DIYでセルフリノベ、セルフリフォームを楽しむ人が増えています。家具を手作りしたり、壁紙を貼り替えてみたり。特に日本の住まいは“真っ白な壁”というのが一般的なので、壁の印象を変えるだけでもガラリと部屋の印象を変えることができます。

 

「でも、賃貸では無理」とあきらめてはいませんか？
最近では手軽に貼ってはがせる壁紙などが登場し、賃貸でも壁紙のDIYに挑戦する人が増えています。賃貸での壁紙の模様替えを楽しむにはどんな素材を選んで、どんな点に注意をすればいいのでしょうか？ そのポイントをご紹介しましょう。

 

壁紙の模様替えでガラッとお部屋の印象は変わる！？

賃貸でも「現状回復」に求められる度合いは異なる？

賃貸住宅でDIYを楽しむための注意点について触れたいと思います。まずは退去時に現状回復ができるよう心がけておかなければいけない点。退去する時には「入居前と同じ元の通りにして返す」というのが基本的な賃貸住宅のルール。これが「現状回復」と呼ばれるものです。

 

ただし、現状回復といっても、経年劣化も考慮される点を知っておきましょう。なんでもかんでも退去時に入居者負担になるというわけではありません。「壁紙・クロス」の場合、耐用年数が6年とされ、年を重ねるごとに退去時に入居者が負担する費用は少なくなります。入居から6年経っていれば、原則壁やクロスにかかる退去時の費用はかからないことになります。こうした規定は国土交通省「現状回復をめぐるトラブルとガイドライン」（こちらのページ　よりPDFがダウンロードできます）にきちんと明記されています。もちろん、この耐用年数が示すところは、普通に過ごしていた場合。壁に釘の穴やネジ穴などは入居者側の責任範囲になりますので「やってはいけないこと」としてしっかり認識しておきましょう。

 

最近では元の壁に傷をつけないタイプの壁紙用のりが登場しているので、こうした方法を使えば賃貸でも貼り替えは可能です。そのうえ、こうした耐用年数の取り決めがあることを知っていれば、必要以上に不安になることなくDIYなども楽しめますよね。

 

ちなみに、筆者も賃貸に暮らして7年目。今年、壁のDIYをしましたが、事前に大家さんに相談したところ「現状回復の必要なし」の回答をいただきました。

 

入居時の状態と賃借人負担割合（耐用年数6年、定額法の場合） 　　　　　貸借人負担割合（現状回復義務がある場合） 出展）「現状回復をめぐるトラブルとガイドライン」（再改定版）

賃貸住宅のDIYに適した壁紙と貼り方は？

では次に、賃貸で壁の貼り替えを行うにはどのような壁紙が適しているのでしょうか？壁紙に使われる素材は大きく分けて、以下の3つがあります。

日本の住宅では、「ビニールクロス」が使われていることがほとんどですが、綺麗に貼るには技術が必要で、職人さんしか貼れないというのが現実的なところ。2.の「紙クロス」は、国産クロスの代名詞で安価なのが魅力ですが、裏面も紙素材なのではがしたときに残りやすいのが難点。3.の「不織布クロス」は裏面がフリース（不織布）素材で、主に輸入壁紙がこのタイプです。国産クロスよりも値段は高めになりますが、はがす際に裏紙が残らないメリットがあります。

 

そして、現状回復を目指す賃貸での壁紙DIYで重要になるのは「のり」。貼ってはがせるタイプののりが登場しているので、これを使うと元のクロスに傷をつけにくくはがすことが可能になります。またこうしたのりを使うと壁紙を貼るときにずらしながら微調整が利くのも魅力。
最近では、シールタイプ（生のりを裏面に付着させたもの）の壁紙も多くなってきましたが、こちらは、商品によっては接着度合いが強く元のクロスに傷をつけてしまう心配も。現状回復を前提とした賃貸での使用には不安が残ります。

 

また、マスキングテープや両面テープを使った壁紙DIYも見聞きしますが、元のクロスの状況によっては、両面テープの強度によりうまくはがれなかったり、傷をつけてしまう恐れもあります。

