JR東日本が毎年度発表しているJR東日本管内の「乗車人員ベスト100」
JR東日本では、エリア内の1日平均の乗車人員を把握できる駅で毎年度「各駅の乗車人員」を発表している。乗車人員とは駅で列車に乗車する旅客数を示す。JR東日本エリア内には、1600以上の駅があり、「乗車人員ベスト100」にランクインする駅は首都圏のターミナル駅や1日の乗車人員が10万人を超える大規模駅が中心となっている。
今回発表された2022年度「乗車人員ベスト100」の結果は、新型コロナウイルスによるまん延防止等重点措置が全都道府県で終了し、経済活動の本格的な再開に向けて動き出した2022年4月から1年間が対象となる。
JRのデータをみると、乗車人員数の一位は日本一のターミナル駅「新宿」、そして「池袋」「東京」「横浜」とつづくが、ベスト100の駅はいずれも前年比で増加。特に前年比の増加率が高かったのが、「舞浜 36.5%」「水道橋 32.9%」とテーマパークやスポーツ観戦施設などの駅が大幅に伸びているほか、「東京 22.7%」と旅行や出張需要も回復してきたことが見受けられる。
LIFULL HOME'Sでは、このベスト100にランクインした駅の利用状況には、コロナ禍での働き方やライフスタイルが変化した新しい日常での利便性や繁華性なども一部表れていると考え、1日平均乗車人員が10万人以上の大規模駅に注目。乗車人員が20万以上を超える駅と、10万人以上20万未満の駅でそれぞれの家賃相場を調査、安い駅をランキング形式で発表した。
乗車人員20万以上の「超大規模」の7駅で最も家賃相場が安い駅は「大宮駅」
「2022年度の駅別乗車人員」において、乗車人員数が20万人を超える超大規模駅は7駅。
東京駅や品川駅、大宮駅をはじめ在来線や新幹線などのJR線だけでなく、私鉄や地下鉄など複数路線が乗り入れる、利便性では国内でトップクラスといえる駅ばかりである。ターミナル駅として周辺の商業エリアとのアクセスも整備され繫華性も高く、仕事やプライベートでシーンを選ばず利用でき、繁華性が高いため、住まいの条件となるアクセスの魅力は大きい。
乗車人員20万人を超える超大規模の7駅で家賃相場が安い駅の1位は「大宮駅」(家賃相場7.4万円)。京浜東北・根岸線や埼京線、湘南新宿ラインなどの在来線に加えて、東北、上越、北陸3線の新幹線が利用可能な埼玉県内で最も大きなターミナル駅である。「まちむすび」によると、大宮は大規模な商業施設があり、ショッピングやレストラン、様々な用途で利便性が高く、集約した街の機能をのぞむ人に便利な街といえそうだ。また、寺社仏閣が近くにあり公園がある点も、賑わいだけではなく、自然や歴史に触れられる大宮駅周辺の注目ポイントとなっている。
2位は「横浜駅」、3位は「池袋駅」、4位の「品川駅」と繁華性の高い駅が続く
2位は「横浜駅」(同8.6万円)。東海道本線やみなとみらい線など11路線の利用が可能な神奈川県で最大のターミナル駅だ。まちむすびによると、ショッピングだけでなく、ラーメンや中華など食を楽しめる場所が多くあり、また遅くまで開いている店あるなど、アクティブに街を楽しむ人に向いているといえそうだ。
3位は「池袋駅」(9.7万円)。JR線だけでなく、西武池袋線や東武東上線など9路線の利用が可能で、駅の東口、西口にバス停があり、電車からの各街へのアクセスを含めた交通利便性も高い駅だ。老舗百貨店や商業施設、大型家電量販店もあるため、買い物を一つの場所で済ませたい人に便利な駅といえる。また、野外劇場をはじめ大小の劇場があるなど、文化体験に関心が高い人にもおすすめの駅だ。
4位の「品川駅」(10.8万)以下はすべて家賃相場が10万円を超え、7駅のなかで最も家賃相場が高い駅は「渋谷駅」の14.0万円で、乗車人員が60万人超で最多の「新宿駅」は6位の12.7万円だった。
乗車人員が10万人以上20万未満の駅における家賃相場が安い駅「柏駅」、高い駅「恵比寿駅」
乗車人員が10万人以上20万人未満で家賃相場が安い駅の1位は「柏駅」(家賃相場6.25万円)、2位「西船橋駅」(同6.9万円)、3位「船橋駅」(同7.0万円)と千葉県内の駅が上位を占めた。つづいて「立川駅(7.4万円)」「吉祥寺駅(7.7万円)」となった。10位「高田馬場駅」(10.3万円)からの家賃相場は10万円を超えている。
不動産の資産価値にも大きく関係する、繁華性・アクセスの利便性が高い乗車人員が多い駅
乗車人員が多い駅は、ビジネス街へつながる各線が乗り入れる大規模なターミナル駅、そしてさらにその先への住まいのある街へのハブの役割を担う駅が多い。
新宿・池袋・東京・横浜・渋谷・品川などは、戦後の郊外型大規模住宅開発と大きく関係し、ベッドタウンと呼ばれる住宅地と都市中心を結ぶ役割から大きく発展し、都心へのアクセスとして重要なターミナル駅となった。また、新幹線や地方への特急、長距離バスなど日本各地へのアクセスへも大切な役割を担っている駅だ。
乗車人員20万人を超える超大規模の7駅で家賃相場が安い駅1位であった「大宮駅」(家賃相場7.4万円)も東京から東エリアをつなぐ新幹線の主要駅となり、先にあげた戦後の大規模な郊外型住宅地よりも近年になってからのほうが多いが、大規模なマンション開発も多く行われている。商業と住環境が充実した街であり、各媒体で調査される、様々な「住みたい街」でも多く名前のあがる街である。
利用者数が多い駅は、多くの人が集まることから商業的にも魅力も高く、駅の内外を含めて商業ビルや飲み屋街が広がり、繁華性が高い街となっている。
繁華性・アクセスを含む利便性は、不動産の資産価値にも大きく関係する。今後も新線や新駅が開通・開設される駅があれば、乗車人員に少なからず影響し、利便性や繁華性が徐々に変化する駅が出てくるかもしれない。
「住みやすい街」の視点で考えると、教育や医療など暮らしに必要なその他施設とのバランスもあるが、繁華性や都心へのアクセスの利便性を重視するのであれば、このランキングでの家賃の安い駅はひとつの選択肢となると思われる。参考になれば幸いである。
■ 調査概要
対象駅:JR東日本「2022年度駅別乗車人員」ベスト100の駅
対象物件:LIFULL HOME'Sに掲載された築40年以内、駅徒歩20分以内、専有面積15m2以上40m2未満の賃貸物件
抽出期間:2022年7月~2023年6月
家賃相場:管理費を含む⽉額賃料から中央値を算出
公開日:














