雪かきをするときの対策と注意点
契約上借主の義務となっていて、雪おろしや雪かきをしなければならない状況になれば、自分でしなければいけません。しかし、除雪作業はたとえ慣れている人でも事故が多く発生しています。体調が優れないときは無理をせず作業を中断しましょう。雪の量が少なくても、念入りに準備をして慎重に行うようにしてください。

作業前には水分を十分に摂り、準備体操をしてから始めましょう。足元は滑りにくい靴で、防水加工された服装で行うのがベスト。周辺の住宅の邪魔にならないような雪の置き場所をあらかじめ決めておきます。
雪かきに使用する道具は、雪の量や硬さによって変える必要があります。雪が軟らかいならスコップ、硬くて量が多いなら除雪機と使い分けましょう。雪をとかす際は、水やお湯だと凍結の危険があるため、専用の融雪剤を用意しておきます。草木に有害なので、使用前に商品記載の注意事項を確認してください。
また、雪おろしは屋根やハシゴからの転落事故に十分注意して行わなければいけません。
・ハシゴの固定を十分に行う
・命綱をつける
・降雪の後の晴れの日は滑りやすいため気をつける
・転落防止用に周囲の雪を残す
など、自分の身をしっかり守りながら作業にあたってください。
賃貸一戸建てを探す
自分で雪おろしが困難な場合
このように雪おろしや雪かきは、重労働なうえに常に転倒や転落などの危険が伴うため、健康上問題がない人でも細心の注意が必要です。ましてや体力に自信がない人や、体が不自由な人が無理すれば重大な事故にもなりかねません。
管理会社や大家さんに事情を話してお願いすれば、対応してもらえるかもしれません。応じてもらえなくても自分でできないと思ったら無理をせず、除雪を手助けしてくれる業者に依頼する方がいいでしょう。料金は業者によっても差が大きいため、複数社に見積もりを依頼するのがおすすめです。
雪おろし中に屋根が壊れた!費用負担はどうなる?
雪の重みで屋根が抜けてしまう可能性があるため自分で雪おろしをしていたところ、屋根が破損してしまった…というケースでは、誰に修繕義務があるのでしょうか。

ここでポイントとなるのが、大家さんの「修繕義務」と、借主の「善管注意義務」です。
修繕義務…賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。(民法第606条)
善管注意義務…債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。(民法第400条)
つまり、借主が通常(普通)の使い方や管理をしていても壊れてしまった場合は、借主には責任がないとして大家が修繕することになります。そうではなく、借主が通常ではない使い方をしていた、もしくは管理をしていない場合は、借主の責任で修繕をすることになります。たとえば、通常の使い方をしていてトイレが壊れた時は大家さんに修繕義務がありますが、トイレに異物を入れて詰まらせてしまった時は借主の善管注意義務違反になります。
建物の老朽具合や屋根の損傷の程度にもよりますが、こまめに雪おろしをしていた時に屋根が壊れてしまったのであれば、大家さんに修繕義務が発生する可能性は高いです。屋根の上の除雪作業を大家さんや管理会社がしないから、建物の管理のため自分でしていたという場合は、いくらか費用を負担してもらう交渉をしてもいいでしょう。
・賃貸一戸建てでは、契約内容に雪おろしに関する決まりが明記されていない場合は、雪おろしや雪かきなどの作業を自分でしなければならないことが多い
・雪おろし中の事故に遭わないために、作業前には作業に合った道具や服装を用意し、十分に注意して行う
・自分でするのが困難な場合は、除雪作業をサポートしてくれる業者にお願いする
・雪おろし中に屋根が壊れた場合の費用は、建物の老朽化によるものであれば大家さんにも修繕義務が生じる可能性がある
賃貸一戸建てを探す
更新日: / 公開日:2018.10.23