 

そのため、賃貸で初心者が行う壁紙DIYの有力候補となるのは、「不織布クロス（主に
輸入壁紙）+貼ってはがせるタイプのり」の組み合わせです。

 

賃貸物件を探す カスタマイズ可の物件

どれくらいの予算が必要？

では、気になる壁紙のお値段です。一体どれくらいになるのでしょうか？　壁紙の価格は国産（主に紙クロス）と輸入もの（主に不織布クロス）では、だいぶお値段が違ってきます。

 

国産壁紙のサイズはだいたいが幅90cm程度、輸入物は幅50～60cmという違いがあります。また国産の場合は1m単位で買える場合が多いのですが、輸入ものになると1ロール（10m）単位の販売が多くなります。価格も国産は安いものなら1mが100円前後からあるのに対し、輸入壁紙は1ロール5000円前後～数万円とさまざま。かなり価格にも違いがあります。

 

例えば、6畳サイズの面積の大きな壁一面を貼り替えると仮定して、コストを計算してみましょう。

 

—————————————————————-
6畳サイズの面積の大きな壁のサイズ：縦240cm×幅360cm想定

 

●国産壁紙（ウッド柄　幅90cｍ　1ロール3600円想定）
360cm÷90cm＝4
240cm+10cm（のりしろ分）×4＝1000cm

 

使用壁紙：
ロール購入の場合：1ロール（10m）＝3600円

 

●輸入壁紙（ウッド柄　幅52cm　1ロール6000円想定）
360÷52＝6.92（7列必要）
240cm+10cm（のりしろ分）×7=1750cm

 

使用壁紙：
ロール購入の場合：2ロール（20m）＝12000円
—————————————————————-

 

値段的にみれば、断然国産壁紙の方が安く仕上がります。しかし、最初にご紹介したように、賃貸で現状回復を考えるのであれば、紙クロスが主となる国産壁紙は、はがしたときに裏紙が残りやすいというデメリットがあります。現状回復を重視するのであれば輸入壁紙がおすすめ。ただし、入居年数が経過している場合はチャンス。特に6年以上過ぎているのであれば、現状回復を要求されないこともあるので、大家さんと相談してみましょう。現状回復不要であれば、国産壁紙を選択しても怖くないはずです。

 

賃貸で原状回復を気にするのなら輸入壁紙がおすすめ

初心者はアクセントウォールに挑戦するのもアリ！

では、現状回復を気にしながら、数千円といった手軽な予算で壁紙を変えるのは難しいのでしょうか？　いいえ、方法はあります。
輸入壁紙の魅力は、やはりその色や柄の豊富さとデザイン性の高さにあります。人気のレンガ柄や花柄はもちろんのこと、あたかも室内に観葉植物を陳列したかのようなボタニカル柄やレトロなウッドを何枚も重ねたような一見壁紙には思えないような商品も手に入ります。

 

初心者かつ賃貸入居者であれば、お試し感覚でインテリアと合わせてこうした壁紙を部分的に貼ってみるのも一案。例えばソファーを置いた後ろの壁面一部だけ、ベッドボードの後ろ、トイレの側面一面のみ、それだけでもお部屋の雰囲気はガラリと変えられます。個性的な柄の多い輸入壁紙では壁の一部であってもアクセントとして十分におしゃれな演出ができるはず。これならば、1ロールだけで化粧直しができるので、コストも抑えることが可能です。

 

最近では、輸入壁紙1ロール分と貼ってはがせるのり、ハケなどがセットになった初心者セットが8000円前後で販売されています。また、ネットショップではときたま輸入壁紙のセールも開催されていて、1ロール3000円前後で販売されているものもあります。

 

賃貸の壁紙DIYでは、まずは現状回復が必要かどうかの相談・見極めをしたうえで、クロスの種類を考慮しながら予算の許す範囲での効果的な模様替えを楽しんでみましょう。

 

出展：壁紙屋本舗

賃貸物件を探す カスタマイズ可の物件