古くなったマイホームの改修を考えるとき、建替えとリフォームのどちらがいいのか、2つの選択肢で迷ってしまうものです。
そもそも、建替えとリフォームにはどのような違いがあるのか、詳しく調べたことがない人も多いでしょう。
今回は建替えとリフォームの違いやそれぞれのメリット・デメリットを踏まえて、改修を行う際の主な判断基準を紹介します。
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建替えとリフォームの違い

建替えとは、基礎部分から取り壊して、新たに住宅を建て直す方法を指します。これまで住んでいた家はすべて取り壊すこととなるため、同じ土地に一から建物を建て直すといったイメージです。
一方、リフォームは基礎部分を残したうえで、必要な部分を改修・修繕することを指します。
リフォームの方法はさまざまであり、壁や設備の一部を取り換える「部分リフォーム」やすべてを改修する「フルリフォーム」など、範囲や工程は状況によって異なります。
建替えとリフォームのどちらが適しているかについては、両者の違いを適切に把握したうえで判断することが大切です。まずは、主な違いを確認してみましょう。
| 建替え | リフォーム |
|---|---|---|
施工内容 | 既存の住宅はすべて解体する | 既存の住宅を残しながら改修する |
費用の目安 | 新築同様(数千万円) | 数百万円~数千万円 |
工期の目安 | 新築同様(4~6ヶ月) | 1ヶ月以内 |
間取り | 自由に設計できる | 既存の住宅に影響を受ける |
適した築年数 | 築30年以上 | 築30年以内 |
リフォームの費用や工期については、施工内容や範囲によって大きく異なります。ただ、建替えよりも小規模となるため、リフォームのほうが比較的に負担総額は小さくなるのが一般的です。
また、適した築年数はケースバイケースであるものの、建替えの場合は築30年以上、リフォームについては「築10年以上で水回りのみなどの部分リフォーム」「築20~30年で大規模リフォーム」がひとつの目安となります。
建替えのメリット・デメリット

ここでは、建替えのメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
建替えのメリット
- 自由に理想の間取りを実現できる
- 地盤補強から作業ができる
- 住宅性能そのものを最新のものに入れ替えられる
建替えの大きなメリットは、既存の住まいの制約を受けることなく、理想の間取りに変更できる点にあります。新築の状態で入居できるため、住まいのイメージや性能、設備をガラリと一新することが可能です。
また、一度建物を取り払うため、地盤調査や改良工事もできます。以前の住宅が建てられてから時間が経過している場合は、土地の状態が悪化している可能性もあるため、建替えのほうが安心して住み続けられるケースは多いのです。
建替えのデメリット
- リフォームよりコストがかかる
- 既存建物の解体+新築の工期がかかる
- 各種税金がかかる
建替えを行う場合は、住宅の解体工事、新築工事のどちらも手配する必要があります。
一戸建ての解体工事費の相場は、おおよそ以下のような目安となっています。
建物構造 | 解体工事費の目安 |
|---|---|
木造 | 4~5万円/坪 |
軽量鉄骨造 | 6~7万円/坪 |
RC(鉄筋コンクリート)造 | 6~8万円/坪 |
ただ、解体工事のコストは建物の構造だけでなく、立地や建物の状態によっても異なります。そのため、いくつかの施工会社に見積もりを依頼し、比較しながら相場を把握することが大切です。
コストだけでなく、手続きの負担も大きくなるため、ゆとりのあるスケジュールを確保しなければなりません。また、建替えを行った場合は、新築と同じように不動産取得税や登録免許税などの税金が発生します。
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続いて、リフォームのメリット・デメリットを紹介します。
リフォームのメリット
- 比較的コストを抑えられる
- 工期が短い
- 一部のみの改修や設備のみの入れ替えといった選択肢がある
- 大がかりな家財の処分をしなくても作業が行える
- 税金の減免措置が受けられる
リフォームの大きなメリットは、改修に必要なコストを抑えられる点と、工期が短くなる点にあります。施工内容や範囲にもよるものの、一部のリフォームであれば、数十万円~数百万円程度で済むケースも多いのです。
また、大規模リフォームでなければ、居住を続けながら作業してもらうことが可能であり、大がかりな引越しや家財処分の必要もありません。建替えの場合は、仮住まいを用意する手間やコストがかかってしまうので、この点は大きな違いだといえます。
さらに、耐震リフォームやバリアフリーリフォームなどの場合は、一定の要件を満たすことで税金の軽減措置を受けられるようになります。そのため、小規模な改修で問題がない場合は、建替えよりもリフォームのほうがいいケースも少なくありません。
リフォームのデメリット
- 必ずしも理想の間取りを実現できるわけではない
- 地盤の改良ができない
- 建替えと変わらないコストがかかることもある
リフォームは構造体を残す方法であるため、間取りは施工前の状態に大きく影響されます。そのため、思い切ってガラリと住まいの印象を変えたい場合には適していません。
また、建替えのように地盤の改良ができず、基礎部分の入れ替えなどもできません。土地や建物の劣化が激しい場合は、補修費用によって建替えと同じくらいのコストがかかってしまう場合もあるのです。
そのため、最終的には施工会社に見積もりを行ってもらったうえで、改めてどちらがいいかを判断する必要があります。
<建替え or リフォーム>迷ったときの5つの判断基準

