「南智仁の賃貸ニュースピックアップ」とは?
不動産会社向けコンサルティング会社、株式会社南総合研究所の代表 南智仁氏が、 賃貸業界に関わる方なら知っておくべきという観点でニュースを厳選し、 豊富な経験に基づくコメントとともに伝えるコーナー。業界関係者はもちろん、賃貸住宅を探す人にとっても、重要な動きを理解できるほか、新たな視点を得ることができるはずだ。
賃貸仲介の“店”はどこへ向かうのか?
アパマンショップがオンライン専門店舗を新たに展開するというニュースから見えてくるのは、これからの賃貸仲介店舗の役割が大きく変わっていくという現実だ。
【今回ピックアップするニュース】
アパマンショップのオンライン専門店第1号店が誕生します。住まい探しの新しい形を提案いたします。(PR TIMES)
これまで店舗は、顧客が足を運んで物件情報を得たり、営業スタッフと対面でやり取りをする場所として機能していた。しかし、来店不要・オンライン内見・電子契約などが可能になることで、そうした“リアルな場”の価値は相対的に下がっていく。だが、これは店舗の役割が終わるという意味ではない。むしろ、人が関わるからこそ提供できる価値に焦点が当たる時代になる。
オンラインでは得にくい地域情報のリアルさ、契約に至るまでの安心感、物件の周辺環境を実感として伝えられる点などは、やはり現地に根差した店舗ならではの強みだ。顧客がオンラインで物件を検索し、気になる情報を収集した後、実際に物件を見に行ったり、より細かい条件の相談をしたりするために訪れるのが店舗という位置づけになる。つまり、店舗は物件選びの“始まりの場”ではなく、“最終確認の場”や“信頼関係を築く場”へと変化していく。
また、今回の発表でも触れられていた“ハイブリッド型運営”という考え方が今後の主流になる。これは、オンラインで完結できる利便性と、実店舗が持つ人の温かみや信頼感をうまく組み合わせるという戦略だ。その中で、実店舗が生き残るには、物件そのものではなく「人」「地域」「安心」といった目に見えにくい価値をどれだけ届けられるかが問われている。
以上のように、これからの賃貸仲介店舗は、単なる物件紹介の窓口ではなく、信頼・地域密着・顧客サポートといった“人にしかできない役割”を担う存在へと再定義される必要があるだろう。
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