これまで確認してきたように、建替えとリフォームにはそれぞれ異なるメリット・デメリットがあるため、実情に適した方法を選ぶことが大切です。
ここでは、迷ったときに参考にすべき5つの判断基準を見ていきましょう。
1.法令上の制限
住まいの改修を検討するときには、まず土地に関する法令上の制限を確認する必要があります。前面道路との関係性により、「再建築不可物件」と指定されてしまっている場合は、そもそも建替えが行えません。
また、建替えや増築による建物面積の拡大を行いたいときには、建ぺい率や容積率をしっかりと把握しておくことも大切です。
2.築年数、耐震基準、地盤
建替えとリフォームを見極めるうえで、特に重要なポイントとなるのが築年数と耐震基準です。
「築年数がかなり経過している」「1981年以前の旧耐震基準で建てられている」といった場合には、リフォームを行っても安全な住まいへとつくり替えることは難しいといえます。
特に、旧耐震基準の住宅を新耐震基準にリフォームし直すのは、大がかりな工事が必要であり、コストも建替えと同程度になるケースが多いです。そのため、手間がかかったとしても、建替えを行ったほうがいいでしょう。
また、地盤から改良が必要である場合も、一度建物を取り壊してから建替えを行うべきだといえます。
3.コスト負担
前述のとおり、リフォームは施工範囲を限定できる分だけ、建替えよりもコストを抑えやすいといえます。
しかし、施工範囲が広くなったり、大がかりな補強が必要になったりすれば、建替えのほうが適していると判断される場合も少なくありません。
実際のところ、リフォーム費用が建替え費用の70%を超える場合は、コストパフォーマンスの面から建替えをおすすめしている建築会社もあります。
4.家族構成、ライフプラン
家族構成やライフプランは、住まいで優先すべき条件を決めるポイントのひとつです。
たとえば、親との同居によって間取りの変更が必要になった場合は、建替えによって一からつくり替えたほうが理想を反映しやすくなります。
一方、「将来に備えてトイレやお風呂だけバリアフリー化したい」「あまり長期にわたって住み続ける予定はない」といった場合には、リフォームで十分であると判断できます。
そのため、家族ともしっかり話し合いをしたうえで、慎重に条件整理を行うことが大切です。
5.専門家による診断
建替えとリフォームで迷ってしまったときには、専門家による「ホームインスペクション」を受けてみるのもひとつの方法です。
ホームインスペクションとは、住宅診断士(ホームインスペクター)が第三者的な立場から、また専門家の見地から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所、時期、おおよその費用等についてアドバイスを行う専門業務をいいます。
費用の相場は、一戸建てで5~10万円程度とされています。広さによって若干の違いはあるものの、専門家によって診断やアドバイスを受けられることを考えると、費用対効果は十分であると考えられます。
構造部分については、専門家でなければ判断できないポイントも多いため、建替えやリフォームの必要性・妥当性を見極める重要な手がかりとなるのです。
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「建替えとリフォームで判断に迷ってしまった」「具体的な費用や流れについて知っておきたい」という場合には、LIFULL HOME’S「住まいの窓口」の利用を検討してみてください。
最後に、住まいの窓口の仕組みと特徴を紹介します。
住まいの窓口のメリット
住まいの窓口では、リフォームやリノベーションに関する相談をハウジングアドバイザーが無料で受け付けています。相談内容は幅広く、住まいに関する以下のような悩みについて専門的な知見からアドバイスを受けられるのです。
住まいの窓口で分かること
- 不動産会社や建築会社の選び方
- 建替えやリフォームに必要な費用
- 建替えやリフォームの進め方、流れ、注意点
- 住宅ローンの仕組み
- 予算の決め方
利用者が納得できるまで、何度でも無料で相談可能なので、家づくりの心強い味方となるでしょう。
また、ハウジングアドバイザーは中立の立場でサポートを行い、特定の不動産会社や情報に偏ることはないため、安心して相談をすることができます。
専門家の監修による無料講座も便利
住まいの窓口のもうひとつの特徴は、専門家の監修による講座を無料で受けられる点にあります。予約をすれば、店舗だけでなくオンラインでも受講ができるため、忙しい人や外出が難しい人でも利用可能です。
現在は15種類の無料講座が取扱われており、「注文住宅を建てたい」「土地探しから始めたい」といったさまざまなニーズに応じて、自分に合ったテーマを選ぶことができます。
そのなかでも、建替えとリフォームで迷っているときには「耐震・老朽化対策『どっちがいいの?リフォームVS建て替え』」という講座がぴったりです。
この講座では、建替えとリフォームを比較する際に押さえるべき予算、ローン、依頼先の違いについて、専門家が詳しく解説しています。より詳しく両者の違いについて理解したいときには、ぜひ利用してみてください。
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- 建替えとリフォームはコスト、工期、設計上の制限などに大きな違いがある
- 建替えは自由な間取りを組める点や、地盤改良から行える点がメリット
- リフォームは施工範囲によるものの、費用や工期が削減できる点がメリット
- どちらがいいかは築年数や地盤のほか、ライフプラン、家族構成によっても異なる
- ホームインスペクションを受けて判断の手がかりにするのもひとつの方法
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